HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
企業の「ヒト」に関わる重要な役割を担う労務職は、新卒採用においても非常に狭き門であり、選考を突破するためには質の高いアピールが欠かせません。
特に学生時代に力を入れたことを指すガクチカは、あなたの人柄やポテンシャルを企業に伝えるための最重要項目の一つです。
本記事では、労務職を目指す就活生に向けて、評価されるガクチカの作成方法を徹底解説します。
企業の視点を理解し、内定に近づくための戦略を一緒に確認していきましょう。
【労務職のガクチカ】学生時代に力を入れたこと
就職活動において頻出する質問の一つであるガクチカとは、学生時代に力を入れたことを指します。
ここで注意しなければならないのは、この学生時代という言葉が指す期間の定義です。
最終学歴が大学または大学院であれば大学時代のエピソードを、専門学校であれば専門学校時代のエピソードを選ぶ必要があります。
なぜなら、企業は今のあなたに最も近い時期の経験を通じて、現在の価値観や能力を知りたいと考えているからです。
もし大学生であるにもかかわらず高校時代の部活動などを題材にしてしまうと、大学生活では何も取り組まなかったのかと疑われるリスクがあります。
そのため、特別な事情がない限りは、直近の学生生活である大学時代のエピソードを選定してアピールすることが鉄則です。
自己PRとの違い
ガクチカと混同しやすい項目に自己PRがありますが、この二つには明確な違いが存在するため使い分けが重要です。
自己PRは自身の強みを提示し、その強みを仕事でどのように活かせるかをアピールする場です。
一方でガクチカは、困難や課題に対してどのような過程を経て取り組んだのかというプロセスを重視します。
つまり、ガクチカでは経験を通じて培われた人柄や価値観、そして経験から学ぶ力がある人材かどうかが評価されているのです。
【労務職のガクチカ】企業がガクチカを聞く理由
自社とマッチングする人なのか
企業がガクチカを質問する最大の理由は、学生の人柄や価値観が自社の社風や業務内容と合致しているかを確認するためです。
応募者が何に対してモチベーションを感じ、どのような動機で行動を起こしたのかを知ることで、入社後の定着度や活躍の可能性を予測します。
また、サークル活動やアルバイトなどの組織的な活動に取り組んだ経験であれば、チームの一員として周囲とどのように関わったのかが見られます。
労務職は多くの社員と関わる仕事であるため、組織に適応できる協調性や対人スキルを持っているかは重要な判断材料となります。
職場でも頑張れる人なのか
仕事においては予期せぬトラブルや困難な課題に直面することが多々ありますが、そのような状況でも諦めずに努力を継続できるかが見られています。
学生時代に高い目標を掲げて努力した経験や、困難を乗り越えた経験がある人は、社会人になっても同様に粘り強く業務に取り組むことが期待されます。
労務職は地道な作業や複雑な法対応が求められる職種です。
だからこそ、過去の行動実績を通じて、この学生ならば職場でも誠実に頑張ってくれるだろうという信頼感を抱かせることが大切です。
学びの姿勢があるか
企業は完成された能力だけでなく、入社後の成長の伸び代であるポテンシャルも重視して採用活動を行っています。
そのため、ガクチカを通じて経験から学びを得て、それを次に活かす姿勢があるかどうかがチェックされます。
失敗や成功の結果そのものよりも、そこから何を考え、どのように自分自身を改善したのかというプロセスが重要です。
経験を糧にして自己成長や組織への貢献につなげられる人材は、変化の激しいビジネス環境においても柔軟に対応し、会社に利益をもたらす存在として高く評価されます。
【労務職のガクチカ】労務職に必要なスキル
労務職は、給与計算や社会保険手続き、安全衛生管理など、社員が安心して働ける環境を整えるための専門的な業務を担当します。
そのため、他の職種とは異なる特有のスキルや資質が求められる仕事です。
ここでは、ガクチカのエピソードを作成する際に意識すべき、労務職に不可欠な5つのスキルについて解説します。
自身のエピソードの中にこれらの要素が隠れていないかを探し、アピールポイントとして組み込むことで、採用担当者への説得力を高めましょう。
正確性と几帳面さ
労務職の業務において最も基本的かつ重要なスキルは、ミスなく業務を遂行する正確性と幾帳面さです。
給与計算や社会保険の手続きにおいて数字やデータの誤りは許されず、ひとつのミスが社員の生活や会社の信頼に直結します。
ガクチカにおいては、事務のアルバイトやサークルの会計係などで、細かなデータ管理を徹底した経験や、ミスを防ぐために独自のチェック体制を構築したエピソードなどが有効です。
細部まで注意を払い、責任を持って完遂できる能力があることを示してください。
課題解決に向けた調整力
労務職は、社員と会社、あるいは部署間の利害関係を調整する場面に多く遭遇するため、高度な調整力が求められます。
法律や就業規則に基づきながらも、現場の社員が納得できる落とし所を見つけるバランス感覚が必要です。
学生時代のエピソードとしては、サークルやゼミ活動において意見が対立した際に間に入って解決に導いた経験や、イベント運営で複数の部署と連携を取りながら円滑にプロジェクトを進めた経験などがアピール材料になります。
相手に寄り添う傾聴力
社員からの労務相談やメンタルヘルス対応などを行う際には、相手の言葉に真摯に耳を傾ける傾聴力が欠かせません。
一方的にルールを押し付けるのではなく、相手の事情や感情を理解した上で適切な対応を行う姿勢が求められます。
ガクチカでアピールする際は、塾講師のアルバイトで生徒の悩みに向き合い信頼関係を築いた経験や、部活動で後輩の相談に乗りチームの雰囲気を改善した経験などが効果的です。
相手の立場に立って行動できる優しさや誠実さを伝えましょう。
規律を守る倫理観
個人情報や機密情報を扱う労務職には、高い倫理観と守秘義務を遵守する強い責任感が求められます。
ルールを軽視するような人材は、労務職として採用されることはありません。
したがって、ガクチカのエピソードにおいても、規則やルールを遵守した上で成果を出した経験を語ることが重要です。
不正や手抜きをせず、誠実に取り組んだ姿勢を強調することで、企業の大切な情報を任せられる信頼できる人物であることを証明してください。
継続的な学習意欲
労働基準法や社会保険関連の法令は頻繁に改正されるため、労務職には常に新しい知識を吸収し続ける学習意欲が必要です。
現状に満足せず、自ら進んで学び続ける姿勢は大きな評価ポイントとなります。
資格取得に向けた勉強に取り組んだ経験はもちろん、部活動やアルバイトにおいて、より良い成果を出すために自分なりに研究や工夫を重ねたプロセスもアピールになります。
自律的に学び成長できる人材であることを、具体的な行動事実とともに伝えてください。
【労務職のガクチカ】構成
結論
ガクチカを作成する際は、最初に結論を述べる結論ファーストの構成を心がけてください。
私は学生時代に〇〇に力を入れましたと冒頭で明確に伝えることで、採用担当者はこれから話される内容のテーマを瞬時に理解できます。
結論が後回しになると、何について話しているのかが伝わりにくくなり、話全体の印象が薄れてしまいます。
短時間で多くの学生を判断しなければならない面接官に対し、ストレスなく情報を伝えるための配慮として、まずは結論から書き出すことを徹底しましょう。
背景
次に、なぜその活動に力を入れようと思ったのかという背景や動機を説明します。
同じような活動をしていたとしても、それを始めた理由や熱量は人それぞれ異なります。
この動機部分には、あなたの価値観や人柄が色濃く反映されるため、独自性を出すための重要な要素となります。
現状を変えたいという向上心や、誰かの役に立ちたいという貢献心など、行動の起点となった思いを言語化することで、エピソードに深みと説得力が生まれます。
目的
背景を説明した後は、その活動の中でどのような目的を持って行動したのかを具体的に記述します。
単に活動に参加していただけでなく、どのような課題意識を持ち、どのような状態を目指していたのかを明確にします。
たとえば、チームの優勝という大きな目標だけでなく、そのためにチーム内のコミュニケーション不足を解消するという具体的な課題設定があったことを伝えます。
目的意識を持って行動できる人材であることを示す重要なパートです。
具体的な取り組み
ここでは、設定した目的や課題を達成するために、実際にどのような行動を起こしたのかを詳述します。
この部分がガクチカの核となるため、あなた自身が考え、実行した工夫や努力を具体的に描写することが求められます。
チーム全員で取り組んだことよりも、あなた個人がどのような役割を果たし、どのように貢献したかに焦点を当ててください。
困難な状況において、どのような思考プロセスで解決策を導き出したのかを伝えることが大切です。
結果
取り組みの結果、どのような成果が得られたのかを報告します。
可能であれば、売上が〇〇パーセント向上した、大会で〇〇位に入賞したといった客観的な数値を用いると、成果の大きさが伝わりやすくなります。
しかし、必ずしも華々しい成果である必要はありません。
重要なのは、目標に対してどこまで達成できたのか、そしてその結果に至るまでの過程です。
結果を正直に伝えつつ、そこから得られた達成感や周囲への影響についても触れると良いでしょう。
学びと入社後の結び付け
最後に、その経験を通じて何を学んだのか、そしてその学びをどのようにして入社後の業務に活かすのかを述べて締めくくります。
単なる思い出話で終わらせず、ビジネスの場における再現性をアピールすることが重要です。
たとえば、粘り強く交渉した経験から得た調整力を活かして、労務管理の現場でも円滑な業務遂行に貢献したいといった形で結びます。
企業が求める人物像と自身の強みをリンクさせることで、採用担当者に一緒に働きたいと思わせることができます。
PREP法は面接でも有効！
これまで解説した構成は、Point（結論）、Reason（理由）、Example（具体例）、Point（結論）の頭文字を取ったPREP法に基づいています。
この構成は論理的で分かりやすい文章を作るための基本ですが、文章作成だけでなく面接での受け答えにおいても非常に有効です。
事前にPREP法でエピソードを整理しておけば、緊張しやすい面接の場でも、焦らずに論理的に自分の考えを伝えることができます。
エントリーシート作成の段階からこの型を意識しておくことは、後の面接対策としても大きなメリットとなります。
【労務職のガクチカ】ポイント
具体的な数字を盛り込む
ガクチカの内容に説得力を持たせるためには、可能な限り具体的な数字を盛り込むことが効果的です。
たとえば、単に多くの人を集めたと言うよりも、前年比120パーセントとなる50人を集客したと伝えた方が、成果の規模や難易度が明確に伝わります。
定量的な指標を用いることで、採用担当者はあなたの実績を客観的に評価しやすくなります。
数字は嘘をつかないため、エピソードの信憑性を高めるための強力な武器になると認識して積極的に活用してください。
事実と解釈を分ける
魅力的なガクチカにするための高度なテクニックとして、事実と解釈を明確に分けることが挙げられます。
事実は実際に起きた出来事や行動そのものを指し、解釈はその事実に対してあなたがどう感じ、どう考えたかという意味付けを指します。
事実だけを羅列すると報告書のようになってしまいますが、そこに独自の解釈を加えることで、あなたの思考の深さや人間性が浮き彫りになります。
事実をベースにしつつ、自分なりの視点を交えることで、他の学生との差別化を図ることができます。
【労務職のガクチカ】注意点
成果やエピソード自体を強調しすぎない
ガクチカを作成する際によくある失敗は、輝かしい成果やインパクトのあるエピソードそのものを過度に強調してしまうことです。
企業が見たいのは、素晴らしい結果そのものではなく、その結果に至るまでのプロセスやあなたの行動特性です。
たとえ全国大会優勝という素晴らしい実績があっても、そこに至る努力や工夫が伝わらなければ評価されません。
結果はあくまで装飾であり、本質は泥臭い努力や思考錯誤の中にあることを忘れないでください。
ポジティブに伝える
どのようなエピソードであっても、最終的にはポジティブな印象で終わるように構成することが大切です。
困難や失敗談を話す際も、不満や愚痴で終わらせるのではなく、それをどう乗り越え、何を学んだかという前向きな姿勢を強調してください。
ネガティブな経験を糧にして成長できる強さは、社会人として非常に重要な資質です。
前向きな姿勢は入社後の成長意欲や周囲への良い影響を予感させ、面接官に好印象を与える要因となります。
【労務職のガクチカ】例文3選
これまでの解説を踏まえ、労務職の採用選考において高評価が期待できるガクチカの例文を3つ紹介します。
それぞれの例文は、労務職に求められる正確性、調整力、改善意欲などのスキルを反映させています。
ご自身の経験と照らし合わせながら、構成や表現の参考にしてください。
なお、実際の執筆では自身の言葉で具体性を高めることが重要です。
例文1：事務アルバイトでの業務改善
私は大学時代、不動産会社の事務アルバイトにおいて、契約書管理の効率化に力を入れました。
当初、職場では紙媒体での書類管理が中心であり、必要な書類を探すのに時間がかかるという課題がありました。
私はこの状況を改善し、社員の方々の業務負担を軽減したいと考え、過去3年分の書類の電子化とファイリングルールの統一を提案しました。
実行にあたっては、通常業務に支障が出ないよう、隙間時間を活用して少しずつ作業を進めるとともに、社員の方にも扱いやすい分類方法をヒアリングして反映させました。
その結果、書類検索にかかる時間を平均10分から1分未満に短縮することができ、職場の皆さんから感謝の言葉をいただきました。
この経験から、現状の課題を見つけ出し、地道な作業を通じて解決する大切さを学びました。
貴社に入社後も、細かな業務改善を積み重ね、組織全体の生産性向上に貢献したいと考えています。
例文2：サークル会計係としての不正防止
私は所属していたテニスサークルにおいて会計係を務め、透明性の高い会計運営の確立に尽力しました。
以前のサークル運営では、使途不明金が発生するなど金銭管理が曖昧で、部員からの不信感が高まっているという問題がありました。
私は会計係として皆の信頼を取り戻す必要があると考え、領収書の提出義務化と月次決算報告の導入を徹底しました。
当初は面倒だと反発する声もありましたが、部費が適切に使われていることを可視化するメリットを粘り強く説明し、協力を仰ぎました。
また、現金のやり取りを極力減らし、電子決済アプリを導入することで履歴を残す工夫も行いました。
これらの取り組みにより、使途不明金はゼロになり、部員全員が納得して部費を支払える環境を作ることができました。
この経験で培った、規律を守る責任感と周囲を巻き込む調整力は、貴社の労務部門においてもコンプライアンス遵守の観点で活かせると確信しています。
例文3：ゼミ長としての意見調整
私はゼミ長として、学園祭での研究発表展示を成功させることに注力しました。
当初、展示内容を巡って、学術的な深さを重視するメンバーと、一般客への分かりやすさを重視するメンバーとの間で意見が対立し、準備が停滞してしまう危機がありました。
私は双方の意見を尊重しながら妥協点を見つけることが役割だと考え、まずは個別に話し合いの場を設け、それぞれの真意や懸念点を丁寧に聞き取りました。
その上で、メインの展示は分かりやすさを優先しつつ、詳細な資料を別途配布することで学術的な質も担保するという折衷案を提案しました。
この提案により双方の納得を得ることができ、チーム一丸となって準備を進めることができました。
結果として、当日は例年の1.5倍の来場者を記録し、教授からも高い評価をいただくことができました。
この経験から得た傾聴力と課題解決力は、多様な価値観を持つ社員の方々と関わる労務職の業務に必ず役立つと考えています。
【労務職のガクチカ】まとめ
本記事では、労務職を目指す就活生に向けて、評価されるガクチカの書き方やポイントを解説してきました。
労務職は企業の基盤を支える重要な職種であり、正確性や誠実さ、そして人に対する思いやりが求められます。
あなたの学生時代の経験の中に眠っているこれらの資質を、論理的かつ情熱を持って伝えることができれば、内定への道は必ず開かれます。
自信を持ってあなたらしいエピソードを作成し、就職活動を成功させてください。
