【業界研究】不動産業界はきついのか?理由や向いていない人の特徴を徹底解説!

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伊東美奈
Digmedia監修者
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

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はじめに

業界研究を進める中で「不動産業界」に興味を持ったものの、「きつい」「やめとけ」といった声を聞いて不安になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産業界の実態について、なぜ「きつい」と言われるのか、そしてその中で活躍できる人の特徴や必要な準備について、詳しく解説していきます。

あなたの業界研究を深める一助になれば幸いです。

【不動産業界はきついのか】不動産業界はきつい?

「不動産業界はきつい」というイメージは、残念ながら多くの就活生が持っているようです。

確かに、営業職における成果主義(ノルマ)のプレッシャーや、お客様の都合に合わせるための土日出勤・不規則な勤務時間といった側面は存在します。

しかし、それは業界の一面でしかありません。

「きつい」と感じるかどうかは、仕事内容や職種、そして何より個人の適性によって大きく異なります。

この記事で、その実態を多角的に解き明かしていきましょう。

【不動産業界はきついのか】不動産業界の仕事内容

不動産業界と一口に言っても、そのビジネスモデルは非常に多岐にわたります。

皆さんがイメージしやすい「家を売る・貸す」といった仕事(仲介・販売)以外にも、街づくりそのものを手掛ける「開発(デベロッパー)」、ビルの価値を最大化する「管理(プロパティマネジメント)」、投資家向けに物件を取り扱う「不動産投資」など、その領域は驚くほど広大です。

「きつい」イメージは特定の業務(特に個人向け営業)に偏っていることが多く、業界全体がそうであるとは限りません。

まずは、不動産業界がどのようなビジネスで成り立っており、どのような仕事があるのか、その全体像を掴むことが重要です。

そうすることで、自分に合った分野や働き方を見つけるヒントが得られるはずです。

ここでは、代表的な仕事内容を4つに分けてご紹介します。

不動産開発(デベロッパー)

不動産開発、通称「デベロッパー」は、大規模な土地や街区を対象に、商業施設、オフィスビル、マンション、リゾート施設などを企画・開発する仕事です。

まさに「街づくり」そのものを手掛ける、非常にダイナミックでスケールの大きな仕事と言えるでしょう。

用地の仕入れから始まり、市場調査、コンセプト策定、行政との折衝、設計・施工会社の選定、そして完成後の運営まで、プロジェクト全体を統括する役割を担います。

数年、時には十数年単位の長期プロジェクトとなることも珍しくありません。

莫大な金額が動くためプレッシャーは大きいですが、自分の携わった建物が地図に残り、多くの人々の生活やビジネスの基盤となる瞬間のやりがいは、他では味わえない格別なものがあります。

幅広い知識と調整能力、未来を見据える先見性が求められる、不動産業界の花形とも言える仕事内容です。

不動産販売

不動産販売は、デベロッパーなどが開発した新築マンションや戸建て住宅を、個人のお客様に販売する仕事です。

モデルルームや現地販売センターでお客様を迎え、物件の魅力や特徴を説明し、資金計画の相談にも乗りながら、購入の決断を後押しします。

お客様にとって「一生に一度の買い物」となることが多いため、数千万円から時には億を超える高額な商品を扱う責任は重大です。

契約に至るまでには、お客様のニーズを的確に汲み取り、不安を解消しながら信頼関係を築く高度なコミュニケーション能力が不可欠です。

また、販売目標(ノルマ)が設定されていることが一般的で、成果が直接インセンティブ(報奨金)に反映されることも多いため、実力主義の世界で自分を試したいという意欲のある人にとっては非常にやりがいのある仕事です。

不動産仲介

不動産仲介は、「家を売りたい・貸したい人(オーナー)」と「家を買いたい・借りたい人(お客様)」を結びつけ、売買契約や賃貸借契約を成立させる仕事です。

皆さんが「不動産屋さん」と聞いて最もイメージしやすいのがこの分野かもしれません。

売買仲介(中古住宅や土地)と賃貸仲介(アパートやマンション)に大別されます。

営業担当者は、お客様の希望条件をヒアリングし、最適な物件を提案、現地へ案内(内見)し、契約手続きをサポートします。

お客様の人生の転機に立ち会うことが多く、感謝の言葉を直接いただける機会も多いのが魅力です。

一方で、オーナーとお客様、双方の希望条件を調整する難しさもありますし、特に賃貸仲介は土日祝日が最も忙しくなるため、カレンダー通りの休みを希望する人にはミスマッチかもしれません。

不動産管理

不動産管理は、マンションやオフィスビル、商業施設などのオーナーに代わって、その物件の運営・管理業務全般を担う仕事です。

具体的には、入居者の募集や契約・更新手続き、家賃の徴収、クレーム対応、建物の清掃や点検・修繕の手配など、業務は多岐にわたります。

物件の資産価値を維持・向上させることが最大のミッションであり、オーナーの収益最大化をサポートする重要な役割です。

縁の下の力持ち的な存在ですが、入居者からは快適な環境維持を、オーナーからは安定した経営を求められるため、調整能力や迅速なトラブル対応力が試されます。

営業ノルマに追われることは比較的少ない傾向にありますが、多様な関係者と円滑にコミュニケーションを取る力が必須であり、地道な努力が求められる仕事です。

【不動産業界はきついのか】不動産業界の主な職種

不動産業界の「仕事内容」を理解したところで、次に「職種」について見ていきましょう。

同じ不動産業界でも、職種によって求められるスキルや働き方、そして「きつさ」の種類は全く異なります。

例えば、「営業職」と一口に言っても、個人のお客様に高額な住まいを売るのか、法人向けにオフィスビルの賃貸を仲介するのかで、プレッシャーの種類も変わってきます。

自分がどの職種に興味があるのか、またどの職種が自分の強みを活かせそうかを考えることは、業界研究において非常に重要です。

「不動産業界=営業」という短絡的なイメージを捨て、多様なキャリアパスが存在することを知ってください。

ここでは代表的な5つの職種を紹介します。

営業職

不動産業界における営業職は、その最前線に立つ花形の職種です。

前述の「販売」や「仲介」の多くがこれにあたります。

個人向けの営業(BtoC)では、マンションや戸建ての販売、賃貸物件の紹介などを行い、お客様の「住まい」という人生の大きな決断に寄り添います。

法人向けの営業(BtoB)では、企業に対してオフィスビルや店舗の仲介、あるいは不動産活用の提案などを行います。

いずれも成果が数字(契約件数や金額)として明確に出るため、実力主義・成果主義の傾向が強いのが特徴です。

そのため、厳しいノルマが課されることも多く、「きつい」イメージの源泉となりがちです。

しかし、成果を出せば若いうちから高い収入や役職を得られる可能性も高く、目標達成意欲の高い人にとっては非常に魅力的な職種と言えます。

企画・開発職

企画・開発職は、主にデベロッパー(不動産開発会社)に所属し、新しい不動産プロジェクトを生み出す職種です。

土地の仕入れ(用地取得)から始まり、その土地にどのような建物を建てるのが最適か(商業施設か、マンションか、オフィスか)、市場調査や需要予測を行いながら企画を立案します。

プロジェクトが始動すれば、設計者、建設会社、行政機関、テナント候補など、非常に多くのステークホルダー(利害関係者)との調整を行いながら、プロジェクト全体を推進していきます。

地図に残る仕事であり、社会的な影響力も大きいため、やりがいは計り知れません。

ただし、一つのプロジェクトが完了するまでに数年単位の時間がかかることも多く、地道な交渉や膨大な資料作成といった泥臭い業務も多いため、粘り強さと幅広い知識が求められます。

管理職(プロパティマネジメント)

管理職(ここでは役職者という意味ではなく、職種としての「管理」)は、プロパティマネジメント(PM)とも呼ばれ、不動産オーナーから委託を受けて、ビルやマンションの運営管理を行う専門職です。

入居者の募集(リーシング)や賃料交渉、建物の維持・修繕計画の立案、コスト管理など、物件の資産価値を最大限に高めることがミッションです。

営業職のように目立つ成果(インセンティブ)は少ないかもしれませんが、オーナーとの長期的な信頼関係を築き、不動産経営のパートナーとして頼られる存在です。

また、入居者からのクレーム対応や設備トラブルへの緊急対応なども発生するため、冷静な判断力とホスピタリティが求められます。

比較的安定した働き方がしやすい一方で、多様な問題を解決する調整能力が試される職種です。

事務職

不動産業界の事務職は、その業務内容によって「営業事務(営業サポート)」と「一般事務」に大別されます。

営業事務は、営業担当者のサポート役として、物件情報のデータ入力、契約書類の作成、お客様への電話応対や来店時の初期対応などを担います。

営業担当者がスムーズに動けるよう、正確かつ迅速な事務処理能力が求められ、時には宅地建物取引士(宅建士)の資格が活きる場面も多いです。

一般事務は、総務、経理、人事といったバックオフィス業務を担当し、会社全体の運営を支えます。

不動産業界特有の専門用語や法規制に触れる機会も多いですが、比較的カレンダー通りに休みやすい傾向があり、ワークライフバランスを重視したい人にも適しています。

どちらも「きつい」イメージの営業職とは異なる働き方が可能です。

技術職(設計・施工管理など)

不動産業界は、建物を「つくる」プロセスも内包しています。

特にハウスメーカーや建設会社、デベロッパーの技術部門などでは、技術職が活躍しています。

具体的には、お客様の要望を形にする「設計職」、建設現場で工事の進捗や安全、品質を管理する「施工管理職」などが代表的です。

これらの職種は、建築や土木に関する専門的な知識やスキル、そして関連する資格(建築士、施工管理技士など)が求められます。

現場での業務も多く、体力的な負担や工期に追われるプレッシャーもありますが、モノづくりの達成感をダイレクトに感じられるのが大きな魅力です。

理系の学生だけでなく、文系からでも施工管理職などにチャレンジできる企業も増えています。

【不動産業界はきついのか】不動産業界がきついとされる理由

さて、ここまで不動産業界の多様な仕事内容や職種を見てきましたが、それでもなお「きつい」というイメージが先行するのはなぜでしょうか。

このセクションでは、就活生の皆さんが不安に感じるであろう「きついとされる理由」について、包み隠さず具体的にお伝えします。

ただし、これらはあくまで一般論であり、すべての企業や職種に当てはまるわけではないことを理解してください。

大切なのは、こうした側面があることを知った上で、自分にとって何が「きつい」と感じるポイントなのかを自己分析し、企業選びの軸を明確にすることです。

ネガティブな情報に目を背けるのではなく、正しく理解して向き合うことが、後悔のない選択に繋がります。

営業ノルマが厳しい

不動産業界、特に個人向けの販売や仲介営業において、「きつい」と言われる最大の理由の一つが、この営業ノルマ(目標)の厳しさでしょう。

不動産は扱う金額が非常に大きいため、1件の契約が会社の売上に与えるインパクトも絶大です。

そのため、月間や四半期ごとに厳格な目標が設定され、その達成度が給与(特にインセンティブ)や評価に直結するケースが少なくありません。

目標を達成できない月が続けば、上司からのプレッシャーを感じたり、精神的に追い詰められたりすることもあるでしょう。

一方で、成果を出せば青天井で稼げるという側面もあり、この成果主義の環境を「やりがい」と捉えられるかどうかが、適性を見極める大きなポイントになります。

休日が不規則(土日出勤)

不動産業界、特に賃貸仲介や新築販売など、個人のお客様を相手にするBtoCの分野では、土日祝日がメインの勤務日となることが一般的です。

なぜなら、お客様が物件探しや内見、契約手続きのために動けるのが、主に土日祝日だからです。

その代わり、平日の「火曜日・水曜日」などを定休日にしている企業が多く見られます。

友人や家族と予定を合わせにくい、世間の連休(ゴールデンウィークなど)が繁忙期にあたる、といったデメリットは確かに存在します。

プライベートの時間をカレンダー通りに確保したい人にとっては、この勤務体系が「きつい」と感じる大きな要因になります。

逆に、平日の空いている時に出かけられる、役所の手続きがしやすいといったメリットと捉える人もいます。

顧客対応の難しさ

不動産は、お客様にとって「人生で最も高額な買い物」の一つです。

それゆえに、お客様の期待値は非常に高く、要求もシビアになりがちです。

物件のメリットだけでなくデメリットも正確に伝え、法律や税金に関する専門的な質問にも答え、資金計画の相談にも乗る必要があります。

また、賃貸や管理の分野では、入居者からのクレーム(騒音、設備不良など)や、時には住民同士のトラブルに対応しなければならない場面もあります。

多様な価値観を持つ人々の間に入り、利害を調整する役割を担うため、高いコミュニケーション能力とストレス耐性が求められます。

人の人生に深く関わる責任の重さが、精神的な「きつさ」に繋がることもあるのです。

労働時間が長くなりがち

不動産業界の営業職は、労働時間が長くなる傾向にあると言われます。

その理由の一つは、お客様の都合を最優先するスタイルにあります。

例えば、平日の仕事終わりに内見を希望されれば夜に対応しますし、契約手続きが長引けば残業になることもあります。

また、土日に集中するお客様対応に備え、平日のうちに物件資料の作成、ポータルサイトへの情報登録、オーナーへの連絡といった事務作業を終わらせる必要があるため、結果として拘束時間が延びがちです。

「みなし残業代」が給与に含まれている企業も多く、時間外労働が常態化しているケースもゼロではありません。

近年は働き方改革が進みつつありますが、企業や営業所による差が大きいのが実情です。

体育会系の風土が残る企業も

これは不動産業界に限った話ではありませんが、特に成果主義が色濃い営業部門などでは、いわゆる「体育会系」の風土が残っている企業も存在します。

目標達成への意識が非常に高く、時には精神論が重視されたり、上下関係が厳しかったりするケースです。

もちろん、活気があり、チームで目標を追いかける一体感がある、若手の成長スピードが速いといったポジティブな側面もあります。

しかし、ロジカルな思考や個人の裁量を重視するタイプの人がこうした環境に入ると、カルチャーギャップに苦しみ、「きつい」と感じてしまう可能性があります。

企業説明会やOB・OG訪問を通じて、その会社の「空気感」が自分に合うかどうかを肌で感じ取ることが重要です。

景気に左右されやすい

不動産業界は、その性質上、社会全体の景気動向に大きく左右されます

景気が良ければ企業の設備投資が活発になり、オフィス需要が高まりますし、個人の所得が増えれば住宅購入意欲も高まります。

逆に、景気が悪化すれば、真っ先に不動産への投資や購入が手控えられます。

また、金利の動向も非常に重要で、低金利が続けばローンを組んで不動産を買いやすくなりますが、金利が上昇すれば市場は冷え込みます。

このように、自分個人の努力だけではどうにもならない外部要因によって業績が変動するリスクは常にあります。

安定志向が強い人にとっては、この不安定さが「きつい」と感じる一因になるかもしれません。

不動産業界の現状・課題

「きつい」側面が注目されがちな不動産業界ですが、業界全体としては今、大きな変革期を迎えています。

長らく日本の基幹産業として経済を支えてきましたが、社会構造の変化やテクノロジーの進化といった外部環境の波を真正面から受けているのです。

就活生の皆さんには、単に「きついかどうか」という視点だけでなく、業界が直面している「今」と「これから」についても深く理解してほしいと思います。

現状の課題を知ることは、その業界で働くことの難しさであると同時に、皆さんが将来解決に貢献できる「チャンス」でもあります。

ここでは、不動産業界が抱える主な現状と課題について解説します。

人口減少と空き家問題

日本の総人口が減少局面に入っていることは、不動産業界にとって最も深刻な課題の一つです。

人が減れば、当然ながら住宅の需要も減少します。

特に地方都市ではその傾向が顕著であり、新築住宅の着工戸数は長期的に見れば減少傾向にあります。

これに伴い、全国的に「空き家」が増加していることも大きな社会問題となっています。

適切な管理がされずに放置された空き家は、景観の悪化や防犯・防災上のリスクを生み出します。

これまでの「新築偏重」のビジネスモデルから脱却し、既存の住宅(ストック)をいかに有効活用していくか、リノベーションや流通の仕組みをどう構築するかが、業界全体の大きな課題となっています。

不動産テック(ReTech)の進展

テクノロジーの力で不動産業界の課題を解決しようとする「不動産テック(ReTech = Real Estate Technology)」の動きが急速に進んでいます。

例えば、AIを活用した物件価格の自動査定、VR(仮想現実)技術によるオンライン内見、契約手続きの電子化(ペーパーレス化)など、これまでアナログで非効率だった業務が次々とデジタル化されています。

これは、業界で働く人にとっては業務効率化の福音であると同時に、従来のビジネスモデルや人材のあり方を変える脅威ともなり得ます。

単純な情報提供や事務作業はテクノロジーに代替され、人間にしかできないコンサルティング能力や企画力が、より一層求められる時代になっています。

働き方改革の遅れ

前述の「きついとされる理由」でも触れましたが、不動産業界(特に営業現場)は、長時間労働や休日出勤が常態化しやすい業態でした。

紙の契約書やFAXでのやり取り、対面での重要事項説明など、旧来の商慣習が根強く残っていたことも、業務効率化を妨げる一因となっていました。

不動産テックの導入は、こうした働き方の課題を解決する鍵とも期待されています。

しかし、企業規模や分野によっては改革が遅れており、若手人材の確保・定着が難しくなっているケースもあります。

業界全体として、いかにデジタル化を推進し、多様な人材が活躍できる魅力的な労働環境を整備していくかが問われています。

不動産業界の今後の動向

現状と課題を踏まえた上で、不動産業界は今後どのように変化していくのでしょうか。

ネガティブな課題ばかりではなく、そこから生まれる新しいビジネスチャンスや社会的な役割も数多く存在します。

「きつい」イメージを払拭し、よりスマートで社会貢献度の高い産業へと変貌を遂げようとしている過渡期とも言えます。

将来性を考える上では、こうした「変化の兆し」を捉えることが重要です。

業界がどこへ向かおうとしているのかを知ることで、自分がその中でどのようなキャリアを築きたいかを具体的にイメージできるようになるでしょう。

ここでは、今後の業界動向の鍵となる3つのポイントを解説します。

ストック(既存住宅)市場の活性化

新築住宅の需要が頭打ちになる中、今後は「ストック(既存住宅)」の価値をいかに高め、流通させていくかが、業界の成長の鍵を握ります。

具体的には、中古住宅を購入して自分のライフスタイルに合わせて改修する「リノベーション」や「リフォーム」の需要が、今後ますます高まっていくでしょう。

また、空き家を利活用したシェアハウスや民泊、コミュニティスペースへの転用など、新しい発想のビジネスも生まれています。

古いものに新しい価値を見出し、蘇らせることにやりがいを感じる人にとっては、非常に面白いフィールドになっていくはずです。

画一的な新築物件を売るだけでなく、お客様の多様なニーズに応える提案力が求められます。

「不動産テック」による業界変革の加速

不動産テックの流れは、今後さらに加速していくことは間違いありません。

AIやビッグデータの活用は、物件査定や市場分析の精度を飛躍的に向上させます。

VRやAR(拡張現実)は、内見のスタイルを根本から変えるでしょう。

また、ブロックチェーン技術が不動産登記や取引の安全性・透明性を高める可能性も秘めています。

こうしたテクノロジーの進化は、不動産取引のハードルを下げ、より多くの人がアクセスしやすい市場へと変えていきます。

一方で、テクノロジーを使いこなせない企業や営業担当者は淘汰されるリスクもあり、業界全体でデジタル人材の育成やリスキリング(学び直し)が急務となっています。

ESG投資とサステナビリティへの対応

近年、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮した「ESG投資」が世界的な潮流となっています。

不動産業界もその例外ではありません。

例えば、環境負荷の低い(省エネ性能の高い)建物の開発や、既存ビルの改修によるCO2排出量の削減(グリーンビルディング)は、投資家からも高く評価されます。

また、地域コミュニティとの共生や、災害に強い街づくりといった社会的な側面も重視されています。

単に「儲かる」物件を作るだけでなく、それが社会や環境にとってどのような価値を持つのかという視点が、今後の不動産開発や運営において不可欠になっていくでしょう。

【不動産業界はきついのか】不動産業界に向いている人

ここまで不動産業界の「きつさ」と「可能性」の両面を見てきました。

これらを踏まえて、どのような人がこの業界で活躍できるのでしょうか。

もちろん、多様な職種があるため一概には言えませんが、特に「きつい」と言われる営業職などを念頭に置いた場合、共通して求められる資質というものが存在します。

大切なのは、自分の性格や価値観と、業界が求めるものが一致しているかを見極めることです。

もし「自分に合っているかも」と感じる部分があれば、それは「きつい」と言われる側面を乗り越える大きな力になるはずです。

自己分析の結果と照らし合わせながら、チェックしてみてください。

人と話すのが好き・得意な人

不動産業界は、どの職種であっても「人」との関わりが非常に多い仕事です。

お客様はもちろん、物件のオーナー、管理会社の担当者、施工業者、金融機関、行政の職員など、日々多くの人とコミュニケーションを取り、調整を行う必要があります。

単に話がうまいということではなく、相手のニーズを正確に汲み取り、信頼関係を築ける力(傾聴力・提案力)が不可欠です。

人の人生の大きな決断(住まいや資産)に関わることに喜びを感じ、誠実に対応できる人が求められています。

知らない人と話すことに抵抗がなく、むしろそれを楽しめる人にとっては、多くの出会いが刺激になるでしょう。

成果が目に見える形で評価されたい人

特に営業職においては、自分の頑張りが「契約件数」や「売上金額」といった明確な数字となって表れます

そして、その成果がインセンティブ(報奨金)や昇進・昇給にダイレクトに反映される企業が多いのが特徴です。

年次や経験に関わらず、実力次第で若いうちから高い報酬を得ることも夢ではありません。

逆に言えば、成果が出なければ評価されにくいという厳しさもあります。

「皆と同じ給料で安定的に」という志向の人よりは、「自分の力でどれだけできるか試したい」「頑張った分だけ正当に評価されたい」というハングリー精神旺盛な人に向いている環境と言えます。

プレッシャーに強く、目標達成意欲が高い人

成果主義と表裏一体ですが、営業職にはノルマ(目標)がつきものです。

また、数千万円、時には億単位の高額な商品を扱うため、契約に至るまでのプレッシャーは相当なものがあります。

お客様の人生を左右するかもしれないという責任感も常に伴います。

こうした重圧を「やりがい」に転換できるメンタルの強さが求められます。

設定された目標に対して「無理だ」と諦めるのではなく、「どうすれば達成できるか」を考え、粘り強く行動し続けられる人。

そうした逆境を楽しめるくらいのタフさが、この業界で成功する鍵となります。

街づくりや住まいに関心がある人

不動産は、人々の生活の基盤である「住まい」や「働く場所」であり、それらが集まって「街」を形成しています。

「自分が住みたい街はどんな街か」「もっと快適な住空間とは何か」といった、街づくりや建築、インテリア、あるいは人々のライフスタイルそのものに強い関心がある人にとっては、不動産業界は非常に魅力的なフィールドです。

デベロッパーで大規模な開発に携わるのはもちろん、仲介や管理の仕事であっても、自分の仕事が誰かの生活を豊かにし、街の風景の一部を創っているという実感を得ることができます。

この分野への純粋な興味こそが、専門知識を学ぶモチベーションにも繋がります。

フットワークが軽く、行動力がある人

不動産営業の仕事は、デスクワークだけではありません。

良い物件情報を仕入れるために地元の不動産会社を回ったり、お客様を物件へ案内するために車を運転したり、契約のためにオーナー様のもとへ訪問したりと、とにかく「動く」ことが多いのが特徴です。

お客様からの急な要望やトラブルにも、迅速に対応しなければなりません。

机上で考えているよりもまず行動する、というフットワークの軽さが求められます。

また、市況や法制度の変更も頻繁に起こるため、常に最新の情報をキャッチアップしようとする能動的な姿勢も重要です。

【不動産業界はきついのか】不動産業界に向いていない人

一方で、残念ながら不動産業界、特に成果主義の営業職にはあまり向いていないタイプの方がいるのも事実です。

ミスマッチな環境で無理に頑張り続けることは、皆さん自身にとって大きな不幸に繋がってしまいます。

「きつい」と感じるポイントは人それぞれですが、特に以下のような特徴を持つ人は、一度立ち止まって「本当に自分に合う業界か」を再考してみることをお勧めします。

自分の弱点や苦手なことを知るのも、適職を見つけるための大切な自己分析の一環です。

もし当てはまる項目があっても、職種や企業を選べば活躍できる可能性はもちろんあります。

ノルマや数字に追われるのが苦手な人

「自分のペースでじっくり仕事がしたい」「成果よりもプロセスを大事にしたい」という価値観を持つ人にとって、毎月のノルマや数字で厳しく評価される環境は、強いストレスになる可能性が高いです。

目標達成へのプレッシャーが常にあり、同僚がライバルになるような雰囲気も、人によっては息苦しく感じるでしょう。

もちろん、不動産業界にもノルマが比較的厳しくない管理職や事務職もありますが、「稼ぎたい」という動機よりも「安定」を重視する人には、営業職はあまりお勧めできません。

土日祝日にしっかり休みたい人

先にも述べた通り、個人向けの営業(販売・仲介)は、お客様が動ける土日祝日が本番です。

友人や恋人、家族が休んでいる時に働くことになるため、プライベートの予定が合わせにくくなることは覚悟しなければなりません。

「週末は絶対に休んでリフレッシュしたい」「友人との時間を最優先したい」というライフスタイルを強く望む人にとっては、この勤務体系は大きな「きつさ」となります。

平日に休みが取れることをメリットと感じられない場合は、ミスマッチになる可能性が高いでしょう。

クレーム対応や板挟みがストレスな人

不動産業界は、高額な商品であり、かつ人々の生活に密着しているため、クレームやトラブルが発生しやすい側面があります。

「購入した物件に欠陥があった」「隣の部屋がうるさい」「家賃を滞納された」など、多様な問題に対応する必要があります。

また、仲介や管理の仕事では、お客様(入居者)とオーナー(大家さん)の間に立ち、双方の利害を調整する「板挟み」の状態になることも少なくありません。

こうした人間関係のストレスをうまく処理できない人、他人のネガティブな感情に強く影響されてしまう人には、精神的に厳しい仕事かもしれません。

ルーティンワークを好む人

不動産業界の仕事、特に営業や企画は、日々状況が変化することの連続です。

お客様の要望は一人ひとり違いますし、物件も一つとして同じものはありません。

市場の動向や法改正にも常にアンテナを張る必要があります。

毎日決まった手順で、決まった作業をコツコツとこなすようなルーティンワークを好む人にとっては、臨機応変な対応を求められ続ける環境は疲弊してしまうかもしれません。

「変化がないとつまらない」と感じる人には向いていますが、「安定した作業」を求める人には不向きな側面があります。

高額商品を扱う責任を重く感じすぎる人

お客様の人生を左右するほどの高額な商品を扱うことは、大きなやりがいであると同時に、重大な責任を伴います。

契約書の一つのミスや、説明不足が、後々大きなトラブルに発展する可能性もゼロではありません。

もちろん、細心の注意を払って仕事をするのはプロとして当然ですが、そのプレッシャーに押しつぶされてしまいそうな人、完璧主義で一つのミスも許せないと自分を追い込みすぎてしまう人は、精神的な負担が大きすぎるかもしれません。

適度な楽観性や、失敗を引きずらない切り替えの早さも、ある意味では必要な資質と言えます。

不動産業界に行くためにすべきこと

不動産業界の「きつさ」と「魅力」、そして「向き不向き」を理解した上で、それでも「この業界で挑戦してみたい!」と思った皆さんへ。

ここからは、就職活動本番に向けて、具体的に何を準備すればよいかをお伝えします。

不動産業界は、専門知識や資格がモノを言う側面も強いため、学生時代から準備できることはたくさんあります。

「きつい業界だと理解した上で、それでも入りたい」という熱意は、付け焼き刃の志望動機よりもずっと説得力を持ちます。

行動を起こすことで、自分の覚悟を確かめることにも繋がるはずです。

資格取得(宅建)の勉強を始める

不動産業界を目指す上で、最も強力な武器となるのが「宅地建物取引士(宅建士)」の資格です。

不動産取引(売買・交換・賃貸)において、重要事項の説明や契約書への記名押印は、宅建士の独占業務と法律で定められています。

そのため、不動産会社の多くは、入社後にこの資格の取得を必須としています。

学生のうちに取得しておけば、入社意欲の高さと基礎知識があることを強力にアピールでき、他の就活生と大きな差をつけることができます。

合格率は例年15〜17%程度と難関ですが、その分価値は絶大です。

まずはテキストを買って勉強を始めてみることが、第一歩となります。

インターンシップで実務を体験する

「きつい」かどうかは、結局のところ自分で体験してみなければ分かりません

座学での業界研究と、実際の現場の空気は全く違います。

不動産業界の企業(デベロッパー、仲介、管理など)が実施するインターンシップには、ぜひ積極的に参加してください。

営業同行で社員の方の働き方を間近で見たり、物件案内のロールプレイングをさせてもらったりすることで、仕事の具体的なイメージが湧き、自分がその環境で働く姿を想像しやすくなります。

また、「思っていたより風通しが良かった」「ノルマへの意識が想像以上に高かった」など、その会社のリアルな社風を感じ取れるのも大きな収穫です。

説得力のある志望動機を練る

「なぜ、他の業界ではなく不動産業界なのか?」「なぜ、同業他社ではなく、御社なのか?」この問いに、自分の言葉で深く答えられるように準備することが不可欠です。

特に不動産業界は、「きつい」イメージがある分、「それでも挑戦したい」という確固たる理由が求められます。

「街づくりに貢献したい」といった漠然としたものではなく、インターンやOB・OG訪問を通じて感じた具体的なエピソードや、自分が共感した企業の理念や事業と、自身の経験(例:アルバイトでの目標達成経験)を結びつけ、「自分ならこのように貢献できる」と論理的に説明できるようにしましょう。

適職診断ツールを用いる

「不動産業界に興味はあるけれど、本当に自分に向いている営業職や、プレッシャーのかかる仕事が務まるだろうか…」と不安に感じている方も多いでしょう。

自己分析は就活の基本ですが、自分一人で考えていると、どうしても主観的になったり、思い込みに囚われたりしがちです。

そんな時は、客観的な視点を取り入れるために「適職診断ツール」を活用してみるのも一つの有効な手段です。

これらのツールは、いくつかの質問に答えるだけで、あなたの性格的な特性や、強み・弱み、どのような仕事環境や職種で能力を発揮しやすいかを分析してくれます。

例えば、「成果主義の環境への適性」や「対人折衝能力の高さ」といった、不動産業界で求められる要素について、思わぬ示唆が得られるかもしれません。

【不動産業界はきついのか】適性がわからないときは

適職診断ツールを使ってみても、自己分析を深めてみても、「やっぱり不動産業界が自分に合うかわからない」「きついというイメージが拭えない」と悩んでしまうこともあるでしょう。

そんな時は、一人で抱え込まずに、外部の情報を積極的に取り入れることが大切です。

例えば、「就活市場」のような就活エージェントに相談し、プロのキャリアアドバイザーに客観的な意見をもらうのも良いでしょう。

また、大学のキャリアセンターを活用して、不動産業界に進んだOB・OGを紹介してもらい、直接「きついと感じた瞬間」や「それを乗り越えた方法」「やりがい」といったリアルな話を聞くことは、何よりも参考になります。

自分と似た価値観を持つ先輩が見つかれば、それが大きな判断材料になるはずです。

おわりに

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

この記事では、「不動産業界はきついのか?」という疑問に、多角的にお答えしてきました。

確かに、ノルマや休日、顧客対応など、「きつい」とされる側面は存在します。

しかし、それと同時に、人の人生に深く関わり、街を創り、高額な商品を動かすという、他では得難い大きなやりがいと魅力がある業界でもあります。

大切なのは、イメージに惑わされず、自分にとって何が「きつさ」であり、何を「やりがい」と感じるのかを知ることです。

この記事が、皆さんの業界研究と自己分析を深め、後悔のないキャリア選択をするための一助となれば、これほどうれしいことはありません。

応援しています。

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