
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
「最終面接ですごく褒められた!これは合格間違いなしだ」と喜んでいたのも束の間、「褒め殺し」という言葉を聞いて急に不安になっていませんか?実は、就活生の都市伝説として「最終面接で褒められると落ちる」という噂は根強く存在します。
しかし、結論から言えば、褒められたからといって必ずしも不合格になるわけではありません。
この記事では、新卒採用の裏側を知り尽くした筆者が、なぜ企業は不合格にする学生を褒めるのか、その理由や真意を徹底解説します。
合格・不合格を見極めるサインや、褒められた際の正しい回答方法も紹介しますので、最後まで読んで不安を解消し、自信を持って結果を待ちましょう。
最終面接で褒められても落ちるとは限らない!
「褒められた=落ちる」という噂が広まった背景には、確かに一理ある理由が存在しますが、それを全てのケースに当てはめるのは危険です。
最終面接を担当するのは、社長や役員といった企業のトップ層です。
彼らは経験豊富なビジネスマンであり、単にお世辞を言っているわけではありません。
むしろ、純粋にあなたの経験や能力を評価して褒めているケースも数多くあります。
「褒められたからダメだ」とネガティブに捉えるのではなく、文脈やその後の会話の流れを冷静に分析することが重要です。
ここではまず、過度な不安を取り除き、フラットな視点で面接を振り返るための心構えを持ちましょう。
最終面接で企業側が褒める理由
なぜ面接官は、合否に関わらず学生を褒めることがあるのでしょうか。
そこには企業ならではの戦略や、面接官の心理が隠されています。
学生の緊張をほぐし本音を聞くため
最終面接は誰でも緊張するものです。
ガチガチに緊張した状態では、学生本来の良さや本音を引き出すことができません。
そこで、面接官はあえて「素晴らしい経歴ですね」「素敵な笑顔ですね」と褒めることで、場の雰囲気を和ませようとします。
これはアイスブレイクの一種であり、あなたをリラックスさせて、「素の自分」を見極めようとしているのです。
この場合、褒め言葉は合否のサインではなく、面接を円滑に進めるための潤滑油のようなものです。
したがって、ここで気を緩めすぎず、誠実な回答を続けることが求められます。
企業のブランディングのため
企業にとって、面接に来てくれた学生は将来の「顧客」や「ファン」になる可能性がある重要な存在です。
たとえ採用基準に合致せず不合格にする場合でも、圧迫面接をして悪い印象を持たれることは避けなければなりません。
「とても優秀な方ですが、今回はご縁がなく…」という印象を残すために、あえて良い点を褒めて面接を終えることがあります。
これは、SNSでの悪評拡散を防ぐリスク管理や、企業のイメージアップを狙ったブランディングの一環です。
人として尊重されたと感じてもらうための、企業なりの配慮とも言えるでしょう。
能力や人柄に関心しているため
もちろん、裏表なく純粋に感心して褒めているケースも多々あります。
特に、役員クラスの面接官は、自社の未来を担う人材を探しています。
あなたの語るエピソードや志望動機の中に、キラリと光るものを感じた時、思わず「それはすごいね」「面白い視点だ」と口に出ることがあります。
この場合、その褒め言葉は合格への強力な後押しとなります。
ただし、ここで調子に乗って自慢話をしてしまうと評価が下がるため、謙虚な姿勢を保つことが大切です。
本当に評価されている時は、そこからさらに深い質問へと展開していくことが多いのが特徴です。
最終面接で褒められて落ちる事例
では、どのような「褒め」が危険信号なのでしょうか。
ここでは、不合格フラグになりやすい褒め方のパターンを具体的に解説します。
過度に持ち上げられる
「君のような優秀な学生は、うちにはもったいないよ」「もっと大手でも通用するよ」といった、過度な持ち上げには注意が必要です。
一見最高の褒め言葉に見えますが、これは「うちの会社では満足できないだろうから、他に行った方がいい」という遠回しな理由での不採用通知である可能性があります。
また、早期離職を懸念されている場合にも使われるフレーズです。
企業側が「自社の規模や待遇では、この学生を引き留めておけない」と判断した際に、学生のプライドを傷つけないように断るための常套句として使われることがあります。
人柄や雰囲気だけを褒められる
面接の中で、スキルや具体的な経験についての言及が少なく、「元気がいいね」「真面目そうだね」「いい人そうだ」といった、人柄や雰囲気ばかりを褒められる場合も要注意です。
これは、能力面では評価ポイントが見つからなかったため、当たり障りのない性格面を褒めている可能性があります。
ビジネスの場において、人柄は大切ですが、それだけで採用が決まることは稀です。
具体的な成果や、入社後にどう貢献できるかという具体的な話に発展せず、終始「いい子だね」で終わってしまった場合は、決定打に欠けると判断された恐れがあります。
企業との相性が悪いと言われる
「君のその個性は、うちよりも〇〇業界の方が活きるかもしれないね」と、能力を褒めつつも他社を勧められるケースです。
これは、能力自体は認めているものの、自社の社風や求めている人物像とはマッチしないと判断されたサインです。
入社後のミスマッチはお互いにとって不幸であるため、面接官は親切心からアドバイスをしてくれているのです。
褒められてはいますが、「うちの会社ではない」と明確に線を引かれている状態です。
この場合、いくら意欲をアピールしても覆すのは難しいことが多いでしょう。
最終面接で褒められて受かる事例
逆に、合格に近づいている「良い褒められ方」とはどのようなものでしょうか。
脈ありサインを見逃さないようにしましょう。
具体的なスキルや経験を褒められる
「学生時代に〇〇の課題を解決したそのプロセスは、当社の営業でも再現性があるね」「その資格取得に向けた努力の継続力は素晴らしい」など、褒めるポイントが具体的である場合は、合格の可能性が高いです。
これは、面接官があなたのエントリーシートや話をしっかりと聞き込み、自社の業務にどう活かせるかを具体的にイメージできている証拠です。
単なるお世辞ではなく、ビジネス視点での評価ですので、自信を持って良いでしょう。
さらに、その能力を入社後どう伸ばしていくかという話題が出れば、内定は目前です。
一緒に働きたいと言われる
これは最強の合格フラグです。
「君みたいな人と働きたいな」「来年の4月から待っているよ」といった言葉が出た場合、面接官の中ではほぼ採用が決まっています。
最終面接官である役員や社長が、直感的に「仲間」として受け入れた瞬間です。
また、「君がもし入社したら、このプロジェクトを任せたい」というように、具体的な配属先や業務内容の話が出た場合も同様です。
これは、あなたが組織の一員として活躍する姿を明確に描けている証拠であり、単なる褒め言葉を超えた「オファー」に近い意味合いを持ちます。
鋭い質問や課題を与えられる
一見褒め言葉ではないように思えますが、「君の考えは面白い。
では、この場合はどうする?」といった鋭い質問や、厳しい指摘をされた後に「よく答えられたね」と褒められるパターンは非常に有望です。
どうでもいい学生に対して、面接官はわざわざ労力を使って深掘りしたり、ストレス耐性を試したりしません。
厳しいツッコミは、あなたに興味があり、本当に採用して大丈夫か最終確認をしている証拠です。
高いハードルを課され、それを乗り越えた時に得られる称賛は、本当の意味での高評価と言えます。
最終面接で褒められる以外の不合格サイン
褒められる・褒められない以外にも、面接官の態度や状況から読み取れる不合格サインがあります。
これらも合わせて確認しておきましょう。
面接時間が予定より極端に短い
予定されていた時間よりも極端に早く面接が終わってしまった場合、見込みが薄い可能性があります。
「これ以上聞くことはない」「合否の判断がついた(不合格)」と判断され、時間を切り上げられたケースです。
もちろん、話が弾んでスムーズに終わった場合や、優秀すぎて即決された場合もありますが、一般的には、興味があればもっと深く知りたいと思うものです。
特に、会話のキャッチボールが少なく、一方的な質疑応答のみで短時間で終了した場合は、志望度が伝わりきらなかったか、マッチしなかった可能性が高いでしょう。
入社後の具体的な話が出ない
合格させたい学生に対しては、入社後のミスマッチを防ぐために、具体的な仕事内容、待遇、配属の可能性など、実務的な話をすることが多いです。
逆に、これらの話題が一切出ず、終始雑談や抽象的な話で終わった場合は危険信号です。
企業は採用する気のない学生に対して、内情を詳しく話す必要性を感じません。
「入社したらやりたいこと」を聞かれなかったり、逆質問で入社後のことを聞いても曖昧にはぐらかされたりした場合は、あなたを社員として迎え入れる準備をしていない可能性があります。
面接官の反応が薄い
こちらが熱意を持って話しているのに、面接官の反応が薄い、メモを取らない、目が合わないといった態度が見られる場合も要注意です。
これはあなたに対して関心が低い、または既に不採用を決めていて消化試合になっている可能性があります。
もちろん、わざと反応を薄くして学生の動揺を誘う圧迫面接の可能性もありますが、最終面接においては、学生に好印象を持って帰ってもらいたいと考えるのが普通です。
あからさまに退屈そうな態度を取られた場合は、残念ながら企業との縁がなかったと考えるのが妥当かもしれません。
最終面接で褒めれて合格する準備方法
褒められたからといって油断せず、最後まで「合格」を勝ち取るための振る舞い方を紹介します。
謙虚さを保ちつつ、自信を持って肯定する
褒められた時に「いえいえ、そんなことないです」と全力で否定するのはNGです。
自信がないように見えてしまいます。
かといって「そうなんです、自分はすごいんです」と天狗になるのも印象が悪いです。
ベストな回答は、「ありがとうございます。
そう言っていただけて光栄です」と素直に受け止めつつ、「チームの協力があったからです」「〇〇の経験が活きました」と謙虚さを添えることです。
人としての器の大きさを見せ、自信と謙虚さのバランスを保つことで、面接官に「扱いやすい優秀な人材」という印象を与えられます。
褒められたポイントを具体化してアピールする
褒められた内容は、面接官が関心を持っているポイントです。
そこを起点に、さらにアピールを重ねましょう。
例えば「行動力があるね」と褒められたら、「ありがとうございます。
その行動力を活かして、御社の新規事業開拓でも泥臭く貢献したいと考えています」と返します。
単に褒められて終わるのではなく、その強みが入社後にどう役立つか(再現性)を伝えることで、面接官の確信を強めることができます。
褒め言葉をフックにして、自分の志望意欲や貢献可能性を再度プレゼンするチャンスに変えてしまいましょう。
逆質問で入社意欲の高さを示す
面接の最後にある「逆質問」は、最大のアピールタイムです。
褒められた流れで、「先ほど〇〇を評価していただきましたが、そのスキルを最大限発揮できる部署はどのような雰囲気でしょうか?」といった質問を投げかけてみましょう。
これは、自分が働く姿を具体的にイメージしていることを示すと同時に、褒め言葉を真に受けて前向きに検討している意欲を伝えられます。
質の高い逆質問は、単なる能力だけでなく、企業への本気度を証明する最後のひと押しになります。
最後まで気を抜かずに攻めの姿勢を見せましょう。
おわりに
最終面接で褒められることは、決して悪いことばかりではありません。
大切なのは、その言葉の裏にある「本音」を見極め、最後まで気を抜かずに自分をアピールし続けることです。
もし今、面接の結果待ちで不安な夜を過ごしているとしても、あなたができることはやり切ったはずです。
褒められた内容をポジティブに捉えつつ、万が一の結果に備えて次の準備も進めておく。
その冷静さと行動力こそが、社会人として活躍するための第一歩です。