
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
結論から言うと、都庁(東京都庁)の社会人経験者向け採用でもSPIは使われています。代表例がキャリア活用採用選考で、第1次選考の適性検査として基礎能力検査SPI3(SPI3-G)が課されています。
しかも令和8年度からは、このSPI3がマークシート方式からテストセンター方式に変わり、全国の会場や自宅から受検日を選べるようになりました。働きながらの受験ハードルは明らかに下がっています。
一方で、「経験者採用」と一口に言っても都庁には複数の社会人向け採用ルートがあり、区分によって選考内容も倍率の傾向も異なります。自分がどの入口に該当するのかを間違えると、対策そのものがずれてしまいます。
この記事では、都庁の経験者向け採用の全体像、SPI3-Gを含む選考の流れ、新卒向けSPIとの違い、倍率傾向の読み方までを編集部が分析します。
・都庁の社会人経験者向け採用ルートの全体像
・キャリア活用採用選考の流れとSPI3-G(テストセンター)の中身
・新卒向けSPI3-Uと経験者向けSPI3-Gの違い
・倍率傾向の正しい読み方と働きながらの対策法
・民間企業から都庁への転職を考えている社会人
・SPI対策の経験を活かして公務員に挑戦したい人
・経験者採用の倍率や難易度感をつかんでおきたい人
目次[目次を全て表示する]
都庁の社会人向け採用の全体像を押さえる
まず、都庁に社会人経験者が入る主なルートを整理します。「経験者採用」という言葉は総称として使われがちですが、実際には複数の試験・選考が並立しており、それぞれ対象者や求める経験が異なります。入口を取り違えないことが、対策の第一歩です。
社会人向けの主な入口は複数ある
都庁の社会人向け採用には、職務経験を持つ人材を対象とした経験者採用の枠組みや、専門性の高い経験を評価するキャリア活用採用選考などがあります。令和8年度もそれぞれ選考案内が公表されています。
区分ごとに対象となる職種、必要な職務経験の内容・年数、選考方法が細かく定められています。
まずは東京都職員採用サイトで最新の選考案内を確認し、自分の経歴がどの区分の受験資格に合致するかを特定するところから始めてください。
基礎能力検査としてSPI3-Gが使われている
社会人向け選考の筆記で中心的な役割を果たすのが、基礎能力検査SPI3です。キャリア活用採用選考では、第1次選考の適性検査としてSPI3-G(テストセンター方式)が課されることが公表されています。
SPI3-Gは、リクルート社のSPI3のうち転職者・社会人向けに提供されている検査で、民間の中途採用でも広く使われています。
つまり民間転職の選考でSPIを受けた経験がある人は、その対策資産を都庁受験にほぼそのまま持ち込めるということです。
29歳以下なら新卒向けⅠ類Bという選択肢もある
見落とされがちですが、Ⅰ類B採用試験の受験資格は22歳から29歳までとされており、社会人経験者でも年齢要件を満たせば受験できます。
特にⅠ類B新方式は第1次試験がSPI3のみのため、20代の若手社会人にとっては経験者向け選考と並ぶ現実的な選択肢です。
職務経験年数が浅く経験者向け区分の要件を満たさない場合でも、Ⅰ類Bルートなら挑戦できるケースがあります。年齢・経験年数の要件は年度の受験案内で必ず確認してください。
キャリア活用採用選考の流れ:令和8年度の実施内容
ここからは、SPI3-Gが課されるキャリア活用採用選考を軸に、選考の流れを具体的に見ていきます。令和8年度実施分では日程と方式に大きな変更があり、受験のしやすさが大きく変わりました。編集部が公表情報をもとに、各段階のポイントを解説します。
第1次選考:SPI3-Gと論文・専門試験
令和8年度のキャリア活用採用選考では、第1次選考のうち適性検査(SPI3)が2026年7月24日から8月6日までの間で受検者が選択する日に実施され、論文・専門試験は8月16日に実施される日程でした。
つまり筆記段階は「SPI3-G+論文・専門」の組み合わせで、SPIだけで完結するわけではありません。
専門性を問う試験が残っている点は、SPIのみで受けられる新卒向け新方式との大きな違いです。
令和8年度からテストセンター方式に変更された
大きなトピックが、適性検査の実施方式の変更です。令和8年度から、SPI3がマークシート方式からテストセンター方式に変わり、全国のリアル会場またはオンライン会場から受検日を選択できるようになりました。
従来は指定日に会場へ出向く必要がありましたが、現在は約2週間の期間から自分の都合に合わせて受検日を選べます。
働きながらの受験者にとって、有給を取らずに週末や業務後に受検できる意味は大きく、受験のハードルは確実に下がったと編集部は評価しています。
民間の中途採用選考でテストセンターを経験している人なら、受検の流れそのものに戸惑うことはないはずです。
第2次選考:職務経験を軸にした個別面接
第1次選考を通過すると、第2次選考ではプレゼンテーションを含む、職務経験・専門知識・人物についての個別面接が行われます。
新卒採用と決定的に違うのは、評価の中心が職務経験そのものである点です。何をやってきたか、その経験を都政のどこでどう活かすかを、具体的に語れるかが問われます。
面接段階の詳細は区分・年度により異なるため、選考案内の記載を精読したうえで準備してください。
経験者向けSPI3-Gの中身と対策
次に、第1次選考の関門であるSPI3-Gの中身を確認します。SPI3-Gは新卒向けSPIと共通する部分が多い一方、社会人が受けるからこその注意点もあります。ブランクのある人ほど「解けるつもりだったのに時間が足りない」という事態に陥りやすい検査です。
科目は言語・非言語が中心
SPI3-Gの能力検査は、言語分野(語彙・読解など)と非言語分野(計算・推論など)で構成され、あわせて性格検査が実施されるのが一般的な構成です。
出題レベル自体は中学〜高校程度の内容が中心ですが、1問あたりにかけられる時間が短く、処理スピードが問われます。
学生時代に数的処理から離れて久しい社会人は、まず現在の実力を模試や問題集で測定し、感覚を取り戻すところから始めましょう。
科目ごとの基準を意識した「穴のない」仕上げ方
公務員系のSPI選考では、総合点だけでなく検査の各分野で一定水準が求められ、極端に低い分野があると通過が難しくなるとされます。
したがって対策は、得意分野を伸ばすより苦手分野の底上げを優先するのがセオリーです。一般にSPIは正答率6〜7割が目安とされる水準を、全分野で安定して出せる状態を目指します。
非言語の推論・割合・損益算あたりは頻出かつ差がつきやすいため、重点的に演習してください。
働きながらの対策は「毎日30分×2か月」で設計する
フルタイム勤務との両立を考えると、週末にまとめて勉強する計画は崩れやすいのが実情です。編集部の推奨は、平日毎日30分の演習を2か月継続する設計です。
SPIは1問1〜2分で解く問題の集積なので、通勤時間や昼休みの細切れ学習と相性が良い試験です。アプリや問題集を常に手元に置き、隙間時間を演習に変換しましょう。
直前期の2週間だけは、時間を計った通し演習を週末に入れて本番の時間感覚を作ります。
学習記録アプリなどで演習量を可視化すると、多忙な時期でも継続のモチベーションを保ちやすくなります。仕組みで自分を走らせる工夫が、社会人受験の成否を分けます。
新卒向けSPIとの違いを比較する
「新卒のときにSPIを受けたことがある」という人向けに、新卒向けⅠ類B新方式のSPI3-Uと、キャリア活用採用選考のSPI3-Gの違いを整理します。同じSPI3ファミリーでも、受ける文脈が変われば準備のポイントも変わります。編集部が両者を一覧表にまとめました。
| 項目 | Ⅰ類B新方式(新卒・既卒向け) | キャリア活用採用選考(経験者向け) |
|---|---|---|
| 使われる検査 | SPI3-U(テストセンター方式) | SPI3-G(テストセンター方式) |
| 受検時期(令和8年度) | 2026年3月11日〜24日で選択 | 2026年7月24日〜8月6日で選択 |
| 筆記のその他科目 | なし(第1次はSPI3のみ) | 論文・専門試験あり(8月16日実施) |
| 2次以降の評価軸 | プレゼン・グループワーク・人物 | 職務経験・専門知識・人物(プレゼン含む) |
| 受験資格の軸 | 年齢(22〜29歳) | 職務経験の内容・年数(区分による) |
SPI3-UとSPI3-Gは対象者が違うだけで対策は共通
SPI3-Uは大学生向け、SPI3-Gは社会人向けという区別ですが、能力検査で問われる力の本質は共通です。市販のSPI対策本での学習がそのまま通用します。
新卒時の対策経験がある人は、当時の知識を掘り起こしながら、忘れている解法パターンを重点補強すれば効率的に仕上がります。
初めて受ける人も、教材が豊富で対策しやすい検査である点は安心材料です。
なお、SPI3-Gには社会人の実務感覚に近い題材が使われることもありますが、解法の本質は共通なので、教材を買い分ける必要はありません。
本当の差は筆記後の評価軸にある
表の通り、新卒枠と経験者枠の最大の違いはSPIそのものではなく、その後の選考です。経験者選考では論文・専門試験があり、面接は職務経験の深掘りが中心になります。
SPI対策と並行して、職務経歴の棚卸しと「その経験を都政でどう活かすか」の言語化を進めておくことが、トータルの合格戦略になります。
SPIは入口の関門、勝負は経験の語り方。この構造を見誤らないようにしましょう。
倍率傾向はどう読むべきか
経験者採用を検討する人が必ず気にするのが倍率です。ただし都庁の社会人向け選考の倍率は、区分・年度によって大きく変動するため、単年の数字だけで難易度を判断するのは危険です。ここでは編集部が考える、倍率データとの正しい付き合い方を解説します。
倍率は区分と年度でばらつく:公表データで確認する
都庁の採用試験・選考の実施状況(申込者数・受験者数・合格者数)は、東京都から毎年公表されています。倍率を知りたい場合は、この一次情報にあたるのが唯一確実な方法です。
社会人向け選考は募集区分が細かく、採用予定数が少人数の区分では倍率が年度によって大きく振れます。
ネット上の「倍率○倍」という断片情報は、どの区分・どの年度の数字か不明なものが多いため、必ず東京都の公表資料で区分ごとの実数を確認してください。
倍率より先に見るべきは受験資格との適合度
編集部の見立てでは、経験者選考で最初に精査すべきは倍率ではなく、自分の職務経験が募集区分の求める経験と噛み合っているかです。
経験者選考は「経験のマッチング」の要素が強く、要件と噛み合わない応募は倍率以前の問題で通りません。逆に、募集区分が求める経験にぴたりと合う人にとって、見かけの倍率ほどの険しさはないことも多いのです。
選考案内の「求める人材」「職務内容」を読み込み、自分の経歴との接点を具体的に説明できるかを先に確認しましょう。
接点が2〜3行で言語化できるなら挑戦する価値は十分、どうしても書けないなら区分の再検討が必要、というのが編集部の判断目安です。
民間転職と比べたときの難易度感
民間の転職選考と比べると、都庁の経験者選考は筆記(SPI3-G+論文・専門)というハードルが1段多い一方、選考基準が公開されており対策の見通しは立てやすいと言えます。
また、テストセンター化により受検の物理的負担が下がった今は、民間転職活動と並行して挑戦しやすくなっています。
「転職活動の選択肢の1つに都庁を加える」という構え方が、現在の制度環境では十分に現実的です。
転職エージェント経由の求人と違って情報が自動的に届くわけではないため、公式サイトの定期チェックだけは自分の習慣として組み込んでおきましょう。
働きながら合格を狙うスケジュール術
最後の実践パートとして、フルタイムで働きながらキャリア活用採用選考を受ける場合の時間の使い方を整理します。夏の筆記に向けて、春から動き出すのが編集部の推奨です。ポイントは、SPI対策・論文専門対策・経歴棚卸しの3つを同時並行にしないことです。
春:選考案内の確認と経歴の棚卸しから始める
選考案内は例年春から初夏にかけて公表されます。公表され次第、受験資格・日程・提出書類を確認し、まず職務経歴の棚卸しに着手しましょう。
棚卸しは、担当業務・実績・工夫・数字を書き出し、都政との接点を探す作業です。書類・面接・プレゼンのすべての土台になるため、最初にやる価値があります。
この段階でSPIの実力測定(模試1回)も済ませ、対策必要量を見積もっておきます。
初夏〜受検期:SPIは隙間時間、論文・専門は週末に
SPI3-Gの対策は平日の隙間時間で回し、まとまった思考が必要な論文・専門対策は週末に置く。この役割分担が、働きながらの学習を持続させるコツです。
7月下旬〜8月上旬の受検期間では、業務の繁忙と重ならない日を早めに予約で押さえます。
テストセンターの枠は先着順のため、予約開始後すみやかに日時を確保することを忘れないでください。
筆記後:面接準備は「経験と都政の接続」に全振りする
筆記を終えたら、第2次選考の個別面接・プレゼン準備に切り替えます。やることはシンプルで、棚卸しした経験を「都政のこの分野で、こう活かす」という形に接続し、語れるようにすることです。
東京都の政策や計画の公表資料に目を通し、自分の専門領域と重なるテーマを見つけておくと、話の具体性が段違いになります。
模擬面接の機会も、転職エージェントや知人を活用して最低1回は作りましょう。
この記事の日程・方式は令和8年度実施分の公表情報に基づいています。受験資格・日程・選考内容・採用予定者数は年度により変更されるため、出願前に必ず東京都職員採用サイトの最新の選考案内を確認してください。倍率などの実績値も、東京都が公表する実施状況が唯一の正です。
都庁の経験者採用SPIに関するよくある質問
最後に、都庁の経験者向け採用とSPIについて、編集部に寄せられることの多い疑問をQ&A形式でまとめます。受験資格や試験内容の細部は区分・年度によって異なるため、ここでの回答は考え方の目安として使い、最終判断は必ず最新の選考案内で行ってください。
職務経験は何年あれば受験できますか?
必要な職務経験の年数と内容は、選考の種類と募集区分によって細かく定められています。一律に「何年あればよい」と言える基準はなく、年度によって要件が見直されることもあります。
また、年数の条件を満たしていても、経験の中身が募集区分の求める職務内容と合致していなければ評価にはつながりません。
まずは最新の選考案内で自分の経歴が要件を満たすかを確認し、判断に迷う場合は案内に記載の問い合わせ先へ確認するのが確実です。
公務員試験用の筆記勉強は必要ですか?
従来型の教養試験対策(人文科学・自然科学などの暗記学習)は、SPI3-Gには不要です。この点は民間出身者にとって大きな参入障壁の低下だと言えます。
ただしキャリア活用採用選考では論文・専門試験が課されるため、筆記対策がゼロで済むわけではありません。自分の専門領域の知識整理と、論理的な文章を時間内に書く練習は必要です。
SPIは市販の対策本、論文・専門は自分の職務知識の棚卸しという役割分担で準備するのが効率的です。
20代ですが、経験者向けと新卒向けのどちらで受けるべきですか?
Ⅰ類B採用試験の受験資格は22歳から29歳までとされており、20代であれば社会人でも新卒向け枠に挑戦できます。職務経験の要件を満たすなら経験者向け選考との比較検討が可能です。
判断の軸は、自分の強みがどちらで活きるかです。職務経験に自信があり専門性で勝負したいなら経験者向け、経験年数が浅くポテンシャル評価を受けたいならⅠ類B新方式が向きます。
それぞれの試験内容・日程・倍率を公表資料で見比べ、有利に戦える土俵を選んでください。
まとめ
この記事では、都庁の経験者向け採用とSPIの関係について、採用ルートの全体像、キャリア活用採用選考の流れ、SPI3-Gの中身、倍率傾向の読み方までを編集部が分析しました。
都庁の経験者向け選考ではSPI3-Gが基礎能力検査として使われており、令和8年度からテストセンター方式となって働きながらの受験環境は大きく改善しました。29歳以下ならⅠ類B新方式という選択肢もあります。
ただしSPIはあくまで入口です。勝負を分けるのは、募集区分の要件と自分の職務経験の適合度、そしてその経験を都政に接続して語る力です。倍率の断片情報に振り回されず、東京都の公表資料で実数を確認しながら、自分の経歴という最大の武器を磨いてください。
SPI3-Gの対策は平日の隙間時間、論文・専門は週末、面接準備は経験と都政の接続に集中。この配分を守れば、フルタイム勤務との両立は十分に可能です。
まずは最新の選考案内を確認し、受験資格の該当区分を特定するところから、都庁への転職準備を始めましょう。