就活の軸は本音で書いていい？建前への言い換え方や伝え方を注意点とともに紹介

Digmedia編集長

伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

就活において、面接やエントリーシートでよく聞かれる「就活の軸」ですが、この回答を本音で書いてもよいのか、悩む方も多いでしょう。

企業は、あなたの価値観や考え方が自社にマッチしているかを見極めようとしています。

この記事では、就活の軸における本音と建前のバランスの取り方や伝え方の注意点を解説します。

【就活の軸で本音】就活の軸で本音はいいの？

「就活の軸」に関しては、面接やエントリーシートでの回答において、企業は応募者の価値観や考え方が自社の理念や仕事内容にどれだけマッチしているかを確認しています。

そのため、完全に本音をそのまま伝えるのではなく、ある程度の「建前」を意識して、適切に言い換えることが重要です。

これにより、企業に対して誠実でありつつも、ポジティブな印象を与えることができます。

どこまで本音でいいの？

就活の軸は、自分の価値観やキャリアの方向性を決める重要な指針となるため、基本的には本音をベースに考えることが大切です。

しかし、企業に伝える際は、ただ率直に話すだけではなく、ポジティブな表現へと工夫することが求められます。

本音をそのまま伝えると、企業に対する熱意や適性が十分に伝わらないこともあるため、伝え方を意識することが重要です。

例えば、「安定した収入を得たい」という本音がある場合、それをそのまま述べるのではなく、「長期的に働き続ける環境を重視し、安定した基盤を持つ企業でスキルを磨きながら成長したい」と言い換えることで、より前向きな印象を与えることができます。

企業の立場を理解しつつ、自分の価値観を押し出せる表現を考えることで、自然で納得感のある回答ができるようになります。

【就活の軸で本音】就活の軸とは

「就活の軸」とは、仕事を通じて将来何を成し遂げたいか、どのように働きたいか、また企業を選ぶ際に譲れない条件のことです。

この軸を持つことで、自分の働く姿を明確にし、企業とのマッチングを判断しやすくなり、企業も、学生が自身の軸を持ち、それに基づいて企業選びをしているかを重要視しています。

企業選びの軸で本音はOK

企業選びにおける軸という点では、本音で探しても全く問題ありません。

企業選びの軸は、「どんな企業で働きたいか」「どんな環境が自分に合っているか」といった根本的な部分を探るものです。

例えば、給料や勤務地、休暇など、自分にとって大切な条件があれば、それを元に企業を選んで構いません。

就活の軸との違いは、職種や業界に焦点を当てる深い部分ではなく、企業環境や業務スタイルといった面で本音を大切にできる点であることを覚えておきましょう。

【就活の軸で本音】就活の軸を持つ意味

就活の軸を明確にすることは、どの企業に応募すべきかを選ぶための指針になり、自分の本音を軸に持つことで得られるメリットも多くあります。

ミスマッチを防ぎ、企業選びを効率化し、一貫性のあるアピールができるなど、選考を有利に進めるためのポイントとなります。

ミスマッチを防ぐことができる

就活の軸を明確に持つことで、企業とのミスマッチを防ぐことができます。

自分の価値観に基づいて企業を選ぶため、実際に働き始めてから「こんなはずではなかった」と感じるリスクが減ります。

面接や企業説明会で企業の文化や仕事の内容を確認し、自分の軸と照らし合わせることで、就職後のミスマッチを避けることができます。

企業選びが楽になる

就活の軸を本音に基づいて設定することで、企業選びが効率化され、スムーズになります。

例えば、給与や福利厚生、職場の雰囲気など、自分にとって譲れない条件を設定することで、候補となる企業を絞り込むことができます。

しかし、本音で条件を絞りすぎると、選べる企業が限られてしまうこともあるので、バランスを保つことが大切です。

一貫性のあるアピールになる

就活の軸を持っていると、面接やエントリーシートで一貫性のあるアピールができるため、説得力が増します。

企業がどのような価値観を持っているかを理解した上で、自分の軸と一致する点を強調することで、面接官に対して「この企業に本気で入りたい」という意思を示すことができます。

例えば、「どんな企業で働きたいのか」「なぜその企業を選んだのか」といった質問に対して、ブレることなく深い回答ができるため、採用担当者に対して好印象を与えられます。

【就活の軸で本音】企業が聞く意図

企業が就活の軸を尋ねる意図は、主に2つの側面に分かれます。

一つは「この応募者が自社で長く働いてくれるか」を確認するため、もう一つは「企業に対する志望度や真剣さ」を判断するためです。

以下でそれぞれについて詳しく解説します。

「長く働いてくれるか」の確認

企業が就活の軸を聞く理由の一つは、応募者が長く働いてくれるかどうかを確認するためです。

企業側は、就活の軸を通して学生の価値観や働き方の姿勢を知り、自社の方針や企業文化との相性を見極めています。

もし価値観が合わない場合、早期離職の可能性が高まるため、選考時点で慎重に判断されることになります。

特に、早期離職は企業にとっても大きなコストとなるため、企業は自社にフィットする人材かどうかを軸を通じて確認します。

「企業の志望度」の確認

就活の軸を聞くもう一つの理由は、応募者がどれだけ企業研究や自己分析をしているか、そしてその企業に対する志望度がどれほど高いかを確認するためです。

企業は、成長意欲が高く、企業とともに長期的なキャリアを築いていける人材を求めています。

そのため、「なぜこの企業を選んだのか」「他の企業ではなく、この企業でなければならない理由は何か」といった部分に着目しているというわけです。

【就活の軸で本音】就活の軸別ポジティブ面とネガティブ面

就活の軸を設定する際には、各軸のポジティブな面とネガティブな面を比較し、自分にとって納得できる選択をすることが重要です。

以下では、「社風」「挑戦」「チームワーク」「社会貢献」「自己成長」を軸とした場合のポジティブ面とネガティブ面を詳しく解説します。

パターン1「社風」

社風を就活の軸とする場合、働きやすい環境を重視する姿勢がポジティブに捉えられます。

社風に合った職場であれば、長期的に働ける可能性が高まり、人間関係のトラブルが少ない環境で安心して仕事ができるでしょう。

一方で、社風は外から見ただけでは完全には分からないことが多いです。

説明会や社員インタビューで良い印象を受けても、実際に働いてみると期待と異なる場合もあります。

また、個人の成果よりも、職場全体の調和を優先する社風だと、成果が評価されにくい可能性もあります。

社風を軸にする場合は、企業研究やOB訪問を通じて自分に合った環境を慎重に見極めることが大切です。

パターン2「挑戦」

挑戦を就活の軸とする場合、新しいことに取り組み、成長を目指す姿勢がポジティブに評価されます。

挑戦的な環境では、成長スピードが速く、キャリアの選択肢が広がる可能性があります。

多くの経験を積むことでスキルが磨かれ、自信をつけることができるでしょう。

しかし、挑戦には失敗のリスクも伴います。

挑戦が必ずしも評価に結びつくとは限らず、成果を出せない場合にはモチベーションが下がる可能性もあります。

挑戦を軸とする場合は、自分がリスクをどう受け止めるかを理解し、企業がどの程度挑戦を評価する文化を持っているかを確認することが重要です。

パターン3「チームワーク」

チームワークを軸とする場合、職場の一体感や人間関係の深まりを実感できることがポジティブな面です。

チーム全体で目標を達成する喜びを共有でき、協力することで成果を上げられる職場環境は働きやすいでしょう。

しかし、チームワークを重視する企業では、チーム全体の評価が個人にも影響するため、責任が重くなる場合があります。

また、自分のペースで仕事を進めることが難しいこともあるため、計画性や調整力が求められることがあります。

チームワークを軸とする場合は、自分の性格や働き方がチーム志向の文化に合うかを見極めることが必要です。

パターン4「社会貢献」

社会貢献を軸とする場合、組織全体の目標に共感しやすく、社会課題の解決に携われることがポジティブな面です。

社会の役に立つ仕事に取り組むことで、大きなやりがいを感じることができます。

一方で、社会貢献を掲げる企業でも、現実的には利益優先の動きがある場合があり、理想と現実のギャップに直面することがあります。

また、成果が目に見えにくい場合、やりがいを持続することが難しい場合もあります。

社会貢献を軸とする場合は、企業が掲げるビジョンと実際の活動が一致しているかをよく確認することが重要です。

パターン5「自己成長」

自己成長を軸とする場合、目標を達成する喜びを得たり、自分の可能性を広げたりすることができます。

この姿勢は、企業からも前向きに受け取られることが多く、成長志向のある人材として期待されるでしょう。

しかし、自己成長を求められ続けるプレッシャーがかかることや、結果が出ないと評価が低くなる可能性がネガティブな面として挙げられます。

成長を重視する文化の企業を選ぶ場合、自分がその環境で前向きに努力を続けられるかを見極めることが重要です。

また、無理のないペースで成長を追求できるバランスも考慮する必要があります。

【就活の軸で本音】就活の軸の考え方

就活の軸が明確になることで、自分に合った企業を見つけやすくなり、納得のいくキャリア選択が可能になります。

そのためには、自分の価値観や働く目的を整理し、企業との共通点を意識することが重要です。

以下では具体的な考え方を解説します。

自己分析を深める

まず、自己分析を深めることが不可欠です。

自分の価値観を整理するためには、過去の経験を振り返り、どのような状況でやりがいを感じたのかを考えることが大切です。

たとえば、チームで目標を達成したときに満足感を得たのか、あるいは個人で集中して課題を解決したときに達成感を感じたのかを明確にすることで、自分に適した職場環境を見極める手助けになります。

また、どのような環境で最も力を発揮できるのか、何がモチベーションになるのかを知ることで、仕事を選ぶ際の指針が得られます。

さらに、自分がどのような働き方を望んでいるのかを考え、具体的な業務内容や企業文化との相性を判断することが重要です。

働く目的から考える

次に、働く目的から考えることも大切です。

「どんな会社に入りたいか」ではなく、「何のために働くのか」を考えることで、就職先の選択肢が広がります。

たとえば、「社会の課題を解決したい」「自分のスキルを活かして新しい価値を生み出したい」「安定した環境で長く働きたい」など、働く目的は人それぞれ異なります。

この目的を明確にすることで、自分に合った企業の特徴や強みを理解し、選考での説得力を高めることができます。

また、目的を持って働くことで、入社後のモチベーションを維持しやすくなり、長期的なキャリア形成にもつながります。

自分がどのような形で社会に貢献したいのか、どんな価値を提供したいのかを考え、それを軸として企業選びを進めることが重要です。

企業との共通点を考える

最後に、企業との共通点を考えることも欠かせません。

就活の軸は、企業の求める人物像に合わせるものではなく、自分自身の価値観に基づいて設定するものです。

企業選びの際には、自分の軸と企業の理念や事業内容がどの程度一致しているかを確認することが大切です。

企業のホームページや採用情報を読み込むだけでなく、社員インタビューや座談会などに参加し、実際の働き方や企業の風土を理解することが有効です。

また、自分が企業に対してどのような価値を提供できるのかを考え、その企業で働く意義を見つけることが重要です。

このように、自己分析を深め、働く目的を明確にし、企業との共通点を意識することで、自分に合った就活の軸を見つけることができます。

【就活の軸で本音】本音と建前の伝え方

本音をそのまま伝えるのはリスクが伴うため、就活の軸を企業に説明する際には、本音を建前に言い換えて伝えることや、軸のきっかけ、軸と企業の共通点に言及しましょう。

以下でそれぞれの項目について詳しく解説します。

1.軸を建前に言い換え言う

自分の軸を本音そのままで伝えるのではなく、まず建前に言い換えて話すことが重要です。

たとえば、「給料が高いから」といった本音は、建前として「成果が正当に評価される環境で働きたい」といった表現に変えることで、企業に対してポジティブな印象を与えることができます。

また、話を始める際は、結論から述べることが大切です。

最初に自分の軸を簡潔に伝え、その後に詳細を説明することで、面接官に話の全体像を理解してもらいやすくなります。

2.その軸にしたきっかけを言う

次に、なぜその軸を持つようになったのか、そのきっかけを具体的に説明します。

この部分では、過去の経験や出来事を振り返り、その経験がどのように現在の軸に影響を与えたのかを伝えると良いでしょう。

建前として言い換えた軸でも、元の本音に基づいたストーリーを伝えることで、より信憑性が高まり、面接官にも納得感を与えることができます。

ここで重要なのは、そのきっかけがポジティブで、前向きな姿勢を感じさせる内容であることです。

3.企業との共通点を言う

最後に、自分の就活の軸が、志望する企業の理念や特徴とどのように一致しているかを説明します。

企業との共通点を強調することで、面接官に「この人は自社に合っている」と感じてもらうことができます。

また、共通点を示すことで志望度の高さをアピールすることもでき、企業に対する真剣さや本気度が伝わりやすくなります。

例えば、「成果主義の環境で自分の成長を図りたい」という軸を持っている場合、その企業が成果主義を重んじることを例に挙げて、自分の軸と企業の文化が一致している点を強調しましょう。

【就活の軸で本音】本音と建前の言い換え表現一覧

就活の軸の本音と建前の言い換え表現の例をいくつか紹介します。

【就活の軸で本音】どうしても本音を伝えたいときのポイント

就活で「本音を伝えるべきか、建前を意識すべきか」という問題は多くの就活生が直面する悩みの一つです。

時には、建前にうまく言い換える表現が思いつかないことや、どうしても本音を伝えたいという状況があるでしょう。

ここでは、本音を伝える際のポイントを紹介します。

1. 本音の裏にある理由を深掘りする

本音を伝える際には、その裏にある理由や背景をしっかりと考えることが大切です。

なぜその本音に至ったのか、どのような経験が影響しているのかを深掘りすることで、単なる自己中心的な理由ではなく、説得力のある納得できる理由に変換できます。

このように、表面的な理由を掘り下げることで、よりポジティブで理解されやすい理由に変換することができ、企業に対しても誠実な印象を残すことができます。

2. 本音をポジティブな価値観に言い換える

本音をそのまま伝えるよりも、前向きでポジティブな価値観に言い換えることで、企業に好印象を与えることができます。

また、この際に「自分のため」だけでなく、「企業や社会にどのように貢献できるか」を盛り込むことで、さらに共感を得られるでしょう。

「自分が成長することで企業の発展にも寄与したい」というような言い換えにすることで、面接官に対して前向きな印象を残すことができます。

3.理屈をつけない

本音が「給料が高い」「勤務地が近い」といった理由の場合、無理に複雑な理屈をつけて説明するのは避けた方が良いです。

嘘や過度な建前を作ると、面接で深掘りされた際に説明が苦しくなることがあります。

正直に本音を伝えた上で、入社後にどう貢献できるかを具体的に説明する方が、結果的に企業に対して誠実な印象を与えます。

【就活の軸で本音】本音を建前に言い換えた例文

ここからは本音を建前に上手く言い換えた就活生の例文をいくつか紹介します。

どれも直接的に言わず、企業の採用担当者に悪い印象を与えずにうまく文章を構成しているので参考にしてみてください。

給料が高い

会社が安定している

勤務地が近い

残業が少ない

怒られたくない

まとめ

就活の軸は本音と建前のバランスを考え、上手く言い換えることが大切です。

決して嘘をつかず、企業が求める人物像を想定し、この記事の例文も参考にしながら企業に刺さる「就活の軸」を作成してください。