
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
新卒採用の選考過程において、必ずと言っていいほど質問される項目が学生時代に力を入れたこと、通称ガクチカです。
特に幅広い業務適性が求められる総合職の採用選考では、学生独自の経験や思考プロセスが重視されます。
本記事では、総合職志望の就活生に向けて、評価されるガクチカの作成方法や例文を具体的に解説します。
これらを参考に自身の経験を整理し、採用担当者の心に響くアピールにつなげてください。
【総合職のガクチカ】学生時代に力を入れたこと
ガクチカとは学生時代に力を入れたことを指しますが、大学生の就職活動においては大学時代のエピソードを選択することが基本です。
高校時代以前の話をしてしまうと、大学生活では何も活動していなかったのではないかとマイナスの印象を与えかねません。
直近の経験を語ることで、現在の自分の価値観や能力を正確に伝えることができます。
仮に高校時代の経験を話すとしても、それが大学生活にどうつながっているかを示す必要があります。
自己PRとの違い
強みそのものをアピールする自己PRに対し、ガクチカでは人柄や価値観、経験から学ぶ姿勢が見られています。
自己PRがその強みをどう仕事に活かすかという能力面を重視する一方で、ガクチカは取り組みのプロセスを通じてどのような人物なのかを伝える項目です。
両者の違いを理解し、明確に書き分ける必要があります。
どちらも似たエピソードになることがありますが、伝える視点を変えることで差別化を図ることが可能です。
【総合職のガクチカ】企業がガクチカを聞く理由
企業がガクチカを質問する主な意図は、応募者が自社のカルチャーに合う人物かどうかを見極めるためです。
学生が何に情熱を注ぎ、どのような動機で行動したかを知ることで、履歴書だけでは分からない内面的な特性を把握しようとしています。
また、困難な状況に直面した際の対応力や、組織の中での立ち振る舞いを確認する意図もあります。
ここでは企業が特に注目している3つのポイントについて解説します。
自社とマッチングする人なのか
採用担当者は、学生が力を入れた動機や具体的な活動内容を通じて、その人の人柄や価値観が自社の風土に合致するかを確認しています。
特にサークル活動やアルバイトといったチームでの取り組みを題材にする場合、組織の一員としての振る舞いや協調性の有無が見られます。
周囲と協力して物事を進められる人物であれば、入社後も既存社員とうまく連携し、組織に貢献できる人材であると判断されやすくなります。
職場でも頑張れる人なのか
学生時代に高い目標を持って努力を継続できた人は、社会人になっても同様に業務へ真摯に取り組めると期待されます。
企業は、困難な課題に対して粘り強く向き合い、最後までやり遂げる力を持つ人材を求めています。
したがって、ガクチカを通じて物事に対する熱意や行動力を示すことが重要です。
過去の努力の実績は、入社後の仕事に対する再現性のあるモチベーションとして評価される傾向にあります。
学びの姿勢があるか
企業は、入社後にその人材がどれだけ成長できるかというポテンシャルを重視しています。
経験した成功や失敗から何を学び、それを次の行動にどう活かしたかという自己成長のプロセスが重要視されます。
単に経験をしただけでなく、そこから得た教訓を自分自身や組織の改善につなげられる人材は、変化の激しいビジネス環境においても自律的に成長し続けられると評価されます。
【総合職のガクチカ】総合職に必要なスキル
総合職は特定の職務に限定されず、営業や企画、人事や総務など多岐にわたる業務を担当する可能性がある職種です。
そのため、どのような環境でも成果を出せる汎用的なスキルや人間力が求められます。
ガクチカを作成する際は、これらのスキルを発揮したエピソードを盛り込むことで、採用担当者に入社後の活躍をイメージさせやすくなります。
ここでは総合職において特に重要視される5つのスキルについて解説します。
対人関係構築力
総合職では、社内外の様々な立場の人と協力して仕事を進める機会が多くあります。
そのため、年齢やバックグラウンドが異なる相手とも信頼関係を築き、円滑にコミュニケーションをとる対人関係構築力が不可欠です。
ガクチカにおいては、意見の対立を調整した経験や、チームの雰囲気を良くするために働きかけた経験などが評価されます。
周囲を巻き込みながら目的を達成する力は、組織で働く上で最も基本的な能力といえます。
課題発見と解決力
与えられた業務をこなすだけでなく、現状の問題点を自ら見つけ出し、それを解決に導く能力も総合職には求められます。
マニュアル通りにいかない状況下で、何が本質的な問題なのかを分析し、具体的な改善策を実行に移せるかが重要です。
ガクチカでは、既存の仕組みを変えようとした経験や、目標未達の原因を究明して成果につなげたプロセスを語ることで、主体的な問題解決能力をアピールできます。
主体的な行動力
指示を待つのではなく、自ら考えて行動する主体性は、変化の激しいビジネスの現場で高く評価されます。
自分事として物事をとらえ、自発的に働きかける姿勢は、組織に新しい風を吹き込むことにつながります。
ガクチカのエピソードでは、誰かに言われてやったことではなく、自らの意思で始めた取り組みや、周囲より一歩進んで行動した経験を強調することで、能動的な人材であることを印象付けられます。
粘り強い継続力
仕事には華やかな場面ばかりでなく、地味で根気のいる業務や、長期間にわたるプロジェクトも存在します。
そのため、一度決めたことを途中で投げ出さず、結果が出るまで粘り強く継続する力が必要です。
ガクチカでは、長期間にわたって一つのスキルを磨き続けた経験や、困難な状況でも諦めずに取り組み続けたエピソードが有効です。
この能力は、入社後のストレス耐性や責任感の証明にもなります。
柔軟な適応力
総合職はジョブローテーションなどで配属先が変わることもあり、新しい環境や未知の業務に素早く適応する必要があります。
予期せぬトラブルや環境の変化に対しても、柔軟に対応し最適解を見つけ出す力が求められます。
ガクチカにおいては、留学先などの不慣れな環境で生活基盤を整えた経験や、急なトラブルに対応してイベントを成功させた経験などを通じて、変化への強さを示すことができます。
【総合職のガクチカ】構成
ガクチカを効果的に伝えるためには、論理的で分かりやすい構成にすることが不可欠です。
思いついたままに書くのではなく、相手が理解しやすい順序で情報を提示することで、説得力のある文章になります。
基本的には結論から書き始め、背景、目標、行動、結果、そして学びへと展開していきます。
ここでは、読み手にストレスを与えず、かつ内容が伝わりやすい構成の各ステップについて詳しく解説します。
1. 結論
ビジネス文書や面接と同様に、ガクチカでも結論から述べることが重要です。
最初に私が学生時代に力を入れたことは〇〇ですと明言することで、聞き手は何についての話なのかを瞬時に理解できます。
冒頭でテーマを明確にしないと、その後のエピソードが頭に入りづらくなってしまいます。
まずは簡潔に、何に取り組んだのかを提示し、読み手の関心を惹きつけることから始めてください。
2. 背景
次に、なぜその活動に力を入れようと思ったのかという動機や背景を説明します。
同じサークル活動やアルバイトを題材にしていても、それを始めた理由や情熱の源泉は人それぞれ異なります。
主体的な動機があれば、その後の行動に対する説得力が増します。
どのような状況に置かれていたのか、何を感じて行動を起こそうと思ったのかを記述し、エピソードに独自のストーリー性を持たせてください。
3. 目的
活動に取り組む中で、具体的にどのような目的を果たそうとしたのかを記述します。
ここでは単に活動をこなすだけでなく、どのような課題意識を持ち、何を目指していたのかを明確にします。
背景と重なる部分もありますが、ここではより具体的な目標設定や、解決すべき課題に焦点を当てます。
高い目標や困難な課題であるほど、それを乗り越えた際のアピール度が高まり、意欲的な姿勢を伝えられます。
4. 具体的な取り組み
ガクチカの中で最も重要なパートであり、課題を乗り越えるためにどのような行動をとったのかを詳述します。
抽象的な表現は避け、実際に自分が何を行い、どう工夫したのかを具体的に描写してください。
また、その行動において自身の強みやスキルがどのように発揮されたかを示すことも大切です。
ここでの記述が、あなたの実務能力や問題解決へのアプローチを判断する材料となります。
5. 結果
取り組みの結果、どのような成果が得られたのかを報告します。
定量的な成果があれば数字で示し、定性的な成果であれば周囲の変化や自身の成長などを具体的に記述します。
ただし、結果そのものの大きさよりも、前述の取り組みがどう結実したかという因果関係が重要です。
成功体験だけでなく、たとえ目標に届かなくても、そこまでの過程で何を得られたのかを誠実に伝えることが評価につながります。
6. 学びと入社後の結び付け
最後に、その経験を通じて得た学びや成長を述べ、それを入社後にどう活かせるかで締めくくります。
単なる思い出話で終わらせず、ビジネスの場における再現性を示すことが目的です。
得られた教訓や能力が、志望企業の業務においてどのように貢献できるかを具体的にイメージさせることで、採用担当者に採用するメリットを強く印象付けることができます。
PREP法は面接でも有効!
PREP法とは、結論、理由、具体例、結論の順で話す構成テクニックであり、これは書類作成だけでなく面接でも非常に有効です。
エントリーシートなどの文章提出時は推敲が可能ですが、面接では即興で分かりやすく伝える必要があります。
PREP法の型を頭に入れておくことで、緊張する場面でも論理の破綻を防げます。
結論から話す癖をつけることは、社会人になってからの報告や連絡業務でも役立つスキルです。
【総合職のガクチカ】ポイント
魅力的なガクチカを作成するためには、単に事実を並べるだけでなく、読み手に情景が浮かぶような工夫が必要です。
採用担当者は数多くのエントリーシートに目を通しているため、印象に残る内容にするための表現のテクニックが求められます。
具体性を持たせることや、事実と自身の思考を分けて記述することが鍵となります。
ここでは、ガクチカの質を一段階高めるための2つの重要なポイントを紹介します。
具体的な数字を盛り込む
エピソードの説得力を高める最も効果的な方法は、客観的な数値を用いることです。
例えば、サークルの参加率を向上させたと書くよりも、参加率を50パーセントから80パーセントに引き上げたと書く方が、成果の大きさが具体的に伝わります。
指標がないと成果のイメージが湧きにくく、アピールが弱くなってしまいます。
人数や期間、金額や順位など、可能な限り数字で表現できる要素を探して盛り込んでください。
事実と解釈を分ける
文章を書く際は、客観的な事実と、それに対する自分の考えや解釈を明確に区別することが重要です。
具体的な行動や成果といった事実を提示しつつ、それが自分にとってどういう意味を持ち、どう成長につながったのかという解釈を加えることで、エピソードに深みが出ます。
解釈の部分はあなたの自己理解や価値観を示す重要な要素であり、事実とセットで語ることで、面接官にとって納得感のある内容となります。
【総合職のガクチカ】注意点
ガクチカを作成する際には、アピールしたい気持ちが先行してしまい、逆効果になってしまうケースがあります。
自分の言いたいことだけを詰め込むのではなく、読み手がどう受け取るかを意識することが大切です。
特に成果の強調しすぎや、ネガティブな表現には注意が必要です。
ここでは、マイナス評価を避けるために意識すべき2つの注意点について解説します。
成果やエピソード自体を強調しすぎない
素晴らしい実績や珍しい経験は目を引きますが、それ自体を強調しすぎると、プロセスや人間性が見えにくくなります。
企業が見たいのは結果そのものではなく、そこに至るまでの努力や工夫の過程です。
輝かしい成果を羅列するよりも、泥臭い努力や失敗から学んだ経験を語る方が、その人の働き方や考え方が伝わります。
成果はあくまで結果であり、プロセス重視の記述を心がけてください。
ポジティブに伝える
困難や失敗を語る際も、最終的にはポジティブな表現で締めくくることが重要です。
不満や愚痴のような表現は避け、困難をどう前向きに捉え、乗り越えようとしたかに焦点を当てます。
たとえ失敗に終わったとしても、そこから何を学び、次にどう活かそうとしているかを伝えることで、成長意欲や回復力をアピールできます。
前向きな姿勢は、一緒に働きたいと思わせる重要な要素です。
【総合職のガクチカ】例文3選
ここからは、実際に総合職の選考で高評価を狙えるガクチカの例文を紹介します。
前述の構成やポイントを踏まえ、アルバイト、サークル活動、学業といった異なるシチュエーションでの例文を作成しました。
これらを参考に、ご自身の経験に合わせてオリジナルのガクチカを作成してみてください。
構成の流れや、具体的な数字の使い方、学びの結び付け方などに注目して読むと効果的です。
アルバイトでの課題解決
私が学生時代に最も力を入れたことは、カフェのアルバイトで新人教育の仕組みを改善し、離職率を低下させたことです。
当時、私が働いていた店舗では新人スタッフの定着率が悪く、3か月以内の離職率が約40パーセントに達していました。
私は、新人が業務に馴染めず孤独感を感じていることが原因だと考え、教育係となるメンター制度の導入を店長に提案しました。
具体的には、新人一人に対して先輩一人がつき、業務指導だけでなく相談もしやすい環境を整えました。
また、業務マニュアルに写真や図解を加え、視覚的にも分かりやすい内容に改訂しました。
その結果、新人の不安が解消され、半年後の離職率を10パーセント以下まで改善することができました。
この経験から、相手の立場に立って課題を分析し、環境を整えることの重要性を学びました。
貴社でも、組織の課題を主体的に発見し、解決に向けて行動することで貢献したいと考えています。
サークル活動での組織運営
私は大学時代、総勢100名が所属するダンスサークルのイベント責任者として、公演の来場者数を過去最多にすることに注力しました。
例年の公演では集客が伸び悩み、満席にならないことが課題でした。
私は、従来の身内向けの広報だけでなく、外部への発信力が不足していることが原因だと分析しました。
そこで、SNSを活用した動画プロモーションを企画し、ターゲット層である近隣の大学生や高校生に向けた発信を強化しました。
チーム内では広報班と連携し、毎日異なるメンバーを紹介するカウントダウン企画を実施して、部員のモチベーション維持にも努めました。
反対意見が出ることもありましたが、個別に話し合いの場を設け、全員が納得して進めるよう調整しました。
結果として、前年比150パーセントとなる800名の来場者を記録し、立ち見が出るほどの盛況となりました。
この経験で得た、周囲を巻き込みながら目標を達成する推進力を、貴社のプロジェクト運営でも活かしたいです。
ゼミ活動での粘り強い研究
私が学生時代に力を入れたことは、都市社会学のゼミ活動において、商店街の活性化に関するフィールドワーク研究を行ったことです。
当初、私は文献調査だけで結論を出そうとしていましたが、教授から現場の実態と乖離していると指摘を受けました。
そこで私は、実際に現地へ足を運び、生の声を聞く必要があると考え、対象地域の商店街で2週間の実地調査を行いました。
調査では50店舗以上の店主にインタビューを試みましたが、最初は門前払いされることもありました。
しかし、諦めずに何度も通い、清掃活動に参加するなどして信頼関係を構築することで、徐々に本音を聞き出すことができました。
その結果、文献にはない若手後継者の不足という真の課題を発見し、学生とのコラボイベントを提案する論文を完成させることができました。
この経験から、粘り強く現場に向き合う大切さを学びました。
貴社の営業職においても、顧客の潜在的なニーズを掴むために、泥臭く行動し続けたいと思います。
【総合職のガクチカ】まとめ
ガクチカは、単なる過去の自慢話ではなく、あなたの人間性や将来の可能性を企業に伝えるための重要なツールです。
総合職を目指す上で、主体性や課題解決力、そして継続力といったスキルを、具体的なエピソードを通じて証明することが求められます。
今回解説した構成やポイント、注意点を意識し、あなただけの物語を自信を持って伝えてください。
入念な準備と推敲を重ねることで、きっと納得のいく内定を勝ち取ることができるはずです。