ガクチカと自己PRの一貫性?違いや書き方を例文付きで徹底解説|就活生向け

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

エントリーシート(ES)や面接で必ず聞かれる、ガクチカと自己PRですが、対策しようと思って書き始めると、内容が似通ったり、「これガクチカじゃなくて自己PR?」となってしまう方も多いのではないでしょうか?

どちらもエピソードとして「過去経験」を伝えるもののため、ガクチカと自己PRを聞かれた時の回答が同じになってしまう傾向があります。

そんな就活生の方向けに、ガクチカと自己PRの違いやポイントをこの記事で徹底解説していきますので、内定獲得のための対策としてぜひご参考にしてみてください!

【ガクチカと自己PRの一貫性】矛盾はNG

ガクチカと自己PRは相互で一貫性があるといいです。

ただ、絶対に一貫した内容でなければならないというわけではなく、「矛盾があるとNG」程度で考えておけば大丈夫です。

以下は例になります。

ガクチカ

「私はサッカー部のキャプテンとしてチームをまとめ、試合での勝利に貢献しました。メンバー同士のコミュニケーションを大切にし、練習メニューの改善や戦略を考えることで、団体で成果を出す力を身につけました。」

自己PR

「私は個人での成果を追求することが得意です。集中して1人で作業を行い、他者と協力するよりも自分のペースで効率よく仕事を進めることに自信があります。」

この例では、ガクチカで「チームでの協力」を強調している一方で、自己PRでは「個人での成果」を強調しているため、矛盾が生じ、一貫性がないように捉えることができます。

以下の例文ではガクチカと自己PRで強調したいことに一貫性があり、説得力の高い文章になっています。

ガクチカ

「私は学生時代、サッカー部のキャプテンとしてチームをまとめ、試合での勝利に貢献しました。メンバー同士のコミュニケーションを大切にし、練習メニューの改善や戦略を考えることで、団体で成果を出す力を身につけました。」

自己PR

「私はチームでの協力を大切にし、目標達成に向けて全員が力を発揮できる環境を作ることが得意です。サッカー部での経験を通じて、リーダーシップや他者とのコミュニケーション力を磨き、周囲を巻き込んで成果を出す力を培いました。これらのスキルは、仕事でもチームでのプロジェクトを成功に導く際に活かせると考えています。」

【ガクチカと自己PRの一貫性】そもそも同じ?

ガクチカと自己PRは、厳密に言うと異なります

どちらも就活ではよく耳にする言葉ですが、項目が分かれていることからもわかるように、まったく同じというわけではありません。

企業の採用担当者や面接官に、良い印象を与えるためには、自己PRとガクチカの違いについて理解することから始めましょう。

違いを理解することで、それぞれの役割を知り、適切に表現できるようになります。

違いを理解するには、企業がなぜ自己PRとガクチカの項目を設定するのかに、焦点を当ててみることがポイントです。

自己PRとは?

自己PRとは、自分の強みや長所を企業にアピールすることです。

企業は書類選考や面接を通して、将来企業の発展に貢献してくれる人材を見つけたいと考えています。

そして、「市場開拓を積極的に展開に貢献する、好奇心と冒険心の高い人材」という風に、理想の人物像を基準にして採否を判断する傾向があるのです。

そのため、自己PRの目的は、志願者が企業にとって理想の人物像であるかどうかを伝えることとなり、志願者は自分の強みや長所など、人となりを自己PRとして書きます。

企業に自分が適材であることを売り込むために、自分の人柄や能力、価値観などを自己PRに盛り込むようにすることが、ポイントです。

ガクチカとは?

ガクチカとは、「学生時代に頑張ったこと・努力したこと」の略です。

自分が学生時代に力を入れたことについて、エピソードをメインに語りますが、エピソードを通して伝えるのは、人柄や強みではありません。

企業の採用担当者や面接官が、ガクチカを通して知りたいのは、「問題を解決するために、どのように行動したか」「その結果何を学んだか」ということです。

仕事をしていると、さまざまな問題が発生しますが、そのときに、課題とどのように向き合って行動するかを知ることは、企業とって重要なポイントです。

エピソードをメインに語るガクチカは、つい結果にウエイトを置いてしまいがちですが、そうすると自己PRのように、自分を売り込んでしまうことになります。

企業の採用担当者は結果ではなく、そこに至るまでの過程を重視していますので、ガクチカを作成する際は、この点を忘れないようにしましょう。

【ガクチカと自己PRの一貫性】質問の意図

自己PRについての質問とガクチカについての質問の意図は異なりますので、注意が必要です。

自己PRとガクチカはそれぞれ目的があり、それを考慮しながら答えることがポイントになります。

企業が質問する意図をよく理解して、自己PRとガクチカにそれぞれ反映させていきましょう。

伝え方のコツとしては、自己PR自分の「強み」をベースにして「強みは何か」を強調するようにします。

ガクチカの場合は、「壁を乗り越えた経験」です。

作成する際のポイントについて、それぞれ説明します。

強みの具体例

強みとは自分の長所になりますので、「積極性がある」「好奇心旺盛だ」「忍耐強い」といった性格が挙げられます。

たとえば「前向きさ」を強みとする場合は、「私の強みは、どんなことに対しても、前向きに取り組むことです」とアピールできます。

その次に、主張を裏付ける根拠を示しますが、この場合はエピソードである場合がほとんどです。

例:「学生の頃、周囲が無理だと言っていた大学にどうしても入学したくて、あきらめずに3年間猛勉強しました」

最後は強みをどのように仕事に反映させていくか、将来のビジョンを語ります。

長所が思い浮かばないという場合は、「心配性の裏返しは、物事に慎重な性格」という風に、短所を長所に変えるということも考えてみましょう。

経験の具体例

ガクチカで利用する経験は、部活動やサークル活動、受験勉強、ボランティア、家族の介護、アルバイト、インターンシップなど、多岐にわたります。

旅行や将棋など、夢中になった趣味も経験の具体例と言えるでしょう。

過去に夢中になったことや努力した経験を振り返り、さらにその中で問題解決に真剣に取り組んだ経験があれば、それをガクチカとして利用します。

【ガクチカと自己PRの一貫性】矛盾しないための作成準備

エントリーシートや面接など、選考にも一貫性を出すためには作成する前に、深掘りや整理などの準備が必要です。

ガクチカと自己PRに一貫性を持たせるためには、主に「深い自己分析を行う」「業界分析を行う」「企業分析を行う」「第三者からの添削を受ける」という4つ準備をしておけば、基本的にはガクチカと自己PRに矛盾のない一貫した内容を作成することができます。

ぜひ、作成する前にこの4つをしてみてください。

深い自己分析を行う

まず、自分の経験や価値観、強みや弱みを深く理解することが不可欠です。

自己分析は最低限、以下のステップを行っておきましょう。

価値観・モチベーション

何に対して情熱を持ち、どのような環境で力を発揮できるのかを深掘りする。

強み・弱み

過去の経験から、自分の強みや改善すべき点を振り返る。具体的なエピソードを元に、どのように課題を乗り越えてきたかを整理する。

目標・将来像の明確化

自分のキャリアにおける目標や夢を明確にし、それが志望する企業で実現可能かを考える。

これにより、ガクチカと自己PRで一貫した強みをアピールできるようになります。

業界分析を行う

次に、志望する業界全体を理解することが重要です。業界のトレンドや競合他社、将来の展望について調べることで、自分のスキルや経験がどのように役立つかを示せます。

業界分析では以下の点を分析しましょう。

業界のトレンド

現在の業界の動向や課題を理解し、自分がその中でどのように貢献できるかを考える。

業界に求められるスキル

業界ごとに求められるスキルや経験を確認し、それを自分のガクチカや自己PRに結びつける。

この分析を通じて、業界のニーズと自分の強みを擦り合わせて、説得力のあるアピールができるようになります。

企業分析を行う

最後に、志望する企業について詳しく調べ、その企業が求める人物像や価値観に自分が合致しているか確認しましょう。

企業分析は以下のポイントに注目します。

企業の理念やビジョン

企業のミッションや価値観を把握し、それに共感できるかどうかを確認する。

企業文化や求める人物像

その企業がどのような人物を求めているのかを理解し、自分の強みと一致する部分を見つける。

過去の採用事例や社員のインタビュー

その企業で成功している人物の特徴を調べ、自分と共通点がないかを確認する。

第三者からの添削を受ける

最後に、エントリーシートや面接の回答を第三者に見てもらいましょう。

自分では気づかない矛盾や、一貫性の欠如に気づいてもらえることがあります。

就活エージェントOB・OGに添削をしてもらうことで、自分自身がESを提出するときや面接に臨むときに自信を持つことができます

エピソードが被るのは大丈夫?

結論として、ガクチカと自己PRのエピソードの内容はかぶってしまっても問題ありません。

しかし、伝え方は必ず変えるようにしましょう。

ガクチカではこれまでどのようなことに取り組んできたのか、どのような対策などを行ってきたのかを事実ベースに語る必要があります。

一方で、自己PRでは価値観をベースとして、エピソードに対してどのような気持ちで取り組んできたのか、そして自分のスキルは何なのかについて詳しく書けると良いでしょう。

ガクチカにおいて重要なのは、「あなたが何に取り組んできたのか」で、自己PRに必要なのはあなたは何が得意で、何ができるのかという部分です。

【ガクチカと自己PRの一貫性】ガクチカの構成

ここからはガクチカの構成について詳しく紹介していきます。

下記の構成はどのような経験をアピールする際でも活用できるガクチカの基本的な構成なので、企業によって他の経験をアピールすることがあったとしても、このフォーマットを活用して問題ありません。

結論

まずは結論から述べていくことが非常に重要です。

「私が学生時代に力を入れたことは〇〇です。」と結論から述べていきましょう。

ここでのポイントは、わかりやすく説明することです。

例えば野球に取り組んできた場合「野球の部活動で〇〇を目指して取り組んだことです。」説明しましょう。

結論を具体化することで、採用担当者は文章をイメージしやすくなります。

特に人気の企業の場合、全てのガクチカを隅から隅まで読めるほど人事に余裕はありません。

よって最初に結論を述べることで今後の文章の展開を想像してもらい、内容をより深く理解してもらえることでしょう。

背景

続いて、ガクチカの背景について詳しく紹介していきます。

この部分は結論に対する補足をする部分です。

個人や部活動の現状や取り組みについてイメージしてもらいやすい、内容を盛り込むことを大切にしていきましょう。

優先度が低い箇所のため、文字数の指定が少ない場合は必ずしも盛り込む必要はありませんが、余裕がある場合は入れておきたいポイントの一つです。

目標・課題

続いて目標や課題について述べていきます。

ただ、目標や課題を述べるのではなく、目標の場合は達成するためにはどのようなことが必要であったのか、課題の場合はどうして課題となっているのか、課題に関わる要素などについて詳しく一緒に説明すると非常に良いでしょう。

結果までの過程が重視されるため、この部分の分析はかなり綿密に行っていく必要があります。

また、目標や課題の部分はどうしても自分の知識を前提に話してしまいがちなので、難しい用語などが入っていないかなどについても再度確認しておきましょう。

取り組み

目標や課題について述べることができたら、続いては取り込みについて詳しく説明していく必要があります。

目標や課題の部分で、取り組みについて詳しく説明していくのです。

ここが論理的に甘いと突っ込まれる可能性が非常に高いので、論理が破綻していないか、ツッコミどころがないかなどについて確認しておくようにしましょう。

例えば、取り組みが複数ある場合は「〇〇のために2つの施策を講じました。一つ目は〇〇、二つ目は〇〇」のように書くと良いでしょう。

三つだと多すぎるため、強調したい取り組みに優先度をつけておくと良いでしょう。

文字数の指定がかなり多い場合三つ以上でも良い場合はありますが、どれだけ多くても基本的には二つまでにしておきましょう。

成果

続いて、取り組みに対してどのような成果が得られたのかについて詳しく説明していきましょう。

ガクチカは必ずしも結果が必要ではなく、どのようなことに取り組んで何を得たか、どのような経験やスキルを身につけたのかが重要なので、例えば部活動であっても優勝していなければならないわけではありません。

ただし、どのような結果が得られたのか、説明が全くないと「後ろめたいことがあるのか?」と思われてしまうので、必ず説明する必要があるのです。

取り組みを正当化させるために、取り組みの前後でどのように変わったのかについても詳しく書いていくと良いでしょう。

学んだこと

最後にどのようなことを学んだのかについて詳しく説明していきましょう。

学んだことや取り組みを軸に考えると良いでしょう。

取り組みと学んだことがズレていると、最後に違和感を与えてしまうため注意が必要です。

また、ここで文字数が余っている場合は、学んだことを通じて企業にどのように貢献しているのかについても詳しく説明することができれば、より魅力的な文章を作成できるでしょう。

【ガクチカと自己PRの一貫性】自己PRの構成

続いて自己PRの構成についても把握しておきましょう。

もちろんスポーツ経験について書く場面以外でもこの構成は活用できるので、ぜひ参考にしてみてください

自分の強み(結論)

まずは自分の強みについて一言で述べることができれば良いでしょう。

ここでのポイントは、強みをオリジナリティのある言葉に言い換えることです。

例えば、「傾聴力が強みである」と言っても、就活生の多くが使用するために、埋もれてしまいます。

そこで一言、「相手のニーズを引き出す傾聴力」などと言い換えて印象を残すことができれば良いでしょう。

差別化を図ろうと無理なことを書く必要はありませんが、ただ一言で述べるのではなく、自分の強みがどのようなものであるのか、相手がイメージしやすいキャッチコピーのようなものを添えることができれば、より分かりやすい文章になることでしょう。

発揮したエピソード

自分の強みを発揮したエピソード、または身につけたエピソードについて語ることができれば良いでしょう。

どのようなエピソードでも良いですが、強みを発揮して課題を解決したエピソードが書きやすいため、おすすめです。

また、エピソードは一つに絞ることがポイントです。

いくつも述べてしまうと、文章が長くなってしまい、結局何の話かわからなくなってしまいます。

また、必ずしも解決の要素は必要ありません。

「目標を達成するために、強みである〇〇を活かして」という流れでも十分でしょう。

仕事での活かし方

最後に、企業でそのスキルをどのように活かせるのかについて述べることができれば、よりあなたの文章が分かりやすく伝わることでしょう。

志望する職種の業務内容に合わせた文章を作成できれば、より良い印象を与えられるでしょう。

実際にあなたが活躍してるイメージもしやすいですし、何よりあなたが企業についてしっかり分析しているということが伝わるからです。

しっかり分析しているということは、入社への意欲も高いということであり、採用したいと思ってもらえることでしょう。

【ガクチカと自己PRの一貫性】まとめ

自己PRとガクチカの書き方について説明しました。

良いものを作成するには、両者の違いを把握して、目的に沿ったものに仕上げることがポイントです。

自己PRとガクチカにはそれぞれ書き方がありますので、パターンを覚えて、採用担当者に好印象を与えるものを作りましょう。

同じ題材でガクチカと自己PRの例文を確認したい方はこちらをご活用ください。

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