HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
これから就活に向けて志望動機を考えなければと思っている方は多いと思います。
なかでもエンジニアで金融系を志望される方は増えており、人気職種となっています。
このため、オリジナリティーを出し差別化を図っていくのは難しいと考える方も多いのではないでしょうか?
ここでは、金融系IT企業向けの志望動機の考え方について解説していきます。
また、最後には志望動機の例文も載せていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【金融系ITの志望動機】金融xITの最新動向とは
近年の動向としては、2020年からのコロナウィルスの影響により一時期は大幅な需要減に見舞われました。
現在これらは回復し、大手金融機関を中心に新たなビジネスモデルの構築に向け積極的なIT活用が進められています。
今後の新たな社会を見据えて、非対面チャネルの強化や業務効率化などのDX推進は、特に力を入れ取り組んでいると言われています。
また、顕著な増加を見せているデジタル通貨やオンライン決済についても、プラットフォーム整備などのハード面での投資が増えています。
一方で金融業界においては、セキュリティ問題から、クラウド化への対応が遅れている傾向にあります。
これらの今後の移行などのニーズを踏まえ、これからも需要の増加傾向は変わらないと考えられています。
【金融系ITの志望動機】金融系IT企業とは
金融系IT企業と言っても、その事業範囲は広く、業態は多岐に渡り全体像はつかみにくい業界だと思います。
ここでは、「SIer」と「Saas系IT企業」の大きく2つに分けて業界を説明していきます。
SIer
SIer(エスアイヤー)とは、システムインテグレーター(Systems Integrator)の略です。
さまざまな企業または、行政などからの依頼を受け、要件の定義を行いシステム開発までを請け負い導入をサポートします。
ある企業からの依頼に対し、顧客からのヒアリングから課題の洗い出しを行い、システムの全体設計を作ります。
全体の設計から、別のSIerへの依頼を行うなど、複数の会社でシステム開発する流れが一般的です。
取引先は多岐に渡り、金融特化の独立系SIerや金融系企業を親会社に持つユーザー系SIer、さらに、メーカー系SIerでも金融分野の仕事があります。
ひと口にSIerと言っても、仕事の範囲や得意分野は異なる特徴があります。
Saas系IT企業
Saas(サーズ)とは、ソフトウエア・アズ・ア・サービス(Software as a Service)の略です。
ソフトウエアでサービスを提供しているクラウドサービスです。
具体的にはキャッシュレス決済サービスや仮想通貨、経理・会計・労務管理ソフトを取り扱う企業などを指します。
また、金融サービスとテクノロジーをかけ合わせた言葉でFintech(フィンテック)と言った造語があり、それらの事業を行っている企業をFintech企業と呼びます。
IT技術によって普及が進む、電子決済や仮想通貨はこれらFintechの代表例とも言えます。
その他にも、ソーシャルレンディング・クラウドファンディングなどはFintechがもたらした、今までにない新たなビジネスモデルです。
【金融系ITの志望動機】募集職種
志望動機を考える上で、自分が望む企業や業界を知ることは最低限必要なことです。
その上で、どのような職種があり、自分の希望職種は何であるかをしっかりとイメージして志望動機を考えることが重要です。
次に具体的な職種を解説していきます。
・システムエンジニア
・ITコンサルタント
・営業
システムエンジニア
SE自体はソフトウエアの設計・開発を行う仕事です。
プログラマーと混同されがちですが、SEが作った設計書をもとに、ソフトウエアのプログラミングする仕事がプログラマーの仕事であり、正確には異なります。
SEはクライアントからのヒアリングを行い、悩みや解決したいシステムを明確にし、それらをもとにソフトウエアの仕様を決定します。
SIerの中では最も採用人数が多い職種でもあります。
また、上流工程から、下流工程まで幅広く仕事をカバーしているため、経験年数や会社規模によって担う領域が異なってきます。
クライアントとの打ち合わせから、要望を形にして提案書を作成し、設計書に落とし込むため、コミュニケーション能力は必須です。
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、端的に言うと「IT技術を活用して企業の課題を解決する専門家」といったイメージです。
企業担当者と打ち合わせをしながら、悩みや困っている部分の解決を行ったりするところはSEと仕事内容は似ています。
しかし、企業の経営戦略に沿ってIT戦略の策定を行ったり、システムの最適化を通じて企業の経営を助ける職種でもあり、より専門的な仕事で、SEが担うさらに上流を担うことが特徴です。
ユーザー系SIerの場合、募集人数としては少数ですが、コンサルトを募集している企業もあります。
また、昨今のITに関する需要の拡大から、総合コンサルティングファームでも募集が増えている職種です。
営業
SIerを提供している企業では単にシステム開発のみの提供ではなく、「システムの運用、保守」「自社エンジニアの派遣」「コンサルティング」などの業務を請け負っているのが特徴です。
営業はこれらの自社のさまざまなサービス提供に携わり、販売を促進していく職種です。
仕事内容から主に独立系SIerでの募集が多いのも特徴的です。
ITに関する知識は必須ですが、クライアントに自社のエンジニアを派遣することもあるため、エンジニアのフォローなど他業界の営業とは異なる部分が多くあります。
【金融系ITの志望動機】志望動機で見られているポイント
エントリーシート上で、あなたが他の人と差別化をしアピールするためには、志望動機は非常に重要なポイントです。
企業は志望動機のどの部分を注視しているのでしょうか?
3つのポイントに分けて解説していきます。
・熱意
・人柄
・マッチ度
熱意
企業はこれから自社に入社してもらい、育て、長い年月活躍してもらう人材を採用しようとしています。
熱意や意気込みのない人材が積極的に採用されることは、まずありません。
ここで間違えやすい点としては、熱意の伝え方にあります。
熱意を伝えたいがあまり、「私はこの企業が好きなんです」といった方向への伝え方になるケースが見られます。
企業が求めている人材は自社の「ファン」ではありません。
一緒に会社を成長させ、発展させていく「仲間」を求めているのです。
そのためには、入社後に「何がしたいのか」「どうなっていきたいのか」を熱意を持って伝える必要があります。
企業や業界の研究は志望者であれば、誰もが行っていることです。
その上で、さらに深掘りをし、自分のビジョンと重ね合わせていくことが重要です。
人柄
人柄も人選していく上では、重要なポイントの一つです。
実際には主に面接で対面した際の表情や清潔感、会話の中でのコミュニケーションから判断されることが多いと思います。
しかし、志望動機の作り方からその人柄を伝えることも可能です。
エントリーシート作成時に手書きの方は、まず丁寧に作成することを意識してください。
文字を見やすくキレイに整えることも人柄を表すには大切なことです。
また、PC入力の方はテンプレート化して使い回さないことに気をつけてください。
企業をイメージして丁寧な文章を作成していくことが大切です。
志望動機に具体的に落とし込む内容として、ポジティブな思考を持っていることや目標設定がなされていることなどで判断されていることがあります。
マッチ度
いわゆる相性の良さも採用する上では重要な要素の一つです。
企業が求める人物像や理念、文化などに自分が共感し強みが生かせる場であるかどうかをはかられます。
これらが低いと判断されると、早期離職の恐れがあるとして、採用につながりにくい可能性が高まります。
志望動機にマッチ度を表現するためには、まずは企業研究をしっかりと行うことです。
企業の理念や経営方針をしっかりと理解し、製品、サービスの情報やカルチャーなど、さまざまな方向からの情報収集が大切です。
その中から、自分自身で共感できる点を見つけ出し、アピールにつなげてください。
企業側に自分の適性や貢献度をアピールすることにより、採用の可能性を高める効果を狙います。
【金融系ITの志望動機】求められる人材
金融系IT企業で求める人材とはどのような人材でしょうか?
企業が求める人物像を的確に捉えなければ、良い志望動機を書くことはできません。
以下に3つに分けて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
・論理的思考力を持った人
・やり遂げる力のある人
・責任感のある人
論理的思考力を持った人
SEやITコンサルタントで求められる力として第一に論理的思考力があげられます。
システムを設計する際や、新たなプログラムを組もうと思った時には、なぜそうなるのかといった論理的思考が必要となってきます。
また、お客様とのコミュニケーションを取る場面や、お客様が考えている理想形を形にしていく作業もあります。
このような場面では、結果から過程を導き出す論理的思考を持っている人の方が作業がはかどりやすく、安心して任せられます。
このため、物事の成り立ちや原理などを考えるような、ロジカルな思考を持った人材の方が評価は受けやすいです。
面接の際には結論ファーストで話すことで、自身の論理性をアピールしましょう。
やり遂げる力のある人
金融系IT企業にかかわらず、どの業界においても仕事を途中で投げ出すような人材は信用されませんし、評価を受けることはありません。
特に、金融系IT企業ではさまざまな場面で、「やり遂げる力」「遂行力」が必要となってきます。
中でも、SIerはクライアントワークであることから、このやり遂げる力は何よりも大切なスキルとなってきます。
クライアントの中には自分とは、肌感の合わない人もいるかもしれません。
また、システムを設計している際には、うまくいかずにさまざまなエラーに遭遇する場面もあるはずです。
こういった困難を一つひとつ丁寧に解決し、最後までやり遂げる力が必要となってきます。
その力が、今後の信頼や成長につながってきます。
責任感のある人
責任感がある人とは、具体的にどういった人を表すでしょうか。
一般的に責任感のある人とは、「結果を出して信頼されている人」のことです。
物事にしっかりと向き合い、成果を出してはじめて周り人たちの信頼を得ることができます。
金融系システムは数字一つの間違いも許されない業界です。
また、間違いやミスを放置してしまうと、社内のみならず、社会的インフラに多大な影響を及ぼす可能性もあります。
このため、責任感を持ってしっかりと仕事に取り組めることはもちろんですし、誠実な人材が好まれます。
志望動機を書くときや、面接のときには、一つのことに対して真剣に向き合った経験や責任の多い立場で活躍したエピソードなどでアピールすると良いでしょう。
【金融系ITの志望動機】志望動機の構成
相手にうまく伝えるためには、構成は重要なポイントです。
構成が整っていないと、ふぞろいな印象を与え相手側に内容がしっかりと伝わりません。
以下にあげる3つのポイントを意識して作成してみてください。
結論→根拠となるエピソード→入社後のビジョン
結論
志望動機は結論から書き始めるのが有効です。
結論から書き始めることで、伝えたい内容が簡潔に分かりやすくなり、読み手の興味を引くことができます。
逆に結論を後まわしにし、長々と説明を重ねると理論的な思考ができない人との印象を与える可能性があります。
このため、志望動機を考える際は、結論ファーストで述べることを意識して作りましょう。
さらにこのときに注意したい点として、結論も長過ぎないと言うことです。
せっかく結論ファーストで簡潔にわかりやすくを意識しても、それ自体が長すぎると伝わりにくくなり印象も弱くなります。
一言で述べられるくらいの長さが、読み手にも興味を引き好印象を与えることができるでしょう。
根拠となるエピソード
結論を先に述べたあとは、その根拠となるエピソードを伝えます。
この際に、より具体的に説得力を持たせることを意識しましょう。
ただやみくもにエピソードを述べても、熱意は伝わらないし、良い印象を与えることもできません。
なぜ、この業界を選び志望することになったのかや、なぜこの企業を選んだのか、そこには理由があるはずです。
自身が体験した内容と志望動機をうまく一致させることができれば、説得力が増し、差別化を図ることができます。
また、エピソードの内容は壮大で立派な内容が評価されるとは限りません。
あなたらしい、熱意の伝わるエピソードを思い出してみましょう。
入社後のビジョン
最後の締めとして、入社後の自身のビジョンを伝えます。
具体的には入社後のやりたいことや、どういった活躍をしたいかと言った内容です。
志望動機を踏まえて、自身がその企業で何を達成したいのか、またどのような将来像を描いているのかを伝えます。
これらの姿が、企業の求める人材と近ければ、マッチ度も上げることができ、より好印象をアピールできます。
そのためには将来像や、やりたいことに関しては、より具体的な内容で相手に伝えることが必要となってきます。
相手が働く姿をイメージできるくらいまで、具体的な内容で伝えることができれば、熱意を感じる志望動機を作ることができます。
【金融系ITの志望動機】志望動機を書く上での注意点
ここまで志望動機を考える上での必要な内容の解説をしてきました。
しかし、志望動機には避けた方がいい内容や、気をつけなければならない表現などもあります。
以下に紹介しますので、考えるときの参考にしてください。
福利厚生に言及
福利厚生が整っている会社は安心感があり、働き手の満足度も高い傾向があります。
実際に就活生が企業を選ぶ際にも、福利厚生の充実さは、大きなポイントとなっています。
しかし、志望動機として福利厚生の充実さを取り上げるのは、あまり好ましくありません。
福利厚生は会社が好意で設定しているものであり、事業や業務との直接の関わりがない部分です。
そのため、福利厚生を中心とした志望動機では、なぜこの会社を志望したのかが伝わりにくく差別化することが難しくなります。
さらには、働くことに関心がなく、働く意欲が弱いのではとの印象を与えます。
企業が求める人材の大前提としては、利益を生み出すことができる人材です。
企業にとって役立つ人材であるとアピールする方向が良いでしょう。
エピソードが抽象的
志望動機を作るときのエピソードに具体性がなければ、なぜ当社を志望しているのかが伝わらず、説得力が欠けてしまいます。
エピソードを考えるとき、多くの人はできるだけ、壮大で見栄えの良いエピソードを考えようとして悩む傾向にあります。
エピソード自体は、それほど大きな内容でなくても構いません。
日常にある小さな出来事でも大丈夫です。
大切なのは、内容に具体性を持たせることと、企業への志望動機とどうつながっているかです。
まずは、考えついたエピソードを深掘りすることが大切です。
「なぜ、なぜ」の問いかけを繰り返し、深掘りすることによって、具体性を持たせることができます。
どうしても難しいと言った方は、「将来こうなりたいから御社を志望する」と言った形で考えるのも一つの方法です。
受身な姿勢
企業が人材を採用するとき、何事にも受身で受動的な人材は敬遠されます。
さまざまなことにチャレンジしようとする、能動的な人材を好む傾向にあります。
このため、企業から与えられる何かを志望動機にすることは避けた方が良いでしょう。
例えば、「研修制度」や「教育制度」が充実しているといった類です。
これらは素晴らしい制度で、見かけ上は会社を持ち上げているようにも見えますが、能動的な人材であると判断されます。
会社は学校とは違い、仕事を教えてもらう場所ではありません。
受身人材と判断されると、評価も低くなってしまいます。
企業が求めている人材は周りの人を巻き込む力や、自らつかみ取る力を持った人材であることを意識しましょう。
【金融系ITの志望動機】例文
ここまで金融系ITの志望動機の考え方についてを紹介してきました。
ここからは、これらの考え方をもとにした、例文を2つ紹介します。
例文を参考に自身でアレンジをして、あなたらしい志望動機を完成させてください。
例文①
貴社の開発するITシステムは世の中には必要不可欠なシステムであり、重要なインフラとなっています。
世の中を支えるITインフラに携わるエンジニアになりたく貴社を志望しました。
私は、先日行われたハッカソンに参加し、金融商品の自動取引システムの開発に取り組みました。
その際、金融業界の高度な技術力やコンプライアンスに関する知識が求められることを実感しました。
これらのスキルを身につけ、多くの人々や社会に役立つ貢献をしたい思いが強くなり、より大きな影響を与えられるフィールドでの活躍を目指したいと考えています。
私は社会貢献につながる仕事に興味があり、ITインフラを通して社会に貢献したいという強い思いがあります。
そのため、貴社の大規模システム開発に携わることで、社会インフラを支える仕事を通じて、多くの人々の生活に貢献したいと考えています。
例文②
私は、大学時代に学んだ情報工学と、長期インターシップ経験を通じて培ったシステム開発スキルを生かし、世の中を支えるイノベーションを起こすことに魅力を感じております。
貴社が保有するテクノロジーを駆使し、金融分野における課題解決や新しい価値の創出に貢献できることを期待しております。
また、貴社の経営理念である「世の中を支えるイノベーションを起こす」という価値観にも共感を抱いております。
社会に貢献することができる企業として、貴社が持つ独自の技術力やサービス提供力を通じて、社会によりよい価値を提供できると考えております。
私は、貴社が目指すビジョンに共感し、金融IT分野での研さんを積みながら、自身のキャリアを発展させることにより、貴社に貢献できるものと考えております。
まとめ
金融系IT企業は今後も大きく伸びていく業界であり、求人数も増加傾向にあります。
企業では採用人数を増やして対応していますが、人気職種でもあり志望者数も増加の傾向にあります。
多くの希望者がいるなかで、書類選考を通過するためには、まず志望動機を充実させることが大切となってきます。
ここまであげてきた業界の特徴や、求めている人物像を参考にしながら、あなたらしいオリジナリティーのある志望動機を考えてみてください。