
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
特別区(東京23区)のⅠ類採用試験には、第1次試験がSPIのみで実施される「早期SPI枠」があります。受験を考えたとき、誰もが気になるのが「SPIは何割取れば通過できるのか」というボーダーラインでしょう。
先に結論をお伝えすると、特別区はSPIの合格基準点を公表しておらず、正確なボーダーは誰にもわかりません。ただし、公表されている実施状況のデータから「どのくらいの割合の受験者が1次を通過しているか」は計算でき、一般的なSPIのスコア感覚と合わせれば現実的な目標ラインは設定できます。
この記事では、特別区人事委員会が公表した実施状況の数字をもとに、早期SPI枠の1次通過率を編集部が実際に計算し、目指すべき正答率の目安と、その水準に到達するための考え方を分析します。
受験生の間では「○割取れば安心」という体感ベースの情報が飛び交いがちですが、根拠を確認しないまま鵜呑みにすると、対策の方向性を誤りかねません。公式データと一般論を切り分けて理解することが、遠回りをしないための第一歩です。
「何割あれば安心か」をあいまいな噂ではなく、データと一般論の両面から整理したい人はぜひ最後まで読んでください。
数字の裏付けなく不安だけを募らせるより、公式に確認できる事実と一般的なスコア感覚を組み合わせて現実的な目標を持つほうが、日々の対策のモチベーションにもつながるはずです。
・特別区のSPIボーダーが公表されているかどうかの事実関係
・公表データから計算した早期SPI枠の実際の1次通過率
・一般論としてのSPI通過ライン(何割目安)の考え方
・ボーダー付近から抜け出すための得点戦略
・特別区の早期SPI枠を受験予定で、目標点を決めたい人
・「SPIは6割で通る」等の噂の真偽を確かめたい人
・民間就活のSPI対策を特別区にも流用したい人
目次[目次を全て表示する]
結論:特別区のSPIボーダーは非公表、ただし通過率は計算できる
まず、ボーダーに関する事実関係を整理します。ここを押さえずに「何割」という数字だけを追うと、根拠のない噂に振り回されることになります。編集部が公式情報で確認できた範囲を明確にしておきます。
合格基準点・得点分布は公表されていない
特別区人事委員会は、早期SPI枠の基礎能力検査について合格基準点や得点分布を公表していません。そもそもSPIのテストセンターは正答数がそのまま点数になる仕組みではなく、受験者に素点が通知されることもありません。
したがって、ネット上で見かける「特別区のSPIボーダーは○割」という断定的な情報は、公式根拠のない推測と考えるべきです。
SNSや口コミサイトに具体的な点数として書かれている情報の多くは、投稿者本人の主観的な手応えに基づくものであり、公式に裏付けられた数字ではありません。参考程度にとどめ、鵜呑みにしないことが大切です。
なお、不合格者には希望すれば得点と順位が通知される制度があります。正確な立ち位置を知る手段は、この開示請求だけです。
公表されているのは「実施状況」の人数データ
一方で、特別区人事委員会は毎年度「実施状況」として、申込者数・受験者数・合格者数を試験区分ごとに公表しています。ここから計算できるのが「1次試験の通過率」です。
ボーダーが何点かはわからなくても、受験者のうち何%が1次を通過したかは確かな公式データからわかります。相対評価の試験では、この通過率こそが実質的な難易度の指標になります。
絶対的な点数基準がない以上、対策の指針にすべきは「何割取れば安心か」ではなく「受験者集団の中でどの位置にいれば通過できるか」という相対的な視点だと編集部は考えます。
「何割」への答えは2段構えで考える
つまり「特別区のSPIは何割で通るか」への誠実な答えは、①公式データから通過率を把握し、②一般的なSPIのスコア感覚から目標正答率を設定する、という2段構えになります。
次の見出しから、この順番で具体的な数字を見ていきます。数値は令和7年度実績に基づくもので、年度により変動する点はあらかじめ承知しておいてください。
この2段構えの考え方を押さえておけば、「○割で受かる」という断片的な噂に一喜一憂せず、自分がやるべき対策に集中できるはずです。
公式データで見る:早期SPI枠の1次通過率は約57%
ここからは特別区人事委員会が公表した令和7年度Ⅰ類採用試験【早期SPI枠】の実施状況をもとに、編集部が各段階の通過率を計算します。ボーダーの「体感」をつかむうえで最も信頼できる材料です。
| 段階 | 人数(令和7年度・事務) | 通過率(編集部算出) |
|---|---|---|
| 申込者数 | 1,876人 | — |
| 第1次試験受験者 | 1,716人 | — |
| 第1次試験合格者 | 979人 | 受験者の約57% |
| 第2次試験(口述)受験者 | 646人 | — |
| 最終合格者 | 309人 | 最終倍率5.6倍 |
1次試験は「2人に1人強」が通過している
令和7年度の早期SPI枠では、1次受験者1,716人に対し合格者は979人でした。編集部が計算すると1次通過率は約57%、つまり受験者の2人に1人強が通過しています。
「SPIのみの試験だから熾烈な足切りがある」と身構える人もいますが、1次に限れば半分以上が通る選抜だったというのが実際の数字です。
ただしこれは令和7年度の結果であり、申込者数や採用予定数が変われば通過率も動きます。最新の実施状況は公式サイトで確認してください。
付け焼き刃の対策で1次を突破する受験者もいれば、しっかり準備しても伸び悩む受験者もいるのが実際の選考です。57%という数字は決して「簡単」を意味するものではなく、標準的な学習量を積んだ受験者が過半数を占める水準と捉えるのが妥当でしょう。
本当の絞り込みは2次試験で起きている
数字をさらに追うと、1次合格979人に対して最終合格は309人。プレゼンテーションシート作成と口述試験を経て、1次通過者の約3分の1にまで絞られています。
つまり早期SPI枠は「SPIで半分に絞り、面接・プレゼンで3分の1に絞る」構造です。SPIのボーダーだけを気にして2次対策を怠ると、1次を通過しても最終合格には届きません。
この構造を早い段階で理解しておくと、SPI対策に偏りすぎることなく、申込時から2次を見据えた準備を並行させる発想に自然と切り替わるはずです。
ギリギリ通過ではなく「順位」を意識する
見落とされがちですが、最終合格者は採用候補者名簿に高得点順に登載され、成績上位から各区へ提示されます。1次の成績は最終判定でも総合的に使われるため、ボーダーぎりぎりの通過は後々まで影響し得ます。
「何割で通るか」ではなく「どれだけ上位で通るか」を意識した対策のほうが、採用まで見据えたときに合理的です。
ボーダーを僅かに超えるだけの対策と、上位を狙う対策とでは、日々の演習量や復習の丁寧さに自然と差が出てきます。最初から「上位通過」を目標に据えることが、結果的にボーダーを安定して超える一番の近道だと編集部は考えます。
一般論としてのSPIボーダー:正答率6〜7割が目安
通過率がわかったところで、次は「では何割正解を目指すべきか」という目標設定です。特別区固有の基準は非公表のため、ここではSPI一般のスコア感覚を基準に考えます。編集部の目安は結論からいえば「6〜7割を安定して、上位を狙うなら7割超」です。
SPI全般では正答率6〜7割が通過目安とされる
民間企業の選考では、一般にSPIは正答率6〜7割程度が通過ラインの目安とされます。人気企業や高倍率の選考では7割以上が必要といわれることも多く、これはあくまで経験則ベースの一般論です。
特別区の早期SPI枠は1次通過率約57%という相対評価の試験なので、「受験者集団の上位半分に入る」ことが実質的な条件になります。一般論の6〜7割ラインを安定して出せれば、この条件はかなりの確率で満たせると編集部は考えます。
逆に正答率が5割前後にとどまる場合、受験者集団の中では下位に位置してしまう可能性が高く、1次通過は厳しくなると考えられます。まずは自分の現在地を模試や問題集で把握することから始めましょう。
SPIは素点評価ではない点に注意
SPIのテストセンターは、解答状況に応じて出題が変化する仕組みで、成績は正答数そのものではなく段階的な評価で企業・自治体側に届くとされています。「何問正解したか」を受験者が正確に知ることはできません。
だからこそ、模擬試験や問題集での正答率を代理指標として使います。市販教材や模試で継続的に7割を超えられる状態を作っておくことが、本番のブレを吸収する保険になります。
出題が受験者の解答状況に応じて変わる形式のため、「同じ問題を解いた友人と点数を比較する」といった検証もできません。自分自身の演習記録を継続的に積み上げ、伸びを実感することが対策のモチベーション維持にもつながります。
編集部の推奨目標:練習で常時7割、得意分野は8割
目標設定として編集部が推奨するのは、時間を計った演習で常時7割、得意分野では8割という水準です。本番は緊張や時間切れで練習より1割程度落ちると見込んでおくと、6〜7割の実力ラインを確実に確保できます。
倍率5.6倍という最終競争を考えれば、1次を「ぎりぎり6割」で滑り込むより、余裕を持った得点力で上位通過を狙うほうが最終合格の確率は明らかに高まります。
本番特有の緊張やテストセンターという慣れない環境も、練習時より得点を下げる要因になり得ます。模試や問題集の段階で余裕を持った得点力を仕上げておくことが、最も確実なリスクヘッジになるでしょう。
民間企業のSPIボーダーとの比較
Digmedia読者の多くは民間就活と併願しているはずです。民間のSPI通過ラインと特別区のそれはどう違うのか、対策を共通化できるのかを編集部が比較します。結論として、対策は完全に共通化でき、目標水準もほぼ同じに設定して問題ありません。
公務員試験と民間就活を別物と捉えて対策を二重に進めるのは非効率です。SPIという共通の土俵で戦う以上、双方の情報を突き合わせて自分の実力を客観視することが、限られた時間を有効に使うコツになります。
大手人気企業のボーダー感覚とほぼ同水準
民間では、一般に大手・人気企業ほどSPIのボーダーが高く、7割以上が目安といわれます。特別区の早期SPI枠は倍率5.6倍・1次通過率約57%ですから、感覚としては「人気企業の書類後テスト」と同程度と捉えておけば大きく外しません。
つまり民間向けに仕上げたSPIの実力があれば、特別区のためだけに目標を引き上げる必要はありません。逆に、民間で軒並みテスト落ちしている状態なら、特別区でも同じ壁に当たる可能性が高いということです。
民間就活で複数社のSPIを経験している人は、自分がどのくらいの通過率で選考を突破できているかを振り返ってみましょう。そこで安定して通過できているなら、特別区の早期SPI枠でも同水準の結果が期待できると考えられます。
科目構成が軽い分、1問の重みは増す
特別区の基礎能力検査は約35分で言語・非言語のみ。英語や構造的把握力といったオプション検査はありません。出題範囲が絞られている分、対策は楽になりますが、短時間勝負ゆえに1問のミスの重みは相対的に大きくなります。
時間切れで後半を落とすパターンが最ももったいないため、分野ごとの目標解答時間を決めた演習を取り入れましょう。
科目数が少ないぶん、対策の的を絞りやすいのはメリットですが、裏を返せば苦手分野を放置したまま本番に臨むリスクも大きくなります。言語・非言語それぞれで穴のない状態を作ることが、短時間勝負を制する鍵になるでしょう。
民間受検が「模試」代わりになる
テストセンター方式という同じ土俵である以上、民間企業での受検経験はそのまま特別区の予行演習になります。手応えや時間配分の感覚を本番環境で確かめられる機会は貴重です。
併願層は特別区の受検期間より前に民間で数回受けておくと、緊張への耐性と操作への慣れという見えないボーダー対策ができます。
特別区の受検を控えている場合は、日程の早い民間企業のSPIを意識的に先に受けておき、そこでの手応えを特別区本番へのシミュレーションとして活用するのも一つの戦略です。
ボーダーを超えるための得点戦略
目標が「安定7割・上位通過」と決まったら、次はそこへ到達する戦略です。約35分の基礎能力検査で得点を最大化するために、編集部が推奨する優先順位を解説します。
限られた対策期間の中で、どの分野にどれだけ時間を配分するかは合否を左右する重要な判断です。闇雲に全範囲を均等に学習するのではなく、得点への貢献度が高い分野から優先的に仕上げていく発想が求められます。
非言語の頻出分野を得点源にする
非言語は推論・割合・損益算・速さ・場合の数などの頻出分野の完成度が得点を左右します。特に推論は出題比重が大きいとされ、ここを捨てると7割ラインは一気に遠のきます。
1冊の問題集を3周し、解法を見た瞬間に手が動く状態まで反復するのが王道です。複数の教材に手を広げるより、同じ問題の高速化のほうがスコアに直結します。
特に推論分野は出題パターンがある程度決まっているとされ、典型パターンを網羅しておくだけで初見の問題への対応力が大きく変わってきます。演習の初期段階では正答率よりも、解法の型を覚えることを優先するとよいでしょう。
言語は語彙のストックで時間を稼ぐ
言語分野は二語関係・語句の意味などの知識系を瞬殺できると、長文読解に時間を回せます。知識系は考えても答えが出ないため、わからなければ即座に切り替える判断も重要です。
通学時間などのスキマ時間に語彙を積み上げ、机に向かう時間は非言語に充てる。この配分が短期間で総合スコアを引き上げる現実的な方法です。
語彙問題は知っているかどうかで解答時間がほぼゼロに近づく一方、知らない語句にいくら時間をかけても正答にはたどり着きにくい性質があります。すきま時間を使ったコツコツの積み重ねが、机に向かう対策時間以上に効果を発揮する分野だといえるでしょう。
ボーダーへの不安から解答集の購入や替え玉受検を考えるのは絶対にやめてください。テストセンターは本人確認が徹底されており、公務員採用試験での不正は発覚時に合格取り消しにとどまらない重大な結果を招きます。正攻法の対策が結局最も確実です。
ボーダーだけでは受からない:2次試験の準備も並行する
データで見たとおり、早期SPI枠の絞り込みの本丸は2次試験です。SPIのボーダー超えはあくまで入場券にすぎません。1次対策と並行して進めるべき2次準備を編集部が整理します。
プレゼンテーションシート作成への備え
2次試験前半は、統計や記事などの資料をもとに行政課題に関するプレゼンテーションシートをA4版1枚・1時間30分で作成する形式です。資料から論点を抽出し、主張と根拠を紙面に構成する力が問われます。
日頃から23区の政策課題やニュースに触れ、「自分ならどう解決するか」を1枚にまとめる練習をしておくと、当日の初見資料にも対応できます。
限られた時間で初見の資料を読み解き、論点を整理して説得力のある構成に落とし込む練習は、一朝一夕には身につきません。SPI対策と並行して、早い段階から少しずつ取り組んでおくことをおすすめします。
口述試験は面接カードの完成度が土台
口述試験は、作成したシートに基づく冒頭プレゼンと、面接カードに基づく個別面接です。面接カードは申込時に入力するため、志望動機やガクチカは受験申込の段階で完成させておく必要があります。
SPI対策と自己分析を同時進行させるのが早期SPI枠のスケジュールの特徴です。「1次に受かってから考える」では、カードの内容が浅いまま面接を迎えることになります。
面接カードの内容は口述試験当日の質問の起点になるため、内容が薄いと深掘りされた際に答えに窮してしまうリスクがあります。申込前の段階で第三者に読んでもらい、内容の説得力を確認しておくと安心です。
特別区のSPIボーダーに関するよくある質問
最後に、ボーダーについて受験生から寄せられることの多い疑問をQ&A形式で整理します。細かい不安をここで解消し、目標設定に迷いなく進める状態を作りましょう。いずれも公式の試験案内・実施状況に基づいて回答します。
自分が何割取れたか確認する方法はありますか?
SPIのテストセンターでは受験者に素点は通知されないため、受検直後に正答率を知ることはできません。ただし特別区では、第1次試験の不合格者は希望すれば得点と順位の通知を受けられる制度があります。
万一不合格だった場合は必ず開示を受けましょう。自分の立ち位置が数字でわかれば、翌年度の春試験や他自治体への切り替え判断に使える貴重なデータになります。
開示された得点や順位は、単に一喜一憂するための情報ではありません。次の挑戦に向けて何が足りなかったのかを客観的に振り返る材料として、冷静に活用することをおすすめします。
性格検査の出来がボーダーに影響しますか?
影響しません。特別区の試験案内には「性格検査の結果は、合否に関係ありません」と明記されています。結果は最終合格後、採用候補者を各区へ提示する際の参考情報として使われるだけです。
したがって性格検査は正直に一貫性を持って回答すれば十分で、対策時間はすべて基礎能力検査に投じるのが合理的です。
無理に「良く見せよう」として回答に一貫性がなくなると、かえって不自然な結果になりかねません。ありのままの自分で淡々と答えていく姿勢が、結果的に最も無難な対応だと編集部は考えます。
春試験とどちらが通過しやすいですか?
令和7年度実績の最終倍率は早期SPI枠5.6倍、春試験(事務・一般事務)2.4倍で、数字上は春試験のほうが通過しやすい試験でした。ただし春試験は教養・専門・論文の長期学習が前提です。
「筆記学習の負担」と「競争率」のトレードオフなので、単純なボーダーの高低ではなく、自分が投じられる学習時間で判断するのが正解です。
公務員試験対策に数百時間を投じられる学生であれば春試験、民間就活と並行しながら短期間で対応したい学生であれば早期SPI枠というように、自分の状況に照らして選ぶのが現実的な判断基準になるでしょう。
まとめ
この記事では、特別区のSPIボーダーは何割かというテーマを、公式データと一般論の両面から分析しました。
特別区は早期SPI枠の合格基準点を公表しておらず、正確なボーダーは不明です。ただし令和7年度の実施状況からは、1次通過率が約57%だったことが計算でき、受験者の上位半分に入れば通過できる相対評価の試験だとわかります。
目標水準としては、SPI一般の通過目安である正答率6〜7割を土台に、練習段階で常時7割・得意分野8割を狙うのが編集部の推奨です。最終倍率5.6倍の試験だからこそ、ぎりぎり通過ではなく上位通過を狙う姿勢が活きてきます。
そしてボーダー超えは入場券にすぎず、最終合否はプレゼンテーションシートと面接で決まります。数字は年度で変動するため、最新の実施状況と受験案内を特別区人事委員会の公式サイトで確認しながら、1次と2次の準備を並行して進めてください。