
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
都庁(東京都庁)のⅠ類B新方式は、第1次試験がSPI3(テストセンター方式)だけで受けられることから人気が高まっています。そこで受験者が最初に気にするのが「SPIのボーダーは何割なのか」という通過ラインの問題です。
先に編集部の結論を伝えると、都庁はSPIの合格最低点を公表しておらず、正確なボーダーは誰にもわかりません。ただし、SPIという試験の採点の仕組みと、公表されている倍率データを組み合わせれば、目指すべき水準はかなり具体的に見積もれます。
一般にSPIは正答率6〜7割が通過の目安とされますが、都庁新方式は倍率が上昇しており、この一般論をそのまま当てはめるのは危険だと編集部は見ています。
この記事では、ボーダーが公表されない理由、倍率データからの逆算、科目別の目標設定、そして目安ラインを安定して超えるための対策までを検証します。
・都庁SPIのボーダーが非公開である理由と採点の仕組み
・一般論「6〜7割」の根拠と都庁に当てはめる際の注意点
・倍率データから逆算する現実的な目標ライン
・ボーダー付近の争いを抜け出す勉強法
・都庁Ⅰ類B新方式の受験を考えていて通過ラインを知りたい人
・SPI対策をどこまでやれば安心か基準がほしい人
・民間就活のSPIと同じ感覚で受けてよいか不安な人
目次[目次を全て表示する]
結論:都庁SPIのボーダーは非公開、目標は「7割以上」に置く
まず結論を示します。都庁はⅠ類B新方式の基礎能力検査(SPI3)について、合格ラインや得点分布を公表していません。そのうえで編集部は、一般的な目安である6〜7割ではなく、7割以上の正答率を安定して出せる状態を目標に置くことを推奨します。その理由をこのセクションで説明します。
公式のボーダー発表は存在しない
東京都の採用試験情報で公表されるのは、申込者数・受験者数・合格者数・倍率といった実施状況までです。SPIの通過に必要な得点や正答率は、過去のどの年度についても公式には示されていません。
ネット上で見かける「都庁SPIは○割で通過した」という体験談は、あくまで個人の感触にすぎません。後述のとおりSPIは自己採点ができない仕組みのため、体験談の数字はそもそも正確に測れないものだと理解しておきましょう。
一般論の「6〜7割」はどこから来ているか
民間就活の世界では、SPIは正答率6〜7割が通過の目安とされ、人気企業では8割前後が必要ともいわれます。これは多くの就活支援機関や対策本が長年の傾向から示している経験則です。
都庁新方式もSPI3を使う以上、この相場観が出発点になります。ただしこれは「多くの企業の平均的なライン」であり、受験者のレベルと倍率次第で上下する相対的な基準です。
つまり都庁のボーダーを考えるには、都庁固有の競争環境を数字で確認する必要があります。
編集部が「7割以上」を推す理由
令和8年度(2026年度)の新方式の倍率は5.4倍、行政区分は6.1倍と、前年度から大きく上昇しました。受験者の多くは民間就活でSPI対策を済ませた層で、母集団の平均レベルは低くないと考えられます。
競争が激しく、かつ準備された母集団が相手である以上、平均的な目安の下限である6割では心もとないというのが編集部の判断です。「6割で滑り込む」ではなく「7割以上で余裕を持って通過する」設計で対策しましょう。
7割は決して高すぎる目標ではありません。SPIは出題範囲が限られており、対策本1冊をやり込めば多くの受験者が到達できる水準です。差がつくのは「安定して」出せるかどうかで、そこが対策の質の勝負になります。
なぜ何割か断定できないのか:SPIテストセンターの採点の仕組み
「何割取れたか」を語りにくいのは、都庁が非公開だからという理由だけではありません。SPI3のテストセンター方式そのものが、単純な正答数では測れない仕組みになっているためです。仕組みを知ると、ボーダー論の正しい捉え方が見えてきます。
素点ではなく段階評価で示される
SPIのテストセンターでは、結果は「何問正解したか」という素点ではなく、受検者全体の中での相対的な位置づけを示す段階評価で企業・団体側に届くとされています。
つまり採用側が見ているのは「上位何%にいるか」に近い指標であり、「○割正解ならボーダー通過」という単純な足切り線とは構造が違うのです。
この仕組み上、受験者が「自分は何割だったか」を正確に知る手段もありません。
採用側に届く評価も、言語・非言語それぞれの相対的な位置とその組み合わせで示されるとされます。「合計で何点」という発想より、どの科目でも大きな穴を作らないことが評価を安定させると理解しておきましょう。
出題が受検者ごとに変わる適応型テスト
テストセンター方式のSPIは、回答状況に応じて次の問題の難易度が変わる仕組みで運用されているとされます。正解を重ねるほど難しい問題が出題され、そのぶん評価も高くなる設計です。
そのため「難しい問題ばかり出た=手応えがない」とは限らず、むしろ順調に正解している証拠である場合もあります。受検直後の感触とボーダーを結びつけて一喜一憂するのは意味が薄いといえます。
体験談の「○割で受かった」が当てにならない理由も、この出題方式にあります。
だからこそ受験者にできるのは、どんな難易度の問題が来ても取りこぼさない基礎力を作ることだけです。ボーダーの正体を探るより、自分の正答率を1問分でも上げる練習に時間を使うほうが合理的です。
性格検査は「ボーダー」とは別の観点
SPI3には基礎能力検査とあわせて性格検査があります。性格検査に点数のボーダーはありませんが、回答の一貫性や職務適性は評価材料になり、2次試験の面接での質問の土台にもなるとされています。
「能力検査さえ取れば性格検査は適当でいい」という考えは危険です。正直に、一貫した回答をすることが結果的に最も安全な戦略です。
倍率データから通過ラインを逆算してみる
ボーダーが非公開でも、公表されている倍率から競争の厳しさは逆算できます。ここでは令和8年度の実施状況の数字を使って、1次通過に求められる相対的な位置を編集部が試算します。あくまで公表データに基づく概算ですが、目標設定の根拠としては十分に機能します。
令和8年度の実施状況を確認する
令和8年度のⅠ類B新方式は、申込者2,319人・第1次試験受験者1,958人で、最終倍率は5.4倍でした。行政区分に限ると6.1倍です。前年度(令和7年度)は受験者1,847人・倍率4.2倍だったので、1年で競争が明確に激化しています。
参考までに一般方式の倍率は2.1倍で、数字の上では新方式のほうが2倍以上厳しい競争になっています。
| 指標 | 令和7年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 新方式:1次受験者数 | 1,847人 | 1,958人 |
| 新方式:倍率(全体) | 4.2倍 | 5.4倍 |
| 新方式:倍率(行政) | 4.5倍 | 6.1倍 |
| 一般方式:倍率 | 2.0倍 | 2.1倍 |
この2年分の推移から読み取るべきは、「ボーダーを取り巻く環境が1年単位で厳しくなっている」という事実です。
これらは公表された実績値であり、最新年度の数字は東京都の発表で必ず確認してください。
試算:最終合格から逆算する相対的な位置
倍率5.4倍という数字は、受験者1,958人に対して最終合格者が約360人という規模感を意味します(1,958÷5.4≒363)。仮に1次試験で最終合格者の2〜3倍程度まで絞り込まれるとすれば、1次通過は受験者の上位3〜5割前後というイメージになります。
この試算はあくまで編集部の概算であり、実際の各段階の合格者数は年度の実施結果で確認が必要です。ただ、「半分前後しか1次を通れない可能性がある」と捉えておけば、目標設定として大きくは外しません。
民間就活のSPIで「平均よりやや上」で通ってきた人も、都庁では上積みが必要だと考えるべきです。
また、新方式の1次はSPIの結果だけで決まる構造です。論文や専門試験で巻き返せる一般方式と違い、挽回の機会がない一発勝負である点も、余裕を持った目標設定が必要な理由になります。
倍率上昇がボーダーに与える影響
SPIの評価が相対的な位置づけで決まる以上、受験者が増えて母集団の質が上がれば、同じ実力でも相対的な位置は下がります。新方式の倍率が4.2倍から5.4倍に上がったという事実は、実質的な通過ラインの上昇を意味すると解釈すべきです。
「去年の先輩はこれくらいで受かった」という情報は、翌年もそのまま通用するとは限りません。年々厳しくなる前提で、余裕を持った水準を目指しましょう。
科目別に見る「何割」の目標設定
全体で7割以上という目標を、言語・非言語の科目別に落とし込みます。SPIは科目ごとに得点しやすさと対策効率が異なるため、一律に考えるより配分を決めたほうが効率的です。編集部が推奨する目標イメージを紹介します。
言語分野:8割を狙って取りにいく
言語分野は語彙の意味、文の並べ替え、長文読解などで構成されます。出題パターンが比較的安定しており、対策の効果が出やすい分野です。
語彙問題は知っていれば数秒で解ける一方、知らなければ考えても正解できません。頻出語彙を対策本で押さえるだけで正答率が大きく伸びるため、言語は8割を狙う「稼ぎどころ」と位置づけましょう。
長文読解は時間との勝負なので、設問を先に読んでから本文に入る型を身につけると安定します。
非言語分野:7割を死守する
非言語分野は推論、割合、速さ、場合の数、表の読み取りなどが出題されます。差がつきやすいのはこの分野で、特に推論は都庁受験層でも得点が割れる領域です。
すべての単元を完璧にする必要はありませんが、頻出の推論・割合・速さは捨てられません。目標は7割死守。苦手単元を2つ以内に抑えることができれば、全体7割のラインが現実になります。
1問に固執して時間を溶かすのが最大の失点パターンなので、見切りのルールを事前に決めておきましょう。
時間配分がボーダーの実質を決める
SPIは1問あたり数十秒〜1分強で処理し続ける試験です。正答率6〜7割という数字は「解いた問題の正答率」ではなく「全体に対する正答率」で考える必要があり、時間切れで手つかずの問題はそのまま失点になります。
模擬受検で「時間内にどこまで到達できるか」を必ず計測してください。到達率が上がるだけで、正答率は勉強量を増やさなくても改善します。
目安として、非言語で1問に90秒以上かかったら一度飛ばす、言語の語彙問題は数秒で判断する、といった自分なりの見切り基準を事前に決めておくと、本番でも迷いが減ります。
ボーダーへの不安から解答集の購入や替え玉受検に手を出すのは、公務員試験では特に致命的です。テストセンター方式は本人確認が厳格で、不正が発覚すれば合格取り消しにとどまらない重大な問題になります。都職員を目指す試験で信用を失う行為に意味はありません。正攻法の対策だけが唯一の道です。
ボーダーライン付近の争いを抜け出す勉強法
目標が「7割以上を安定して」に定まったら、あとは到達するための勉強法です。SPIは出題範囲が明確なぶん、やり方の差がそのまま得点差になります。編集部が推奨する3段階の進め方を紹介します。ボーダー付近で運任せの勝負をしないための設計です。
ステップ1:1冊を3周して型を作る(目安3〜4週間)
まずテストセンター対応の対策本を1冊決め、3周します。1周目は全単元に触れて苦手を特定、2周目は苦手単元を重点的に、3周目は時間を計って解き直す、という役割分担です。
複数の本に手を出すより、同じ問題を反復して解法を反射レベルにするほうがSPIでは圧倒的に効きます。
1周目で問題を「できる・あやしい・できない」の3段階に仕分けておくと、2周目以降は弱点だけを効率的に回せます。3周目は必ず時間を計り、本番のペース感覚まで含めて仕上げてください。
ステップ2:模擬形式で「本番の7割」を検証する
対策本で解けることと、本番形式の時間圧の中で解けることは別物です。模擬テストやWeb上の模擬受検サービスを使い、時間制限つきの通し演習で自分の現在地を測りましょう。
ここで7割に届かない場合、原因は「解法を知らない」か「時間が足りない」のどちらかです。原因を切り分けて、足りないほうだけを補強するのが最短ルートです。
民間企業のインターン選考などで実際のテストセンターを経験できるなら、それが最良の模試になります。
模擬受検の結果は、正答率だけでなく「時間内にどこまで到達したか」もセットで記録しましょう。到達率と正答率を分けて追うと、次の1週間で鍛えるべきポイントが具体的になります。
ステップ3:受検直前は新しいことをやらない
受検1週間前からは、新しい単元や難問には手を出さず、頻出パターンの解き直しと語彙の総復習に絞ります。直前期に未知の問題で自信を崩すのは得策ではありません。
テストセンターの受検日を期間の後半に設定すれば対策時間は稼げますが、席の埋まりやすさとのトレードオフです。余裕を持って予約と仕上げの計画を立てましょう。
民間就活のSPIボーダーとの違いを知っておく
Digmediaの読者には民間就活との併願層が多いはずです。同じSPI3でも、民間企業と都庁とではボーダーの考え方に違いがあります。併願のシナジーを最大化するために、共通点と相違点を整理しておきましょう。
共通点:対策は完全に流用できる
検査の中身は民間で受けるSPI3と同じ仕組みのため、対策本・アプリ・受検経験はすべて都庁対策として機能します。民間の本選考ラッシュ前にSPIを仕上げておけば、都庁と民間の両方に効く共通投資になります。
特にテストセンターの独特の緊張感は経験でしか慣れられないため、民間での受検機会は積極的に使うことをおすすめします。
相違点:結果の使い回しと通過ラインの水準
民間就活ではテストセンター結果を複数企業に使い回す運用が広く知られていますが、都庁の受検で同じことができるかは募集側の設定次第です。必ず都庁から届く受検案内の指示に従ってください。
また民間のボーダーは企業により3割〜8割と幅がある一方、都庁新方式は倍率6倍前後の一発勝負です。「民間の持ち駒の1つ」ではなく「人気企業1社分の水準」と捉えて準備するのが適切です。
ボーダーを超えた先:2次試験で決まる
忘れてはいけないのは、SPIの出来は1次通過までしか関与しないことです。新方式の合否は、プレゼンテーション・個別面接・グループワークからなる2次試験の評価で最終的に決まります。
SPIを7割水準で早めに仕上げ、浮いた時間を都政研究とプレゼン準備に回す。これがボーダー論の正しい着地点だと編集部は考えます。
都庁SPIのボーダーに関するよくある質問
最後に、ボーダーというテーマの周辺で受験者が抱きがちな疑問をQ&A形式でまとめます。細かい不安を解消しておくことで、残りの時間を対策そのものに集中させられます。いずれも公表情報と一般的な傾向に基づく回答です。
自分が何割取れたかを知る方法はありますか?
ありません。SPIのテストセンターでは受検者に得点は通知されず、自己採点もできない仕組みです。手応えと実際の評価がずれることも珍しくないとされます。
だからこそ、本番の出来を推測して悩むより、受検前に模擬形式で実力を数値化しておくことが重要です。「模試で7割を安定して超えていた」という事実だけが、本番への根拠ある自信になります。
性格検査の結果で落ちることはありますか?
性格検査に「何割」というボーダーはありませんが、回答の極端な偏りや一貫性のなさが評価に影響する可能性は一般に指摘されています。能力検査の点数だけで1次通過が決まると考えるのは早計です。
対策としては、自分を偽らず、設問ごとにぶれない基準で答えることに尽きます。取り繕った回答は2次試験の面接での受け答えと食い違うリスクも生みます。
ボーダーは一般方式とどちらが厳しいですか?
試験の中身が違うため単純比較はできませんが、倍率だけ見れば新方式5.4倍に対し一般方式は2.1倍です。ただし一般方式は重い筆記を仕上げた受験者だけが残った中での2.1倍であり、「低いから楽」とはいえません。
SPIという土俵で戦える準備があるなら新方式、専門科目まで積み上げる時間があるなら一般方式と、自分の強みで選ぶのが本質的な判断です。
まとめ
この記事では、都庁SPIのボーダーは何割かというテーマを、採点の仕組み・倍率データ・科目別の目標・勉強法の順で検証しました。
結論として、都庁はボーダーを公表しておらず、SPIの仕組み上「何割で通過」という正確な線は存在しません。そのうえで、一般的な目安である6〜7割と、倍率5.4倍(行政6.1倍)という競争環境を踏まえると、正答率7割以上を安定して出せる状態が現実的な目標になります。
SPIの評価は相対的な位置づけで決まるため、倍率が上がれば実質的なラインも上がります。「去年の目安」を鵜呑みにせず、余裕を持った水準で仕上げておくことが最大の保険です。
そしてSPIはあくまで入口です。ボーダーを気にする時間を対策と2次準備に振り向けて、確実に通過できる実力を作っていきましょう。最新の試験情報は必ず東京都職員採用の公式サイトで確認してください。