社会貢献を「就活の軸」は注意が必要?業界別の例文で大事なポイントを解説!

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伊東美奈
Digmedia監修者
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

企業の最大の目的は利益の追求であり、ほとんどの企業が事業を通じて社会のニーズに応えるなど社会に貢献する活動をしている以上、企業選びの基準として社会貢献を就活の軸にするのは難しいものがあります。

どうしても社会貢献を就活の軸にしたいなら、社会に役立つ製品の開発や販売などを通じて企業の業績にも貢献するという成果につながることをアピールするようにしましょう。

目次目次を全て表示する

【就活の軸は社会貢献】社会貢献を大事にする企業は増えている

企業では災害時のボランティアをはじめ、環境保護活動や障がい者福祉への貢献などに取り組むケースも増えています。

企業のCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)を打ち出し、社会的な信頼を得て、選ばれる企業になりたいという意図があります。

企業のCSRとして社会貢献をアピールする企業も増えている中、「社会貢献をしたい」という意志を就活の軸にできるのでしょうか。

企業選びの軸として「社会貢献」はありなのか見ていきましょう。

【就活の軸は社会貢献】企業における社会貢献とは

社会貢献とは、より良い社会を築くために利益を目的とせず行われる活動を指し、企業の場合自社の通常業務とは異なる公益的な取り組みを指します。

具体的には、地域社会の発展・環境保護・教育支援・災害支援など、多岐にわたる活動が含まれます。

企業にとって社会貢献は、単なる慈善活動にとどまらず、ステークホルダーとの信頼構築やブランド価値の向上にも寄与します。

また、従業員の意識向上や採用力の強化といった内的なメリットも期待できます。

このように、社会貢献は企業と社会の双方にとって利益をもたらす重要な要素です。

【就活の軸は社会貢献】社会貢献を就活の軸にしてもいい?

就活の軸をどのように設定するかは迷うことが多いですが、そのうちの一つに「社会貢献」が挙げられます。

実際に「社会貢献を就活の軸に設定するのはあり?」と迷っている学生は多いかもしれません。

結論からいうと、社会貢献を就活の軸として設定することは可能です。

理由は次のことが挙げられます。

就活の軸で社会貢献がOKな理由

・企業自体が社会貢献を大事にしている
・個人の判断軸だからこそ否定できるものではない

企業は社会を円滑に回していくために責任を果たす必要があり、そのためにはさまざまなかたちで社会貢献をすることが重要になります。

そのため、多くの企業は社会貢献する姿勢を大前提として掲げており、実際に地域社会への還元として、具体的な取り組みを実施している企業も少なくありません。

企業が社会貢献すれば、企業価値が高まることで良いイメージがつくため、顧客へのアピールにつながります。

そして2つ目の理由は、簡単にいえば「個人の自由だから問題はない」ということです。

学生が体験したことや感じたことから生まれた軸のため、個人の価値観・感覚が関係しているものであり、誰もそれを否定することはできません

このように問題ないと考えられる理由が2つあるため、就活の軸を社会貢献にすることは、問題ないといえるでしょう。

就活の軸で面接官が見ているところ

就活の軸を問う際、面接官は主にリスク回避を目的として応募者を評価しています。

企業にとって採用活動は時間やコストがかかるため、その投資に見合う人材を確保することが重要です。

もし入社後に早期退職するような事態が起きれば、採用コストが無駄になるだけでなく、チームへの影響や業務の停滞といった損失を招くことにもなります。

そのため、面接官は就活の軸を通じて、応募者がどの程度自社に適応できそうかを慎重に見極めています。

社会貢献を就活の軸にするときの企業の見極め方

そもそも「社会貢献」をしている企業は多くあるため、就活の軸として社会貢献を定め、企業を選んでいく際に選択肢が広くなってしまいます。

そのため、就活の軸で社会貢献を用いる際には以下の方法で企業を見極めると良いでしょう。

企業選びの方法

・事業内容が自分の将来のビジョンと一致している企業
・インターンに参加しいろいろな社会貢献を体験する
・企業説明会に参加し具体的な社会貢献を知る
・就活エージェントに相談する

自分がしたい社会貢献を就活の軸として作っても、それを実現できる企業を見極めなければもったいないことになります。

社会貢献をしたくて志望しても、実際に体験してみなければ本当にそうなのかが分からないため、まずは事業内容と自分の理想とを一致させることが大切です。

その後にインターンや企業説明会で直接それを詳しく聞いてみるとより理解が深まるでしょう。

さらにエージェントに自分の価値観やしたいことに合った企業を紹介してもらう手もあります。

エージェントは多くの就活に悩んでいる学生と人材を求める企業の両方を知っているため相談するとあなたにとって利益のある企業を知ることができる可能性があります。

ぜひ一度相談してみてください。

【就活の軸は社会貢献】社会貢献を軸にするメリット

社会貢献を就活の軸にするメリットは主に2つあります。

就活の軸が社会貢献のメリット

・社会貢献できる企業に絞って受けることができる
・自分がやりたい社会貢献を見つけられる

どのようなメリットがあるのかを押さえて、効果的な就活の軸を考えていきましょう。

社会貢献できる企業に絞って受けることができる

就活の軸を「社会貢献」に絞るということは、企業を選ぶときに自分が重視している基準が定まるということなので、受ける企業・受けたい企業が明確になります。

社会貢献という軸に沿って「社会貢献ができる」企業が受けられるので自分にも相手にも利益が生まれるといえるでしょう。

自分がやりたい社会貢献を見つけられる

社会貢献という軸の中から社会貢献ができる企業を探すので、さらに深く自分のやりたい社会貢献をすることができます。

軸に沿って企業を探すことで、明確にどのような社会貢献がしたいのかということまで見つけることができます。

入社後のミスマッチを防ぐ

就活の軸を社会貢献にすることには、入社後のミスマッチを防ぐという大きなメリットがあります。

社会貢献を重視する企業を中心に就職活動を行うことで、自分の価値観や働く目的と合致した企業を見つけやすくなります。

また、社会貢献といってもその内容は幅広く、福祉、環境保護、教育、地域活性化など、さまざまな分野があります。

そのため、自分がどの分野で貢献したいのかを明確にすることで、より自分に合った企業を選ぶことができます。

企業の方針や事業内容を事前に調べ、価値観が一致する企業を選ぶことで、就職後に「思っていた環境と違った」と感じるリスクを減らすことができます。

さらに、同じ価値観を持つ社員が多い環境で働くことは、モチベーションの維持にもつながります。

【就活の軸は社会貢献】社会貢献を軸にするデメリット

「社会貢献」を就活の軸にすることは、意義のある働き方を目指すうえで重要な指針となります。

しかし、強調しすぎることで、企業の求める方向性とずれてしまい、選考時に不利になる可能性もあります。

ここでは、2つのデメリットについて、対策とともに解説します。

1. 企業の利益追求とのギャップ

企業は基本的に利益を追求する組織であり、「社会貢献」を強調しすぎると、面接官に「本当に当社でやりたいことと合っているのか?」疑問を持たれる可能性があります。

特に、営利企業においては社会貢献よりも利益の確保が優先されるため、「社会貢献だけを重視するなら、NPOや公務員のほうが向いているのでは?」と判断されることもあります。

その結果、企業の経営方針とのミスマッチを懸念され、選考で不利になることがあります。

対策

この問題を防ぐためには、「社会貢献」「企業の成長」の両立を重視する姿勢を示すことが大切です。

例えば、「利益を上げながら社会的価値を生み出す企業に興味がある」「持続可能な事業を通じて社会貢献を実現したい」といった形で説明することで、企業との相性を示すことができます。

2. 志望企業の選択肢が狭まる

「社会貢献」を重視しすぎると、志望企業の幅を狭めてしまうリスクがあります。

例えば、「社会課題解決に取り組む企業しか受けたくない」と考えると、応募する企業が限られ、選考の競争率が高い企業に集中してしまう可能性があります。

また、社会貢献を強く意識するあまり、利益を優先する企業を敬遠し、選考の機会を減らしてしまうことも考えられます。

対策

このリスクを避けるためには、「社会貢献」だけでなく、「成長できる環境」「スキルを活かせる仕事」といった他の軸も持つことが重要です。

企業が提供する社会的な価値に注目しつつも、自分がどのようにキャリアを築きたいのかを明確にすることで、選択肢を広げながら就職活動を進めることができます。

【就活の軸は社会貢献】 社会貢献を軸にするときのポイント

”軸作成ツール”

”軸作成ツール”

社会貢献を就活の軸にするときは、ポイントをまず押さえたうえで、社会貢献が就活の軸であることの説得力を高めていくことが大事です。

就活の軸を社会貢献にするときは、以下の点を意識して方向性をしっかりと定めていきましょう。

ポイント

・自己分析を事前に行う
・自分なりの社会貢献の考え方を明確にする
・原体験と関係させる
・社会貢献を具体的にする
・社会貢献と会社の利益を結びつける

いずれも社会貢献を就活の軸として設定する際には、重要なポイントになります。

では、具体的にどのような点を大事にするべきなのか、詳細を見ていきましょう。

自己分析を事前に行う

社会貢献を就活の軸にする際、最初に取り組むべきは自己分析です。

自分がこれまでの人生で経験したことや、その中で感じたやりがい、達成感などを振り返り、自分がどのような場面で力を発揮できるのかを理解することが重要です。

たとえば、過去にボランティア活動や課外活動で感じた喜びや成功体験から、自分の特性や強みが見えてくることがあります。

こうした経験を通じて、自分がどのような社会貢献をしたいのかを具体的に考えることが可能になります。

また、自分の得意分野や興味関心を活かせる社会貢献を見つけることで、より実現可能で魅力的な就活軸を形成することができます。

自己分析を深めることで、自分が目指す社会貢献の形が明確になり、企業に対しても説得力のある志望動機を伝えることができるようになります。

自分なりの社会貢献の考え方を明確にする

社会貢献を就活の軸にする場合、まず「自分にとっての社会貢献とは何か」を具体的に定義することが重要です。

「社会貢献」という言葉は抽象的であり、人によってイメージや目的が異なるため、自分自身にとってどのような活動がそれに該当するのかを明確にする必要があります。

たとえば、地域活性化に取り組みたいのか、環境問題に焦点を当てたいのか、それとも教育や医療といった分野で社会を支えたいのか、具体的なテーマを設定することが求められます。

また、なぜその活動を通じて社会に貢献したいのか、どのような社会を目指しているのかを深掘りして考えることで、自分の価値観や目標と結び付けた軸を作り上げることができます。

原体験と関係させる

社会貢献を就活の軸にするときは、基本的に原体験と関係させることが欠かせません。

原体験がなければ「社会貢献と言っておけば印象が良くなるだろう」という打算的なイメージを与えることも多いです。

就活の軸にはさまざまなことが挙げられますが、そのなかで社会貢献を選んでいることには、必ず理由があります。

企業はその理由の部分から、本人の人柄や価値観、総合的な人間性などを評価しています。

そのため「なぜ社会貢献したいのか」という点は必須で、裏付けるエピソードとして原体験と関係させることも不可欠です。

大学生活の中で体験したことや幼い頃に体験して昔から思ってきたことなど、原体験を絡めて、社会貢献を就活の軸に選んだ理由を明確に述べましょう。

就活コンサルタント木下より

ポイント解説

実際に社会貢献につながる活動は面接官の印象GOOD

社会貢献を就活の軸とする場合、実際に社会貢献活動に取り組んだ経験があると、面接官の印象が良くなります。

具体的な活動を通じて得た学びや経験を話せると、志望動機に一貫性が生まれます。

例えば、地域のごみ拾いや募金活動、ボランティアへの参加などを行い、「なぜこの活動を始めたのか」「どのようなことを学んだのか」「将来どのように活かしたいのか」という流れで話を組み立てると、ストーリー性が生まれます。

社会貢献を具体的にする

社会貢献を就活の軸として設定するときは、社会貢献の内容を具体的にする必要があります。

社会貢献と一口に言ってもそのかたちはさまざまで、貢献の内容から規模、貢献したい相手などは状況により異なります。

そのため単純に「社会貢献したい」「社会のためになることをしたい」と伝えるのみでは、あいまいで内容がわかりにくいのが特徴です。

あいまいな言い方だけでは、考えが不十分という評価につながる可能性もあります。

企業で働くことによって社会にどのように還元していきたいのか、具体的に述べることが望ましいです。

社会貢献を言語化する方法

社会貢献を就活の軸として語る際には、単に「人の役に立ちたい」といった抽象的な表現ではなく、より具体的に言語化することが重要です。

そのためには、「誰に」「どのような方法で役立ちたいか」「最終的にどのような状態になってほしいか」という3つの視点を意識すると、明確なメッセージを伝えられます。

これは、ビジネスにおいても重要な要素であり、社会貢献活動を行う企業も「ターゲット(誰に)」「手段(どのような方法で)」「効果(最終的な目標)」を明確にしています。

例えば、「教育格差をなくすために、誰でも学べるオンライン教材を提供したい」「環境保護を推進するために、エコ商品の普及に関わりたい」など、具体的なターゲットと方法をセットで説明することが効果的です。

社会貢献と会社の利益を結びつける

企業の目的が利益の追求にあり、ボランティア活動のような社会貢献ではない以上、社会貢献だけを前面に打ち出したのでは志望動機としてはアピール力が弱いです。

企業というのは自社の利益最大化株主の利益最大化のために運営されているので、特定の企業の業績への貢献ではなく、社会全体への貢献をしたい人物を必要な人材と見てもらえません。

そのため、企業の利益に貢献する仕事が社会貢献にもつながっているといった基準で捉えることで、就活の軸にできる場合があります。

良い例

社会貢献を就活の軸にする際の、志望動機の良い例をご紹介します。

【良い例】
機能付き飲料が最近話題になっているため、ストレスを軽減する働きをもつ飲料を開発し、人々の健康とストレスレスな生活に貢献したいと考えています。私は社会から求められるニーズを敏感にキャッチし、人々のニーズに応えられるよう、新たな発想で機能付き飲料の開発に力を入れ、貴社の売上に貢献したいと思います。

自分の仕事は社会貢献の一端となり、社会貢献という自分の仕事に対するモチベーションは保てます。

その仕事が同時に企業業績にも貢献できるのですから、お互いの利害が一致することになります。

企業の業績に貢献しながら、それが自分の希望である社会貢献にもつながっているという企業を選ぶ基準とすることが可能です。

悪い例

次に社会貢献を就活の軸とした場合の、悪い例を見ていきましょう。

【悪い例】
地球温暖化や森林資源の減少が問題となっている中、御社は植樹を積極的に行っていることを知り、その環境への配慮の姿勢に共感しました。私は植樹活動に積極的に参加することで貴社に貢献していきたいです。

もし、あなたが面接官であったなら、この学生を採用したいと思いますか。

企業の活動は社会に役立つ商品やサービスや技術を開発して、販売し、利益を上げ、事業活動を継続させていくことです。

植樹ボランティア活動に参加するのが目的で入社するなら、消費者として参加してくださいと言いたいところです。

【改善例】
御社は自社は製造するエアコン製品がCO2を排出する分、植樹活動を通じて地球温暖化防止に取り組まれている姿勢が素晴らしいと感じました。大学で学んだ専門知識と技術を生かし、より省エネできる製品の開発を通じて、御社の業績に貢献しながら、さらなる地球温暖化防止に役立っていきたいと考えております。

といった内容に改めましょう。

【就活の軸は社会貢献】「社会貢献」の軸10選

社会貢献を就活の軸とした時の回答を一覧でご紹介します。

自分のやりたい業務と社会貢献を参考に考えてみましょう。

1. 持続可能な社会の実現

・環境問題の解決に取り組みたい
・持続可能な社会の構築に貢献したい
・再生可能エネルギーの普及や廃棄物削減などに積極的に取り組みたい

2. 社会福祉の充実を目指す支援

・高齢者や障害者がよりよい生活を送れるようサポートしたい
・福祉サービスの向上やアクセスの改善で社会貢献したい
・介護の提供によりサポートに尽力したい

3. 教育機会の均等化

・教育格差を解消し、社会貢献したい
・すべての子どもたちが平等に学べる環境を整えたい
・教育支援により次世代の育成に貢献したい

4. 地域社会へのボランティア活動

・地域でのイベントや災害支援活動を通じて社会貢献したい
・コミュニティの発展や連帯感の向上に寄与したい
・飢餓救済などのボランティアから社会貢献したい

5. 健康と医療の向上

・健康に関する啓発活動を行い社会貢献したい
・地域住民の健康維持や病気予防に貢献したい
・豊かな生活を支えたい

6. 多文化共生の推進

・異文化理解を深め、外国人が安心して生活できる社会を実現したい
・マイノリティーのための施策や支援活動に取り組みたい

7. 人権擁護と平等の推進

・女性や子どもの権利保護を目指し社会貢献したい
・人権に基づいた公平な社会の実現に貢献したい
・ジェンダーの多様化を促進させたい

8. 国際協力を通じた支援活動

・開発途上国への支援を通じて貢献したい
・貧困・飢餓問題の解決に取り組み国際的な貢献を果たしたい
・生きやすい国にする平和構築のため貢献したい

9. 災害復興支援

・被災地の復興を支援したい
・住民が再び生活を立て直せるよう、支援活動でサポートしたい

10. テクノロジーを活用した社会貢献

・AIやIT技術を活用し、社会問題の解決したい
・新たなソリューションの提供を通じて、人々の生活を向上させたい
・情報を促進させデジタル格差を解消させたい

ほかの軸も参考にしたい方はぜひこちらもご覧ください。

【就活の軸は社会貢献】社会貢献を軸にする際の注意点

社会貢献を就活の軸に設定して就職先を見つけるときは、事前に知っておきたいこととして、いくつかの注意点があります。

注意点を見逃すと、就活の軸を聞かれたときに的外れな回答をしたり、方向性を見誤ったりする可能性があります。

具体的には、以下の4つの注意点に気をつけましょう。

4つの注意点

・社会貢献は抽象的になりがち
・社会貢献はどの企業にも当てはまる
・企業の最大の目的は社会貢献ではない
・企業研究を綿密に行う

では、注意点一つひとつをチェックしていきましょう。

社会貢献は抽象的になりがち

「社会貢献」という言葉は非常に広義であり、社会の役に立つ活動全般を指します。

そのため、自分がどのような形で社会に貢献したいのかを明確にしないと、面接やエントリーシートで説得力を持って説明することが難しくなります。

具体的な目標や方向性を持たずに「社会の役に立ちたい」と述べても、採用担当者には漠然とした印象を与えるだけです。

このような抽象的な表現を避けるためには、自分の経験や強みを振り返り、それらを活かして実現可能な社会貢献活動を特定することが重要です。

たとえば、環境保護に興味があるなら、それを具体化し、どのような活動や業界でその目標を達成したいのかを考える必要があります。

社会貢献はどの企業にも当てはまる

企業の本来の目的は利益を最大化することですが、企業が消費者や取引先などにアピールする際には社会貢献を挙げるケースが多いです。

企業理念や代表メッセージなどを見ると、多くの企業で「〇〇を通じて社会の発展に貢献します。」とか、「人々の生活を豊かにするために貢献します。」などとアピールされています。

食品メーカーなら人々が生きるために不可欠な食の提供、自動車メーカーなら安全便利に移動できる手段の提供、ゲーム業界でも人々の生活を豊かにする娯楽の提供という社会貢献をしています。

さらに近年では資源リサイクルやプラスチックの使用廃止、省エネなどの活動を通じて、環境保護に取り組む企業が増えてきました。

つまり、社会貢献はほとんどの企業が行っているので、特定の企業の志望理由にしにくく、就活の軸としても企業選びがスムーズにできません。

企業の最大の目的は社会貢献ではない

企業の最大の目的は何だと思いますか。

大学の授業などでも習ったことがあると思いますが、株式会社など一般企業の目的は利益の最大化です。

つまり、企業のそもそもの目的は利益を出すことで、社会貢献ではありません

提供する商品やサービス、技術などを通じて社会に役立つ事業を行ってはいますが、それはボランティア活動ではありません。

社会に役立つものを販売して利益を得るのが、何よりの目的です。

そのために同業他社と競い合い、技術開発や商品開発を行い、販促や営業を行っているのです。

社会貢献を就活の軸にしたいなら、慈善団体や海外ボランティア事業団、NPO法人などの非営利法人などに就職すればいいのではと思われかねません。

企業研究を綿密に行う

就活の軸=社会貢献であること自体は問題ありませんが、マッチ度の高い企業を選んで方向性をブレさせないためには、企業研究を綿密に行う必要があります。

社会貢献という言葉のみでは非常に内容があいまいなため、場合によっては、企業と自分の間で貢献のかたちにずれが生じることもあるでしょう。

結果として企業理念や事業内容に合わない社会貢献をアピールしてしまうと、最悪の場合、すぐに落ちてしまうこともあり得ます。

単純に会社に合う人材ではないという判断に至る場合もありますし、企業研究が足りていないという悪い評価につながることもあるはずです。

企業研究のときは、以下の3つの点に注目すると良いでしょう。

企業研究のポイント

・どのような価値を社会に提供している企業か
・誰をターゲットとしているか
・どのようなビジネスモデルで事業を展開しているか

上記の点を明らかにして企業研究を進めれば、自然と企業が大事にしている社会貢献のあり方が見えてきます。

結果、具体的に社会貢献のかたちをアピールできるでしょう。

【就活の軸は社会貢献】就活の軸の伝え方

採用面接では、就活の軸について質問されることも多いです。

そのため就活の軸を考えるときは、「就活の軸を教えてください」と問われた際の対策も、あわせて考える必要があります。

ここからは、就活の軸について質問されたときの効果的な答え方を紹介していきます。

就活の軸

・軸の数
・軸の内容
・軸にした理由

具体的には、以上の点に触れつつわかりやすく回答することが重要です。

では、重要なポイントを一つひとつの項目ごとに解説していきます。

軸の数

就活の軸を考えるにあたって複数の軸を設定した人は、はじめに就活の軸の数を伝えましょう

たとえば「私は就職活動を進めるうえで、2つの軸を掲げています」などの伝え方があります。

最初に「〇つ軸がある」と伝えることで、話の流れがわかりやすくなり、「〇つの軸があります。1つ目は~」と話すことが自然な流れになります。

軸の内容

次に、就活の軸の内容を述べていきます。

就活の軸が複数ある場合は、まず軸の数を伝えてきましたが、そのあと一気に内容を羅列するのは避けましょう。

複数ある軸について内容を羅列するとわかりにくくなるため、「1つ目は、〇〇…2つ目は…」といった流れで構造化するのが効果的です。

話の流れがわかりやすくなるため、面接官は内容を把握しやすくなります。

なお、就活の軸が1つのみのときは、いきなり内容から入って問題ありません。

軸にした理由

就活の軸について回答するときは、そのことを就活の軸として選んだ理由も伝えましょう。

理由をあわせて述べれば、根拠の伴った就活の軸として説得力が増し、面接官の印象にも残りやすくなるからです。

おさらいになりますが、基本的に理由は原体験に基づいたものにしましょう。

自分ならではの就活の軸になり、オリジナリティが加わることで印象に残りやすくなるのもありますし、「ウケの良さを狙って社会貢献を就活の軸にした」というイメージもなくなります。

なお、就活の軸が複数あるときは、1つ目は…と述べるごとに理由を伝え、理由まで言及し終えたら次の就活の軸について述べることが望ましいです。

【就活の軸は社会貢献】業界別の社会貢献×例文8選!

就活の軸を考える際は、どのような内容が良いのか迷うことも少なくありません。

そのため「社会貢献を就活の軸にしたいけれど、具体的にどう伝えれば良いのかわからない」と困ったときは、就活の軸の例をチェックしておきましょう。

以下で紹介するのは、業界別に見る社会貢献のあり方の例です。

社会貢献にはどのようなかたちがあるのか業界別にチェックし、就活の軸を具体化する際に参考にしてみてください。

IT業界

IT業界では、社会貢献のかたちの例として、以下が挙げられます。

IT業界

・「ITの技術を発展させることで教育格差をなくしていきたい」
・「情報に基づいて的確な経営判断ができる社会を実現したい」
・「IT技術を普及させることで現行の医療体制の課題を解決したい」

社会貢献とは、社会によってさまざまな良い効果をもたらせるように役に立つことです。

教育格差をなくすことや経営の意思決定をしやすくすること、医療の課題を解決すること、いずれも社会の問題を解決に導くことです。

IT業界の場合は、IT技術を活用することで社会にどのような変化をもたらせるか、という点が重要になるでしょう。

例文

私の就活の軸は「情報に基づいて的確な経営判断ができる社会を実現したい」ということです。
私は中学生の頃、家族が経営する中小企業が経済的に苦境に立たされた経験があります。
その際、適切な情報が不足していたために、経営判断が難しくなり、結果的に経営が困難になってしまいました。
この経験を通じて、情報の力を活用することの重要性に気づきました。
また、大学では経営学と情報技術を学び、データ分析の技術やそれを基にした経営戦略の構築方法に深い興味を抱きました。
情報技術を駆使して、全ての企業が正確で迅速な意思決定を行える社会を築くことを目指し、この軸を掲げています。

自動車業界

自動車業界における社会貢献の例は、次のことが挙げられます。

自動車業界

・「ハイブリッド車を世の中にもっと浸透させ、環境負荷を低減していきたい」
・「車を全世界に普及させ、交通利便性を高めることで人々の暮らしを快適にしたい」

自動車業界では、やはり車の製造や販売に関わることで、どのような良い変化を社会にもたらすことができるか考えることが重要になるでしょう。

不便になっているポイントや社会問題として昔から取り上げられていることなどに目を向け、それらを改善したいと述べるのも効果的です。

例文

私の就活の軸は、「車を全世界に普及させ、交通利便性を高めることで人々の暮らしを快適にしたい」ということです。
私がそのように考えるようになった背景には、留学中に経験した交通の不便さがあります。
滞在した都市では公共交通機関が整っておらず、移動が非常に不便で、生活の質が低下していることを実感しました。
そこで、車が普及し交通の利便性が向上すれば、多くの人々の暮らしがより快適になると確信しました。
特に、発展途上国や地方都市では、車の普及が人々の生活に大きな影響を与えると考えています。
御社は車の製造や販売だけでなく、社会全体の利便性向上にも取り組んでおり、その一翼を担うことで世界中の人々に貢献できると信じています。

金融業界

金融業界の場合、社会貢献のかたちには以下のようなパターンが例として挙げられるでしょう。

金融業界

・「地域の皆様の生活に欠かせない存在として地銀から地域活性化を目指し、〇〇市の活性化に寄与したい」
・「保険サービスによっていざというときの不安が一切ない社会を作りたい」
・「投資業務を通じて企業の成長を助け、日本経済を活性化させたい」

金融業界は、銀行や保険など生活に関わる重要なサービス運営に携わることが多いです。

そのため社会貢献のあり方としては、人々の暮らしを支えることが鉄板になってくるでしょう。

またほかには、例にもあるように地銀として地域活性化を目指すこと、経済活性化のために役立つことなども挙げられます。

例文

私の就活の軸は、「保険サービスによっていざというときの不安が一切ない社会を作りたい」ということです。
なぜなら、誰もが安心して生活できる社会を実現するためには、予期せぬリスクに備える仕組みが不可欠だと考えるからです。
大学時代、災害復興ボランティアとして活動した際、多くの被災者が突然の災害により生活基盤を失い、深刻な不安を抱えていることを目の当たりにしました。
この経験から、予測できないリスクに対して備えることの重要性を強く感じるようになりました。
御社は幅広い保険商品を提供しており、社会全体の安心感を高める使命を担っていると理解しています。
御社での業務を通じて、保険サービスを通じて社会に貢献し、人々が安心して暮らせる社会を実現したいです。

教育業界

教育業界は以下のパターンが挙げられます。

教育業界

・「子供の学習環境の改善や教育支援の徹底を行い教育が進んだ社会にしたい」
・「教育を受けるのが難しい状況を脱却するべく教育格差を減らし誰でも教育を受けられる環境を作りたい」

教育業界はまだまだ解決しなければいけない問題が多いため、社会貢献を軸にする際はどのように解決したいのかがカギとなってきます。

具体的に解決したいことを軸に入れて面接官に伝わりやすい工夫をすることが大事です。

例文

私の就活の軸は、「子供の学習環境の改善や教育支援の徹底を行い、教育が進んだ社会にしたい」ということです。
この軸を掲げるようになったきっかけは、大学で学んだ教育政策の授業です。
そこで、教育資源の地域格差や貧困層の子供たちが直面する学習環境の問題について深く考える機会がありました。
特に、家計の事情で塾や家庭教師を利用できない子供たちが、自力で学び続けることがどれほど困難であるかを知り、教育の不平等を強く実感しました。
私は、このような環境に置かれた子供たちが、十分な教育を受けられる社会を実現するために働きたいと考えています。
御社で提供する教育プログラムや支援活動を通じて、すべての子供たちが平等に学べる環境を整えることに尽力したいです。

エネルギー業界

以下のパターンが挙げられます。

エネルギー業界

・「再生可能エネルギーをさらに普及させて、環境を第一に考えた社会にしたい」
・「持続可能な社会をさらに人々に伝えることで環境にやさしい社会を実現したい」
・「再生資源などの活用を積極的に行うことで持続可能な社会の実現をしたい」

現在、環境問題は大きな話題になっている分野なので、環境についての社会貢献は良いといえます。

ただし、書きやすい分被りが多くなってくるので、周りに埋もれないよう気を付ける必要があります。

例文

私の就活の軸は、「再生可能エネルギーをさらに普及させて、環境を第一に考えた社会にしたい」ということです。
大学時代、環境サークルで地域の清掃活動やエコイベントの企画に携わり、地域住民との対話を通じて、環境問題に対する認識がまだ十分に広がっていない現状を目の当たりにしました。
この経験から、再生可能エネルギーの重要性を社会全体に広める必要性を痛感し、その普及に貢献したいと強く思うようになりました。
御社は、再生可能エネルギーの導入に力を入れており、環境負荷を低減するための取り組みを積極的に行っています。
御社での業務を通じて再生可能エネルギーの普及をさらに推進し、環境を第一に考えた社会の実現に貢献したいです。

医療業界

医療業界は以下のパターンが挙げられます。

医療業界
  • 課題解決型の社会貢献
  • 患者一人ひとりに寄り添う貢献
  • 医療のイノベーションを推進する貢献

地域や社会の課題を解決するために、自分のスキルや知識を活かして働きたいという考えのもと設定するものです。

常に新しい知識を吸収し、医療業界全体の発展に寄与する姿勢を重視しするのがポイントです。

例文

私が医療業界を志望する理由は、誰もが健康に安心して暮らせる社会を実現するために、自分が貢献できる環境で働きたいと考えたからです。
私の祖父が病気で長期入院した際、医療従事者が患者だけでなく家族の精神的な支えにもなっている姿を目の当たりにし、その影響力の大きさに感銘を受けました。
この経験を通じて、医療という分野が単なる治療だけでなく、人々の生活基盤を支える重要な存在であることを実感しました。
医療業界では、現場で直接患者に寄り添う立場だけでなく、システムやサポート体制を通じて広く社会に影響を与えることも可能です。
私は自分の知識や経験を活かして、多くの人々の健康を支える仕組み作りに携わりたいと考えています。

サービス業界

サービス業界は以下のパターンが挙げられます。

サービス業界
  • 日常の幸せを支える社会貢献
  • 地域社会の活性化を促進する貢献
  • 人々の課題を解決する貢献

日常の中での小さな満足を大切にし、顧客満足度を高めることを重視するのがポイントです。

人々のニーズを深く理解し、それに応えることで社会に貢献する姿勢を大切にしています。

例文

私の就活の軸は、人々の日常生活に喜びや安心感を提供することです。
サービス業界を志望したのは、大学時代に飲食店でのアルバイトを通じて、接客が持つ力を実感したからです。
お客様の「ありがとう」の一言が、店舗全体の雰囲気を明るくする瞬間を何度も目にしました。
特に、トラブルが起きた際に迅速に対応し、状況を改善することで、ただ商品を提供する以上の価値を届けることができると学びました。
サービス業界では、商品やサービスそのもの以上に「心地よい体験」が重要であると考えています。
私は、自分のコミュニケーション力や気配りを活かし、利用者一人ひとりに最適な体験を提供することで、多くの人々に笑顔を広げたいと思っています。

マーケティング業界

マーケティング業界は以下のパターンが挙げられます。

マーケティング業界
  • 消費者の選択肢を広げる社会貢献
  • 持続可能な社会を支える貢献
  • 地域文化を広める貢献

マーケティングを通じて、環境や社会問題の解決に貢献したいという意志が見え面接官からの印相が良いです。

マーケティングを活用して地域の魅力を広め、社会に新たな価値を提供したいという考えを表すと良いでしょう。

例文

私がマーケティング業界を志望する理由は、社会と企業をつなぐ架け橋として、新しい価値を生み出したいと考えたからです。
大学で消費者行動を研究し、人々が商品を選ぶ背後には、単なる利便性だけでなく感情や価値観が大きな影響を与えていることを学びました。
その研究を通じて、マーケティングが社会課題の解決にも貢献できることを知りました。
たとえば、環境問題への配慮を商品やサービスに組み込むことで、消費者と企業がともに持続可能な未来を目指す姿勢を示すことが可能です。
私は、企業のビジョンを消費者に分かりやすく伝え、新たな需要を創出しながら、社会全体にポジティブな影響を与えるマーケティングを実現したいと考えています。

【就活の軸は社会貢献】軸に関する想定質問

就活の軸を考えるときは、具体的にどのような質問が来るのか不安に感じられるものです。

そのため最後にチェックしておきたい準備のポイントとして、軸に関連する想定質問をいくつか整理しておきましょう。

軸に関する想定質問は、以下のことが挙げられます。

質問例

・入社後はどのような業務を通じて社会貢献したいと考えていますか?
・〇〇を実現するために△△業界を選んだ理由は何ですか?
・自社とあなたの掲げる軸は、どのような点で合致していますか?
・その就活の軸の場合、どのような業界や企業を志望していますか?
・この軸を達成するためのあなたのキャリアプランとは?
・この就活の軸に基づいて、なぜ〇〇職を選んだのですか?

就活の軸に関連することでは、このようにさまざまな質問が来る可能性があります。

そのため就活の軸に関する考えが不十分だと、答えに詰まってしまうことも少なくありません。

想定質問をあらかじめチェックし、的確な受け答えができるように、よく考えを整理したうえで就活の軸を設定しましょう。

まとめ

就活の軸をどのようにするかを迷う方は多いことでしょう。

これから仕事をしていくにあたり、自分にとって何が大事かをよく考える時間をもつことが大切です。

社会貢献することが最大の希望なら、企業への就職ではなく、非営利団体などに目を向けるべきです。

一方、企業も無償のボランティアとは違っても、販売する商品やサービス、技術などを通じて社会に役立つ事業を担っています。

企業活動と自分のニーズをうまく融合させることができるのであれば、企業への業績貢献を通じた社会貢献を就活の軸に据えることは可能です。

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