東京消防庁の採用試験はSPIで受けられる?適性検査方式の全体像を編集部が解説

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伊東美奈
Digmedia監修者
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

東京消防庁の採用試験は、SPIで受験できます。令和6年度から消防官Ⅰ類に「適性検査方式」という区分が導入され、能力検査はSPI3-U(テストセンター方式)で実施されています。従来の教養試験を勉強しなくても、民間就活と同じSPI対策で消防官を目指せるルートが公式に用意されたということです。

編集部が公務員試験の動向を整理すると、SPI方式の導入は東京消防庁に限らず全国の自治体に広がりつつあります。その中でも東京消防庁は採用規模が大きく、民間併願層にとって特に狙いやすい選択肢になっています。

一方で、「SPIで受けられる」と言っても、試験はSPIだけで完結しません。論文試験や資格・経歴評定、体力検査や面接を含む全体像を知らないまま申し込むと、思わぬところでつまずきます。

この記事では、東京消防庁採用試験とSPIの関係、適性検査方式の試験フロー、教養試験方式との違い、対策の始め方までを編集部が一気に解説します。

この記事を読んでわかること

・東京消防庁の採用試験でSPIが使える区分と使えない区分
・適性検査方式の試験フローと令和8年度の日程実績
・SPI3-U(テストセンター方式)の出題内容
・教養試験方式との違いと、自分に合う方式の選び方

この記事をおすすめしたい人

・民間就活と併願して東京消防庁を受けたい大学生
・「教養試験の勉強はしたくないがSPIなら戦える」という人
・東京消防庁採用試験の全体像をまず1記事で把握したい人

結論:東京消防庁の採用試験はSPIで受験できる

最初に結論を整理します。東京消防庁の採用試験には、SPIを能力検査として使う区分と、従来型の教養試験を課す区分が併存しています。編集部が採用情報サイトの公表内容を確認したところ、SPIが使われるのは特定の3区分で、それ以外は従来どおりです。まずはこの区分の整理から始めましょう。

SPIが使えるのは「Ⅰ類(適性検査方式)」など3区分

東京消防庁の公表情報によると、SPI3-U(テストセンター方式)で能力検査を実施するのは、消防官Ⅰ類(適性検査方式)・消防官専門系・一般職員(経験者採用)の3区分です。

大学生が消防官を目指す場合の主戦場は、消防官Ⅰ類(適性検査方式)になります。Ⅰ類は大卒程度の区分で、適性検査方式なら筆記の能力検査が丸ごとSPI3-Uに置き換わります。

一方、消防官Ⅰ類(教養試験方式)や消防官Ⅲ類(高卒程度)は、従来型の教養試験で実施されます。同じ「Ⅰ類」でも方式によって筆記の中身がまったく違う点に注意してください。

令和6年度に導入された比較的新しい制度

適性検査方式は令和6年度試験から導入された、比較的新しい区分です。背景には、公務員試験全体で進む「受験しやすさ」改革があります。

従来の教養試験は数的処理・文章理解に加えて人文科学・自然科学・社会科学といった知識科目まで問われ、専用の勉強に数百時間単位の投資が必要でした。この負担が民間志望層の受験を遠ざけていた、というのが多くの自治体に共通する課題認識です。

SPI方式なら、民間就活で対策した内容がそのまま使えます。編集部としては、「消防官に興味はあるが教養試験がネックだった」層への門戸開放が制度の狙いと見ています。

従来の教養試験方式も並行して実施されている

適性検査方式の導入後も、教養試験方式は廃止されていません。令和8年度もⅠ類は教養試験方式(1回目・2回目)と適性検査方式が並行して実施されました。

つまり受験者は、自分の学習状況に合わせて方式を選べる状態にあります。公務員予備校で教養対策を積んできた人は教養方式、民間併願でSPI対策が進んでいる人は適性検査方式、という住み分けです。

どちらの方式で合格しても、採用後の身分や配属に差があるという公表情報は確認できません。方式選びは純粋に「どちらの筆記で戦うのが有利か」で判断してよいでしょう。

採用試験の全体フロー:申込から最終合格まで

次に、消防官Ⅰ類(適性検査方式)の試験全体の流れを押さえます。SPIは1次試験の一部にすぎず、論文や体力検査を含む複数の関門を突破して初めて最終合格に届きます。編集部が令和8年度の公表日程をもとに、時系列でフローを整理しました。

1次試験はSPI3-U+論文+資格・経歴評定

1次試験は3つの要素で構成されます。まず指定期間内にテストセンターでSPI3-U(能力検査・性格検査)を受検し、別途1次試験日に論文試験(600字以上800字程度・1時間)を受けます。

さらに、所持資格やスポーツ・音楽などの経歴を評価する資格・経歴評定が加わります。ここは一夜漬けが効かない要素なので、出願時点で持っている材料の整理が重要です。

注意すべきは、期限内にSPIを受検していないと、論文を受けても採点されないという公表ルールです。SPIの受検期間管理は合否以前の生命線になります。

2次試験は身体・体力検査と個人面接

1次試験の合格者は、2次試験として身体・体力検査と個人面接に進みます。消防官は身体要件のある職種で、視力(0.7以上)や聴力などの基準、1km走を含む複数項目の体力検査が公表されています。

体力検査は付け焼き刃で伸ばせないため、SPI対策と並行して走り込みや筋力トレーニングを日常に組み込んでおくのが現実的です。

個人面接では志望動機や消防官としての適性が問われます。SPIの性格検査結果が面接の参考資料になる可能性も一般に指摘されるため、性格検査は正直に、一貫性をもって回答しておくのが安全です。

令和8年度の日程実績をスケジュール表で確認

編集部が採用情報サイトで確認した、令和8年度の消防官Ⅰ類(適性検査方式)の日程実績は以下のとおりです。来年度の計画を立てる際のベンチマークになります。

項目令和8年度の日程実績
申込受付2月16日〜3月13日(インターネット申込)
SPI3-U受検期間4月3日〜4月23日(テストセンター)
1次試験(論文等)4月26日(東京・大阪・福岡)
1次合格発表5月22日
2次試験6月6日〜6月21日のうち指定する1日(東京)
最終合格発表6月30日

令和8年度はⅠ類1回目の日程が例年より約1か月前倒しされたとされます。年度により日程は変わるため、受験する年度の受験案内で必ず最新日程を確認してください。

SPI3-Uとはどんなテストか

ここからは、適性検査方式で課されるSPI3-Uの中身を見ていきます。SPI3-Uはリクルートマネジメントソリューションズが提供するSPI3の大卒採用向けバージョンで、民間企業の新卒採用で最も広く使われている適性検査と同系統です。出題科目と受検形式を順に解説します。

能力検査:言語と非言語の2科目

能力検査は言語分野と非言語分野で構成されます。言語は語句の意味・語法、文の並べ替え、長文読解など、国語系の処理力を問う問題です。

非言語は推論、割合と比、速さ、場合の数・確率、表の読み取りといった数的処理系の問題が中心です。中学〜高校初級レベルの内容ですが、1問あたり1分前後で処理するスピードが求められます。

テストセンター方式では受検者の正答状況に応じて出題が変わる仕組みが採られており、時間内に正確に解き進める訓練が得点を左右します。

性格検査:職務適性を測る質問群

性格検査は、行動特性や意欲、情緒面の傾向を測る多数の質問に回答する形式です。能力検査と異なり正解はありませんが、東京消防庁の公表情報では、いずれかの科目の成績が一定点に達しない場合は不合格になるとされています。

つまり性格検査も「単なる参考資料」ではなく、評価対象の一部と考えるべきです。とはいえ対策として自分を偽ると、回答の一貫性が崩れたり面接での受け答えと食い違ったりするリスクがあります。

編集部としては、消防官の職務(規律・チームワーク・危機対応)を理解したうえで、正直に回答するのが最善策と考えます。

テストセンター方式の受検の流れ

SPI3-Uはテストセンター方式、つまり指定の会場に出向いてパソコンで受検する形式です。申込後に案内される手順に沿って、指定期間内に会場と日時を予約し、本人確認書類を持参して受検します。

令和8年度の受検期間は約3週間ありましたが、都合の良い会場・日時から埋まっていくのが一般的です。案内が届いたら早めに予約するのが鉄則です。

民間就活でテストセンター受検を経験している人にとっては、会場の雰囲気も操作感も同じ土俵です。この「場慣れ」自体が、民間併願層の隠れたアドバンテージになります。

教養試験方式との違いを比較

Ⅰ類を受けるうえで最大の分岐点が、適性検査方式と教養試験方式のどちらを選ぶかです。両者は筆記の中身だけでなく、必要な対策時間や向いている受験者像まで異なります。編集部が両方式を比較表に整理したうえで、選び方の目安を解説します。

比較表で見る2つの方式

両方式の主な違いを以下にまとめました。自分の現在地と照らし合わせて確認してください。

項目適性検査方式教養試験方式
能力検査SPI3-U(テストセンター)教養試験(マークシート型)
出題範囲言語・非言語+性格検査知能分野+人文・社会・自然科学等の知識分野
対策の性質民間就活のSPI対策と共通公務員試験専用の学習が必要
受検形式指定期間内にテストセンターで受検試験日に会場で一斉受験
向いている人民間併願者・SPI経験者公務員専願で教養対策済みの人

なお論文試験や2次試験(体力検査・面接)は、方式にかかわらず課されます。違いはあくまで筆記の能力検査部分だと理解しておきましょう。

民間併願者に適性検査方式が向く理由

民間企業と併願する人にとって、適性検査方式は対策の二重投資を避けられるのが最大の利点です。SPIは民間新卒採用で最も使用企業が多いテストとされ、1つの対策で民間選考と消防官試験の両方をカバーできます。

また、テストセンター受検は民間選考で複数回経験を積めるため、本命である東京消防庁の受検を「場慣れした状態」で迎えられます。

教養試験の知識科目をゼロから積み上げる時間がない大学3〜4年生には、編集部としても適性検査方式を第一候補として検討することをすすめます。

教養試験方式を選ぶべき人

逆に、公務員予備校などで教養試験対策をすでに進めている人は、教養試験方式が有力です。積み上げた知識科目の学習をそのまま得点源にできるからです。

また、教養試験方式は令和8年度に1回目・2回目の2回実施されており、受験機会の面で選択肢が広いという特徴もあります。他の消防本部や警察官試験と教養型の筆記を併願する人にも、対策の互換性があります。

どちらの方式が有利かは「どちらの筆記なら上位に入れるか」で決まります。模試や問題集で両方の初見正答率を測り、数字で判断するのが編集部推奨のやり方です。

受験資格・採用予定数と併願の選択肢

方式選びと並んで、出願前に確認すべきなのが受験資格と採用予定数です。東京消防庁は採用規模が大きい一方、年齢や国籍などの要件が明確に定められています。ここでは令和8年度の公表情報をもとに、押さえるべきポイントと併願の考え方を整理します。

受験資格:年齢要件と学歴の扱い

令和8年度のⅠ類(適性検査方式)では、1991年4月2日〜2005年4月1日生まれの人、または2005年4月2日以降生まれで大学卒業(見込み含む)など同等の資格を持つ人が対象とされました。日本国籍を有することも要件です。

ポイントは、年齢上限が広く取られており、既卒や社会人からの転職挑戦も制度上可能なことです。大学生だけの試験ではありません。

年齢要件の区切りは年度ごとに1年ずつスライドします。自分が対象かどうかは、必ず受験年度の受験案内で確認してください。

採用予定数と専門系との併願

令和8年度のⅠ類(適性検査方式)の採用予定者数は100名と公表されました。さらに、理工系や法学などの専門知識を評価する消防官専門系との併願が可能で、共通の試験で兼ねられる仕組みです。

該当する学部・専攻の人は、専門系との併願で実質的な合格チャンスを広げられます。出願時に併願の意思を明確にしておきましょう。

なお待遇面では、Ⅰ類の初任給は約321,900円(令和8年1月1日現在の公表値)とされています。金額は改定されるため、最新の募集要項で確認するのが確実です。

他自治体・民間との併願設計

東京消防庁の適性検査方式は日程が特定の期間に固まっているため、他の消防本部・自治体・民間企業との併願が組みやすい試験です。特に民間企業の選考ピークと大きくは重ならないよう計画すれば、SPI対策を共通化した効率的な就活が可能です。

公務員側では、SPI方式を導入する市役所や他の消防本部を組み合わせると、対策をSPIに一本化したまま受験機会を増やせます。

一方で日程は年度により変動します。併願計画は各試験の受験案内が出そろった時点で、受検期間の重複を必ずカレンダーで確認してください。

SPI対策の始め方:合格までの学習ロードマップ

全体像がつかめたら、あとは対策あるのみです。適性検査方式は「SPIだから簡単」なのではなく、SPIで高い正答率を競う試験です。編集部が推奨する学習の開始時期と進め方を、時系列のロードマップとして示します。

開始時期の目安は受検の3か月前

SPI対策の標準的な所要時間は、一般に30〜60時間程度とされます。ただし公務員試験としてのSPIは受験者の準備度が高く、上位で通過するには余裕を持った仕上げが必要です。

編集部の目安は、受検期間の3か月前には問題集を開始することです。令和8年度と同様に4月受検なら、年明け1月には着手する計算になります。

非言語に苦手意識がある人は、さらに1〜2か月前倒しして基礎の計算練習から入ると、直前期の伸びが変わります。

科目別の優先順位は非言語から

限られた時間で得点を伸ばすなら、優先すべきは非言語です。推論や割合などの頻出分野は解法パターンの習得で安定して伸びる一方、放置すると本番で最も時間を溶かす科目だからです。

言語は語彙系を隙間時間で回しつつ、長文読解は時間を計った演習で処理速度を鍛えます。

性格検査は対策というより「事前に一度体験して質問形式に慣れておく」程度で十分です。回答の作り込みはむしろ逆効果になり得ます。

論文・体力・面接対策との並走計画

適性検査方式はSPIだけ対策すればよい試験ではありません。論文試験は600〜800字程度を1時間で書き切る形式のため、月2本程度の答案練習と添削を受ける機会を作りましょう。

体力検査対策のランニングや筋力トレーニングは、短期間では効果が出ません。出願を決めた時点で週2〜3回の運動習慣を開始するのが現実的です。

面接対策は1次合格発表後からでも間に合いますが、志望動機の核になる「なぜ消防官か、なぜ東京消防庁か」の言語化だけは、出願前の早い段階で済ませておくと論文にも活きます。

編集部メモ:民間併願は「二兎」ではなく相乗効果

適性検査方式の受験者にとって、民間就活との併願は負担の分散ではなく相乗効果になります。SPI対策は共通、テストセンター受検は場慣れの機会、民間の面接経験は2次の個人面接の練習台。編集部としては「消防一本に絞るか迷う」段階の人ほど、併願を前提にした計画をすすめます。絞る判断は、両方の選考が進んでからでも遅くありません。

東京消防庁のSPIに関するよくある質問

最後に、東京消防庁の採用試験とSPIについて編集部に寄せられることの多い疑問をQ&A形式でまとめます。出願前の細かい不安をここで解消しておきましょう。いずれも公表情報と一般的なSPIの知識をもとに回答しています。

SPIの点数だけで合否が決まりますか?

決まりません。公表情報では、合格者は全科目の総合成績により決定するとされ、1次はSPIに加えて論文試験と資格・経歴評定が評価対象です。

ただし、適性検査の成績が一定点に達しない場合は論文の採点自体が行われないともされています。SPIは「足切りを越える最初の関門」であり、そこを越えた後は総合力の勝負と理解してください。

民間就活で受けたSPIの結果を流用できますか?

東京消防庁の適性検査方式では、指定された受検期間内にSPI3-Uを受検する運用が公表されています。民間企業間で使われる「前回結果の送信」がこの試験に適用できるかは、公式には明記が確認できません。

編集部としては、新たに受検する前提で準備し、詳細は受験年度の受験案内と申込後の案内で確認することをすすめます。

教養試験方式と両方受けられますか?

Ⅰ類の教養試験方式と適性検査方式は実施時期が異なる場合があり、年度の日程次第で受験機会を複数確保できる可能性があります。ただし同一回での重複出願の可否などの運用は年度の受験案内によります。

「適性検査方式で先に挑戦し、結果を見て教養方式2回目を検討する」といった組み立ては選択肢になり得ます。必ず最新の受験案内で出願条件を確認してください。

まとめ

この記事では、東京消防庁の採用試験とSPIの関係について、制度の全体像から方式の選び方、対策の始め方までを編集部が解説しました。

東京消防庁は令和6年度から消防官Ⅰ類に適性検査方式を導入し、能力検査はSPI3-U(テストセンター方式)で受験できます。1次はSPI+論文+資格・経歴評定、2次は身体・体力検査と個人面接という構成で、SPIは最初の関門にあたります。

民間就活と併願する人にとって、SPI対策を共通化できる適性検査方式は極めて相性の良いルートです。一方で日程・要件は年度ごとに変わるため、必ず最新の受験案内・公式採用サイトで確認してください。

方式の選択を早めに決め、SPI・論文・体力の3本柱を並走させることが、東京消防庁合格への最短距離です。この記事の全体像を地図にして、今日から準備を始めましょう。

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