【業界研究】精密機器業界を詳しく知りたい!?業界の仕組みや動向を徹底解説!

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伊東美奈
Digmedia監修者
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

高い技術力を武器に世界を相手に活躍する、精密機器業界。

「精密機器業界」といえば、主に医療機器・光学機器・計測機器を扱う、BtoB企業(企業との取引)が中心の業界です。

精密機器は、世界的にみても日本が先進している分野です。

精密機器業界の業界構造や、主要なキーワード、今後の将来性などを分析していきます。

精密機器業界を簡単に解説!

精密機器とは、電子制御やソフトウェア制御によって緻密な動作が求められる機器が当てはまります。

精密機器はカメラや時計、企業が使用する検査機器や計測機器、手術などで使われる医療機器など様々な種類があります。

精密機器の種類の分だけ業界も様々であり、大きく「医療機器」「時計」「計測機器」の3つに分類されます。

【精密機器業界】仕組み

「精密機器業界」とは一体どのような業界なのでしょうか。

ビジネスモデルや業界構造を解説していきます。

精密機器業界は、あらゆる業界と関連する業界となっています。

自動車や家電、医療機器、航空機、ロボットなど高い技術力が必要とされる業界であれば、精密機器は必ず求められます。

<一般的な精密機器業界の構造>

基本的に精密機器メーカーはありとあらゆる業界向けに製品を作っているため、クライアントの業界は非常に幅広いことが特徴です。

一方で、近年ではクライアント業界ごとに独自の製品を開発していく例が多くなっています。

そのため、精密機器メーカーも社内の体制を顧客の業界ごとにセグメント化している例が増えています。

例えば、「モーター」に特化している大手の「日本電産」の場合、自動車向けのモーターは独自に開発しており、他の家電などのモーターとは区別して研究開発を行なっています。

<精密機器のビジネスモデルの変革>

精密機器メーカーが設計、開発を行い、完成品メーカーへ収めているパターンが一般的となっています。

従来はその精密機器の設計も精密機器メーカーが単独で行っており、研究開発なども自社で行っていました。

そして、生産された部品などは、様々な会社が共通して使っていました。

このような共通の製品を「汎用品」と言います。

汎用品の最大のメリットはコストにあります。

多くの完成品メーカーが同じ汎用品を使うことで量産効果が得られますので、性能の良いものが安くで完成品メーカーは手に入るようになります。

しかし、ものづくりの業界の競争が激化していく中で完成品メーカーは差別化が求められるようになります。

そのため、汎用品では競合企業との差別化がうまくいかないため、少々コストが高くなっても高機能であったり、デザイン性に優れた専用品を作成していくニーズが高まっていきます。

それがまさに、今の精密機器のトレンドとなっています。

実際に現在では、精密機器メーカーと完成品メーカーが共同で研究を行うなどが増えてきています。

しかしこのような場合、完成品メーカー1社でかなりのボリュームの精密機器や部品を購入しないといけなくなるため、このような手法を取れるのは一部の企業のみのとなっています。

そして、その一部の企業が専用設計を行うことで、商品がますます魅力的になり差別化に成功していくのです。

【精密機器業界】近年の動向

精密機器業界の構造やビジネスモデルは理解できたと思います。

しかし、業界研究では構造やビジネスモデルの理解だけでは不十分です。

次に、2022年現在のデータを元に精密機器業界の動向について説明していきます。

精密機器業界は成長産業と言われています。

どうしてこれから伸びていくと予想されるかについて、業界規模やトレンドキーワードを元にして考えてみてください。

業界規模

医療機器、時計、計測機器の3つに分けて説明していきます。

まず、医療機器業界は2010年から2021年にかけて堅調に増加しています。

コロナ禍によって人工呼吸器や人工肺などの特需がありましたが、現在では落ち着いています。

しかし、新型コロナウイルスの流行が収まってきたことで、医療機関への来院数が増えたことで検査・手術関連の機器の需要が高まっています。

近年ではソニーやキヤノンといった企業の参入が大きな動きです。

次に、時計業界は新型コロナウイルスの影響を受け、2020年には大幅に縮小しました。

しかし、2021年から2022年にかけて、主に海外でコロナ禍以前の水準に向けて回復傾向にあります。

最後に計測機器業界は民間向けと官庁大学向けのどちらでも堅調な推移を見せ、安定しています。

精密機器業界のトレンドのキーワードをチェック

それでは、最後に精密機器業界注目のキーワードを解説します。

自動化〜工場の自動化、自動車の自動運転

工場における自動化(FA=ファクトリーオートメーション)や自動車の自動運転が精密機器メーカーの業界でもホットなトレンドとなっています。

自動運転の技術は、精密機器メーカーが研究・開発するセンサーや部品によって左右されます。

自動運転の分野で差別化できるかどうかが、今後の部品メーカーの生き残りにおいて重要とされています。

〜具体例〜

・自動運転に不可欠とされる、高周波インダクタ(無線通信技術)は国内外問わず、多くの自動車メーカーから採用されている。

(村田製作所 高周波インダクタの事例)

・FAや自動運転などで用いられるカメラ画像認識のセンサー(CMOS センサ)ではソニーのCMOSセンサが世界シェア1位となっている。

(ソニーセミコンダクタソリューションズの事例)

ロボット・IoT

ロボットやIoT技術への応用は、精密機器メーカーの重要なポイントとなります。

ロボットに用いられるセンサー類や制御する部品の多くは精密機器メーカーが研究開発した製品です。

ロボットやIoTの技術革新のベースが精密機器分野の重要なトレンドとなっています。

〜具体例〜

工場の自動化において必要不可欠な産業用ロボットは日本の精密機器メーカーが世界シェアに上位にランクインしています。

今後も世界的には人口が増加に伴って製品の需要は高まっていき、さらなる効率化を求めて工場の自動化が進められています。

(世界シェア1位安川電機、世界シェア3位ファナック)

この他にも新しい技術分野は、その多くが精密機器メーカーによって実現されるものが増えてきています。

【精密機器業界】主な職種

精密機器業界は主にメーカーになります。

他の業界のメーカーと同じように精密機器業界でも技術系職と事務系職の2種類があります。

以下で詳しく解説していきます。

技術系職

精密機器業界の技術職で代表的なものは研究開発やエンジニアです。

具体的には精密機器そのものの研究や開発、設計の他、精密機器の製造技術の開発や品質管理、生産管理といった職種があります。

また、精密機械そのものだけでなく、精密機械を動かすためのソフトウェアの開発も行います。

精密機器業界における技術系職はどれも「ものづくり」の根幹を担う職種になります。

生産管理職

生産管理職は、工場での生産計画の立案・管理を担当する職種です。 製品の品質を維持しながら、納期を守りつつ効率的な生産を行うことが求められます。 そのため、原材料の調達、工程のスケジュール管理、人員配置の調整など、多岐にわたる業務を担います。 また、トラブルが発生した際には迅速に対応し、工程の最適化を図ることも重要です。 精密機器業界では高い品質基準が求められるため、細かい調整が必要な場面も多くあります。 計画性や調整力に加え、工場の生産状況を正確に把握する管理能力が求められます。

研究開発職

研究開発職は、新しい技術の開発や製品の改良を行う職種です。 市場のニーズや技術の進歩に対応しながら、より高性能な精密機器を生み出すために実験や分析を行います。 そのため、物理学、材料工学、機械工学などの専門知識が求められます。 開発には長期間にわたる試行錯誤が必要なことが多く、根気強く研究を進める忍耐力も重要です。 また、他部署と連携しながら、製品の実用化に向けた調整を行う機会も多いため、技術的な知識だけでなく、コミュニケーション能力も必要になります。

セールスエンジニア

セールスエンジニアは、営業担当者と協力しながら、製品の技術的な説明を行う職種です。 顧客の要望に応じて、製品の仕様や導入メリットを詳しく説明し、最適なソリューションを提案します。 そのため、精密機器に関する深い技術知識が必要となります。 また、顧客が抱える課題を理解し、それを解決するための技術的なサポートを提供することも求められます。 営業職とは異なり、専門的な知識を活かして顧客との信頼関係を築くことが重要です。

事務系職

精密機器業界の事務系職種には3種類あります。

1つ目は営業です。

自社の製品を企業や個人に販売することや顧客のニーズなどの情報を集めて還元するといった役割があります。

2つ目はマーケティングです。

マーケティングでは世の中のニーズに応えられるような新製品の開発やプロモーションに関わります。

3つ目は事務職です。

事務職には人事や会計、法務などがあります。

商品企画職

商品企画職は、市場のニーズを分析し、新しい製品の開発や既存製品の改良を行う職種です。 消費者や企業のニーズを把握し、それをもとに商品戦略を立案する役割を担います。 精密機器業界では、技術革新が進む中で、競争力のある製品を市場に提供することが求められます。 そのため、技術部門と連携しながら、機能性やデザインの向上、コスト削減などの観点から製品を企画します。 また、販売戦略やプロモーションの計画にも関与することが多く、市場分析力やマーケティングの知識が求められます。

営業職

営業職は、顧客に対して自社製品の魅力を伝え、販売につなげる職種です。 精密機器は高額な製品が多く、購入までに複数の担当者と交渉を重ねる必要があります。 そのため、顧客のニーズを的確に把握し、最適な製品を提案するスキルが求められます。 また、価格交渉や納品スケジュールの調整など、社内の各部門と連携しながら進める場面も多いため、コミュニケーション能力も重要です。 特にBtoBの取引が中心となる精密機器業界では、単に製品を売るだけでなく、顧客との信頼関係を築くことがポイントです。

【精密機器業界】年収は?

ここまで精密機器業界の職種について解説してきました。

構造やビジネスモデル、業界の動向や職種を理解し、なんとなく全体像が掴めてきたと思います。

次は、精密機器業界の年収について解説します。

精密機器業界の平均年収はマイナビの調査によると472万円になります。

また、業界内の年収ではキーエンスが2183万円でトップとなっています。

参考:

https://mynavi-agent.jp/helpful/income/industry/maker_06.html#:~:text=%E7%B2%BE%E5%AF%86%E6%A9%9F%E5%99%A8%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%B9%B4%E5%8F%8E%E3%81%AF%E3%80%8120%E4%BB%A330,%E3%81%A7408%E4%B8%87%E5%86%86%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

【精密機器業界】求められる人物像

どの業界にも求められる人材や適している性格などがあります。

ここでは精密機器業界で求められる人物像について解説していきます。

精密機器業界で求められる人材は以下の2つです。

〜精密機器業界で求められる人材〜

・機械に興味がある人
・発想力がある人

機械に興味がある人

精密機器業界で求められる人物像の1つ目は「機械に興味がある人」です。

技術系職に就く場合は工学部などの理系学部からの就職が多いのですが、大学で学んだことだけでは足りていないことがほとんどです。

つまり入社後にも勉強を続ける必要があり、機械に興味がない人には辛いと感じるでしょう。

また、事務系職でも自社や競合他社の製品に対する理解は必要になります。

以上から、機械に興味がある人が業界で求められます。

発想力がある人

精密機器業界で求められる人物像の2つ目は「発想力がある人」です。

精密機器業界ではアンテナを高くして、最新技術を常に取り込むことや既存の技術と組み合わせて、新しいものを考えることが重要です。

そのため、既存の枠組みに囚われない、発想力がある人が業界で求められます。

【精密機器業界】将来性は?

精密機器業界は、高度な技術力を活かし、多くの分野で重要な役割を果たしています。

しかし、市場の変化により、一部の分野では需要が減少している側面もあります。

その一方で、医療や食品、医薬品業界では精密機器の必要性が高まっており、今後も安定した成長が見込まれます。

ここでは、精密機器業界の将来性について詳しく解説します。

B to Cビジネスは縮小傾向にある

精密機器業界の中でも、消費者向け(B to C)の製品は縮小傾向にあります。

特に、スマートフォンの普及により、デジタルカメラや携帯型音楽プレーヤーの需要は大幅に減少しました。

また、パーソナル向けのプリンター市場も、ペーパーレス化の進展に伴い、成長が鈍化しています。

これにより、従来のB to C市場を主力としていた企業の中には、事業の縮小や新規分野への転換を進めるケースが増えています。

業界そのものがなくなることはない

B to C市場が縮小傾向にある一方で、B to B市場では精密機器の需要は依然として高く、業界全体が衰退することは考えにくいです。

特に、医療業界では高精度の診断装置や手術用ロボットなど、精密機器の技術が不可欠となっています。

また、食品業界では品質管理や衛生管理のための精密測定機器が重要な役割を担っています。

さらに、半導体製造装置や自動車の電子部品の精密加工技術も、今後の技術革新において不可欠です。

【精密機器業界】代表的な企業

精密機器業界は部品の原価が低いことから、比較的参入障壁が低いとされており、数多くの企業がひしめいています。

しかし、高い技術力が求められる精密機器や安定した生産量が必要な精密機器もあり、ニーズに合う形で製品を供給できる精密機器メーカーは非常に限られています。

以下で、代表的な精密機器メーカーの概要を紹介します。

キーエンス

国内最大手、高年収企業ランキングの最上位企業であるキーエンス。

製品の7割が世界初の技術もしくは世界一の精度を誇る、精密機器メーカーです。

特徴としては、研究開発力と営業力が高いことが有名。

キーエンスとしては対外的には研究開発に力を入れていると説明していますが、外部の証券アナリストなどの専門家からは営業力が評価されています。

村田製作所

京都に本社を置く、精密機器メーカー。

部品メーカーのトップ企業です。

電子部品の中でも最も大きな分野の一つである「コンデンサ」において世界トップシェアの企業となっています。

基本的には個人向けのビジネスは行なっていないものの、知名度向上のため、CMを行うことが増えてきています。

また、海外売上の比率が9割を超えるなど、海外展開に力を入れています。

ニコン

1917年の設立された精密機器メーカー。

デジタルカメラなど個人向けの製品開発も行う会社となっています。

高性能なスマートフォンの台頭によって、デジタルカメラの市場規模は縮小していますが、顕微鏡・医療機械・半導体・計測機器部門は順調に売上を確保しています。

オリンパス

オリンパスは1919年に創立され、東京都八王子市に本社を置く精密機器メーカーです。

もともとは光学機器の製造を手掛け、消費者向けのカメラやレンズで広く知られていましたが、現在は医療機器事業を主軸とする企業へと転換しました。

特に、内視鏡分野において世界トップクラスのシェアを誇り、消化器内視鏡の分野では約70%の市場占有率を持っています。

オリンパスの強みは、長年培ってきた光学技術を活かした高精度な医療機器の開発にあります。

内視鏡だけでなく、顕微鏡や外科手術向けの医療機器にも注力し、医療分野でのさらなる成長を続けています。

まとめ

今回の記事では、精密機器業界の解説を行いました。

各社それぞれのポイントがありますので、それぞれの個別企業の分析もしていますので、どちらの記事もチェックして、業界研究を行なっていきましょう。

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