その他選考
2019/7/01
フェルミ推定を完全攻略!主要な例題を徹底解説
2019/7/01
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2019/7/01
外資系のコンサルティングファームや投資銀行などでよく出題されるフェルミ推定の問題。
今回は例題を用いながら、フェルミ推定を解くためのポイントや覚えておきたい数値などをご紹介します。
フェルミ推定を完全攻略したい学生は、ぜひご覧ください。
CONTENTS
フェルミ推定とは、実際に調査することが難しいものや特定することができないものなどを理論を用いて推測し、短時間で概算するのこと。
フェルミ推定の問題を解くには、社会人として働くうえでも大切な「論理的思考力」が必要であり、企業はその学生に論理的思考力が備わっているかを判断しています。
フェルミ推定の有名な問題に「アメリカのシカゴには何人のピアノの調律師がいるか?」というものがあります。
「日本人だしそんなの分からない」と思う人もいるかもしれませんが、分からないから・知らないからという理由は通じません。
たとえ自分が知らない場所の知らない数字を求める問題が出たとしても、自分が知っているデータから論理的に思考し、推定する力が求められるのです。
まずは、電柱が設置されている場所は一体どのような場所なのかを考えていきましょう。
電柱がある、ということは「多くの人が生活をしている場所」であるということ。
つまり「電柱は都市部に多く、人の少ない地方は電柱も少ない」という推測ができます。
日本の国土はおよそ40万㎢。
そのうち20%が都市部、80%が地方とすると、都市部の面積は8万㎢、地方の面積は32万㎢になります。
では、都市部や地方にはどの位の間隔で電柱が立っているのでしょうか。
都市部には50m間隔で電柱が立っていると推測すると、50m×50m四方に電柱が1本、
つまり2500㎡(=0.0025㎢)に1本電柱がある計算になります。
対する地方には都市部のおよそ4倍の間隔で電柱が立っていると推測すると、200m×200m四方に電柱が1本、
つまり40000㎡(=0.04㎢)に1本電柱がある計算になります。
上記の計算でいくと、日本にある電柱は
【都市部の面積(8万㎢)÷都市部の電柱1本分(0.0025㎢)】+【地方の面積(32万㎢)÷地方の電柱1本分(0.04㎢)】=4000万本
となります。
スケートリンクの氷の体積を求めた後にかき氷1杯の質量で割ると簡単に求めることができます。
今回は縦30m、横50mの長方形で、表面積は1500㎡のスケートリンクを仮定して考えましょう。
また氷の厚みは薄すぎると人の重みに耐えかねて割れてしまう恐れがあるため、ここでは20㎝(=0.2m)と想定します。
このスケートリンクの場合、体積は1500㎡×0.2m=300㎥。氷は1㎤で1gなので、300㎥=3×10^8gであるとわかります。
次に、かき氷一杯の質量を考えましょう。
お店や縁日などで食べるかき氷は500ml(約500g)のペットボトル飲料よりもずっと軽いため、ここではおよそ100gと設定します。
上記の数値で計算すると、スケートリンクで作れるかき氷は
【スケートリンクの氷の重さ(3×10^8g)】÷【かき氷1杯の重さ(100g)】=300万杯
であるということが推測できました。
この問題も一見どこから手をつけたらいいのか分からないかもしれませんが 「ハムスターは日本のどこにいるのか」という観点から考えればスムーズに解くことができます。
こちらの問題では、野生の数はカウントせずにペットとして飼われているハムスターの数を割り出します。
考え方のステップは以下の通りです。
1.日本でペットを飼っている人口を割り出す
2.そのうちハムスターをペットとして飼っている割合を算出する
3.一世帯あたりのハムスターの飼育数を予想する
4.ペットショップにいるハムスターを推定して足す
まずは日本の人口を1億2000万人として、そのうちどれ位の人がペットを飼育しているかを予想します。
ここでは3人に1人がペットを飼っていると仮定して、日本でペットを飼っている人口は3600万人という計算になります。
次はペットとしてハムスターを飼っている割合を考えましょう。
ペットとして飼育されている動物の主流は犬や猫なので、全体の7割が犬や猫を飼っていると仮定します。
それ以外にもウサギや熱帯魚、鳥などがペットとして飼われているので、今回はハムスターを飼っている人は1割と推定。
これを計算式に表すと
日本でペットを飼育している人数(3600万)×ハムスターを飼っている割合(0.1)=360万人になります。
最後に一人当たり何匹ハムスターを飼っているかを推定していきます。
この数値に関しても推定するのが難しいと感じるかもしれませんが、この問題に正解はないため自身が推測して割り出した値を回答すれば問題ありません。
ここでは飼い主一人あたり一匹飼われていると想定して、ペットとして飼われているハムスターは合計360万匹です。
このほかにも、ペットショップにいるハムスターの計算を加えていきます。
初めてハムスターを飼い始める人や死んでしまったハムスターの代わりに新しいハムスターを購入する人がいるため、ペットショップ市場には常に360万匹が必要と想定します。
ハムスターの寿命はおおよそ3年なので、1年間あたりおよそ3割のハムスターがペットショップから各家庭へと供給されるものと計算すると、以下のような値が算出されます。
360万匹(市場に必要なハムスターの数)×0.3(回転率)=108万匹(常にペットショップにいるハムスターの数)
つまり日本にいるハムスターの数は、360万+108万=468万匹
です。
一見難しそうに見えるフェルミ推定ですが、以下の4つのステップを丁寧に踏めば考えやすくなります。
①前提確認
前提となる部分がもし曖昧であれば確認するようにしましょう。
問題文の中で理解できないところや、覚えておきたい数値を忘れてしまった時などはきちんと確認してから問題に取り掛かりたいですね。
フェルミ推定に役立つ知っておきたい数値はこの記事の最後の方にまとめてありますので、ぜひチェックしてみてください。
②公式をつくる
次に公式を作っていきます。公式といってもやることは分解です。
大きな値から切り分けていって導き出したい答えの要素を分解していきます。例で見ていきましょう。
上の例題のハムスターの問題ですが、
日本にいるハムスター=ペットとして飼われているハムスター+ペットショップにいるハムスター
ペットとして飼われているハムスター=日本の人口×ペットを飼っている割合×ハムスターを飼っている割合×一人当たり飼っている数
ペットショップにいるハムスター=ペットとして飼われているハムスター×回転率
の3つの式に分解できます。
この際に注意することが2つあります。
正確に分解できているか
分解した要素が推定可能か
この2つを満たしている公式であれば、フェルミ推定可能であると言えるでしょう。
③公式に数値を代入
分解して公式ができたのであれば、あとは数値を代入して計算するだけです。
この際、綺麗に分解できているのであればわからない数値があったとしてもある程度推測することができるので、ここで見当のつかない分解要素があるとすれば、②に戻って違う切り方を検討する必要があります。
④論理立ててアウトプット
推定ができたら、相手にきちんと説明できるように論理を整理しましょう。
場合によっては紙に書いて提出する面接(ケース面接)もあるので、相手に伝わりやすいように考え方の流れを伝えられるように練習しましょう。
フェルミ推定と一口に言っても様々な種類の問題があります。
中にはどこから取りかかっていいのかわからないものも出てくるかもしれません。
そんな時に役立つかもしれない回答のテクニックを3つ紹介します。
①母集団
1つ目は母集団という考え方です。
大きな集合体の中で求めたい値の占める割合をかける方法です。
人口などを求める時に有効となります。
先ほどの例で、
ペットを飼っている人口=日本の人口×ペットを飼っている割合
とし、ペットを飼っている人口を求めています。
②can-do
さらに細かく対象の人口などを求めたい時にはcan-doを使います。
例えば、ビールを飲む人の人口を求めたい場合、
ビールのを飲む人口=日本の人口×ビールを飲むことができる割合×実際にビールを飲む人の割合
となります。
ビールを飲むことができるのは20歳以上ですが、その中でも全員が飲むわけではありません。
ですので、一度飲むことができる割合(can)で整理して、その後実際に飲む割合(do)をかけてあげることで求めたい値を得ることができるます。
③セグメンテーション
漏れなくダブりなく分けて考える方法です。
例を挙げると、
・男性/女性
・0~20歳/20~60歳/60歳以上
・都道府県
などが有名なセグメンテーションの例です。
分けて考えることによって、それぞれの分けた要素ごとに考えることができるので、大きく考えている時よりも考えやすくなります。
漏れなくダブりなくなっているかということはセグメンテーションをした場合にはきちんと確認するようにしましょう。
・論理的思考力
フェルミ推定で見られている観点として、論理的に物事を考えることができるかという点は重視されています。
パッと思いつきで出した推定値ではなく、正確な数値さえあればその計算の仕方をすれば正しい値を求めることができるよねと面接官に言ってもらえるかどうかが重要です。
・論理的説明力
論理的に思考することができたあとは、それをきちんと説明することができるかどうかが次の評価ポイントなります。
いくら完璧な回答を書いたとしても、それを説明できなければ相手を納得させることはできません。
ポイントとしては、まずは大枠をざっくりと話しそのあとに詳細の部分を説明すると相手がわかりやすい説明となります。
そのため、公式をまず伝えて、公式それぞれの要素の数値の根拠などを話すようにしましょう。
伝える力を身につけるためには、自分の考えを人に説明する経験を積むことが近道になります。
・修正力
いつでも自分のフェルミ推定が完璧であれば問題ないのですが、少々間違うこともあるでしょう。
特に面接中に面接官と急に言われたフェルミ推定をその場で考える必要がある場合は、考える時間が少ないためパニックになってしまい間違えてしまうときも。
そんな時に重要なのは、相手の意見を聞いてどれだけ修正することができるかです。
自分の独りよがりな考えを頑固に貫くよりも、相手とのディスカッションで得ることができた新しい考え方やヒントとなる数値などを柔軟に取り入れていくと評価が高くなるでしょう。
相手と一緒に答えに近い値を出すという気持ちで臨むといいでしょう。
ここからはフェルミ推定をする際にはぜひ覚えていきたい数値を紹介します。
人口:1.2億人
世帯:5,000万世帯
国土面積:約40万平方km
平均寿命:80歳
労働力人口:約6,000万人
1年に産まれる子供の数:約100万人
大学進学率:約50%
大企業の数:1.2万社
中企業の数:420万社
この数値を覚えておくと、フェルミ推定の時の切り口を複数持てるようになります。
今まで人口からしかアプローチできなかったのが、世帯数などからアプローチができると考え方の幅が広がりますよ。
フェルミ推定の攻略法、いかがでしたか。
難しいなと感じる人が多かったのではないでしょうか。
しかし、本当に「アメリカのシカゴには何人のピアノの調律師がいるか?」の答えを知っている人はいません。 評価ポイントを意識して回答を出すことで、選考は十分クリアできるでしょう。
フェルミ推定は、数多く解き、慣れておくことが大切です。今回紹介した問題だけでなく、他の問題も解くようにしてください。日常で身の回りのものや事象から考えてみるのもおすすめです。
フェルミ推定で難しいことは、要素分解の部分です。ここを押さえるだけで、フェルミ推定の難易度はぐっと下がります。
また、フェルミ推定の考え方は、採用試験で瞬時の論理的思考力を見るためだけのものではありません。
就職後、ビジネスの世界でも非常に重要になるものであるため、就職活動のためだけと考えずに、ずっと役立つツールとしてこのタイミングで身につけておくと便利です。
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