
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
企業の顔として、社内外への情報発信を一手に担う広報という仕事に興味をお持ちでしょうか。
広報職は、企業イメージやブランド価値を向上させる非常に重要な役割を担っており、その仕事内容や求められるスキルは多岐にわたります。
本記事では、広報の仕事内容から、どのような人が広報に向いているのか、そして広報職に就くために必要なスキルや心構えまでを徹底的に解説いたします。
広報への就職・転職を検討されている方が、ご自身の適性を理解し、広報職で活躍するためのヒントを見つける一助となれば幸いです。
広報の仕事に興味があるすべての方にとって、役立つ情報を提供することを目指します。
【広報 向いてる人】広報とは
広報とは、企業や団体が社会や関係者との良好な関係を築くために、情報やメッセージを発信し、コミュニケーションを行う活動全般を指します。
企業が提供する製品やサービス、あるいは経営方針やビジョンなどを正確かつ魅力的に伝え、社会からの理解と共感を深めることが主な目的です。
これにより、企業のブランドイメージ向上、信頼性の獲得、そして最終的には企業価値の最大化を目指します。
具体的には、マスメディアやソーシャルメディアを通じた情報発信、株主や投資家向けのIR活動、従業員に向けた社内広報など、活動範囲は非常に広いです。
英語の「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」を略してPRとも呼ばれ、単なる宣伝とは異なり、双方向のコミュニケーションを通じて信頼関係を構築することに重きを置いた活動である点が特徴です。
広報活動は、企業の存続と成長に不可欠な機能といえます。
【広報 向いてる人】仕事内容
プレスリリース、ニュースレターの作成・配信
プレスリリースは、企業の新しい情報やニュースを公式にメディアに向けて発表する文書です。
新製品の発売、事業提携、人事異動、イベント開催など、企業にとって重要なトピックを正確かつ魅力的に記述し、メディアに取り上げてもらうことを目指します。
ニュースレターは、顧客や株主、取引先など特定のターゲットに向けて、定期的に企業の最新情報や役立つコンテンツを届けるためのツールです。
これらの文書を作成する際には、情報を正確に伝えるための高いライティング能力と、読み手の関心を引く構成力が求められます。
また、効果的に情報が届くよう、適切なタイミングと方法でメディアリストや配信リストへのアプローチを行うことも重要な業務です。
単に情報を発信するだけでなく、それがどのように社会に受け取られるかを意識し、戦略的に作成・配信を行う必要があります。
この作業は、企業の「今」を伝える生命線であり、広報担当者の重要な役割の一つです。
メディアからの取材対応、情報提供
テレビ、新聞、雑誌、ウェブメディアなど、さまざまなメディアからの取材依頼や問い合わせに対応することも広報の重要な仕事です。
メディアからの要望に対し、迅速かつ正確に情報を提供し、必要に応じて取材セッティングや撮影許可などの調整を行います。
特に、企業のトップや専門家へのインタビュー取材が入る場合は、発言内容や伝えたいメッセージが企業の意図と合致するように、事前に綿密な打ち合わせや準備が必要です。
また、取材に至らなくても、日頃からメディア関係者と良好な関係を築き、企業の動向やニュース価値のある情報を提供し続ける「情報提供活動」も欠かせません。
この活動を通じて、企業に対するメディアの理解を深め、露出機会の獲得につなげます。
メディアとの接点を円滑にし、企業のメッセージを正確に世の中に伝えるための、高度なコミュニケーション能力と判断力が試される業務です。
メディアからの要望に対し、迅速かつ正確に情報を提供し、必要に応じて取材セッティングや撮影許可などの調整を行います。
企業のブランドイメージ戦略の立案・実行
広報の仕事は、単発的な情報発信にとどまらず、長期的な視点に立った企業のブランドイメージ戦略の立案と実行を含みます。
企業が社会から「どのように見られたいか」「どのような価値を提供していると認識されたいか」という理想像を設定し、その実現に向けたコミュニケーション戦略全体を設計します。
これには、企業ロゴやビジュアルアイデンティティの管理、コーポレートメッセージの策定、ウェブサイトやSNSなど各種プラットフォームでの発信内容の一貫性の確保などが含まれます。
また、社会貢献活動(CSR)やサステナビリティに関する取り組みなど、企業の社会的側面を積極的に発信することも、イメージ向上に直結します。
戦略を実行する際には、市場の動向や競合他社の動き、世論の変化などを常に分析し、必要に応じて柔軟に戦略を調整していく必要があります。
この業務は、企業の未来を形作る根幹であり、戦略的な思考力と実行力が求められる広報のハイライトともいえるでしょう。
危機管理広報(クライシスコミュニケーション)の対応
企業にとって予期せぬトラブルや不祥事が発生した際に、その影響を最小限に抑え、信頼回復を図るために行うのが危機管理広報、またはクライシスコミュニケーションです。
製品の欠陥、情報漏洩、従業員による不祥事など、ネガティブな情報が表面化した際、広報は事実関係を正確に把握し、速やかに、かつ誠意をもって社会やメディアに対して説明責任を果たす必要があります。
対応の遅れや情報隠蔽は、企業イメージに致命的なダメージを与えるため、初動のスピードと正確性が極めて重要です。
具体的には、危機対策本部の設置、プレスリリースの迅速な作成・配信、記者会見の実施、想定問答集の作成とトレーニング、そして事態の収束に向けた継続的な情報発信などが含まれます。
平時から危機発生時のシミュレーションを行い、手順を確立しておくことも広報の重要な準備業務です。
極度の緊張感の中で、冷静かつ的確な判断を下し、企業と社会とのコミュニケーションを円滑に保つ能力が求められます。
社内報などを用いた社内広報活動、IR活動支援
広報活動は、社外だけでなく、従業員に向けた社内広報も非常に重要な役割を担います。
社内報やイントラネット、社内イベントなどを通じて、企業の経営方針、ビジョン、各部門の成果や取り組み、社員の活躍などを共有し、従業員エンゲージメントの向上や組織の一体感醸成を目指します。
社員一人ひとりが企業の「顔」としてメッセージを理解し、一貫性のある行動をとるためにも、社内広報は欠かせません。
また、上場企業においては、投資家や株主とのコミュニケーションを行うIR(Investor Relations)活動の支援も広報の業務範囲に含まれることがあります。
決算情報の開示支援、投資家向け説明会資料の作成サポート、株主総会の準備など、企業の財務情報や将来性を正確に伝えるためのサポートを行います。
社内・社外のステークホルダーに対して、それぞれ最適化されたコミュニケーションを行い、企業の持続的な成長を支える基盤を築くことが求められます。
【広報 向いてる人】主な職種
社外広報
社外広報は、企業の製品、サービス、ブランドイメージなどを、メディア、消費者、取引先など社外のステークホルダーに向けて発信する活動を専門とする職種です。
主な業務は、プレスリリースの作成・配信、メディアリレーションの構築・維持、取材対応、記者会見の企画・運営などが中心となります。
企業の「顔」として、いかに世の中にポジティブな情報を届けるかが重要なミッションです。
常に社会の動向やメディアの関心を把握し、企業のニュース価値を最大化するための戦略的な発想が求められます。
また、万が一ネガティブな情報が出た際には、危機管理広報として迅速かつ誠実な対応を行う役割も担います。
世の中の注目を集めるようなニュースを創出し、企業の評判を高めることに強いやりがいを感じる人に向いている職種といえます。
社内広報
社内広報は、企業の経営陣と従業員、あるいは従業員同士のコミュニケーションを促進し、社内の情報共有や企業文化の醸成を担う職種です。
社内報の発行、イントラネットを通じた情報発信、社内イベントの企画・運営、経営層からのメッセージ伝達などが主な業務となります。
目的は、従業員のモチベーション向上、企業理念の浸透、組織の一体感強化などです。
従業員が企業の目標や方向性を理解し、主体的に仕事に取り組める環境を作ることが求められます。
社外広報が企業の「評判」を扱うのに対し、社内広報は企業の「組織力」を支える重要な役割を果たします。
従業員一人ひとりの声に耳を傾け、組織内のコミュニケーションを活性化させることに情熱を持てる人に向いています。
PR担当
PR担当という職種は、広報活動全体を包括的に担うケースや、特に広報戦略の立案・実行に重きを置くケースがあります。
広報(Public Relations)という言葉が示す通り、企業と社会との良好な関係構築をミッションとし、社外広報と社内広報の両側面を統括的に管理することもあります。
広報戦略全体を設計し、予算や人員の管理、効果測定、そして必要に応じた外部のPR会社との連携など、マネジメント的な役割を果たすことも多いです。
企業やブランドの認知度向上やイメージ戦略の成功に責任を持ち、経営層と近い立場で働くこともあります。
高度な戦略的思考力と、プロジェクトを推進するリーダーシップ、そして幅広いコミュニケーション能力が求められる、広報職の中でも特に専門性の高い職種といえます。
【広報 向いてる人】向いてる人の特徴9つ
情報整理が得意
広報担当者は、社内の多岐にわたる部門から日々、大量の情報を受け取ります。
新製品の情報、経営戦略、研究開発の成果、人事の動き、イベント情報など、その種類はさまざまです。
これらの情報を、メディアや一般のオーディエンスに対してニュース価値が高いか、社会の関心はどこにあるかという視点から精査し、必要な要素を抽出して分かりやすく整理する能力が極めて重要になります。
情報が整理されていないと、発信するメッセージが不明確になったり、誤解を生んだりする原因となります。
情報の優先順位をつけ、必要なときにすぐにアクセスできる状態に保つこと、そして複雑な事柄をシンプルに構造化して伝えるスキルは、広報活動の土台となります。
膨大な情報の中から本質を見抜く洞察力と、それを体系的にまとめ上げるロジカルな思考力を持つ人は、広報に向いています。
文章作成能力が高い
広報の仕事の多くは、プレスリリースやニュースレター、企業の公式ウェブサイトの文章、SNSの投稿、社内報の記事など、「書くこと」を通じて情報を発信することです。
そのため、高い文章作成能力は広報担当者にとって必須のスキルといえます。
ここでいう文章作成能力とは、単に文法的に正しい文章を書けることにとどまらず、読み手の関心を引きつけ、伝えたいメッセージを正確に、かつ魅力的に表現できる能力を指します。
ターゲットとする読者層やメディアの特性に合わせて、トーンや表現方法を使い分ける柔軟性も求められます。
特にプレスリリースでは、限られたスペースの中で、ニュースの核心を簡潔かつ分かりやすく伝える力が重要です。
自分の言葉で企業の情報を的確に表現し、世の中に発信することに喜びを感じる人は、広報職で活躍できるでしょう。
コミュニケーション力がある
広報の仕事は、社内の経営層や各部門の担当者、社外のメディア関係者、取引先、時には消費者や株主など、非常に幅広いステークホルダーと関わることになります。
そのため、高いコミュニケーション能力は広報の成功を左右する重要な要素です。
ここでのコミュニケーション力とは、単に社交的であることだけでなく、相手の立場や意図を正確に理解し、それに応じて適切な対応や情報提供を行う傾聴力や、信頼関係を築くための対人折衝能力を指します。
特にメディアリレーションにおいては、記者や編集者との日頃からの信頼関係が、記事の取り上げられ方や取材のしやすさに直結します。
多様な人々との円滑なやり取りを通じて、企業の目標達成に貢献できる人は、広報に向いています。
説明が分かりやすい
広報担当者は、複雑な技術や専門的な内容を、専門知識のない一般の人々にも理解できるように「翻訳」し、分かりやすく説明する役割を担います。
例えば、新しい技術開発に関するリリースを作成する際や、記者会見で企業の戦略を説明する際など、情報を整理し、専門用語をかみ砕き、具体例を交えながら明確に伝えるスキルが必要です。
話の構成を論理的に組み立て、要点を明確にして簡潔に話す能力は、メディア対応やプレゼンテーションの場面で特に重要になります。
聞き手が疑問に思うであろう点を先回りして解説できる洞察力も求められます。
情報を分かりやすく伝えることに熱意を持ち、人前で話すことや教えることに抵抗がない人は、広報の仕事に適性があります。
スピード感がある
メディアは常に新しい情報を求めており、報道のタイミングは非常に重要です。
広報担当者には、新製品の発表や緊急のニュースリリースなど、必要な情報を迅速に作成し、適切なタイミングで発信するスピード感が求められます。
特に、危機管理広報の場面では、ネガティブな情報が出た際の初動対応の速さが、企業の信頼回復に直結します。
情報を入手してから発信するまでのプロセスを滞りなく進めるための計画性と、突発的な事態にも落ち着いて対応できる俊敏さが必要です。
また、メディアからの問い合わせにも迅速に対応することで、良好な関係を維持することができます。
常にアンテナを張り、フットワーク軽く行動できる人は、広報のダイナミックな環境で能力を発揮できるでしょう。
慎重な判断ができる
企業が発信する情報は、一つ一つが企業のブランドイメージや株価、ひいては社会的な評価に影響を与える可能性を秘めています。
そのため、広報担当者には、発信する情報の正確性、公開のタイミング、表現の適切さなどについて、細心の注意を払い、慎重に判断を下す能力が求められます。
特に、企業秘密や個人情報など、取り扱いに注意を要する情報に関する判断は、倫理観と責任感を伴います。
一つのミスが大きな問題につながりかねないため、常にリスクを想定し、複数の視点から情報を吟味する姿勢が必要です。
情報を発信する前に、社内の関係部署と連携を取り、法務や経営層の承認を得るなど、プロセスを丁寧に踏むことができる慎重さを持つ人は、広報の重要な役割を担うことができます。
調整力がある
広報活動を成功させるためには、社内のさまざまな部署との連携が不可欠です。
新製品の情報であれば開発部門、財務情報であれば経理部門、イベント情報であればマーケティング部門など、必要な情報を得るために各担当者と密にコミュニケーションを取る必要があります。
また、メディア対応においては、取材を受ける役員や担当者のスケジュール調整、発言内容のすり合わせ、そして社内の情報公開ルールの調整など、多くの関係者の意見や利害を調整する力が求められます。
多様な意見を尊重しつつ、企業の広報戦略に沿って一つの方向へと導くリーダーシップとファシリテーション能力が必要です。
意見の対立が生じた際にも、冷静に両者の言い分を聞き、最善の解決策を見出せる調整力を持つ人は、広報に向いています。
メディアに強い興味
広報の仕事は、メディアを通じて企業の情報を世の中に届けることが主な活動となるため、日頃から新聞、テレビ、雑誌、ウェブメディア、SNSなど、幅広いメディアに対して強い興味と関心を持っていることが重要です。
どのようなニュースが社会の関心を集めているのか、どのメディアがどのようなトーンで情報を発信しているのかを常に把握することで、自社のニュースをどのように切り出し、どのメディアにアプローチするのが最も効果的かを判断できるようになります。
メディアの特性を理解していれば、プレスリリースの構成や表現方法も最適化できます。
単に情報を発信するだけでなく、それがどのように報道され、世の中に影響を与えるかに好奇心を持ち、メディアの動向を追うことが習慣となっている人は、広報のプロとして成長できるでしょう。
柔軟性がある
広報の仕事は、事前に計画を立てていても、メディアの緊急な取材依頼や、予期せぬトラブルの発生など、計画外の突発的な事態に直面することが少なくありません。
また、世論や社会のトレンドは常に変化しており、固定観念にとらわれず、状況に応じて広報戦略やメッセージングを柔軟に変更していく必要があります。
予期せぬ状況に対しても、パニックにならず、落ち着いて最善の対応策を考え、実行に移せる柔軟な思考と行動力が求められます。
また、異なる意見を持つ社内関係者やメディア関係者とのコミュニケーションにおいても、頑なにならず、相手の立場を理解して対応を調整できる柔軟性も重要です。
変化に富んだ環境を楽しむことができ、臨機応変に対応できる人は、広報という仕事に向いています。
【広報 向いてる人】必要なスキル
ライティング
広報の仕事におけるライティングスキルは、単に文章を正確に書く能力以上のものを意味します。
企業のニュースをニュース価値という視点から捉え直し、読み手であるメディアや一般の人々にとって関心が高まるように、情報の核を捉えた文章構成力と表現力が求められます。
具体的には、プレスリリースの見出し一つをとっても、いかに記者の目を引き、記事化のインセンティブを与えることができるかが重要です。
また、企業の公式見解やメッセージを、誤解なく、かつ好意的に受け止められるトーンで表現する繊細さも必要です。
情報を整理し、論理的に構成する能力、そしてターゲット層に合わせた言葉選びのセンスは、広報活動の成否に直結する核となるスキルといえます。
日々の業務を通じて、正確性、魅力、そして戦略性を兼ね備えた文章を作成する訓練が欠かせません。
情報発信の戦略理解
広報は、単なる情報の受け渡し役ではなく、企業の目標達成に貢献するための戦略的な情報発信を行う必要があります。
そのため、企業全体の経営戦略やマーケティング目標を深く理解し、それに沿った広報戦略を立案・実行する能力が求められます。
どの情報を、いつ、どの媒体を通じて、どのようなメッセージで発信すれば、最も効果的に目標達成に近づけるかを分析し、計画に落とし込む力が必要です。
例えば、新製品発売の広報であれば、製品のターゲット層がよく接触するメディアを選定し、製品の特性が最も魅力的に伝わるストーリーテリングを構築するなど、多角的な視点からの戦略策定が求められます。
発信後の効果を測定し、次なる戦略に活かすPDCAサイクルを回すことも重要であり、マーケティングや経営視点を持った戦略的思考力が広報の質を高めます。
関係構築スキル
広報の仕事は、社内外の人間関係、つまりリレーションシップの上に成り立っています。
社内では、情報を握る経営層や各部門の担当者との信頼関係が、迅速かつ正確な情報収集を可能にします。
社外においては、メディア関係者、業界のアナリスト、オピニオンリーダーなどとの良好なリレーションシップが、企業のメッセージを世の中に広めるための強力なネットワークとなります。
この関係構築スキルには、相手の立場を理解し、誠実に対応する姿勢、そして日頃からの情報交換や細やかな気配りを通じて信頼を積み重ねていく努力が含まれます。
特にメディアリレーションでは、単なる情報提供者としてではなく、信頼できる情報源として認識されることが重要です。
人間的な魅力と、プロフェッショナルとしての対応能力を兼ね備えることが、広報担当者として成功するための鍵となります。
【広報 向いてる人】どんな企業が向いてる?
大企業
大企業では、広報部門が細分化されており、職務範囲が明確に定められていることが多いです。
例えば、社外広報、社内広報、IR(投資家向け広報)、そして危機管理広報など、専門性の高い分野に特化して経験を積むことができます。
扱う情報の規模や影響範囲が大きく、社会に対する責任も重いため、広報活動を通じて企業の社会的地位やブランドイメージを大きく左右する醍醐味があります。
組織が成熟しているため、広報戦略や危機管理体制などが確立されていることが多く、体系的な知識とスキルを習得したい人に向いています。
また、国内外の多様なステークホルダーとのコミュニケーションが発生するため、高いレベルの調整力やグローバルな視点も養われます。
安定した環境で、大規模なプロジェクトに携わりたい人に適しています。
ベンチャー企業
ベンチャー企業における広報は、一人で何役もこなす裁量の大きなポジションであることが多く、広報戦略の立案から実行、効果測定までを一貫して担当することが一般的です。
広報部門が立ち上げ段階にあることも多く、自らルールやプロセスを作り上げ、企業の成長を広報の力で牽引していくダイナミックな経験ができます。
特に、新しい技術やサービスを世の中に広めたいという熱意があり、企業の成長を間近で感じたい人には大きなやりがいがあります。
リソースが限られている中で、いかにクリエイティブに、そして効果的に情報発信を行うかという、柔軟な発想と高い実行力が求められます。
変化を恐れず、自らの手で企業の未来を切り開きたいというチャレンジ精神旺盛な人に向いています。
メーカー系
メーカー系の広報は、製品や技術に関する専門的な情報を、一般の人々にも分かりやすく伝える能力が特に重要になります。
新製品の発表や技術革新に関するニュースリリース作成、製品の魅力を伝えるメディア向け体験会の企画・運営などが主な業務です。
製品の品質や安全性が企業の信頼に直結するため、情報発信における正確性と慎重さが求められます。
また、BtoC(消費者向け)製品を持つメーカーであれば、製品に対する消費者の声を直接聞く機会も多く、そのフィードバックを広報活動に活かすことが重要です。
技術や製品への深い愛着を持ち、その魅力を世の中に広めることに情熱を注げる人、そして専門的な知識をわかりやすく翻訳する能力を持つ人に向いています。
【広報 向いてる人】向いていない人
情報管理が苦手
広報担当者は、企業が持つ機密情報や、公にすべきでない未公開の情報など、非常に重要な情報を扱う立場にあります。
新製品の情報、経営戦略、人事の機密など、一歩間違えれば企業の信用を失いかねない情報が多々あります。
そのため、情報の取り扱いに対する極めて高い意識と、徹底した情報管理能力が求められます。
情報の公開範囲、タイミング、承認プロセスなどを厳守できず、うっかり情報を漏洩させてしまうような情報管理が苦手な人は、広報職には向きません。
常に自分が持つ情報が企業の価値に直結することを理解し、慎重に行動できる責任感が不可欠です。
細かい調整が苦手
広報の仕事は、メディアとの取材日程調整、社内の関係部署との情報連携、プレスリリースの文言のすり合わせ、イベントの細かな準備など、多くの「調整」業務によって成り立っています。
一つのプロジェクトを進めるにも、多様な関係者のスケジュールや要望、そして企業のルールを考慮に入れ、細部にわたって気を配りながら円滑に進める必要があります。
大まかな流れだけを把握して、細かい部分の詰めを疎かにしてしまう人や、関係者間の意見の相違を調整することにストレスを感じる人は広報の業務で壁にぶつかりやすいでしょう。
責任ある対応が苦手
広報は、企業の「顔」として、公式なメッセージを社会に発信する役割を担います。
その発言や行動は、すべて企業の責任として受け止められます。
特に危機管理広報においては、個人の判断一つが企業の命運を分けることもあります。
自分の発言や行動が企業全体に与える影響の大きさ を理解し、その責任の重さに耐えうる精神力と、最後まで責任をもって対応を完遂する覚悟が必要です。
問題が起こった際に他者に責任を転嫁したり、自己保身に走ったりするような、責任ある対応が苦手な人は、企業の信頼を守るという広報の根幹を揺るがすことになりかねません。
【広報 向いてる人】対策方法
広報実習・インターン
広報職への就職・転職を目指す上で、最も実践的かつ効果的な対策の一つが、広報部門での実習やインターンシップへの参加です。
実際に企業の広報部門に入り、プレスリリース作成のサポート、メディアリストの整備、広報イベントの準備、日々の情報収集といった実務を経験することで、座学では得られないリアルな広報の仕事の流れや雰囲気を体感できます。
また、現役の広報担当者から直接指導を受ける機会を得ることで、プロフェッショナルな思考法や、メディア対応のノウハウなどを学ぶことができます。
インターン経験は、選考時にも広報職への高い意欲と適性をアピールできる強力な材料となり、入社後の即戦力としての期待にもつながります。
メディア対応の勉強
広報の仕事において、メディア関係者とのコミュニケーションは非常に重要です。
そのため、メディアがどのような情報を求めているのか、どのように記事が作られるのかというメディア側の視点やプロセスを理解するための勉強が欠かせません。
具体的には、新聞やニュース番組、専門誌などの報道傾向を分析したり、メディアリレーションに関する書籍やセミナーで知識を深めたりすることが有効です。
また、実際に記者会見や取材対応のロールプレイングを経験したり、メディアリレーションを専門とするプロフェッショナルからフィードバックを受けたりすることも、実践的なスキルアップにつながります。
メディアの特性を深く理解することで、自社のニュースをより効果的に届ける戦略を立てられるようになります。
SNS運用経験
現代の広報活動において、Twitter、Instagram、Facebook、noteなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の活用は不可欠です。
これらのプラットフォームを通じて、企業はメディアを介さずに、直接一般のオーディエンスや潜在的な顧客とコミュニケーションを取ることができます。
そのため、個人のレベルで積極的にSNSを運用し、どのようなコンテンツが人々の関心を集め、どのようなトーンや表現が効果的かという知見を蓄積することは、広報職を目指す上で大きな強みとなります。
投稿内容の企画、コンテンツの作成、フォロワーとのエンゲージメントの測定など、一連のSNS運用サイクルを経験しておくことで、入社後すぐに企業のSNS戦略に貢献できる可能性が高まります。
【広報 向いてる人】大手企業
ソニー
ソニー株式会社は、エレクトロニクス、エンタテインメント、金融など多岐にわたる事業を展開するグローバル企業です。
そのため、広報部門は、製品や技術のプレスリリース、エンタテインメントコンテンツのプロモーション、企業全体のブランディング、そしてグローバルな危機管理広報など、非常に幅広い領域を担当します。
世界的なブランドイメージを維持・向上させる責任があり、国際的な視野と、多様なステークホルダーへの対応力が求められます。
常に最先端の情報に触れ、影響力の大きな広報活動に携わりたい人にとって、大きなやりがいを感じられる企業といえます。
トヨタ
トヨタ自動車株式会社は、世界を代表する自動車メーカーであり、その広報活動は、新車発表、環境技術、安全への取り組み、そしてモビリティ社会の未来像など、常に社会の注目を集めます。
特に、カーボンニュートラルやCASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)といった次世代技術に関する情報発信は、社会全体の動向にも大きな影響を与えます。
日本の基幹産業を担う企業として、高い公共性と、国内外のメディアに対する緻密な対応力が求められます。
安定した企業基盤のもとで、社会的な影響力の大きな広報戦略に深く関わりたい人に向いています。
リクルート
株式会社リクルートホールディングスは、人材、販促、ITなど幅広い分野でサービスを展開しており、社会の働き方や暮らし方に大きな影響力を持っています。
広報活動は、多岐にわたる事業のサービス内容や企業メッセージを整理し、社会に分かりやすく伝えることが重要です。
特に、ウェブサービスやテクノロジーに関する情報発信が多く、デジタルリテラシーの高い広報担当者が求められます。
新しい働き方や生き方を提案する企業の「顔」として、革新的でクリエイティブな広報活動に挑戦したい人にとって、魅力的な環境といえます。
【広報 向いてる人】やりがい
企業のブランディングに携われる
広報の最大のやりがいの一つは、企業のブランドイメージや価値を社会の中で作り上げ、高めていくプロセスに深く携われることです。
プレスリリースやメディア対応を通じて、企業が伝えたいメッセージを世の中に浸透させ、好意的なイメージを形成していく様子を目の当たりにできます。
自分が発信した情報がメディアに取り上げられ、社会の話題となり、結果として企業の認知度や信頼性が向上したときには、大きな達成感を感じられます。
企業の成長を広報の側面から支え、その結果が数字や社会の反応として現れることに、強い喜びを感じられるでしょう。
社会に広く情報を届けられる
広報担当者は、企業の革新的な製品やサービス、あるいは社会貢献への取り組みなど、価値ある情報を社会に広く届ける役割を担います。
自分の仕事を通じて、多くの人々の生活や意識に影響を与え、社会の発展に貢献できるという実感は、大きなやりがいにつながります。
特に、災害時の対応や社会的な課題解決に貢献する情報発信など、公共性の高い広報活動においては、その役割の重要性を強く認識できます。
企業のメッセージを通じて社会とつながり、コミュニケーションを創造することに情熱を持てる人にとって、広報職は非常に魅力的な仕事です。
【広報 向いてる人】よくある質問
未経験でもなれる?
広報職は、専門的なスキルや経験が求められるため、経験者採用が多い傾向にありますが、未経験からでも広報職に就くことは十分に可能です。
特に、ベンチャー企業や中小企業では、広報部門の立ち上げや体制強化のために、ポテンシャルや意欲を重視した採用が行われることがあります。
未経験から広報職を目指す場合は、これまでに培ってきた高い文章作成能力やコミュニケーション能力、SNS運用経験など、広報の仕事に活かせる汎用的なスキルを具体的にアピールすることが重要です。
また、広報実習やインターンシップへの参加、メディアリレーションに関する知識を自主的に学ぶなど、広報への強い熱意と努力を示すことが成功の鍵となります。
SNS運用は必須?
現代において、SNS運用スキルは広報担当者にとって非常に重要なスキルの一つになりつつありますが、必須とまでは言い切れません。
企業によっては、SNS運用をマーケティング部門や専門部署が担当している場合もあります。
しかし、企業とステークホルダーとのコミュニケーションチャネルとしてSNSの重要性が高まっている現状を考えると、SNSの特性を理解し、効果的なコンテンツ企画や炎上リスク管理の知識を持つことは、広報担当者としての市場価値を大きく高めます。
特に、若い世代をターゲットとする企業や、ベンチャー企業などでは、SNS運用経験は大きなアドバンテージとなるため、積極的に経験を積んでおくことをおすすめします。
まとめ
広報職は、企業の「顔」として、社内外のステークホルダーとコミュニケーションを図り、企業価値とブランドイメージの向上に貢献する、非常に重要でやりがいのある仕事です。
この職種に向いている人の特徴として、情報整理能力、高い文章作成能力、コミュニケーション力、そしてスピード感と慎重さを併せ持つ判断力などが挙げられます。
もし、ご自身の適性に不安を感じる点があったとしても、ライティングスキルの向上や、広報実習・インターンへの参加、メディアの動向を学ぶことなど、具体的な対策を講じることで、広報職に求められるスキルを習得することは可能です。
本記事で解説した内容を参考に、ご自身の強みと広報職に求められる要素を照らし合わせ、広報というキャリアパスを積極的に検討してみてはいかがでしょうか。