【業界研究】金融業界はきつい?営業やノルマがきついと言われる理由や向いていない人を解説!

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伊東美奈
Digmedia監修者
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

この記事では、小売業界の仕事のリアルな部分を、良い面も大変な面も含めて徹底的に解説していきます。

イメージだけで判断せず、自分に合うかどうかを見極める材料にしてください。

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【小売業界はきついのか】小売業界はきつい?

「小売業界はきつい」というイメージは、確かによく聞かれます。

土日祝日に休めない、立ち仕事が多い、クレーム対応が大変そう、といった声が代表的です。

これらの側面が全くないかと言われれば、残念ながら嘘になります。

しかし、それが全てかというと、決してそうではありません

企業の業態や職種、働く店舗の環境によって、その実態は大きく異なります。

また、大変さの裏にあるやりがいや、身につくスキルの大きさも見過ごせません。

この記事で多角的に実態を見ていきましょう。

【小売業界はきついのか】小売業界の仕事内容

小売業界と聞くと、多くの人が「レジ打ち」や「品出し」といった店舗での接客業務を真っ先に思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それらは顧客と直接触れ合う非常に重要な仕事の一部です。

しかし、小売業界の仕事はそれだけにとどまりません。

魅力的な商品を選び抜き、適切な量を発注する「仕入れ」や、お客様にどうやって商品の魅力を伝え、足を運んでもらうかを考える「販促企画」、さらには店舗全体の売上やスタッフを管理する「マネジメント」まで、その領域は驚くほど多岐にわたります

皆さんが普段目にしている華やかな売り場の裏側には、多様なプロフェッショナルたちの活躍があるのです。

ここでは、小売業界を支える代表的な仕事内容について、具体的に見ていきましょう。

これらの仕事が有機的に連携することで、初めてお客様に満足のいく購買体験を提供できるのです。

接客・販売

接客・販売は、小売業界の最前線であり、お客様と直接コミュニケーションを取る「顔」ともいえる仕事です。

単に商品を売るだけでなく、お客様のニーズや困り事を丁寧にヒアリングし、最適な商品を提案することが求められます。

例えば、洋服選びに悩んでいるお客様がいれば、好みや利用シーンを伺いながらトータルコーディネートを提案したり、家電の操作方法がわからないお客様がいれば、実際に操作しながら分かりやすく説明したりします。

お客様の「ありがとう」という言葉や笑顔をダイレクトに感じられるのは、この仕事ならではの大きなやりがいです。

また、お客様との会話から得られる生の声は、新商品の開発や売り場の改善につながる貴重な情報源にもなります。

商品の知識はもちろん、高いコミュニケーション能力や、相手の立場に立って考える共感力が磨かれる仕事と言えるでしょう。

仕入れ・在庫管理

仕入れ・在庫管理は、お客様が「欲しい」と思ったときに、欲しい商品が店頭に並んでいる状態を作る、小売業の根幹を支える仕事です。

一般的に「バイヤー」と呼ばれる職種がこの仕入れを担うこともありますが、店舗スタッフが発注業務を兼任するケースも多くあります。

この仕事の難しさは、売上を最大化し、同時に在庫ロスを最小限に抑えるという点にあります。

過去の販売データや、天候、季節のイベント、近隣の競合店の動向、そして世の中のトレンドなど、あらゆる情報を分析し、「何が」「いつ」「どれくらい売れるか」を予測して発注数を決めなくてはなりません。

予測が当たれば大きな売上につながりますが、外れれば大量の在庫を抱えることになります。

また、納品された商品の検品や、倉庫・バックヤードでの整理整頓、鮮度が関わる商品(食品など)の期限管理も重要な業務です。

データ分析能力と先を見通す洞察力が試される、非常に奥深く専門性の高い仕事です。

店舗運営・マネジメント

店舗運営・マネジメントは、いわゆる「店長」やその候補者が担う仕事で、ヒト・モノ・カネ・情報を管理し、店舗という一つの組織を動かしていく役割です。

具体的には、店舗の売上目標を達成するための戦略立案や、販売計画の策定、商品のレイアウト(VMD)の決定、在庫の最適化など、業務は多岐にわたります。

また、「ヒト」の管理も非常に重要です。

スタッフの採用や育成、シフトの作成・管理、チーム全体のモチベーション維持など、スタッフ一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが求められます。

時にはスタッフの悩みを聞くカウンセラーのような役割も必要になるでしょう。

さらに、売上データや顧客情報を分析し、本社の関連部署と連携して地域特性に合った施策を打つこともあります。

経営者に近い視点でビジネス全体を動かす経験を積むことができ、大きな裁量と責任感、そしてリーダーシップが求められる仕事です。

マーケティング・販促

マーケティング・販促は、「どうすればお客様に来店してもらえるか」「どうすれば商品の魅力が伝わるか」を考え、実行する仕事です。

多くの場合は本社機能として専門部署がありますが、店舗レベルでも、地域のお客様に合わせた独自の販促活動が求められます。

例えば、季節に合わせた特設コーナーの企画・設営、手書きのPOP(商品説明カード)の作成、SNSを使った情報発信、地域限定のセールやイベントの実施などが挙げられます。

本社主導の全国的なキャンペーンと連動しつつ、自分たちの店舗の強みや客層に合わせてアレンジを加える工夫が必要です。

どの商品をどの場所で、どのように見せればお客様の購買意欲を刺激できるかを考え、試行錯誤を繰り返します。

自分のアイデアが形になり、それによってお客様の反応が変わり、売上が伸びたときには、大きな達成感を得られる仕事です。

企画力やクリエイティビティ、そして市場の動向を読む力が養われます。

【小売業界はきついのか】小売業界の主な職種

小売業界の仕事内容が多岐にわたることはお分かりいただけたかと思いますが、それらを担う「職種」もまた多様です。

就職活動においては、入社後にどのようなキャリアを歩む可能性があるのか、具体的な職種を知っておくことが非常に重要です。

多くの企業では、店舗での販売業務からキャリアをスタートさせることが一般的ですが、その後の道筋は様々です。

店長として店舗運営のプロフェッショナルを目指す道もあれば、商品の買い付けを行うバイヤーや、販売戦略を練るマーケティング担当として本社で活躍する道もあります。

また、総合職として入社し、ジョブローテーションを通じて複数の職種を経験しながら幹部候補生として育成されるケースもあれば、特定の地域や職務内容で専門性を高めていく働き方もあります。

ここでは、小売業界における代表的な職種と、それぞれの役割について詳しく見ていきましょう。

自分の将来像と照らし合わせながら読み進めてみてください。

店舗スタッフ(販売員)

店舗スタッフ(販売員)は、小売業界のキャリアの入り口であり、最もお客様に近い存在です。

主な仕事は、前述の「接客・販売」で触れたとおり、お客様への商品提案やレジ業務、商品の陳列・整理、店内の清掃などです。

しかし、その役割は単なる「作業」ではありません。

お客様との会話からニーズを汲み取り、期待を超えるサービスを提供することで、お店のファン、ひいては会社のファンを作っていく重要なミッションを担っています。

また、日々の業務を通じて商品知識や接客スキルを磨くだけでなく、在庫管理や発注業務の一部、売り場づくり(VMD)のアシスタントなど、店舗運営に関わる基礎的な業務も学びます。

この時期に培われる「現場感覚」は、将来どの職種に進むにしても不可欠な財産となります。

お客様の反応をダイレクトに感じられることは、何物にも代えがたいやりがいであり、同時に小売業の基本を徹底的に学べる職種です。

店長・エリアマネージャー

店長は、一つの店舗の最高責任者であり、店舗運営の全てを任される職種です。

売上管理、在庫管理、スタッフの採用・育成・労務管理、そして売り場づくりまで、その権限と責任は大きく、まさに「一国一城の主」と言えます。

本社の戦略を理解しつつ、自分の店舗の地域特性や客層に合わせて最適な戦術を実行する、高度な経営判断が求められます。

スタッフと一丸となって目標を達成した時の喜びは格別です。

エリアマネージャー(スーパーバイザーとも呼ばれます)は、店長の上位職にあたり、複数の店舗を統括する役割を担います。

各店舗の店長と密にコミュニケーションを取り、経営指導や運営サポートを行うのが主な仕事です。

担当エリア全体の売上を最大化することがミッションであり、より広い視野での戦略立案や、複数の店舗を同時に動かしていくマネジメント能力が試されます。

店長として成果を上げた先に待っている、キャリアアップの一つの形です。

バイヤー(仕入れ担当)

バイヤーは、お客様に提供する「商品」を買い付け、仕入れる専門職です。

主に本社勤務となり、国内外の展示会に足を運んだり、メーカーと直接交渉したりして、自社で販売する商品ラインナップを決定します。

バイヤーの目利きひとつで、その企業の売上が大きく左右されると言っても過言ではない、非常に重要なポジションです。

過去の販売データや市場のトレンド、競合他社の動向などを徹底的に分析し、「何が売れるか」を予測する力が求められます。

また、仕入れ価格や数量、納期などを交渉するタフな交渉力も必要です。

自分の目で見つけ出した商品がヒットし、お客様に喜んでもらえた時の達成感は計り知れません。

店舗での販売経験を積み、商品知識やお客様のニーズを肌で感じた人が、次のステップとしてバイヤーを目指すケースも多いです。

トレンドを生み出す側にも回れる、クリエイティブでダイナミックな職種と言えます。

本社スタッフ(企画・人事・経理など)

小売業界にも、他の業界と同様に、会社全体を支える本社機能が存在します。

店舗での経験を積んだ後に、本社の専門部署へ異動するキャリアパスも一般的です。

例えば、「企画・マーケティング」部門では、全社的な販売促進キャンペーンの立案、新商品の開発、CMやWeb広告の戦略策定などを行います。

「人事」部門では、新卒・中途採用、社員研修の企画・運営、人事制度の設計などを通じて、組織の「ヒト」の側面から会社を支えます。

「経理・財務」部門では、日々の売上管理から決算業務、資金調達まで、会社の「カネ」を管理します。

これらの職種は、直接お客様と接する機会は少ないかもしれませんが、店舗がスムーズに運営できるように後方から支援し、会社全体の成長戦略を描く上で不可欠な役割を担っています。

現場での経験があるからこそ、より実態に即した施策を立案できるのが、小売業界における本社スタッフの強みです。

【小売業界はきついのか】小売業界がきついとされる理由

さて、ここまで小売業界の仕事内容や職種の多様性についてお話ししてきましたが、やはり「きつい」というイメージの源泉についても、しっかりと目を向けておく必要があります。

どんな仕事にも大変な側面はありますが、小売業界特有の「きつさ」が存在するのも事実です。

それを知らずに入社してしまうと、理想と現実のギャップに苦しむことになりかねません。

しかし、事前にこれらの理由を理解しておけば、それは「自分にとって許容できる範囲か」「それ以上のやりがいを見出せそうか」を判断する材料になります。

また、最近では働き方改革が進み、企業努力によってこれらの「きつさ」を解消しようとする動きも活発になっています。

企業研究の際には、こうしたネガティブな側面に対して、各社がどのような対策を講じているかに注目するのも良いでしょう。

ここでは、代表的な「きつい」とされる理由を具体的に見ていきます。

不規則な勤務時間と休日

小売業界が「きつい」と言われる最大の理由の一つが、勤務形態の特殊性です。

多くの場合、店舗は土日祝日やゴールデンウィーク、お盆、年末年始といった世間一般の休日が、むしろ「かき入れ時」となります。

そのため、カレンダー通りに休むことは難しく、友人と予定を合わせにくいと感じる人も多いでしょう。

休日は平日に取得する「週休2日制(シフト制)」が一般的です。

また、営業時間が長い店舗も多く、早番・中番・遅番といったシフト勤務が基本となります。

これにより、生活リズムが不規則になりがちで、慣れるまでは体調管理に苦労するかもしれません。

特に、閉店後の片付けや翌日の準備などで、遅番の退勤時間が遅くなることもあります。

ただし、平日に休めることで、どこへ行っても空いているというメリットを享受できる側面もあります。

この働き方が自分のライフスタイルに合うかどうかは、真剣に考える必要があります。

体力的な負担(立ち仕事・品出し)

小売業界の仕事、特に店舗勤務においては、体力的な負担も無視できません。

接客中は基本的に立ちっぱなしであることが多く、一日の終わりには足がパンパンになる、という話はよく聞かれます。

また、「品出し」と呼ばれる業務も、見た目以上に重労働です。

飲料やお米、洗剤といった重い商品をバックヤードから売り場まで運び、棚に陳列する作業は、日常的に発生します。

特に、スーパーマーケットやドラッグストア、家電量販店など、重量のある商品が多い業態ではその傾向が顕著です。

さらに、お客様対応やレジ業務、清掃、売り場変更など、常に動き回っている状態が続くため、デスクワーク中心の仕事とは異なる種類の体力が求められます。

体力に自信がない人にとっては、この点が大きなハードルになる可能性があります。

一方で、働きながら自然と体力がつく、運動不足が解消されるといった側面をポジティブに捉える人もいます。

クレーム対応などの精神的ストレス

お客様と直接関わる仕事である以上、クレーム対応は避けて通れない業務の一つです。

商品の不備や接客態度に関するご指摘はもちろん、時には理不尽とも思えるような要求や、厳しいお言葉をいただくこともあります。

お客様の不満や怒りを真正面から受け止めるため、精神的なストレスを感じやすい場面であることは間違いありません。

しかし、クレームは「お客様の期待の裏返し」でもあります。

誠意を持って迅速に対応することで、かえってお店のファンになっていただける「ピンチをチャンスに変える」機会でもあります。

多くの企業では、クレーム対応のマニュアルが整備されていたり、初期対応はスタッフが行い、難しい案件は上司や専門部署が引き継ぐ体制が整えられています。

とはいえ、人から強く責められることに極端な苦手意識がある場合、この点は大きな負担に感じられるでしょう。

ストレス耐性や、気持ちをうまく切り替えるスキルが求められます。

ノルマや売上へのプレッシャー

企業や店舗、職種にもよりますが、売上目標、いわゆる「ノルマ」が設定されている場合があり、これが精神的なプレッシャーとなることもあります。

特にアパレルや高額商品を扱う業態では、個人の売上目標が設定されているケースも珍しくありません。

目標を達成しなければならないというプレッシャーが、時には「お客様のため」よりも「自分の売上のため」の接客になってしまわないか、という葛藤を生むこともあります。

また、店舗全体での売上目標もあり、店長やスタッフが一丸となって目標達成を目指すことになります。

日々の売上状況は常に可視化されるため、目標に達していない時の空気は重くなりがちです。

ただし、この「目標」は、達成した時の大きな達成感や、チームの一体感を生み出す原動力にもなります。

ノルマを「プレッシャー」と捉えるか、「やりがいのある目標」と捉えるかで、この仕事への向き不向きが分かれるかもしれません。

【小売業界はきついのか】小売業界の現状・課題

「きつい」とされる理由に加えて、小売業界全体が今どのような状況にあり、どんな課題に直面しているのかを知っておくことも、業界研究には欠かせません。

私たちが普段利用しているお店の裏側では、社会の変化に伴う大きな波が押し寄せています。

特に、インターネットの普及によるEコマース(EC)の台頭は、従来の店舗型ビジネス(リアル店舗)の在り方を根本から揺るがしています。

また、少子高齢化に伴う労働力人口の減少は、多くの店舗を悩ませる「人手不足」という深刻な問題を引き起こしています。

消費者の価値観も変わり、単に「モノを買う」だけでなく、「どのような体験ができるか」が重視されるようになりました。

これらの課題にどう立ち向かい、変革していこうとしているのか

そこにこそ、各企業の戦略や将来性が見えてきます。

就活生の皆さんには、こうした業界のダイナミズムもぜひ理解してほしいと思います。

ECサイトとの競争激化

小売業界が直面する最大の課題は、疑いなくAmazonや楽天に代表されるECサイトとの競争です。

スマートフォン一つあれば、いつでもどこでも、店頭より安く商品が手に入り、自宅まで届けてもらえる便利さには、リアル店舗が価格や利便性だけで対抗するのは困難です。

消費者の購買行動が「店舗からネットへ」と大きくシフトしている中で、リアル店舗の存在意義そのものが問われています。

この厳しい競争に打ち勝つため、各社は様々な戦略を打ち出しています。

例えば、ネットで注文した商品を店舗で受け取れるようにする「オムニチャネル戦略」や、店舗でしか味わえない専門スタッフによるきめ細かな接客、商品の実物を見たり試したりできる「体験価値」の提供に力を入れています。

もはや「ネット」か「リアル」かではなく、両者をどう融合させて顧客体験を高めていくかが、生き残りのカギとなっています。

深刻な人手不足

少子高齢化による生産年齢人口の減少は、日本社会全体の課題ですが、特に小売業界は「人手不足」の深刻な影響を受けています。

前述した「きつい」というイメージや、他業界と比較した際の待遇面などから、アルバイトやパート、正社員を問わず、必要な人員を確保することが難しくなっています

人手が足りなければ、スタッフ一人ひとりの業務負担が増加し、サービスの質が低下したり、最悪の場合、営業時間を短縮したり、店舗を閉鎖せざるを得ない状況にも陥ります。

この課題に対し、各企業は「働きやすさ」の改善に必死で取り組んでいます。

例えば、セルフレジやAIによる需要予測システムの導入といった「IT化・省人化」の推進や、給与水準の引き上げ、福利厚生の充実、多様な働き方を可能にする制度(時短勤務や副業許可など)の整備を進めています。

企業研究では、こうした「人への投資」や「働き方改革」への本気度もチェックしましょう。

消費者ニーズの多様化への対応

かつてのように、テレビCMで紹介された商品が誰もかれも買う、といった「マス消費」の時代は終わり、現代の消費者のニーズは極めて多様化・複雑化しています。

消費者は単に「モノ」を手に入れるだけでなく、その商品が持つストーリーや、購入するプロセスでの「コト(体験)」を重視するようになりました。

例えば、オーガニック食品やエシカル(倫理的)な商品への関心の高まり、個人の趣味嗜好に特化した専門店への人気などが挙げられます。

また、SNSの普及により、個人の口コミや評価が購買決定に大きな影響を与えるようになっています。

こうした多様なニーズに応えるためには、企業側も画一的な品揃えやサービスではなく、ターゲット顧客を明確にし、その層に深く刺さるような独自の価値を提供し続ける必要があります。

データ分析に基づいた個別の商品提案(リコメンド)や、コミュニティ形成の場としての店舗づくりなど、新しい試みが求められています。

【小売業界はきついのか】小売業界に向いている人

ここまで小売業界の様々な側面を見てきましたが、いかがでしょうか。

「きつい」とされる理由がある一方で、それを上回るやりがいや、社会に不可欠な役割を担っていることも事実です。

では、どのような人がこの業界でいきいきと活躍できるのでしょうか。

仕事には「適性」が確かに存在します

自分の強みや特性が、業界の求める人物像と合致していれば、困難な局面も乗り越え、大きく成長できるはずです。

もちろん、今から挙げる特徴にすべて当てはまる必要はありませんし、現時点で足りない部分があっても、入社後に意識して伸ばしていくことは可能です。

大切なのは、自分の特性を客観的に理解し、それが小売業界の仕事とどう結びつくかを考えることです。

自己分析と照らし合わせながら、自分自身の「向き・不向き」をチェックしてみてください。

人と接することが好きな人

これは小売業界で働く上で、最も基本的かつ重要な素養と言えるでしょう。

お客様はもちろん、店舗の同僚や上司、取引先など、小売業の仕事は常に「人」との関わりの中にあります。

特に店舗スタッフは、毎日不特定多数のお客様とコミュニケーションを取ります。

初対面の人と話すことに抵抗がなく、相手の表情や言葉から気持ちを察し、喜んでもらうことにやりがいを感じる人にとっては、まさに天職とも言える環境です。

単に「おしゃべりが得意」というだけでなく、相手の話を丁寧に「聴く」力や、相手の立場に立って物事を考えられる「共感力」が求められます。

お客様からの「ありがとう」の一言が、日々の疲れを吹き飛ばすほどのモチベーションになる。

そんな人は、小売業界で大きく輝ける可能性を秘めています。

トレンドや商品への関心が高い人

小売業界は、世の中の「今」を反映する鏡のような存在です。

アパレル、食品、家電、雑貨、どの分野であっても、常に新しい商品が生まれ、トレンドは目まぐるしく移り変わっていきます

こうした変化を「面倒」と感じるのではなく、「楽しい」と感じられる好奇心旺盛な人は、この業界に向いています。

自分が扱う商品ジャンルについて、誰よりも詳しくなろうとする探究心や、雑誌やSNSなどで常に最新の情報をキャッチアップしようとするアンテナの高さが強みになります。

その情熱は、お客様への説得力のある商品提案につながりますし、バイヤーや商品開発といった職種に進む上でも不可欠な資質です。

「好き」を仕事にしたい、自分の興味や関心を活かして働きたいと考えている人にとって、小売業界は非常に魅力的なフィールドとなるでしょう。

臨機応変な対応力がある人

小売業の現場は、マニュアル通りにはいかないことの連続です。

お客様からの予期せぬ質問や要望、突然の天候不良による来客数の変動、商品の欠品や配送トラブル、レジやシステムの不具合など、日々さまざまな「想定外」が発生します

そんな時、マニュアルがないからと立ち止まってしまうのではなく、その場にある情報や権限の中で最善の策を考え、柔軟に行動できる力が求められます。

優先順位をつけてテキパキと業務をこなしたり、イレギュラーな事態にも冷静に、笑顔で対応したりできる人は、現場で非常に重宝されます。

完璧な計画を立てるよりも、状況の変化に合わせて素早く動けること。

こうした臨機応変な対応力は、小売業界で働く中でさらに磨かれていくスキルの一つです。

チームで働くことが得意な人

店舗運営は、決して一人ではできません。

店長、ベテランスタッフ、新人アルバイトなど、異なる立場や経験を持つメンバーが協力し合って、初めてお客様に良いサービスを提供できます。

個人の売上も大切ですが、それ以上に「店舗全体」としての目標達成が重視されます。

そのため、自分の仕事だけを黙々とこなすのではなく、周りの状況に気を配り、忙しそうな仲間がいれば自然にサポートに入ったり、自分の得た知識や成功体験をチーム全体で共有したりする姿勢が重要です。

「みんなで一緒にお店を盛り上げていこう」という協調性や、チームの一員としての責任感を持って行動できる人は、小売業界で高く評価されます。

部活動やサークル活動、アルバイトなどで、チームでの目標達成にやりがいを感じた経験がある人は、その強みを大いに発揮できるでしょう。

【小売業界はきついのか】小売業界に向いていない人

一方で、残念ながら小売業界の特性と、ご自身の価値観や適性が合わない可能性もあります。

これは能力の優劣ではなく、単なる「相性」の問題です。

もし「向いていないかも」と感じる特徴が多く当てはまるようであれば、無理して自分を合わせようとするよりも、他の業界を検討した方が、結果的にお互いにとって幸せな選択になるかもしれません。

就職活動は、自分がいきいきと働ける場所を見つけるためのプロセスです。

ネガティブな情報かもしれませんが、入社後のミスマッチを防ぐために、あえて「向いていない人」の特徴も率直にお伝えします。

もちろん、これもあくまで一般的な傾向です。

これらの要素をどう捉えるか、そして自分がどう変わっていけるかも含めて、じっくりと自己分析を深めてみてください。

カレンダー通りの休みを希望する人

これは「きついとされる理由」でも触れましたが、やはり重要なポイントなので再度強調します。

小売業界は、土日祝日や大型連休が最大の繁忙期です。

「友人の結婚式が土日に多いのに休みが取れない」「家族や恋人と休みが合わない」といった悩みは、この業界で働く多くの人が一度は直面する問題です。

もちろん、冠婚葬祭などの重要なイベントは事前に申請すれば休める場合がほとんどですが、基本的にカレンダー通りの休みを最優先に考えている人にとっては、大きなストレスになる可能性があります。

平日に休めるメリットもありますが、世間一般の「当たり前」とは異なるサイクルで生活することへの覚悟が必要です。

自分のプライベートの時間をどう設計したいのか、譲れない条件は何かを明確にしておきましょう。

体力的な負荷を避けたい人

小売業界の仕事、特に店舗勤務は、立ち仕事や重い商品の運搬が基本です。

デスクワーク中心の仕事と比べると、日常的に求められる体力的な負荷は大きいと言わざるを得ません。

もちろん、業態や配属される売り場によってその度合いは異なりますが、一日中動き回ることも少なくありません。

体力に全く自信がない人や、腰痛などの持病がある人、あるいは「できるだけ体を使わずに働きたい」と考えている人にとっては、日々の業務が苦痛になってしまう可能性があります。

健康管理も仕事のうちですが、そもそも体力的な消耗が激しい仕事は避けたいという志向性であれば、他の選択肢を考えた方が賢明かもしれません。

ルーティンワークだけを好む人

「毎日決まった手順で、決まった作業をコツコツとこなしたい」という安定志向の人も、小売業界では戸惑うことが多いかもしれません。

もちろん、レジ業務や開店・閉店作業など、日々のルーティン業務も存在します。

しかし、それ以上に、お客様のニーズや状況に合わせて、その都度対応を変えることが求められる場面が圧倒的に多いのです。

前述の「臨機応変な対応力」と表裏一体ですが、毎日が変化とイレギュラーの連続とも言えます。

マニュアルに載っていないことを自分で考えて判断したり、次から次へと発生するタスクに優先順位をつけて処理したりすることが苦手な人は、精神的に疲れてしまうかもしれません。

安定よりも変化や刺激を求める人の方が、この環境を楽しめる傾向があります。

精神的なタフさに自信がない人

お客様と直接接する仕事である以上、時には理不尽なクレームを受けたり、厳しいご意見をいただいたりすることもあります。

また、売上目標に対するプレッシャーや、忙しい時間帯のオペレーション、職場の人間関係など、精神的なストレスを感じる要因は少なくありません

もちろん、企業側もサポート体制を整えていますが、最終的には自分自身で気持ちを切り替え、ストレスと上手く付き合っていく必要があります。

他者からの評価や言葉を過度に気にしてしまう人や、一度落ち込むと長く引きずってしまうタイプの人は、この点で苦労する可能性があります。

もちろん、最初からタフな人はいませんが、ストレス耐性を高めていこうとする前向きな姿勢は必要になるでしょう。

【小売業界はきついのか】小売業界に行くためにすべきこと

小売業界のリアルな姿や、求められる適性について理解が深まってきたでしょうか。

その上で、「やっぱり小売業界に挑戦してみたい」「自分には合っているかもしれない」と感じた就活生の皆さん。

ここからは、内定を勝ち取るために、そして入社後に後悔しないために、今から具体的に取り組むべきことをアドバイザーとしてお伝えします。

小売業界の選考は、他の業界と比べて「人物重視」の傾向が強いと言われますが、それは「誰でもいい」という意味では決してありません。

業界や企業への深い理解と、「なぜ、あなたでなければならないのか」を明確に示す準備が必要です。

付け焼き刃の知識ではなく、自分自身の言葉で語れるようになるまで、以下のことを徹底的に実践してみてください。

徹底した企業研究と店舗訪問

これは小売業界の就活において、最も重要かつ不可欠なステップです。

同じ小売業界でも、スーパーと百貨店、コンビニと家電量販店では、客層も、扱う商品も、求められるスキルも全く異なります。

まずは、興味のある企業の店舗に「お客様として」ではなく「就活生として」足を運んでください。

店内の雰囲気はどうか、スタッフはどのようにお客様と接しているか、どのような商品がどのように陳列されているか、客層はどうか、などを自分の目で確かめましょう。

可能であれば、複数の店舗(都心店と郊外店など)や、競合他社の店舗と比較すると、その企業ならではの特徴や強み、課題がより鮮明に見えてきます。

そこで感じた「生の情報」こそが、志望動機や自己PRに圧倒的な説得力を持たせる源泉となります。

関連するアルバイト経験の言語化

学生時代に、飲食店やアパレル、コンビニなどで接客・販売のアルバイトを経験した人は多いと思います。

これは小売業界の選考において、非常に強力なアピール材料になります。

ただし、「アルバイトをしていました」と伝えるだけでは不十分です。

その経験を通じて、「何を学び、どのようなスキルが身につき、それを入社後にどう活かせるか」を具体的に言語化することが重要です。

例えば、「お客様のニーズを先読みして行動した結果、感謝の言葉をいただいた経験」や、「新人スタッフの教育を任され、チームの売上向上に貢献した経験」など、具体的なエピソードを交えて、自分の強みをアピールしましょう。

たとえ小売業でなくても、お客様や仲間と関わりながら目標達成に向けて努力した経験は、必ず評価されます。

「なぜ小売か」を明確にする志望動機づくり

小売業界の選考で、面接官が最も知りたいのは「数ある業界の中で、なぜ小売業界を選んだのか」という点です。

単に「人と接するのが好きだから」という理由だけでは、他のサービス業(ホテル、ブライダル、飲食など)との違いを説明できません。

「生活に身近だから」という理由も、あまりに漠然としています。

自分自身の原体験と結びつけ、「小売業界でなければならない理由」を明確にしましょう。

例えば、「幼い頃に近所の商店街で感じた、店主との温かいコミュニケーションに魅力を感じた」や、「ある店舗での素晴らしい購買体験が忘れられず、自分もそうした感動を提供する側になりたいと思った」など、あなただけのオリジナルなストーリーが必要です。

その上で、「なぜ同業他社ではなく、御社なのか」まで踏み込んで語れるように、企業研究を深めていきましょう。

業界の最新動向のキャッチアップ

小売業界は今、ECとの競争、人手不足、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、大きな変革期を迎えています。

こうした業界の「今」を理解しているかどうかは、あなたの本気度を測る上で重要な指標となります。

新聞や業界専門誌、ニュースサイト(日経クロストレンドやダイヤモンド・チェーンストアなど)をこまめにチェックし、業界全体のトレンドや、各企業がどのような新しい取り組み(無人レジ、AI活用、オムニチャネル戦略など)を行っているかを把握しておきましょう。

こうした情報をインプットしておくだけでなく、「自分ならこの課題にどう取り組むか」「この新しい技術をどう活かせるか」といった自分なりの考えを持つことが大切です。

面接で業界の動向について聞かれた際に、自分の意見を交えて語ることができれば、他の就活生と大きく差をつけることができるはずです。

まとめ

小売業界は、「きつい」というイメージが先行しがちですが、それは物事の一側面に過ぎません。

私たちの生活に最も身近な場所で、人々の暮らしを支え、日々の彩りを提供するという、非常に重要でやりがいのある仕事です。

大変な側面があるからこそ、それを乗り越えてお客様の笑顔に出会えた時の喜びや、チームで目標を達成した時の高揚感は、何物にも代えがたいものがあります。

この記事で紹介した内容を参考に、イメージだけで判断せず、自分の目で見て、聞いて、深く理解する努力を続けてください。

その上で、もし「ここで挑戦したい」という強い気持ちが芽生えたなら、Digmediaはあなたの就職活動を全力で応援します。

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