
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
都庁(東京都庁)のⅠ類B新方式には、公務員試験としては珍しい「プレゼンテーション」を含む試験があります。第1次試験がSPI3のみである新方式において、プレゼンは人物評価の中核を担う存在です。
令和8年度実施分では、新方式の第2次試験として「プレゼンテーションを含む個別面接」が実施されました。課題や提出方法は試験区分によって異なり、事前の準備が合否を大きく左右します。
「プレゼンなんてやったことがない」と身構える受験者は多いのですが、実態は、自分の考えを整理して伝え、質疑に答えるという就活面接の延長線上にある試験です。正しい準備の型を知れば、民間就活組こそ有利に戦えます。
この記事では、都庁SPI方式のプレゼン試験について、制度の位置づけと変遷、課題の傾向、構成の作り方、本番の立ち回り、練習法までを編集部が分析します。
・都庁新方式におけるプレゼン試験の位置づけと制度の変遷
・課題の傾向(行政区分・技術区分の違い)
・編集部推奨のプレゼン構成テンプレート
・発表本番の立ち回りと、やりがちな失敗の回避法
・都庁を新方式(SPI方式)で受ける予定でプレゼンが不安な人
・プレゼン課題の準備を何から始めるべきか知りたい人
・人前での発表経験が少なく、練習法を探している人
目次[目次を全て表示する]
都庁のプレゼン試験とは:新方式2次の中核
最初に、プレゼン試験が選考全体のどこに位置し、何のために課されているのかを押さえます。位置づけを誤解したまま準備すると、「きれいな発表」を目指してしまい、評価者の見ている場所とずれた努力をすることになります。編集部の整理から始めましょう。
第2次試験の「プレゼンテーションを含む個別面接」で実施される
新方式の選考は、SPI3(テストセンター方式)による第1次試験を通過した後、第2次試験へ進みます。令和8年度実施分では、この第2次試験が「プレゼンテーションを含む個別面接」と「グループワークを含む個別面接」の2本立てでした。
プレゼンは独立したイベントではなく、個別面接の中に組み込まれた発表と質疑という形で行われます。
発表して終わりではなく、その内容を材料に面接官との対話が続く。この構造が対策の出発点です。
最終合格発表は令和8年度実施分で5月29日でした。SPI通過からプレゼン本番までの期間は限られるため、準備の前倒しがそのまま完成度の差になります。
課題と提出方法は試験区分により異なる
プレゼンテーションの課題や資料の提出方法は、試験区分(行政・技術など)によって異なるとされています。あわせて提出する面接シートはフォームから入力する形式です。
つまり、1次合格後に案内を見てから考え始めるのでは遅く、自分の区分の過去の傾向を先に調べ、テーマの仕込みを進めておくべき試験です。
課題の詳細・分量・形式は年度で変わり得るため、必ず最新の受験案内と2次試験の案内を正として準備してください。
なぜ都庁はプレゼンを課すのか
都の職員の仕事は、政策を立案し、住民や議会、関係機関に説明し、合意を作っていくことの連続です。課題を発見し、解決策を構想し、根拠とともに伝える力は、まさに職務そのものだと言えます。
プレゼン試験は、その力を筆記では測れない形で確かめるために置かれています。
だからこそ評価の中心は「発表のうまさ」ではなく、発想力・論理性・伝達力です。話し方の巧拙を過度に恐れる必要はありません。
制度の変遷:「その場で書く試験」から「準備して臨む試験」へ
都庁新方式のプレゼン試験は、制度改定を経て現在の形になりました。古い受験体験記を参考にすると今とは別の試験の話を読んでしまう恐れがあるため、変遷を整理しておきます。ネット上の情報の鮮度を見分ける物差しとしても役立つはずです。
かつては第1次試験で「プレゼンテーションシート作成」が課されていた
従来の新方式では、第1次試験の会場でプレゼンテーションシートをその場で作成する形式が採られていました。都政課題などのお題に対し、制限時間内に手書きでシートをまとめ、後の試験で発表する流れだったとされています。
この時代の対策の中心は、初見のお題への即興対応力でした。現在の制度とは求められる力の性質が異なります。
古い体験記や対策記事にはこの前提のものが多いため、「いつの年度の話か」を必ず確認して読み分けてください。
令和6年度からSPI3が導入され、現行の構成に
新方式は令和6年度から第1次試験に適性検査(SPI3)が導入され、受けやすさを高める方向で制度が見直されてきました。現在は第1次がSPI3のみ、プレゼンは第2次試験の個別面接に組み込まれる構成です。
これにより、プレゼンは「その場で書く試験」から「事前に準備して臨む試験」へ性格が変わりました。
試験会場での即興力より、準備段階での考察の深さと、質疑での対話力が問われるようになったと編集部は分析しています。
制度は今後も見直される可能性があるため、受験年度の案内で最新の構成を確認する習慣は持ち続けてください。
「準備型」への変化は民間併願層への追い風
事前準備型のプレゼンは、時間をかけて調べ、構成し、練習した分だけ完成度が上がります。これは、ESや面接準備で「作り込み」に慣れている民間就活層と相性の良い変化です。
裏を返せば、準備の量と質の差がそのまま本番の差になります。当日の一発逆転は期待できません。
SPI受検が終わった時点でプレゼンのテーマ研究に着手する。このスケジュール感が現行制度での正解です。
課題の傾向:都政課題と自分の考えの接続
次に、プレゼンで扱う課題の傾向を見ていきます。区分により課題の性質が異なるため、自分の区分に合わせた仕込みが必要です。共通するのは「知識の披露」ではなく「課題の設定と解決の構想」が求められる点です。
行政区分:都政に関わる課題への提案型が中心
行政区分のプレゼンは、都政に関わるテーマについて自分の考えを発表する形式が中心とされています。防災、子育て支援、産業振興、デジタル化など、東京都が向き合う課題は幅広く存在します。
問われているのは、正解の暗記ではなく、課題をどう捉え、何を根拠に、どんな打ち手を提案するかという構想力です。
テーマ選びに迷ったら、自分の生活実感や地元・アルバイト先で見た課題から出発すると、借り物でない視点を作りやすくなります。
日頃から都の政策分野を眺め、自分の関心・経験と接続できるテーマを2〜3個持っておくと、課題が示されたときの初速が変わります。
技術区分:研究内容や専門性が題材に含まれる
土木・建築・機械・電気などの技術区分では、プレゼンテーションを含む「研究内容、職務経験及び専門知識並びに人物についての個別面接」とされており、自身の研究や専門性が題材の軸になります。
自分の研究を専門外の相手に分かりやすく説明し、都の事業とどう接続するかを語る準備が中心になります。
専門用語をかみ砕く練習と、都の技術系事業の下調べをセットで進めましょう。
「高校生に説明するつもりで話せるか」を基準に原稿を点検すると、専門性と分かりやすさのバランスを取りやすくなります。
テーマ研究の情報源は一次情報にあたる
課題研究の情報源は、東京都の公式サイトで公表される計画・予算・施策資料が基本です。都の長期戦略や各局の事業紹介には、現在の都政が何を課題と認識しているかが凝縮されています。
まとめサイトやSNSの断片情報だけで組み立てたプレゼンは、質疑で一次情報を踏まえた深掘りをされた瞬間に崩れます。
公式資料を最低2〜3本読み込み、数字や施策名を自分のシートに正確に反映することが、内容の説得力を支えます。
編集部推奨:伝わるプレゼンの構成テンプレート
ここからは実践編です。プレゼンの完成度は構成で8割決まります。編集部が推奨する5部構成のテンプレートを表にまとめました。どんな課題が来てもこの骨格に流し込めるよう、型として体に入れておくと、準備時間を内容の深掘りに集中投下できます。
| パート | 内容 | 時間配分の目安 |
|---|---|---|
| 1. 結論 | 何を提案するかを最初に1文で言い切る | 全体の1割 |
| 2. 課題設定 | なぜその課題か。現状と数字で裏付ける | 全体の2割 |
| 3. 提案の中身 | 打ち手を2〜3点、対象と手段を具体的に | 全体の4割 |
| 4. 実現へのハードル | 課題・制約を自分で挙げ、対応の方向を示す | 全体の2割 |
| 5. 締め | 提案で東京がどう変わるかを一言で描く | 全体の1割 |
結論先行と課題設定:最初の1分で評価は動く
プレゼンは冒頭で「私は〇〇を提案します」と結論を言い切るところから始めます。聞き手は全体像を先に得ることで、以降の話を安心して聞けます。
続く課題設定では、なぜその課題を選んだのかを現状データや自分の体験で裏付けます。
ここが薄いと以降の提案がすべて宙に浮くため、課題設定の説得力に準備時間の多くを割く価値があります。
数字は1〜2個で十分です。多用すると発表が統計の読み上げになり、かえって主張がぼやけます。
提案パート:欲張らず2〜3点に絞る
提案は数を並べるより、対象・手段・期待効果が具体的な2〜3点に絞る方が伝わります。「誰に対して、何を、どうやって」が言えない提案は具体性不足です。
既存施策との重複を避ける必要はありませんが、「現行の取組に対して自分の提案は何を足すのか」を意識すると、都政研究の深さも同時に示せます。
実現可能性を完全に無視した打ち上げ花火より、小さくても筋の通った提案の方が高く評価されます。
ハードルの自己開示が質疑を楽にする
テンプレートの肝は第4部です。自分の提案の弱点(財源、体制、合意形成の難しさなど)を先回りして自分から挙げ、対応の方向性を示します。
これをやっておくと、質疑応答で突かれるポイントを事前に潰せるうえ、「多角的に考え抜いた」という印象を残せます。
完璧な提案を装うより、限界を認識した誠実な提案の方が、行政の実務感覚に合致するのです。
発表本番の立ち回りと質疑応答
構成ができたら、次は本番のデリバリーです。プレゼンを含む個別面接では、発表そのものと、その後の質疑応答が一続きで評価されます。発表は準備で固められますが、質疑は対話力の勝負です。本番で使える立ち回りのポイントを整理します。
時間管理:決められた枠に収める練習を繰り返す
発表時間の設定は年度・区分の案内で示されるため、必ず確認のうえ、その枠に収める通し練習を繰り返してください。時間超過は内容以前の減点要因です。
練習ではストップウォッチで計測し、想定時間の9割で終わる分量に調整しておくと、本番の緊張による間延びを吸収できます。
早口で詰め込むより、内容を削って語る方が確実に伝わります。
削る判断に迷ったら、5部構成の第3部(提案の中身)を優先して残し、背景説明から削るのが原則です。
話し方:うまさより「まっすぐさ」で勝負する
評価されるのは弁論大会的な流暢さではありません。面接官の目を見て、結論から、自分の言葉で話す。この基本ができていれば話し方で落ちることはまずありません。
暗記した原稿の再生は、少しでも飛ぶと立て直せなくなる危険な戦法です。
覚えるのは構成の骨格とキーワードだけにして、文章はその場で組み立てる練習をしておきましょう。
質疑応答:反論は「攻撃」ではなく「対話の招待」
質疑では、提案の弱点への指摘や別視点の提示が必ず来ます。これは落とすための攻撃ではなく、思考の柔軟性と対話力を見るための投げかけです。
指摘をまず受け止め、認めるべきは認めた上で、自分の考えを述べ直す。この往復ができれば十分です。
準備段階で作った想定問答のうち、答えに窮したものほど本番で聞かれる価値のある問いです。潰し切れなかった問いは「限界として認める答え方」まで用意しておきましょう。
知らないことを聞かれたら、知ったかぶりせず「その観点は検討できていませんでした」と認める誠実さが、むしろ評価を守ります。
やりがちな失敗パターンと回避策
編集部が就活・公務員試験の選考動向から整理した、プレゼン試験で受験者が陥りやすい失敗を3つ紹介します。いずれも能力不足ではなく準備の方向性の誤りが原因で、事前に知っていれば回避できるものばかりです。自分の準備計画と照らし合わせてください。
失敗1:資料の見た目に時間を溶かす
提出資料の装飾や図解の美しさに時間をかけすぎ、肝心の中身が薄いまま本番を迎えるパターンです。評価の重心は発想力・論理性であり、デザインではありません。
資料形式の指定は案内に従いつつ、時間配分は「中身9:見た目1」くらいの意識で丁度よいと編集部は考えます。
見た目に凝る前に、想定問答を1つでも多く作る方が合格に近づきます。
失敗2:評論家になってしまう
都政の課題を分析して終わり、あるいは既存施策の批評に終始してしまうパターンです。プレゼンで求められているのは、課題の指摘ではなく「自分ならこうする」という当事者としての提案です。
語尾が「〜が課題だと考えます」で終わっていたら黄信号です。「だから私は〜を提案します」まで必ず言い切りましょう。
職員として働く自分を主語に置けているかを、練習のたびにチェックしてください。
失敗3:一夜漬けの付け焼き刃で臨む
SPI通過後、1次の合格発表を待ってから慌てて準備を始め、テーマ研究が浅いまま本番を迎えるパターンです。事前準備型の試験である以上、仕込みの浅さは質疑で必ず露呈します。
SPI受検直後からテーマ研究と構成作りを始めれば、発表練習まで含めて余裕を持って仕上げられます。
「受かっている前提で動く」。短期決戦の新方式では、このスケジュール感覚自体が実力の一部です。
・自分の区分の課題形式を最新の案内で確認したか
・都の公式資料を2〜3本読み、数字と施策名をメモしたか
・5部構成テンプレートに沿って骨格を作ったか
・想定問答を10個以上作成したか
・時間を計った通し練習を3回以上行ったか
本番までの練習法とよくある質問
最後に、準備の仕上げとなる練習の設計方法と、プレゼン試験についてよくある疑問への回答をまとめます。プレゼンは「知っている」と「できる」の差が最も大きく出る試験です。構成やテーマ研究がどれだけ良くても、声に出す練習を省くと本番のパフォーマンスは半減します。
練習は「3回・録画・第三者」で設計する
通し練習は最低3回、可能ならスマートフォンで録画して見返してください。時間超過、視線の落ち方、口癖といった自分では気づけない問題が一目で分かります。
3回のうち1回は、キャリアセンターの職員や友人など第三者の前で行い、質問を投げてもらいましょう。想定問答の穴は、他人に聞かれて初めて見つかるものです。
1回目で構成の破綻を直し、2回目で時間を合わせ、3回目で質疑込みの通しという段階設計にすると、練習の1回ごとに明確な改善目標を持てます。
民間就活の経験はどこまで使えますか?
ゼミ発表、グループディスカッション、ケース面接などの経験は、構成力・度胸・質疑対応の面でそのまま土台になります。人前で話した経験の総量は確実に効いてきます。
ただし、民間向けの「自社の利益にどう貢献するか」という語り口のままでは、都政のプレゼンとして焦点がずれます。
公共の課題を誰の立場で解決するのか、という視点への切り替えだけは意識的に行ってください。切り替えさえできれば、民間併願層はプレゼン試験で有利に戦えるというのが編集部の見立てです。
発表時間や資料の形式はどこで確認できますか?
発表時間、資料の分量・形式、提出方法は、受験する年度の受験案内および1次合格後に示される2次試験の案内で確定します。試験区分によっても異なるため、この記事を含む外部情報で断定的に判断しないでください。
過去の受験体験記は参考になりますが、制度改定前の情報が混ざっている点に注意が必要です。読む際は必ず年度を確認しましょう。
「公式の案内が正、外部情報は補助」という優先順位を守ることが、準備の空振りを防ぐ最も確実な方法です。
案内が公表されたら、時間・形式などの条件を練習環境にそのまま再現して仕上げの通し練習を行うと、本番との落差を最小化できます。
まとめ
この記事では、都庁SPI方式(Ⅰ類B新方式)のプレゼン試験について、制度の位置づけと変遷、課題の傾向、構成テンプレート、本番の立ち回り、失敗の回避策までを編集部が分析しました。
現行のプレゼンは第2次試験の個別面接に組み込まれた「事前準備型」の試験であり、かつての「その場で書く」形式とは別物です。評価の中心は発表の巧拙ではなく、課題設定の説得力、提案の具体性、質疑での対話力にあります。
結論先行の5部構成で骨格を作り、都の一次情報で中身を裏打ちし、想定問答と通し練習で仕上げる。この王道の手順を踏めば、プレゼン未経験でも十分に戦えます。
そしてプレゼンの準備で磨いた「課題を設定し、根拠とともに提案する力」は、民間選考のケース面接や入社後の実務まで一生使える汎用スキルです。
課題・形式・日程は試験区分と年度により異なります。必ず東京都職員採用サイトの最新の受験案内・2次試験案内を確認したうえで、SPI受検後すぐに準備へ着手してください。