はじめに
教員採用試験には自己PRが必須ですが「何を書いたら良いかわからない」「自分のアピールポイントがわからない」と困ることが多いのではないでしょうか。これを読んでいるということは、考えがまとまらずに悩んでいることでしょう。
本記事では、自己PRを作成する際のポイントやエピソードを使った例文、面接で話す際の注意点など、自己PR作成において知っておいた方が良いことを紹介します。
この記事を読むことで、自己PR作成の過程で自分自身を理解するだけでなく、教員の仕事についても考えるきっかけになり、自信をもって教員採用試験に臨むことができますよ。
自己PRを作成することは試験の第一歩です。しっかり準備して合格を目指すためにも、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
教員採用試験で自己PRが大切な理由
教員は生徒に勉強を教えるだけでなく、様々な経験を通して精神的な成長を促す役割もあります。
教員採用試験は、その教員として求められる力や強み、自身の長所を活かして仕事をしていくことができるのかを見極めるための場です。
そのため、自己PRが大切になってきます。面接官はこの自己PRで、受験者がどのような人物なのかを知っていくからです。自己PRがしっかりできるかできないかが教員採用に大きく関わってくるので、しっかり準備をしましょう。
自己PRの基本的な構成
自己PRを作成する際は基本的なこととして、結論→エピソード→教職での活かし方の順で書いていきます。このことを知っているだけで格段に作成しやすくなるので、覚えておきましょう。では、具体的にどのようなことを書けば良いのか紹介します。
1:最初に結論を書く
自己PRは、はじめに結論となる自分の長所を書いていきます。例えば、忍耐力があるなどの長所を1つだけ簡潔に提示してください。教職で活かせる自分の長所を簡潔に述べてから、次のエピソード部分で具体的なことを書いていく流れです。
2:エピソードを交える
結論を述べたら、その長所を活かした過去のエピソードを書いていきます。エピソードは長所の根拠となるものなので、より具体的に書いていくことが大切です。その中でも活動過程を詳しく書くことで、面接官はあなたに対してのイメージがつきやすくなります。
3:教職での活かし方を書く
自己PRのまとめとして、今まで述べてきた長所はどのように教職で活かすことができるのかを書いていきます。先ほどのエピソードと絡め、教職での活かし方を具体的に書いていきましょう。
教員採用試験での自己PRを作るポイント
ここからは、自己PRの作成の際に知っておくと良い大切なポイントをいくつか紹介します。そのポイントを踏まえることでさらに自己PRが作成しやすくなるので、ぜひ活用してください。
受験する自治体の教育方針などをチェックする
教員採用試験を受験する際に注意してほしいのが、自治体により教育方針などが違うことです。どういう教育に力を入れているのか、求める教師像は何なのかをチェックしましょう。
採用する自治体は方針に合った教師を求めています。方針を確認することで自己PRがより具体的になるため、自信をもって臨むことができるでしょう。
長所は過去の体験から考える
長所を見つけるには過去の体験を振り返って考えてみましょう。過去の困難を乗り越えたときにどのような過程があり、なぜ乗り越えることができたのかを考えると、そこから長所が見えてきます。
伝わりやすく具体的なエピソードを選ぶ
採用担当者はいくつもの自己PRを読みます。その中で伝わりにくい長いエピソードを書いても、印象には残りません。アピールポイントの長所を決めたら、エピソードは伝わりやすく具体的なものを選び、かつ端的に書くことが大切です。
面接官が納得できるよう説得力のある内容にする
自己PRは説得力をもたせるために、活動過程を具体的に書きましょう。例えば、忍耐力があるという長所でも、このようなことがあったけれど諦めなかったから忍耐力がある、とするよりも、その過程で何をしたのかを具体的に述べると長所の説得力が増していきます。
具体的で説得力のある内容は面接官もイメージしやすく、数ある自己PRの中でも印象に残りやすくなります。
エピソードは教育以外の内容も盛り込む
教員採用試験だからといって、教育関連の内容にしなければいけないわけではありません。塾講師バイトなどの経験は教育そのものですが、教員志望が集まる採用試験ではありふれたエピソードといえます。
特殊なことを書けば良いのではなく、バイトやサークルなどの経験からエピソードやアピールポイントを決めましょう。最終的にその経験を教育にどう活かしていくかが書くことが重要です。
現在または現在に近いエピソードを選ぶ
自己PRのエピソードはできるだけ現在に近いものを選びましょう。子どもの頃のエピソードを取り上げても説得力に欠け、面接官からは、現在は頑張った経験がないのではと思われてしまいます。
バイトやサークル、ボランティア活動など、現在に近いエピソードからアピールポイントを考えていくことが大切です。
1分程度で伝えられるようにまとめる
自己PRはとにかく長ければ良いわけではありません。伝えたいことを400~500字で1分程度になるよう端的にまとめましょう。
その長さにすると伝えたいことがすべて伝えきれないでしょうが、自分が何をPRしたいのか優先順位をよく考えることをおすすめします。
ありのままの自分を伝える
自己PRで何よりも大切なことが嘘をつかないことです。少しでも良く見せようと嘘の経験を述べたり話を大きくしたりするのは、ボロが出てしまうため合格からは遠のきます。
教員を目指す人が嘘をつくのは、印象として最悪なものになると理解しておきましょう。自己PRは、すごいことが書いてあれば良いというわけではありません。大事なことはありのままの自分を知ってもらうことです。
教員採用試験の自己PRの例文
作成する際のポイントは理解できたでしょうか。ここからはポイントを踏まえ、4つのエピソードを自己PRの例文として紹介します。ぜひ例文を参考に自己PRを作成してみてください。
ボランティア活動をしたときの例文
私の長所は、関わる相手のことを知ろうと努力できるところです。
大学から継続的に様々なボランティア活動に参加し、子どもからお年寄りまで多くの人と関わる機会がありました。その活動の中で福祉施設にボランティアに行った際、聴覚障害の方と関わる機会があり、上手くコミュニケーションがとれずに悩みました。
普通に会話するだけでは満足のいくコミュニケーションがとれず、相手を困らせてしまうこともあり、自分の無力さを実感する経験でした。
このままではいけないと思い、その人がコミュニケーションをとりやすい方法や簡単な手話を職員の方から教えていただいたり、好きなものや興味のあることを知ったりして、ボランティアに行くたびに打ち解けられるようになりました。
嬉しいと共に、相手のことを考えて知ろうとすることの大切さを感じた大きな経験でした。
教員は様々な子どもたちと関わり、コミュニケーションをとることも重要な仕事だと考えています。ボランティアでの経験を活かし、勉強を教えるだけではなく、子ども一人ひとりのことを知り、寄り添える教員として貢献していきたいです。
アルバイトの経験を活かした例文
私の長所は、失敗を活かして前向きに努力できるところです。
現在、家庭教師のアルバイトをしています。主に小学校高学年の家庭教師を担当していますが、教えていく中で失敗したことも多くあり、子どもたちに申し訳ない気持ちを感じる経験もありました。
家庭教師に慣れてきた頃、勉強が苦手な5年生の子どもを新たに担当しました。私は深く考えず、今までの子どもたちと同じようにどんどん授業を進めていってしまい、その子どもが勉強の面白さを感じずに集中できない日々を過ごしていました。
その様子を振り返って、子どものことを考えずに授業に臨んだ自分の準備不足を反省しました。そこで教材を今までと同じものではなく、子どもの好きなゲームや漫画と絡めた教材を自分で手作りし、楽しく授業ができるように工夫しました。
それでも上手くいかないこともありましたが、子どもが勉強に集中する時間が格段に増え、失敗を受け止めて前向きに努力することの大切さを実感する出来事でした。
教員も失敗の連続で上手くいかないこともあると思っています。勉強面でも子どもとのコミュニケーション面でも自分に間違いがあれば受け止め、より良くしていく努力を忘れずに教員として成長していきたいです。
部活動を通しての例文
私の長所は、目標に向かって諦めずに行動ができるところです。高校のときからバスケットボール部に所属し、大学でも部活を続けてきました。大学の部活ではなかなかレギュラーになることができず、悔しい思いをした経験があります。
そこで私はレギュラーになることを目標に練習をしていましたが、自分だけで練習することに限界を感じ、部活の仲間にアドバイスをもらいながら自主練習に取り組みました。
上手くいかずに悩むこともありましたが、諦めずに自主練習を続けた結果レギュラーになり、試合でも貢献することができました。この経験により、諦めずに取り組むことが自分の大きな力であることを感じました。
教員の仕事は普段の授業だけではなく、行事や子どもたちとの関わりの面で根気強く行動することが求められると思っています。子どもたちの成長のためにどんな目標にも諦めずに行動し、教員の仕事に取り組んでいきたいです。
学校の先生にお世話になったときの例文
私の長所は、努力を積み重ねることができる点です。
私は高校のときに数学の先生にとてもお世話になりました。先生は数学が苦手な生徒のために、週に一度、補習の授業を開いてくれました。私が何度質問しても嫌な顔をせずに教えてくれ、レベルに合ったプリントを用意してくれるほどでした。
先生の思いに応えたい一心で勉強にも身が入り、毎日の勉強を短時間でも欠かさずに行い、テストでも結果を残すことができました。小さなことの積み重ねでしたが、その積み重ねが大事なことなのだと学び、現在も毎日の勉強は欠かさずに行っています。
こうして自分が努力を積み重ねることができると気づいたのも、数学の先生のおかげです。子どもたちに寄り添い、出会えて良かったと思える教員になれるよう、仕事における様々な場面で努力を積み重ねていきたいと思っています。
教員採用試験の面接で自己PRを話す際の注意点
ポイントや例文を踏まえて自己PRができたら、次は面接で話す際のことも対策しておきましょう。ここでは面接で話す際に知っておくと良い注意点を紹介します。面接の対策もしっかりしておけば、自信をもって試験に臨めるでしょう。
エピソードは広げ過ぎない
エピソードは広げ過ぎず、伝えたいことを具体的に述べていきましょう。話を広げ過ぎると、何が本当に伝えたいことなのかわからなくなってしまいます。自分が何をアピールしたいのかをよく理解して話すことが大切です。
一方的に話さず対話を心掛ける
話したいことが決まっているからと面接官の質問とは関係のないことを話し、一方的にならないように注意しましょう。教員にはコミュニケーション能力も必要です。一方的では、コミュニケーションが上手くとれない人だと思われてしまいます。
話すことに一生懸命になり過ぎず、落ち着いて面接官の質問を聞き、対話することも心掛けておきましょう。
例文を参考に自分に合った自己PRを作成し試験に備えよう
ここまで様々なポイントを紹介してきました。まずは自分の過去を振り返って長所を見つけ、そこから長所をどう教職に活かしていくのか考えてみてください。
自己PRは以下のことがしっかり書いてあることが大切です。
・自分の長所を明確にする ・長所の根拠になる具体的なエピソードを端的に書く ・教職でどのように活かしていくか
例文を参考にして自己PRを作成し、教員採用試験に自信をもって臨んでみてください。