
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
埼玉県庁の上級試験「一般行政(基礎能力検査枠)」は、第1次試験がSPI3だけで受験できる区分です。受験を考えたとき、誰もが気になるのが「SPIのボーダーは何割なのか」という通過ラインの問題でしょう。
先に結論を言うと、埼玉県庁はSPIの合格ラインを公表しておらず、「何割で通過」という公式な数字は存在しません。ただし、公表されている実施結果データと、SPIという検査の一般的な性質から、目安を推定することは可能です。
この記事では、Digmedia編集部が令和7年度の実施結果データを使って第1次試験の通過率を実際に計算し、民間企業のSPIボーダーの相場と突き合わせながら、目指すべき水準を検証します。
「何割取れば安心か」をあいまいな噂ではなくデータで考えたい人は、ぜひ最後まで読んでください。
・埼玉県庁SPIのボーダーが公表されているかどうかの事実関係
・令和7年度実施結果から計算した第1次試験の実際の通過率
・一般論としてのSPI通過ラインの目安(何割を目指すべきか)
・ボーダー越えのための得点戦略と時間配分
・埼玉県庁の基礎能力検査枠を受ける予定で、目標点を決めたい人
・「ボーダー6割」「7割必要」などの噂の真偽を確かめたい人
・民間SPIの手応えが県庁で通用するか知りたい人
目次[目次を全て表示する]
結論:埼玉県庁SPIのボーダーは公表されていない
最初に事実関係をはっきりさせておきます。編集部が埼玉県の公表資料を確認した範囲では、基礎能力検査枠のSPI3について「何点で合格」「正答率何割で通過」という基準は公開されていません。まずはこの前提と、なぜ公開されないのかを整理します。
「何割で合格」という公式情報は存在しない
埼玉県人事委員会が公表しているのは、試験区分ごとの申込者数・受験者数・合格者数といった実施状況であり、SPIの得点基準やボーダーラインは含まれていません。
したがって、ネット上で見かける「埼玉県庁は◯割がボーダー」という断定的な数字は、公式情報ではなく推測や体験談ベースだと考えるべきです。
受験判断に関わる情報は、必ず埼玉県職員採用情報の公式ページと最新の受験案内で確認してください。
そもそもSPIは「素点◯割」で語れない検査
SPIのボーダーが割合で語りにくいのには構造的な理由があります。SPI3の能力検査は、受検者の解答状況によって出題が変わり、結果は素点ではなく相対的な評価値で算出される仕組みとされているためです。
つまり「30問中21問正解したから7割」という単純計算が成り立ちません。よく言われる「◯割」という表現は、あくまで体感的な正答率の目安だと理解しておきましょう。
非公開でも「目安」は立てられる
ボーダーが非公開だからといって、目標設定が不可能なわけではありません。手がかりは2つあります。1つは埼玉県が公表している実施結果データから計算できる「実際の通過率」、もう1つは民間就活で蓄積されてきた「SPI通過ラインの一般的な相場」です。
実際、多くの自治体で採用試験のボーダーは公表されない運用が一般的とされています。埼玉県庁だけが特別に情報を隠しているわけではなく、公務員試験全体に共通する情報公開のスタンスだと理解しておくと、過度に身構える必要がないとわかります。
次のセクションから、この2つを順番に検証していきます。
データ検証:令和7年度の第1次試験通過率を計算する
ここがこの記事の核心です。埼玉県が公表した令和7年度職員採用試験の実施状況をもとに、基礎能力検査枠の第1次試験がどれくらいの絞り込みだったのかを編集部が実際に計算しました。ボーダーそのものは不明でも、「何人中何人が通ったか」は公表データから正確にわかります。
1次試験の通過率は約7割だった
令和7年度の一般行政(基礎能力検査枠)の実施結果は、第1次試験受験者327人に対して第1次合格者230人でした。計算すると、1次通過率は約70%(倍率約1.4倍)です。
つまりSPI3の段階では、受験者の約3人に2人以上が通過しています。第1次試験は上位のごく一部だけを通す選抜ではなく、明らかな準備不足の層をふるい落とす関門として機能していたと読み取れます。
本当の絞り込みは2次以降で起こる
一方、最終合格者は81人で、受験者ベースの最終倍率は4.0倍でした。数字を並べると次のようになります。
| 段階(令和7年度) | 人数 | 通過率・倍率 |
|---|---|---|
| 申込者 | 358人 | — |
| 第1次試験受験者 | 327人 | — |
| 第1次合格者 | 230人 | 1次通過率 約70% |
| 最終合格者 | 81人 | 最終倍率 4.0倍 |
1次合格230人から最終合格81人へと、2次以降の通過率は約35%。SPIよりも論文・面接のほうがはるかに厳しい関門だったことがデータから明確にわかります。
数字の読み方への注意
この通過率はあくまで令和7年度の実績です。申込者数や採用予定者数が変われば、絞り込みの度合いも変動します。また「7割が通る」ことは「準備しなくても通る」ことを意味しません。
受験者の多くは民間就活でSPI経験を積んだ層と考えられ、無対策層はそもそも受験者に少ない可能性があります。通過率の高さに安心せず、標準的な仕上がりを確実に作ることが前提です。
参考:従来枠の1次通過率と並べてみる
参考として、同じ令和7年度の従来型の一般行政も見てみると、1次受験818人に対し1次合格751人と、1次段階の通過率は9割超でした。埼玉県の上級試験は、どちらの枠でも1次の筆記・検査で大量に落とす設計にはなっていません。
つまり「1次は土俵に上がる条件、選抜の本体は人物評価」という構造は県の試験全体に共通しています。SPIのボーダーを過度に恐れる必要がないことの、もう1つの傍証といえるデータです。
基礎能力検査枠と従来枠とで1次通過率に差があるのは、課される試験科目の違いによるものと考えられます。どちらの枠を選ぶにせよ、1次を突破すること自体は最終ゴールではなく、あくまで通過点だという位置づけは変わりません。
ただし通過率が高い年でも、明確な準備不足の層は確実にふるい落とされます。「ほぼ通るから対策不要」という結論だけは導かないでください。
一般論として目指すべきは「正答率6〜7割」の安定
次に、民間就活で広く共有されているSPI通過ラインの相場から目標水準を考えます。埼玉県庁固有のボーダーは不明でも、SPIという検査自体の相場観は蓄積されています。編集部が目安として推奨する水準はここでも「6〜7割の安定」です。
民間企業では6〜7割が通過目安とされる
民間採用の文脈では、一般的な企業のSPI通過ラインは正答率6割前後、人気大手や金融系では7割以上が目安とされることが多いです。これは公式発表ではなく経験則ですが、就活市場で長く共有されてきた相場観です。
埼玉県庁の1次通過率(約70%)を踏まえると、極端に高いラインが設定されていた可能性は低く、体感正答率6〜7割を安定して出せる状態が現実的な目標になります。
「安定して」がポイント:1回勝負の怖さ
目標設定で重要なのは、最高記録ではなく安定性です。埼玉県庁の受検機会は指定期間内の1回であり、調子の悪い日に当たっても6割台を下回らない実力が求められます。
模擬試験や問題集で「3回連続で7割前後」を出せるようになってから本番に臨むのが、編集部の推奨する仕上がり基準です。1回だけ良い点が出た状態は仕上がりとは呼べません。
性格検査を軽視しない
ボーダーの議論は能力検査に集中しがちですが、SPI3には性格検査も含まれるのが一般的です。能力検査の点が良くても、性格検査の回答が極端に矛盾していれば評価に影響する可能性があります。
対策として偽るのではなく、一貫した基準で正直に回答すること。これが結果的に最も安全な「性格検査のボーダー対策」です。
「望ましい人物像を演じよう」と身構えて回答すると、かえって矛盾したパターンが出やすくなるとも言われています。設問ごとに一貫した基準で素の自分を答え続けることが、結果的に最も再現性の高い対策です。
自己評価は「時間内の正答数」で代用する
本番のSPIは自己採点できないため、日々の学習では市販の対策本や模試を使い、「制限時間内に解いて何割正解できたか」を記録して仕上がりの代用指標にします。時間無制限で解いた正答率には意味がありません。
記録はノートやスプレッドシートに、日付・分野・時間内正答率の3項目だけで十分です。折れ線が右肩上がりになっているか、直近3回が目標水準に乗っているかを見れば、ボーダー不安を数字で置き換えられます。
この記録習慣は、受検直後の手応え評価の精度も上げてくれます。感覚を数字に変換する訓練そのものが、本番の時間配分の武器になるからです。
民間SPIボーダーとの比較で見る埼玉県庁の位置
Digmediaの読者には民間就活との併願層が多いため、「民間の手応えが県庁でどこまで通用するか」という視点で比較しておきます。編集部の分析では、埼玉県庁の第1次試験は民間の人気大手よりも「入口は広く、出口が狭い」構造です。
入口の絞り込みは人気大手より緩やか
民間の人気大手では、応募者数が採用数の数十倍から百倍を超えることもあり、SPIの段階で大半を落とす運用が珍しくないとされます。それと比べると、1次通過率約70%だった埼玉県庁の入口は明らかに緩やかです。
民間就活で「テストセンターはだいたい通過できる」水準にある人なら、県庁の第1次試験も過度に恐れる必要はない、というのが編集部の見立てです。
もちろん民間企業のSPI通過ラインは業界・企業規模によって幅があり、すべての企業が高倍率というわけではありません。あくまで一般的な傾向として、埼玉県庁の入口は相対的に広めだと捉えておくのが妥当です。
出口の面接勝負は民間の難関企業に近い
ただし2次以降の通過率約35%という数字は、決して甘くありません。1次を通った230人は一定のSPI水準をクリアした層であり、その中での3人に1人の争いです。
民間でいえば、書類・テスト通過後の面接で内定率が数分の1になる難関企業の選考に近い感覚です。「SPIで差をつける」より「SPIで落ちない」が正しい戦略目標になります。
テストセンター経験者は段取り面でも有利
民間選考でテストセンターを受検した経験は、得点力だけでなく段取り面のアドバンテージにもなります。予約の流れ・会場の空気・本人確認・画面操作を知っているだけで、本番の緊張は大きく下がります。
まだ受検経験がない人は、埼玉県庁の受検期間より前に民間企業の選考で一度テストセンターを経験しておくのが理想です。県庁本番を「2回目の環境」で迎えられるかどうかは、体感の余裕に直結します。
経験済みの人は、過去の受検で時間が足りなかった分野を思い出し、そこを重点補強するだけで仕上げの効率が上がります。
非公開のボーダーを探り続けても得点は1点も上がりません。データが示すのは「1次は標準的な仕上がりで通過圏、勝負は2次」という構造です。ボーダー情報の収集に使う時間を、SPIの仕上げ前倒しと論文・面接準備に回すのが最も合理的です。
ボーダーを越えるための得点戦略
目標水準を「6〜7割の安定」と置いたうえで、そこに到達するための具体的な得点戦略を整理します。SPIは出題範囲が広くないぶん、やり方の巧拙が仕上がり速度に直結します。編集部が優先度順に3つの戦略を挙げます。
非言語の頻出パターンを完全に固める
得点の伸びしろが大きいのは非言語です。推論・割合と比・損益算・速さ・場合の数といった頻出分野は出題パターンが限られており、解法を覚えれば安定して得点源になります。
対策本1冊の非言語パートを最低3周し、どの問題も「見た瞬間に解法が浮かぶ」状態を作りましょう。ここが6割と7割を分ける最大の変数です。
言語は語彙の即答力で時間を稼ぐ
言語分野は、二語関係や語句の意味などの知識問題を即答できるかで、長文読解に使える時間が変わります。知識問題で迷わない状態を作ることが、言語全体の正答率を底上げします。
通学時間などのスキマ時間に語彙をアプリや単語帳で回し、机に向かう時間は非言語と長文に充てる配分が効率的です。
長文読解は設問数に対して時間配分がシビアな分野です。知識問題に使う時間を1問あたり数秒まで縮められれば、その分を長文に回せるようになり、結果として言語全体の得点が底上げされます。
時間切れ対策:1問に固執しない
テストセンター形式は1問ごとの時間制限が厳しく、考え込むと後の問題が解けなくなります。わからない問題に固執せず、テンポを保って解き進める判断力も得点力の一部です。
模擬受検で「詰まったら切り替える」感覚を体に入れておきましょう。民間企業のテストセンターを先に受けておくと、本番同様のリハーサルになります。
受検直前1週間のチェックポイント
直前1週間は、新規学習を止めて仕上げの最終確認に充てます。チェックすべきは3点、「時間内正答率が3回連続で目標水準に乗っているか」「苦手分野の頻出パターンを即答できるか」「本番と同じ時間帯に頭が回る生活リズムか」です。
1つでも欠けるなら、そこだけをピンポイントで埋めます。全範囲を総ざらいし直す時間はもうなく、やろうとすると消化不良で自信だけが削れていきます。
前日は語彙と公式の軽い確認にとどめ、睡眠を最優先に。処理速度の勝負であるSPIは、当日の頭の回転がボーダー1〜2問分の差を生みます。
1次通過後を見据える:配点の重心は人物試験
ボーダーを気にする人ほど見落としがちなのが、この試験の重心が2次以降にあるという事実です。令和7年度のデータで2次以降の通過率は約35%。SPIの目標達成と同時に、論文・面接の準備を始めることが実質的な「ボーダー対策」になります。
論文試験:書き慣れが差になる
基礎能力検査枠の第2次試験では論文試験が課されるとされています。行政課題について制限時間内に構成の通った文章を書く力は、一朝一夕には身につきません。
埼玉県の政策課題(人口動態、防災、産業振興など)を題材に、序論・本論・結論の型で書く練習を月2本程度でも積んでおくと、SPI通過後に慌てずに済みます。
書き上げた論文は自分だけで読み返さず、可能であれば大学のキャリアセンターや対策講座の第三者に見てもらいましょう。論理の飛躍や構成の乱れは、書いた本人よりも他人のほうが気づきやすいものです。
面接:併願層こそ「なぜ埼玉県か」を固める
人物試験では個別面接が複数回課されるとされ、民間併願層は「なぜ民間ではなく県庁か」「なぜ埼玉県か」を確実に問われると想定すべきです。
SPIのボーダーは越えて当たり前、面接で選ばれる準備こそが合否を分ける。この配点感覚を早い段階で持てるかどうかが、最終合格者81人側に入るための分岐点です。
民間の面接対策で使う自己PRやガクチカをそのまま流用するのではなく、「埼玉県の行政課題にどう関わりたいか」という視点を必ず加えて再構成しておくと、質問が重なっても回答の一貫性が保ちやすくなります。
1次の得点は最終合否にどう効くのか
もう1つ見落とされがちな論点が、SPIの得点が最終合否まで持ち越されるのか、それとも1次通過後はリセットされて2次の評価だけで決まるのか、という配点構造です。
この扱いは試験ごとに設計が異なり、埼玉県庁の基礎能力検査枠でどうなっているかは、年度の受験案内の配点・合否判定に関する記載が正になります。受験を決めたら必ず原文で確認してください。
いずれの設計でも、2次以降の通過率約35%という現実は変わりません。「1次で貯金を作る」発想より「2次で選ばれる準備」に軸足を置くのが安全な戦略です。
ボーダー情報との正しい付き合い方
最後に、ネット上に流れるボーダー情報との付き合い方を整理します。非公開情報の宿命として、埼玉県庁SPIのボーダーには推測と体験談が入り混じった言説が流れやすく、振り回されると学習計画そのものが歪みます。
SNS・掲示板の「何割で受かった」は参考程度に
「◯割で通過した」という個人の報告は貴重な体験談ですが、SPIは自己採点ができない検査であり、本人の体感正答率と実際の評価は一致しません。年度や母集団が違えば状況も変わります。
個別の報告を鵜呑みにせず、複数の情報から「だいたい6〜7割で安定なら戦える」という相場観だけを受け取るのが健全な使い方です。
また、投稿者が本当に合格したかどうかを第三者が確認する手段はありません。数字だけが独り歩きしやすい情報だと認識したうえで、あくまで目安の一つとして距離を置いて眺めるくらいがちょうど良いでしょう。
確認すべき一次情報は2つだけ
受験者が確認すべき一次情報は、埼玉県職員採用情報ページの最新受験案内(試験内容・日程・配点の記載)と、人事委員会が公表する実施状況(申込者数・合格者数)の2つです。
この2つを押さえれば、噂に頼らずに自分で通過率を計算し、目標を設定できます。本記事で行った計算は、翌年度以降も同じ方法で再現可能です。
公式ページの内容は年度ごとに更新されるため、前年度の受験案内をそのまま参照するのは避けましょう。申込前には必ずその年度のページを開き直し、日程や配点の記載が変わっていないかを確認してください。
予備校・対策サイトの「推定ボーダー」の読み方
予備校や対策サイトが示す推定ボーダーは、受講生の報告や一般的な相場観をもとにした参考値であり、埼玉県が公表した基準ではありません。出典と推定根拠が示されているかを確認したうえで、目安の1つとして扱いましょう。
複数の情報源が同じ水準(6〜7割前後)を示しているなら、その相場観自体は学習目標として十分機能します。逆に極端に高い・低い数字を示す情報は、根拠を確認できない限り採用しないのが安全です。
複数のサイトを比較する際は、更新日が新しいものを優先しましょう。試験制度や倍率は年度によって変わるため、古い記事の推定値をそのまま今年度に当てはめると、目標設定がずれてしまう可能性があります。
ボーダー不安につけ込む解答集や替え玉受検の勧誘は、明確な不正であるうえ、テストセンターの本人確認・監視体制の下では発覚リスクが極めて高い行為です。公務員採用での不正は将来を失うリスクに直結します。絶対に手を出さないでください。
まとめ
この記事では、埼玉県庁SPIのボーダーは何割かというテーマを、公表データと一般的な相場観からデータ検証しました。
公式のボーダーは非公開ですが、令和7年度の実施結果からは、第1次試験の通過率が約70%(327人中230人合格)だったことがわかります。一般論としてのSPI通過目安である正答率6〜7割を安定して出せる状態が、現実的な目標ラインです。
一方で、最終倍率4.0倍・2次以降の通過率約35%という数字が示すとおり、この試験の勝負どころはSPIではなく論文・面接です。「SPIで落ちない水準を早めに作り、人物試験の準備に時間を移す」のが、データが導く最適戦略といえます。
試験制度や日程は年度により変わります。最新の受験案内と実施状況は、埼玉県職員採用情報の公式ページで必ず確認してください。