HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
志望動機の書き方について、頭を悩ませている人は少なくありません。
特に新卒者にとって、志望動機は未知の世界である部分が強く、「何をどうやって書いたらいいか」と、手が止まっている人も多いのではないでしょうか。
志望動機には書き方があり、コツを覚えてしまえば、とても簡単です。
志望動機を書くコツは「PREP法で話す」「軸を伝える」「ビジョンを伝える」の3つを押さえておくと良いでしょう。
ここでは、3つのポイントについて、それぞれ説明します。
PREP法で話す
PREP法とは、表現方法の一つで、プレゼンテーションやレポート、報告など、ビジネスシーンでは当たり前のように利用されています。
PREPとは「Point(結論)」「Reason(理由)」「Eample(具体例)」「Point(結論)」の頭文字をそれぞれ取ってつなげた言葉ですが、どのような意味を持ち、志望動機にどのように利用するのか、説明します。
例文
PREP法がどんなものか、例文をベースにわかりやすく説明します。
以下は、PREP法を用いた、日本の少子高齢化についての例文になります。
「Point(結論)」日本は少子高齢化と言われています。
「Reason(理由)」出生率が低下していることと、満65歳以上の人口が増え続けているという現象が、同時進行しているというのが理由です。
「Eample(具体例)」総務省統計局によりますと、総人口に対する15~64歳人口の割合は、平成7年をピークに年々減少を続け、平成30年には6割以下となりました。
また、65歳以上は28.4%、75歳以上は14.7%と、いずれも15歳未満(12.1%)を上回っています(参照:総務省統計局:https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2019np/index.html)。
「Point(結論)」このことからもわかるように、日本は少子高齢化が進んでいます。
PREP法では、はじめに何を主張したいのか、結論を述べます。
その次に、なぜその結論に達したか理由を説明するのです。
理由の根拠となるものに、具体例を用います。
例では、総務省統計局の資料を参照しましたが、具体例はできるだけ経験や事実に基づいたものが無難です。
具体例を述べた後は、再び結論に戻ります。
PREP最初のP
PREPの最初の「P」は、たとえば「御社を志望した理由は、AI分野でのアプリ開発に必要な知識やスキルを身につける環境が整っているからです」という風に、志望意思の部分になります。
「志望したい」というのは、「どんな職業につきたいか」「どの会社に入社したいか」を検討することによって導き出された結論です。
何が言いたいのかをはじめに持ってくることで、面接官や企業の採用担当者の注目を引くことができます。
PREPのR
PREPの「R」は、「貴社が開発するAI系のアプリを長年利用していて、他社よりも使いやすく、実用的な点に感動しました」など、「なぜその会社を選んだのか」という、志望動機の理由部分にあたります。
面接官や企業の採用担当者が、一番知りたいと注目する部分になりますので、理由は明確に表現する必要があるのです。
理由の内容によって採用担当者は興味を失うかもしれませんし、逆にもっと知りたいと、読み進めてくれるようになります。
ありきたりの理由や、模範解答などから引用してきたものは、すぐに見破られてしまいますので、必ず自分で感じたことや体験したことをベースにしましょう。
PREPのE
PREPの「E」は、なぜ理由の根拠を説明して、説得力を持たせる部分になります。
志望動機で言うと「実際に私は…」「過去にこんなことがありました」など、経験やエピソードを伝える部分になります。
PREPでは「E」は「Example」ですが、「Episode」としても問題ありません。
特に志望動機の場合、理由を補足する根拠としてエピソードを挿入する場合が多いので、「エピソード」と理解しても良いでしょう。
「以前から独学でアプリ開発を学び、特にAIを搭載したアプリ開発に興味を持ちました。
出張の多い父のために、地元のグルメ情報がわかるアプリを作ったところ、感謝されたのをきっかけに、より多くの人々に喜んでもらいたくなりました」という風に、志望動機に挿入する体験やエピソードは、必ず理由や結論に関係しているものであることが前提です。
どんなに感動的なエピソードでも、志望動機にまったく関係なければ意味がありません。
「理由」同様、挿入するエピソードも慎重に選ぶ必要があります。
PREP最後のP
PREP最後の「P」は、冒頭の結論と同じで、志望意思を伝えます。
ただし、最後は入社したら何をしたいか、どんな風に活躍したいかなど、将来のビジョンとともに伝える場合がほとんどです。
「貴社に入社しましたら、身につけた知識と経験を活かし、1人でも多くの人に喜ばれるアプリ開発を目指したいと考えております」という風に、将来のビジョンを伝えることで、面接官や企業の採用担当者は、志願者が入社後どのように活躍してくれるか頭にイメージできるので、採否を決めやすくなります。
軸を伝える
志望動機を書くときに重要なポイントの一つに「軸を伝える」というものがあります。
面接でも「あなたの就職の軸を教えてください」と質問されることがあるように、「軸を伝える」ということは、面接官や企業の採用担当者が知りたいことに答えることにつながります。
この軸が志望する企業からぶれていると採用される可能性も低くなってしまうのです。
軸とは
「軸」とは、仕事を選ぶ基準と考えるとわかりやすいでしょう。
誰でもどこに就職しようか決めるとき、何かしら判断基準を持っています。
「好きなことが仕事につながる」というのもそうですし、「手取り20万円以上」というのも、基準になります。
どんな会社に入りたいのかを抽象的に考えることがありますが、それも軸を持って就職先を選んでいることになるのです。
なぜ軸が必要?
なぜ軸を持つことが必要なのでしょうか。
それは、企業が志願者に対して、どのような軸を持っているか、志望動機を通して知ろうとしているからです。
企業は、必要としている人材を採用し、できるだけ長く働いてもらいたいと考えています。
自分なりの価値観を持ち、就職先を選ぶ学生は、その傾向が強く、逆に会社のネームバリューやイメージ、待遇の良さなどで応募してきた学生は、すぐ辞めたり、転職したりしてしまう可能性が高くなるのです。
企業は、個人の価値観につながるような軸を持つ志願者かどうか、判断していますので、志望動機では必ず伝える必要があります。
入社したい気持ちが強くても、軸が弱いと伝わりづらくなってしまうのです。
待遇なども、軸の一つになりますが、重要視されませんので、この点も注意が必要です。
軸の作り方
志望動機を書く前に、自分ができることややりたいことについて、紙に書き出してみましょう。
すでにできることでも、将来身につけたいことでも、頭に思いついたことをとにかく書いてみます。
順番や達成可能かどうかなどは気にする必要はありません。
自分ができることややりたいことを書き出したら、次はそれらを通して、どんな自分になりたいか、を書き出します。
たとえば、英語や人とのコミュニケーション能力が長けているので、商社で働きたいと考えたとします。
そして、実際に商社に入り、自分の能力を発揮することで、どんな風な自分になりたいかを想像してみましょう。
「海外のマーケットを新たに開拓できるような営業マンになりたい」「現地の人々の雇用を増やして地域経済を回したい」などが、「こうなりたい」という部分です。
「できること」と「なりたいこと」を書き出したら、それらをすり合わせて、マッチングポイントを見つけましょう。
上の例で言えば、「グローバルな市場で活躍する営業マン」が、就職の軸になります。
「できること」が出てこなければ、「なりたいこと」から逆に考えることもできるでしょう。
たとえば「グローバルな市場で活躍できるようなビジネスパーソンになりたい」というゴールを持っていたとすると、そのために必要なスキルや知識が見えてきます。
さらに「すでにできること」「身につける必要がある」ことなども明確になってくるでしょう。
「グローバルなビジネス感覚を身につけるために会社を選ぶ」などが、就職の軸として考えられます。
軸は一度作ったら変更できない、というわけではありません。
必要に応じて修正したり調整したりすることも可能です。
まずは練習のつもりで、軸を作ってみてはいかがでしょうか。
軸=志望動機
自分の価値観から導き出された軸は、そのまま志望動機の土台になります。
軸を決めてしまえば、そこから就職を志望する理由が見えてきますし、さらに過去のエピソードも軸をもとに思い出すことも可能です。
このように、軸を固めることは、的を射た志望動機が書けるだけでなく、無駄な時間を費やすことなく志望動機が書けることにもつながります。
ビジョンを伝える
志望動機を書く際、ビジョンを伝えることが大切と、よく言われますが、ビジョンとはいったい何のことを言うのでしょうか。
ここでは、ビジョンの意味や必要性、作り方などについてわかりやすく説明します。
ビジョンとは
志望動機を書く目的は、面接官や企業の採用担当者に、「なぜその会社を志望するのか」という理由を伝えるだけではありません。
どのように働きたいかという自分自身の将来像を伝えるのも、志望動機の役割になります。
この「自分自身の将来像」が、ビジョンです。
就職の軸を決めるときに、将来どうなりたいかにまでさかのぼって考えましたが、それがビジョンで、就職する人は、ビジョンをもとに就職先を決め、企業にとっては、ビジョンをもとに求める人材かどうかを判断します。
なぜビジョンが必要?
将来のビジョンを企業の採用担当者に伝えることによって、企業に大きなメリットが生まれます。
企業が面接を実施するのは、求める人材を見つけることが目的です。
しかし、ひと目見ただけでは、その人となりがわかりませんし、なぜ就職を志望しているのかも読み取れません。
志望者の考え方や価値観、将来のビジョンなどを伝えるのが、志望動機の役割で、企業は志望動機を採否の判断材料にします。
将来のビジョンを伝えることによって、その志願者が企業に貢献してくれる人物かどうか、採用担当者は判断しやすくなるのです。
志願者のビジョンを参考に、入社後志願者がどのように会社に貢献してくれるか、採用担当者は頭の中でイメージします。
ビジョンが具体的であればあるほど採用担当者はより正確にイメージでき、企業が求めている人材とマッチするかどうかが判断できるようになります。
このように、企業は将来のビジョンについて重要視する傾向がありますので、志望動機には忘れずに盛り込むようにしましょう。
ビジョンの作り方
将来のビジョンが出来上がっていれば、すぐに志望動機の作成に入れますが、もしビジョンがないという場合は、作る必要があります。
ビジョンを作るには、自分が描く将来のビジョンと会社が描くビジョンを明確にします。
将来なりたい自分をイメージすることから始めましょう。
なりたい自分をイメージとして描くときに注意するのは、必ず仕事を通して達成できる姿をイメージすることがポイントです。
仕事から外れてしまうと、就職を志望している企業のメリットからも外れることになり、選考で落とされてしまう可能性が高くなります。
志望している企業に就職することで、どんな自分になりたいかを想像すると、なおさら良いでしょう。
自分の将来のビジョンを描いたら、次は会社のビジョンを明確にします。
会社のビジョンは、求めている人材だけでなく、経営理念なども表れていますので、忘れずにチェックしましょう。
双方のビジョンを明確にしたら、照らし合わせて共通点を見つけます。
共通点はお互いが共有する部分になりますので、志望動機に盛り込むと、企業が求めている人材に近づくことが可能です。
まとめ
新卒者向けの、志望動機を書くコツについて紹介しました。
志望動機の書き方について、いろいろな情報がありますが、「PREP法で話す」「軸を伝える」「ビジョンを伝える」という3つのポイントを押さえることで、的を射た志望動機が書けるようになります。
その会社を志望する理由をできるだけ具体的にそして明確にして、伝わりやすい志望動機を書きましょう。