
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
「公務員試験をSPIで受けられる自治体はどこ?」という疑問を持つ就活生が増えています。実際、従来の教養試験に代えて適性検査SPI3を筆記試験に採用する自治体は、市役所を中心に年々増加しており、県庁の上級試験でもSPI型区分を新設する動きが出ています。
ただし編集部が調べたところ、SPI導入自治体は毎年入れ替わりがあり、「この自治体一覧を覚えれば安心」という静的なリストは存在しません。前年はSPI方式だったのに翌年は制度が変わる、ということも普通に起こります。
だからこそ重要なのは、固定のリストを丸暗記することではなく、SPI導入自治体の「傾向」を知り、自分で最新情報を調べるスキルを持つことです。
この記事では、SPIで受けられる自治体の全体傾向、導入例、そして編集部が実践している具体的な調べ方の手順までを分析・解説します。
・SPIで受けられる公務員試験がどれくらい広がっているか
・SPI導入自治体に共通する傾向とパターン
・志望エリアのSPI方式自治体を自分で調べる手順
・受験案内のどこを見ればSPI方式だと判別できるか
・地元や志望エリアでSPI方式の自治体を探している人
・教養試験の対策なしで公務員に挑戦したい人
・民間就活と並行して受けられる自治体を知りたい人
目次[目次を全て表示する]
SPIで受けられる公務員試験はどれくらいあるのか
まず、SPI方式の公務員試験が現在どの程度広がっているのか、全体像を押さえましょう。編集部が採用動向を横断的に見ると、「市役所ではもう珍しくない」「県庁・政令市にも波及中」というのが2026年時点の現在地です。
市役所採用では珍しくない方式になった
SPI方式の導入が最も進んでいるのは市役所です。教養試験を廃止してSPI3やSCOAなどの適性検査に切り替える市が近年急増しており、市役所採用ではSPI型はもはや珍しい方式ではなくなったとされます。
背景には、公務員志望者の減少があります。民間就活の対策だけで応募できる試験にして母集団を広げたいという自治体側の狙いが、導入拡大を後押ししています。
県庁・政令市にも広がりつつある
都道府県レベルでも、SPI型の区分を新設する動きがあります。例えば埼玉県は、上級試験に「一般行政(基礎能力検査枠)」を設け、1次試験を基礎能力検査(SPI3)のテストセンター方式で実施し、教養試験・専門試験を課さない方式を導入しています。
従来型の区分と並存させる形での導入が中心のため、県庁志望者は「従来型区分」と「SPI型区分」のどちらで出願するかという選択肢を持てるようになっています。
国家公務員は別物:SPI方式の中心は地方自治体
一方、国家公務員試験(総合職・一般職)は基礎能力試験など独自の筆記試験が中心で、SPIで受けられる枠組みとは別物です。制度改正は続いていますが、「SPIで公務員」の主戦場はあくまで地方自治体と考えてください。
国家公務員志望の人は、SPI対策とは別に専用の筆記対策が必要になります。併願する場合は勉強計画の設計が変わる点に注意しましょう。
また「公務員」と一括りにせず、職種・区分ごとに試験制度を個別に確認する姿勢が基本です。技術職や資格職では、同じ自治体でも行政職と試験構成が異なる場合があります。
SPI導入自治体に共通する4つの傾向
次に、どんな自治体がSPIを導入しやすいのか、編集部が確認できた範囲から傾向をパターン化します。志望エリアの自治体がこのパターンに当てはまるなら、SPI方式の区分が存在する(または今後新設される)可能性を意識して調べる価値があります。
傾向1:民間併願層を採りにいく自治体
SPI導入の最大の動機は、民間志望の学生を取り込むことです。そのため、採用ページで「公務員試験対策不要」「民間企業併願可」といったメッセージを打ち出している自治体は、SPI型(または類似の適性検査型)を採用していることが多いとされます。
採用サイトのトーンが「就活生向け」に寄っている自治体は、試験方式も就活生に合わせている可能性が高い、というのが編集部の見立てです。
「筆記重視から人物重視へ」といったメッセージや、オンライン面接・カジュアルな説明会の導入なども、民間就活層を意識したシグナルとして読み取れます。
傾向2:別区分・特別枠としての導入が多い
SPI方式は、従来型試験を完全に置き換えるのではなく、「新方式」「特別枠」として別区分で併設されるケースが多く見られます。従来型と併願できない排他的な区分になっていることが多い点も特徴です。
また、スポーツ枠・UIJターン枠・氷河期世代枠といった特別な採用枠で、筆記負担の軽いSPIが活用される例もあります。「行政職の通常区分」以外の枠も含めて調べると、受験機会の見落としを防げます。
傾向3:テストセンターやWEBテスティングで受検させる
SPI導入自治体の多くは、全国のテストセンター会場やオンライン会場、自宅のWEBテスティングで受検させる形式を採っています。自治体まで足を運ばずに1次試験を受けられるため、UIJターン志望者や遠方の学生を集めたい自治体と相性が良い仕組みです。
逆に言えば、地元以外の自治体でも1次のハードルは低いということです。受験先を居住地で絞り込みすぎる必要はありません。
実際、SPI方式の広がりとともに、県外在住者の受験や社会人の転職受験も増えているとされます。受験者側の選択肢は確実に広がっています。
傾向4:日程が民間就活・早期化に寄っている
SPI型区分は、従来型の統一日程(例年6月中心)にとらわれず、春先の実施や年複数回の募集を行う例があるとされます。民間就活のスケジュールに合わせた前倒しです。
つまりSPI型自治体を探すときは、「例年の公務員試験シーズン」以外の時期の募集も追う必要があります。通年で採用ページをチェックする習慣が、機会の発見につながります。
見逃し防止には、志望自治体の採用SNSやメールマガジンへの登録も有効です。募集開始の一報を受け取れる体制を作っておきましょう。
導入例から見る:SPI型区分の中身
傾向だけでは具体像が湧きにくいので、SPI型区分が実際どんな設計になっているかを、公表情報が確認できる例で見てみましょう。ここでは県庁上級試験の例として、埼玉県の「一般行政(基礎能力検査枠)」の構造を編集部が整理します。
埼玉県「一般行政(基礎能力検査枠)」の構造
埼玉県の上級試験に設けられた「一般行政(基礎能力検査枠)」は、1次試験が基礎能力検査(SPI3)のみで、教養試験・専門試験は実施されません。受検はテストセンター方式で、全国の会場等で受けられる設計です。
2次試験は論文試験と人物面接で構成され、筆記負担を軽くしたぶん人物評価に比重を置いた区分になっています。SPI型区分の典型的な設計例と言えます。
この例から読み取れる3つのポイント
この設計から、SPI型区分に共通しやすいポイントが読み取れます。第一に、筆記はSPI3の1回のみで完結すること。第二に、受検場所の自由度が高いこと。第三に、2次以降は論文+面接の人物勝負になることです。
つまりSPI型区分の合否は、「SPIで確実に足切りを超え、論文・面接で選ばれる」という2段構えで決まります。筆記だけ対策して満足しないことが重要です。
ただし制度は毎年変わり得る
ここで紹介した内容も、年度によって区分名・試験構成・日程が見直される可能性があります。採用人数や倍率も年度で変動します。
受験を検討する際は、必ずその自治体の人事委員会が公表する最新の受験案内・公式サイトで、当年度の正式な情報を確認してください。古い年度の情報での出願準備は事故のもとです。
SPI方式の自治体を自分で調べる5ステップ
ここからが本記事の核心です。SPI導入自治体は流動的なので、「自分で最新情報にたどり着く手順」を持つことが最強の対策になります。編集部が実際に自治体の試験方式を調べるときの手順を、5つのステップに整理しました。
ステップ1〜2:エリアを決めて公式情報源に当たる
まず志望エリア(都道府県・市区町村)を決め、各自治体の「人事委員会」または「職員採用」のページを直接開きます。検索するなら「自治体名+職員採用+受験案内」が確実です。
まとめサイトやSNSは入り口としては便利ですが、情報が古いことがあります。最終確認は必ず自治体公式の受験案内で行うのが鉄則です。
ステップ3〜4:試験科目欄でSPIかどうかを判別する
受験案内を入手したら、1次試験の「試験科目」欄を確認します。「SPI3」「基礎能力検査」「適性検査」といった表記があり、教養試験・専門試験の記載がなければ、SPI型(または類似の適性検査型)の可能性が高い区分です。
あわせて受検形式(テストセンター/WEBテスティング/会場実施)と日程、併願の可否も同じ資料で確認しておきます。
ステップ5:候補を一覧化して日程順に並べる
最後に、見つけた候補自治体を自分用の一覧表にまとめます。編集部が推奨する管理項目は以下のとおりです。
| 管理項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 自治体名・区分名 | SPI型区分の正式名称(「新方式」等の呼び名) |
| 筆記の内容 | SPI3か、SCOA等の別テストか |
| 受検形式 | テストセンター/WEBテスティング/会場 |
| 出願期間・試験日 | 締切と1次試験日(年複数回の有無も) |
| 併願制限 | 従来型区分との併願可否 |
| 2次以降の内容 | 論文・面接の回数と時期 |
この表を出願締切順に並べ替えれば、そのまま受験スケジュール表として機能します。
表はスプレッドシート等で作り、受験案内の公開時期になったら各項目を最新情報に更新していく運用がおすすめです。前年の情報のまま出願準備を進めるのが、最も典型的な事故だからです。
受験案内の読み解き方:SPIと紛らわしい表記に注意
調べる過程でつまずきやすいのが、受験案内の表記の読み解きです。「適性検査」と書いてあってもSPIとは限らず、別のテストが使われている場合があります。ここでは編集部が確認を推奨する、紛らわしいポイントを整理します。
「適性検査」=SPIとは限らない
自治体の筆記試験に使われる民間テストはSPI3だけではありません。SCOAや他の適性検査を採用する自治体もあり、受験案内には「基礎能力検査」「総合適性検査」などの一般名称で書かれることがあります。
テスト名が明記されていない場合は、募集要項のQ&Aや説明会で確認しましょう。SPIとSCOAでは出題範囲が異なるため、テストの特定は対策の前提になります。
SCOAは理科・社会などの知識分野を含む点がSPIとの大きな違いです。取り違えたまま対策すると、本番で想定外の科目に直面することになります。
形式表記で対策内容が変わる
同じSPI3でも、テストセンターかWEBテスティングかで出題のされ方や電卓の可否が変わります。受験案内に「テストセンター方式」「自宅受検」などの記載があれば、その形式に合わせた問題集・演習を選ぶ必要があります。
形式が読み取れない場合も、出願後に届く受検案内メールで指定されるのが一般的です。指定を確認してから形式特化の仕上げをすれば間に合います。
性格検査・論文・資格加点の有無も見る
SPI3には性格検査が含まれるほか、自治体によっては論文試験、TOEIC等の資格加点制度を設けている場合があります。筆記の科目欄だけでなく、選考フロー全体と加点制度まで受験案内で確認しておくと、アピール材料の準備が変わってきます。
特に資格加点は自己申告が必要な場合が多く、見落とすと単純に損をします。
TOEICなどの語学資格や情報系資格が対象になる例があり、証明書の提出期限が出願期間と重なることもあります。手持ちの資格が使えるかは、受験案内の該当欄で早めに確認しておきましょう。
SPI方式の自治体を受けるときの注意点
SPI方式の自治体は応募しやすい反面、その手軽さゆえの注意点があります。編集部が特に重要だと考える3点を押さえておきましょう。「受けやすい試験」と「受かりやすい試験」は別物です。
倍率は高くなりやすい
教養試験対策が不要で民間併願層も流入するため、SPI型区分は従来型より応募者が集まりやすく、倍率が高くなりやすいとされます。筆記のハードルが下がるぶん、競争は面接に持ち越されます。
「SPIだけなら楽そう」という動機の受験者が多い中で、志望動機と自治体研究の深さが最大の差別化要因になります。
実際の倍率は自治体の実施結果ページで公表されることが多いので、過去数年分を確認して競争水準の当たりをつけておくと、志望先選びの判断材料になります。
従来型区分との併願制限を確認する
同一自治体内でSPI型区分と従来型区分の両方に出願することは、認められていない場合が多いとされます。出願時にどちらか一方を選ぶ設計です。
教養試験の対策状況、民間就活の進み具合、区分ごとの採用予定数を比較して、自分に有利な区分を選びましょう。この判断を誤ると、得意な土俵で戦えなくなります。
一般に、SPI型区分は従来型より採用予定数が少なめに設定される場合もあります。倍率の見かけだけでなく、採用予定数と自分の仕上がり状況を合わせて判断するのが賢明です。
SPIの結果だけで内定は出ない
当然ですが、SPIはあくまで1次選考です。2次以降の論文・面接の準備を後回しにすると、筆記通過後に失速します。
民間就活と同じで、SPIは「落ちないための試験」、面接は「選ばれるための試験」です。対策時間の配分は面接側に厚く取ることを編集部はすすめます。
面接対策の第一歩は、その自治体の総合計画や広報誌に目を通し、力を入れている政策を把握することです。自治体研究の深さは、志望動機の説得力に直結します。
WEBテスティングで受検できる自治体でも、解答集の利用や替え玉受検は明確な不正行為です。公務員採用では信用が最重視されるため、発覚すれば合格取り消しをはじめ重い扱いになります。テストセンター方式への切り替えや面接での深掘りで不自然さは露呈します。正攻法での対策以外に道はありません。
志望パターン別:SPI方式自治体の狙い方
最後に、志望パターン別にSPI方式自治体をどう組み込むかを整理します。同じ「SPIで受けられる自治体探し」でも、地元就職志向かUIJターンか、民間併願が軸かで、調べる範囲と優先順位は変わります。編集部が3つの典型パターンに分けて、それぞれの動き方を提案します。
地元就職が軸の人:市町村まで広げて探す
地元で働くことが最優先なら、県庁・政令市だけでなく、周辺の市町村まで含めてSPI型区分を探しましょう。SPI導入は市役所で最も進んでおり、規模の小さい自治体ほど採用情報の発信が控えめなため、見落としが起こりがちです。
県内の自治体を一覧化し、採用ページをブックマークして定期的に巡回する体制を作ると、募集開始を逃しません。広域で探すほど、日程の異なる複数の受験機会を確保できます。
同じ県内でも、市によって従来型・SPI型・SCOA型と方式はまちまちです。地元圏の各市の方式を一度棚卸ししておくと、併願計画が立てやすくなります。
UIJターン志望の人:受検形式の自由度を最大限使う
進学先の都市から地元に戻るUIJターン志望者にとって、テストセンターやWEBテスティングで1次を受けられるSPI方式は最も相性の良い制度です。帰省せずに地元自治体の筆記を受けられるため、交通費と時間の負担が大きく減ります。
ただし2次以降の面接は現地実施が基本です。面接時期の帰省スケジュールと、民間選考との日程調整を早めに設計しておきましょう。UIJターン向けの特別枠や移住支援制度とセットの募集がないかも確認する価値があります。
民間併願が軸の人:日程の合う自治体を後から足す
民間就活が主軸の人は、まず民間のスケジュールを固め、そこに日程の合うSPI型自治体を組み込む順番が現実的です。SPI対策は共通なので、追加の負担は出願書類と面接準備に絞られます。
春先実施や年複数回募集の自治体なら、民間選考の谷間に挟みやすくなります。「公務員も見ている」ことが民間面接で不利に響かないよう伝え方を整理しつつ、両にらみの就活を設計しましょう。
まとめ
この記事では、公務員試験をSPIで受けられる自治体について、広がりの現状、導入自治体の傾向、区分設計の実例、そして自分で調べる5ステップまでを編集部視点で分析しました。
SPI方式は市役所を中心にすでに珍しくない方式となり、県庁の上級試験にも「基礎能力検査枠」のような形で広がっています。一方で導入状況は毎年変わるため、固定のリストに頼らず、自治体公式の受験案内で最新情報を確認する調べ方を身につけることが最も確実です。
調べる際は、試験科目欄の「SPI3」「基礎能力検査」表記、受検形式、日程、併願制限の4点をセットで確認し、候補を一覧表にして日程順に管理しましょう。
SPI方式は民間就活との併願と相性抜群の制度です。応募しやすいぶん競争は人物評価に集中するので、SPI対策は早めに仕上げ、志望動機と自治体研究で差をつけてください。