【半導体メーカーはどんな仕事?】半導体メーカー就職の業務内容・必須スキル・将来性などを紹介

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

はじめに

半導体業界は、現代社会を支える重要な役割を持ちます。

世界中の人々がもはや手放せなくなったスマートフォンはもちろん、あらゆる電子機器に必要不可欠な物質であり、将来のIoT社会を見据えても業界規模は間違いなく拡大が予想されます。

ここでは半導体とは何かという基礎知識をはじめ、理系学生が電気メーカーへ就職する際の必須スキルや、入社後の業務内容、将来性などについて詳しく解説します。

【半導体メーカーはどんな仕事?】半導体とは?

半導体は、スマートフォンやPCなど電子機器に利用されている物質です。

主な役割は記憶や演算で、メモリやロジック、電流を制御するものなどが存在します。

身近なものから大型施設まで、電気や電波に関わる分野では欠かせません。

【半導体メーカーはどんな仕事?】半導体メーカーの業務内容

半導体業界には技術職である半導体メーカーと半導体を製造する専用装置を作るメーカー、営業職である半導体商社とがありますが、理系学生はやはり知識を活かせる半導体メーカーを志望する傾向があります。

メーカーなら自分のアイディアで製品が変わったり、効率良く作れる技術を開発したりといったように、理系ならではの働きがいを感じられるためです。

また半導体製造装置メーカーでは非常に緻密な作業が必要とされ、小さなミスも許されないクオリティの高い仕事を求められる分、やりがいを感じる理系生も少なくありません。

半導体メーカーの業務は「前工程」「後工程」に大きく二分され、それぞれ異なる業務を行っています。

前工程

前工程は、半導体の設計ウェーハ製造などを担当しています。

ウェーハは半導体の元になるもので、削り出す際に肉眼では追えないほど詳細な回路を書きます。

非常に重要なこの集積回路があってはじめて半導体が記憶や演算を可能とするため、非常に緻密さを求められる業務です。

少しの埃も混入しないよう超純水や薬品で機器を洗浄し、徹底管理された環境下で精度の高い業務を行います。

後工程

後工程は、半導体を組み立てたり、性能や耐久性を試験/検査マーキングを行ったりする業務です。

組立工程ではウェーハから半導体を切り出し、正確な位置に固定/封入(パッケージング)を行います。

この切り出す作業はダイシングと言い、切り離されたチップはダイと呼びます。

パッケージング終了後最終検査を実施しますが、検査にはさまざまあり、電気的な特性検査や外観検査などのほか、寿命試験などの信頼性試験も行います。

基準に満たなければもちろん不良品として排除しなければなりませんので、作業ミスのないよう、また基準をクリアしないものを見逃さないよう、緻密なチェックが必要です。

運搬・出荷作業

半導体の物流には専門業者がいることをご存知でしょうか。

半導体はあまりに精密な物質であり、搬送機も非常に薄いウェーハにも対応できるタイプなど専用のものが存在します。

運搬/出荷作業中にチップの欠けや割れなどが生じてしまうと、不良確率が上がり品質の安定性や生産性に悪影響を及ぼすことになります。

そこで半導体の技術者が運搬などの仕事に携わることがあり、ここにも専門知識や技術が求められるのです。

具体的にどんな企業がある?

日本の半導体メーカーといえば、筆頭は東京エレクトロンソニー日立などが挙げられます。

もちろん世界にもインテルサムソンTSMCといった大手企業がありますが、常にシェア争いが繰り広げられている業界と言えます。

【半導体メーカーはどんな仕事?】半導体メーカーに必要なスキル

理系学生が半導体メーカーへの就職を希望する際、果たして必要なスキルとはどういったものなのでしょうか。

もちろん携わる業務や職種によって変わりますが、一般的に求められやすいスキルについてまとめておきましょう。

電気電子工学に関する専門知識

半導体メーカーへの就職を希望する場合は、できる限り高いレベルの専門知識を持っておいたほうが良いことは間違いありません。

前述した業務の後工程で組み立てなどに携わるのみであれば、さほど高い専門的知識は必要ない場合もあります。

ただ、よりアイディアを活かした働き方を目指すなら、高い水準の専門知識を有しているほうが有利になります。

理系学生であれば電気電子工学に関して、電磁気学、電気回路、情報工学などは初年度から学んでいるはずです。

2年次以降はそこから各専門分野の基礎知識を学び、3年次では2年次で学んだ専門分野をより深く学んでいるのが一般的です。

もちろんそのまま業務で使える学問ではありませんが、こうした応用領域がどれくらい充実しているかは企業側も見ています。

ソフトウェアスキル

現在、あらゆる分野においてソフトウェアスキルは求められる時代です。

そもそも設計はソフトウェア上で行いますので、ソフトウェアを扱うスキルはもはや必須と考えましょう。

たとえば中途採用試験であれば、電子工学のソフトウェアパッケージで使えるものがあるかを聞かれるのは当然ですし、ソフトウェアを実際に使って行ったプロジェクトを聞かれるケースも少なくありません。

学生ですから、さまざまなプロセスを実行するソフトウェアプラットフォームを理解している人はほとんどいないでしょうが、それでも電気機器や電気系統分野におけるソフトウェアの知識は一定量必要です。

シミュレーションに使用するプログラミング言語のスキルがあれば評価されますし、大学で触れるソフトウェアがあるなら、積極的に操作して身につけておくことをおすすめします。

半導体製品製造技術士資格

半導体製品製造技術士資格は、ICチップなど半導体製品を製作する技能を持つことを国が認定する国家資格です。

ただし、残念ながらこちらの資格は2級でも実務経験2年以上という受験資格があり、実際には就職してからの取得を目指すことになります。

試験は都道府県職業能力開発協会が実施しており、集積回路チップ製造作業と集積回路組立作業に区分され、それぞれ1級と2級とが存在しています。

就職にあたってはもちろん資格は求められませんので、就職後に会社として資格取得を全面サポートしてくれる体制のある企業を選ぶというのも良い選択です。

【半導体メーカーはどんな仕事?】半導体メーカーに向いている人

注目度の高い半導体メーカーですが、果たしてタイプとしてはどのような人が向く職業なのでしょうか。

仕事には向き不向きがありますので、適性の高い職種を選ぶほうがより満足のいく社会生活を送れることは間違いありません。

緻密な作業が好きな人

これまで解説してきたように、半導体に関わる仕事は非常に緻密です。

とても小さな物質を扱う仕事のため、どうしても手先の器用さや技術は求められる傾向にあります。

細かい作業が得意物事に集中して完成度の高い業務をしたいという人には向く仕事だと言えるでしょう。

精神力・忍耐力がある人

常に冷静に、淡々と間違いのない業務を日々繰り返し行える人が向きます。

同じような仕事内容が多くなるため、精神的ストレスに強く、忍耐強い人が求められる人材です。

真剣に何かに向き合っている瞬間にも関わらず、すぐに気が散ったり逸れたりしやすい人は適性がないと言わざるを得ません。

【半導体メーカーはどんな仕事?】半導体メーカーは大学院に行くべき?

半導体メーカーに就職するなら必ず大学院に行くべき、というわけではありません。

ただ、半導体に関する研究を自身で行うことでより高い専門性を身につけ、大手企業への就職を目指すというなら、やはり大学院への進学も視野に入れたほうが良いでしょう。

大学院では、学部だけでは学べない研究開発の現場につながる学問を修めることが重要です。

何を目指して就職するのかを突き詰めて考えるのと同じように、何を求めて大学院へ進学するのかを突き詰めて考えれば、自ずと答えは出るでしょう。

実際に就活する段階になり、希望する企業の採用担当者に対して、自分はこうした研究がしたくて大学院へ進学し、こうした仕事をしたくてこの企業へ応募したと言えるようになっていれば良いわけです。

【半導体メーカーはどんな仕事?】半導体メーカーの将来性

半導体メーカーへの就職を考えたときに、半導体業界はもう終わっているのではないかと懸念を抱いている学生は少なからずいるようです。

実際に経済ニュースなどでは半導体産業の業績がネガティブなイメージで語られるケースもありますが、これは産業として一括りにしている範囲が問題だと言えます。

確かに、日本国内で「半導体製品」が儲からないというのは事実ですが、これは「最終製品」に関する話であり、半導体メーカーの売上とは一概に言えません。

つまり、スマートフォンやPC、家電製品など実際に消費者が購入する最終製品の売上は低迷し、海外生産品が市場を席巻しています。

ただ、その製造過程で必要とされる素材やICチップなどの電子部品製造装置は日本が圧倒的シェアを誇り、半導体は現代でも巨大産業と言えます。

世界は今後もIoTやAI化がさらに加速し、半導体の需要は増える一方です。

この事実と将来性をどう見るか、理系学生が注目すべきポイントはそこにあります。

まとめ

半導体メーカーへの就職を目指す理系学生は、半導体業界を取り巻く情勢を冷静に分析し、業務内容や将来性なども見極めて進路を検討することが大切です。

実際に就職した後、どのような業務に携わりたいのか、どんな仕事を実現したいのかをしっかり定めることで、就職先も大学院進学も自ずと道が見えて来るでしょう。

常に最新の情報、正しい情報をアップデートしながら、ぜひ納得のいく進路を決めてください。

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