HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就職活動を進める中で、安定したイメージのある鉄道業界に興味を持つ学生は多いのではないでしょうか。
しかし、「鉄道業界はきつい」という声を聞くと、本当に自分に合っているのか、入社してから後悔しないかと不安になるかもしれません。
この業界は人々の生活を支える重要なインフラであり、その分、厳しさや大変さがあるのも事実です。
この記事では、鉄道業界のリアルな仕事内容、主な職種、そして「きつい」と言われる具体的な理由まで、新卒就活生が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
この記事を通して、鉄道業界への理解を深め、あなたが納得のいく進路選択をするための具体的なヒントを見つけましょう。
【鉄道業界はきついのか】鉄道業界はきつい？
鉄道業界に対して「きつい」というイメージがあるのは、その業務の特性上、勤務時間が不規則になりがちであることや、人命を預かる責任の重さからくるものと考えられます。
結論から言えば、どの業界にも大変な側面があるように、鉄道業界も例外ではありません。
しかし、「きつい」と感じるかどうかは、職種や勤務形態、そして個人の価値観によって大きく変わります。
例えば、ダイヤ通りに運行させるためのプレッシャーをやりがいと感じる人もいれば、それを重荷に感じる人もいます。
この業界の仕事は、人々の日常を支える公共性の高いものであり、その使命感から高い満足度を得ている社員も多くいるのです。
重要なのは、「きつい」という表面的な情報に惑わされず、具体的な仕事内容や業界の現状を深く理解することです。
【鉄道業界はきついのか】鉄道業界の仕事内容
鉄道業界は多岐にわたる部門で構成されており、それぞれが連携して安全・安定輸送を支えています。
運転士や車掌といった直接的な輸送サービスに関わる仕事だけでなく、それを裏側で支える技術職や、事業全体を運営する事務系の仕事も非常に重要です。
人々の移動を支えるという公共性の高さがこの業界の最大の魅力であり、それぞれの仕事が社会に不可欠な役割を果たしています。
就職活動を進める上では、自分がどの部門でどのように貢献したいのかを明確にすることが、企業選びの重要な基準となるでしょう。
運転・サービス系：安全と快適な輸送を担う最前線
運転・サービス系職種は、駅や乗務員として、お客様に直接サービスを提供する最前線の仕事です。
駅員は切符の販売や案内、ホームでの安全確認、そして緊急時の対応など、多岐にわたる業務を高い集中力でこなす必要があります。
運転士は列車を定刻通りに、そして何よりも安全に運行させるという極めて重要な責任を負っています。
車掌はドアの開閉や車内放送、乗客への対応を行い、快適な移動をサポートします。
これらの職種は、シフト勤務や夜間勤務が多く、生活リズムが不規則になりがちですが、その分、お客様からの感謝を直接感じられるやりがいも大きいのが特徴です。
技術系：鉄道の安全を維持・進化させるプロフェッショナル
技術系職種は、線路、車両、電力、信号通信など、鉄道運行の基盤となる設備を整備・維持・管理する専門性の高い仕事です。
具体的には、列車が安全に走るための線路の点検・補修を行う保線、車両の検査や修理を行う車両、そして安定した電力供給を担う電力などの分野があります。
これらの仕事は、日々の地道な点検作業が、大勢の乗客の命と安全を守ることに直結しており、非常に大きな責任と同時に誇りを感じられる仕事です。
最新技術の導入や設備の改善にも積極的に取り組み、より安全で効率的な運行体制を追求し続ける必要があります。
企画・営業系：事業全体を動かす経営の要
企画・営業系職種は、鉄道事業全体を円滑に進め、さらなる発展を目指すための戦略立案や実行を担います。
例えば、列車の運行ダイヤの作成、駅や車両基地などの建設プロジェクトの推進、不動産や流通など多角化事業の企画・運営などが挙げられます。
この部門は、データ分析能力や論理的な思考力が求められ、会社の経営方針や将来像に深く関わる重要な役割を果たします。
特に、少子高齢化やリモートワークの普及といった社会の変化に対応するため、新たな収益源を確保するための事業開発は非常に重要なミッションです。
【鉄道業界はきついのか】鉄道業界の主な職種
鉄道業界の職種は、大きく分けて乗務員、技術職、総合職事務系に分類されます。
特に新卒採用では、総合職として入社後にジョブローテーションで様々な職種を経験することが一般的ですが、現業職としてスタートするケースもあります。
自分の適性やキャリアプランに合わせて、どのような職種を目指すのかを具体的にイメージしておくことが大切です。
乗務員（運転士・車掌）：安全輸送のプロフェッショナル
乗務員は、お客様と直接関わり、列車の運行を担う、鉄道会社の「顔」とも言える職種です。
特に運転士になるためには、入社後の厳しい訓練と国家資格の取得が必要であり、その責任は非常に重いです。
車掌は、運転士と連携し、列車内のサービスや安全確認を担当します。
この職種の厳しさは、一瞬の気の緩みが大事故につながりかねないプレッシャーと、早朝や深夜に及ぶ不規則な勤務体系にあります。
しかし、日々の安全運行を通じて社会を支えているという達成感と使命感は計り知れないものがあります。
メンテナンス・技術職：インフラを支えるスペシャリスト
メンテナンス・技術職は、車両、線路、電気設備、信号システムなど、鉄道インフラの維持管理を専門とする職種です。
この仕事の特性上、点検や補修作業は列車が運行していない深夜に行われることが多く、これが「きつい」と言われる一因でもあります。
しかし、専門的な知識や技術を身につけられるため、自身のスキルアップを実感でき、鉄道の安全を最前線で支えているという自負を持つことができます。
トラブルが発生した際には迅速かつ正確な対応が求められるため、冷静な判断力と問題解決能力が必要です。
総合職（事務・企画・営業）：経営戦略を担うリーダー候補
総合職は、会社の経営戦略、人事、財務、広報、新規事業開発など、幅広い業務を担当し、将来的な会社のリーダーとなることが期待される職種です。
現場経験を積むために駅業務や乗務員を経験することもありますが、その後に本社部門などで事業全体を動かす企画立案に携わります。
この職種は、鉄道事業だけでなく、不動産開発や流通事業など、多角的な事業展開を推進する役割も担うため、幅広い知識と高いコミュニケーション能力が求められます。
大きなプロジェクトを成功に導いた時の達成感は大きいですが、常に新しい課題に立ち向かう厳しさもあります。
【鉄道業界はきついのか】鉄道業界がきついとされる理由
鉄道業界がきついと言われる背景には、いくつかの共通する要因があります。
これらの要因を事前に理解しておくことで、入社後のミスマッチを防ぎ、より具体的な志望動機を形成することができます。
特に、公共交通機関であるという特性が、他の業界にはない特有の厳しさを生み出している点に注目しましょう。
責任の重さとプレッシャー：人命を預かる仕事の宿命
鉄道業界の仕事は、数多くの乗客の命と安全を預かるという極めて重大な責任を伴います。
特に運転士や技術系のメンテナンス職にとっては、わずかなミスや判断の遅れが、大きな事故や運行の混乱に直結しかねません。
この人命に関わるプレッシャーは、他の多くの業界では経験し得ない、鉄道業界特有の厳しさと言えるでしょう。
日々の業務において常に高い集中力と冷静さが求められ、精神的な負担が大きいと感じる人もいます。
不規則な勤務形態：交代制や深夜・早朝勤務が多い
鉄道は24時間体制で運行しているため、現場の職種、特に乗務員やメンテナンス職は、シフト制による不規則な勤務形態が一般的です。
早朝からの始発や深夜の終電業務、さらには夜間に行われる点検・工事作業など、生活リズムが一定になりにくい点が「きつい」と感じる大きな理由の一つです。
特に夜勤が続くと、体調管理に気を配る必要があり、プライベートな予定も組みにくいという側面があります。
災害時・トラブル時の対応：予期せぬ事態への迅速な行動
台風や地震などの自然災害、あるいは人身事故や車両故障といった予期せぬトラブルが発生した場合、鉄道は運行を停止したり、大幅な遅延が生じたりします。
このような緊急事態においては、現場の社員は迅速かつ正確な状況判断と対応を求められます。
乗客への案内や安全確保、関係各所との連携など、極度の緊張感の中で業務を遂行する必要があり、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。
顧客対応の難しさ：クレーム対応やストレス耐性
駅員や乗務員など、お客様と直接接する機会の多い職種では、遅延や運休などに対するお客様からのクレーム対応も重要な業務の一つとなります。
公共交通機関であるため、多くのお客様の生活に影響が及ぶ分、時には厳しい意見を直接受けることもあります。
こうした状況で冷静かつ丁寧に対応し続けるためには、高いストレス耐性やコミュニケーション能力が求められます。
【鉄道業界はきついのか】鉄道業界の現状・課題
鉄道業界は、安全・安定輸送という普遍的な使命を持ちながらも、時代の変化に伴う新たな課題に直面しています。
これらの現状と課題を理解することは、将来性を見極めるためにも不可欠です。
特に、人口動態の変化や技術革新は、この業界の働き方やビジネスモデルに大きな影響を与えています。
労働人口の減少と技術伝承の課題
日本の少子高齢化は、鉄道業界も例外なく直面している課題です。
熟練技術者の退職が進む一方で、若年層の入職者だけでは技術やノウハウの伝承が追いつかないという懸念があります。
安全運行を維持するためには、高度な技術や長年の経験が必要不可欠であり、いかにして効率的かつ確実に次世代へ知識を受け継いでいくかが大きな課題です。
これに対し、デジタル技術を活用した業務の効率化や、マニュアル整備が進められています。
地方路線の維持・存続問題
都市部では多くの乗客を抱える鉄道ですが、地方のローカル線では人口減少に伴い利用客が減少し、路線の維持が経営上の大きな負担となっています。
地域の生活インフラとして重要である一方、採算性を確保することが難しくなっており、廃線や第三セクター化などの議論が絶えません。
鉄道会社は、沿線自治体との連携や、観光事業との融合など、新たなビジネスモデルを模索する必要に迫られています。
新型コロナウイルス感染症の影響と収益構造の変化
新型コロナウイルスの影響により、リモートワークが普及した結果、通勤利用客が大幅に減少し、鉄道会社の収益構造は大きな打撃を受けました。
回復傾向にあるとはいえ、以前のような定期利用客の増加は見込みにくい状況です。
このため、鉄道会社は、鉄道事業以外にも、不動産、流通、ホテルなどの非鉄道事業を強化し、収益の多角化を進めています。
事業ポートフォリオの変革は、今後の鉄道業界の重要なテーマとなります。
【鉄道業界はきついのか】鉄道業界に向いている人
鉄道業界での仕事は、人々の生活を支える公共性の高いものであるため、特定の資質や価値観を持つ人が特にやりがいを感じ、活躍できる傾向があります。
強い責任感と使命感を持っている人
鉄道業界の仕事は、多くの人々の安全と、定められた運行ダイヤを守るという大きな責任を伴います。
自分の業務が社会のインフラを支えているという強い使命感を持ち、決して手を抜かずに最後までやり遂げようとする姿勢が不可欠です。
チームワークを大切にし、協調性がある人
安全で安定した運行は、運転士、車掌、駅員、技術者、そして本社の企画部門など、様々な部署の連携によって成り立っています。
そのため、自分の役割を理解しつつ、周囲の仲間と協力しながら目標を達成できる協調性の高さが求められます。
ルールや規律を厳守できる人
鉄道は、安全を最優先するために、非常に細かく厳格なルールやマニュアルが存在します。
これらを正確に理解し、どんな時でも遵守できる規律正しい姿勢が、鉄道業界で働く上で最も基本的な適性の一つです。
【鉄道業界はきついのか】鉄道業界に向いていない人
一方で、鉄道業界の特性上、特定の価値観や仕事の進め方を好む人には、その環境が合わないと感じる可能性があります。
変化や刺激を強く求める人
鉄道業界は、安全性が最優先されるため、確立されたルールや慣習に基づいて業務が行われることが多く、急進的な変化は起こりにくい傾向があります。
常に新しい刺激や、短期間での大きな変化を求める人には、やや物足りなく感じられるかもしれません。
柔軟性よりも自分のペースを優先したい人
現場の仕事では、天候やトラブルによって急なダイヤの乱れや予定の変更が発生します。
そうした状況で、マニュアルに基づきながらも、状況に応じた柔軟な対応が求められるため、自分のペースや計画を頑なに守りたい人には精神的な負担が大きい可能性があります。
サービス精神や公共性よりも報酬を重視する人
鉄道業界は、公共性が高く、人々の生活を支えるという社会貢献度の高い仕事です。
もちろん適正な報酬はありますが、業界全体の給与水準は、成果主義の強い外資系やIT系企業と比較すると、年功序列的な傾向が残る企業もあります。
給与や評価体系のみを最優先する人にとっては、モチベーションを保つのが難しいかもしれません。
【鉄道業界はきついのか】鉄道業界に行くためにすべきこと
鉄道業界への就職を成功させるためには、その業界特有の特性を理解し、適切な準備を行うことが重要です。
業界・企業研究を徹底し、事業への理解を深める
鉄道業界と一口に言っても、JR、私鉄、公営鉄道、貨物など、事業内容や企業規模は大きく異なります。
各社の事業戦略、特に非鉄道事業への取り組みや、企業が抱える地域の特性などを深く研究しましょう。
これにより、なぜその企業で働きたいのかという具体的な志望動機を構築できます。
チームで何かを成し遂げた経験を具体的に語れるようにする
鉄道の仕事はチームワークが不可欠です。
学生時代に、アルバイト、部活動、サークル活動などで、目標達成のためにチームで協力し、自分の役割を果たした経験を具体的なエピソードとして準備しましょう。
協調性や責任感をアピールする上で非常に有効です。
なぜ鉄道で社会貢献したいのかを明確にする
「安定しているから」といった理由ではなく、「なぜ鉄道という手段で社会に貢献したいのか」という、あなたの核となる動機を明確にすることが重要です。
これは、人々の移動を支えることなのか、地域活性化に貢献することなのか、安全技術の進化に関わることなのか、深く自己分析を行い、面接官に熱意を伝えられるように準備しましょう。
まとめ
この記事では、鉄道業界の仕事内容や職種、そして「きつい」と言われる理由から、現状の課題、さらには向いている人の特徴まで幅広く解説しました。
鉄道業界は、人々の生活に不可欠なインフラを支える、やりがいと使命感に満ちた仕事です。
確かに不規則な勤務や人命を預かる責任の重さといった厳しさはありますが、それを上回る社会貢献度の高さや、技術革新による将来性も兼ね備えています。
もしあなたが、強い責任感を持ち、チームで協力して社会の基盤を支えたいという熱い想いを持っているなら、ぜひこの業界に挑戦してください。
徹底的な企業研究と自己分析で準備を進め、あなたの納得のいく就職活動となることを応援しています。
