はじめに
理系生が就活を始めるにあたり、職種を選ぶ必要があります。
理系の学部や学科を決める時点で、将来なりたい職種があり、受験を決めた方も多いことでしょう。
もっとも、実際に大学で学ぶ間にほかの職種にも興味を抱く場合や迷いが生じている方もいるかもしれません。
中には、やりたいことがまだ見つかっていない方もいるはずです。
進む職種はどうやって選ぶべきなのか、理系が進む主な職種を紹介しながら、選ぶ際のポイントを解説していきます。
【理系職種紹介】職種について学んでおくべき理由
理系生は就活を始めるより、ずっと早い段階で職種について学んでおくことが必要です。
なぜ職種について知っておくべきなのでしょうか。
それは1つとして、「就職後のミスマッチを防止する」こと、もう1つとして「自分が就活でやるべきことが決まる」からです。
大学で学んだことが活かせると思っていたのに実際には違った、というミスマッチは防がなくてはなりません。
一方、やりたい職種が明確になることで、大学で学んでおくべきことや就活でやるべきことが明確になるからです。
就職後のミスマッチを防止する
職種について学んでおくべき理由は、就職後のミスマッチを防止するためです。
就職後に自分がイメージしていた仕事と違うと、モチベーションの低下につながってしまい、場合によってはすぐに離職につながってしまうおそれもあります。
就きたいと思った職種と、実際にやりたい仕事が正しく結びついていないこともあるので注意が必要です。
たとえば、システム設計をしたいのに、プログラマー職に就いてしまうと、システムエンジニアが設計した仕様書をただプログラミングするだけの仕事になってしまい、モチベーションが下がるおそれがあります。
やりたい仕事に就くためにも、どのような職種があり、どんな仕事をするのか、しっかり理解しておかなくてはなりません。
自分が就活でやるべきことが決まる
職種について学んでおくべき理由のもう1つは、自分が就活でやるべきことが決まるからです。
志望する職種が決まれば、これから就活するうえでの自分の行動が決まっていき、方向性が定まるので、就活にかける無駄な時間を減らして、内定を得るための準備や対策に取り組む時間を増やせます。
たとえば、システムエンジニアになると決めたら、情報処理技術者試験などを受けて資格を取得しておいたほうがいいかなとか、IT企業でインターンをしようなどと就活に向けての具体的な対策が採れます。
志望企業の絞り込みもしやすくなり、自分が本当にやりたい仕事ができる企業を見つけ出し、就職後のミスマッチ回避にも役立つのです。
【理系職種紹介】理系が進む主な職種紹介
理系生が進む主な職種をご紹介していきます。
理系生にも人気があり、代表的な職種には「研究・開発」、「設計」、「生産技術・品質管理」、「技術営業」、「システムエンジニア・プログラマー」、「MR」、「施工管理・設備工事」があります。
それぞれ、どのような仕事を行う職種なのか、どんな学部が向いているか、どんな学部からその職種に就く人が多いのかをご案内しますので、職種検討の参考にしてください。
研究・開発
研究・開発は企業が生き残りや他社との競争をすることや新たな商品やサービスを生み出すために新たな技術の開発、成分や素材の研究や開発などを行う職種です。
課題を実験・実証していき、世の中に新たな製品を生み出していく仕事で、さまざまな業界で研究・開発が行われています。
医薬やITや機械、化学や鉄鋼などの分野から化粧品や食品、健康食品、バイオ、繊維など幅広く、新しい成分や素材を開発して新商品開発や既存製品の改良に役立てる仕事です。
研究開発に進む学部紹介
研究・開発に進む学部としてや薬学部や工学部や理学部など理系の幅広い学部が該当します。
もっとも、研究・開発の仕事は専門知識や技術を持ち、精密な実験機器などを巧みに扱ってデータを検証するなど、能力の高い学生が求められます。
内定を得るには、大学での研究実績や実験などの豊富な経験を積んでくことがポイントです。
設計
設計の仕事は製品を製造する機械の設計やメンテナンスなどを行う仕事、建物や施設、橋梁などの構造物など建築設計などの職種があります。
モノづくりの基礎を担う職種であり、やりがいがあり、自分が設計したものが製品化された場合やレガシーとして長く残される建物や構造物になれば、達成感も高いです。
一方で、責任も重大であり、設計ミスをすれば、企業に損失が生じるのをはじめ、製品や建造物によっては人命にも関わることがある使命感の高い仕事です。
設計に進む学部紹介
設計に進む学部は機械や自動車などの場合は、工学部で機械や自動車工学、電気電子などを学んだ学部生が多いです。
建築設計の場合は建築学部や工学部建築学科の出身者がメインになります。
建築の場合は建築士の資格も必要になるため、実務経験がなくても取得できる2級建築士の資格を在学中に取得すべく頑張る学生も少なくありません。
生産技術・品質管理
生産技術・品質管理の職種は製品の生産における安全性や効率性について考える仕事です。
実際の生産に関わる現場の工員とは異なり、生産設備や工程を確認して、より事故やトラブルなく、効率的に作業ができる流れや設備へと見直しを図ることや高品質な製品を安定供給できるように、現場を分析しながら改善を図っていく仕事となっています。
自動車や機械などの大型製品から、食品や化粧品、医薬品など幅広い製品の製造メーカーなどで求められる職種です。
生産技術・品質管理に進む学部紹介
生産技術・品質管理の職種には機械や電気といった工学系の学生が歓迎される傾向がありますが、研究開発職や設計・開発エンジニアほどの専門知識は問われません。
倫理観や責任感が高く、正確性を追求し、細かな配慮ができる人が向いています。
製造をストップさせることや不良品の回収や製造物責任を負う事態を避けるべく、使命感を持って仕事が遂行できる人向きです。
技術営業
技術営業の職種は、機械やシステムなどの販売にあたり、主に法人客からニーズのヒアリング、解決したい問題や課題についてコンサルティングを行い、自社の製品で問題が解決できることなどを提案して、販売につなげていく仕事です。
単なる販売職ではなく、専門知識があることで、企業の問題解決などに役立ち、信頼関係を築いて契約を取っていきます。
製品導入後も継続的にアフターフォローをするなど、サポートすることで、別の機会にも製品を購入してもらえるなどできます。
技術営業に進む学部紹介
技術営業は製品に関する知識や技術について習得ができれば良く、理系の中の特定の学部を問う企業はほとんどありません。
製品について詳しく、コンサルティングができるレベルの知識は必要ですが、それよりも重視されるのはコミュニケーション力や提案力、販売につなげる交渉力などです。
人と話すのは苦手、プレゼンができないといった方には向いていません。
システムエンジニア・プログラマー
システムエンジニア・プログラマーは、ソフトウェアやアプリケーション、システムの設計・開発を行う職種です。
システムエンジニアは顧客からヒアリングを行い、解決したい課題やニーズを聞き出し、コンサルティングを行い、どのようなシステムを開発するか提案や交渉を行います。
そのうえでシステムエンジニアが設計を行い、作成した仕様書に沿ってプログラマーがシステムを構築していきます。
検証を行い、システムの稼働させた後、保守、点検などもサポートしていく場合も少なくありません。
システムエンジニア・プログラマーに進む学部紹介
システムエンジニア・プログラマーに進む学部としては、情報系を学んだ理系生が多いものの、プログラミングに関する知識があれば、他学部生でも就職は可能です。
多様なプログラミング言語があり、情報系の理系生でもすべてをマスターしている人はほとんどいません。
そのため、独学や趣味の延長でスキルを身につけても、技能が高ければ採用されます。
MR
MRは医薬品を安全、効果的に使って治療ができるよう、病院やクリニックの医師に直接、さまざまな情報提供を行い、自社の医薬品を扱ってもらえるよう販売促進する医薬品メーカーの営業職的な存在です。
忙しい医師の業務の合間を縫って話を聞いてもらうため、1日のスケジュールも独特です。
病院やクリニックを回って、診療前や午前中の診療を終えた後などのタイミングを見計らって情報提供を行いますが、常に他社のMRも待機しているなど、独特な環境があります。
MRに進む学部紹介
MRに進むのは理系生では薬学部生が多く、在学中に薬剤師資格を取得したうえで、MRとして活躍する方も少なくありません。
もっとも、医薬品の情報提供をするからといって、薬剤師資格は必須ではありません。
実際にも、文系生にも人気がある職種の一つです。
医薬品や医療技術の進化などについて情報を収集し、医師とのコンタクトをしっかり取れる人に向いています。
施工管理・設備工事
施工管理・設備工事の職種は建物の電気設備やセキュリティなどの設備の設置における現場監督、保守点検や修理や新設工事などを担う職種です。
大規模ビルや工場、大型商業施設を中心に、マンションなどの集合住宅の設備管理を担う企業もあります。
建物には法律上の定期的な法定点検が要求されるほか、管理が行き届いていない場合や保守点検で異常を発見できなければ、大きな事故などのトラブルにつながりかねません。
高い専門性を持ち、使命感を持って仕事をすることが求められます。
施工管理・設備工事に進む学部紹介
施工管理・設備工事に進む学生は建築系、土木関係を学んでいた学生をはじめ、機械設備の場合には工学部の学生も就職しています。
人々の安全や防災、防犯にも関わる仕事になりますので、専門知識が高く、リスクを予想して未然に防止できる管理能力や責任感も要求される仕事です。
設備や機械などが好きで、常に正常に動くよう使命感を持って管理できる人に向いています。
【理系職種紹介】職種の選び方
理系生が進む代表的な職種の種類と特徴、どの学部からの就職が多いのかを見てきました。
理系向けの主な職種がわかったところで、実際に自分はどの職種を選べば良いのでしょうか。
やりたいことや就きたい職種が具体的になっていない方は、まずは、自分が興味を持っていることを中心に直感で選んでみましょう。
その後、なぜその職種に興味を持ったのかを深掘りしていきます。
深堀りしたうえで、自分に合った職種かを見極める必要があります。
そのためには、「まずは自己分析から始める」、「インターンに参加してみる」、「OB訪問をする」ことがおすすめです。
それぞれの方法について具体的に確認しながら、職種の選び方をマスターしましょう。
まずは自己分析から始めよう
就活始めの第一歩は自己分析をすることです。
自己分析とは、自分の能力や技術の棚卸をはじめ、自分がこれまで歩んできた道を振り返り、どのようなことに興味を抱き、どのようなことに集中的に取り組めたかを検討していくものです。
自分と向き合うことで、自分が本当に興味が持てるもの、好きなものや、やりたいことが見えてきます。
就職後のミスマッチを防ぐためにも、自己分析をしっかり行って、自分がやりたいことは何かを見極めることが重要です。
自己分析について詳しくは、"こちらの記事(https://digmee.jp/article/309494)"をご参照ください。
インターンに参加する
職種選びに悩んでいる方は、短期インターンに参加して、実際に仕事を体験してみて、自分が興味を持てる職種を探すことや自分がやりたいと思った職種が本当に自分に合っているか考えてみるのもおすすめです。
この職種だと決めている方は、長期インターンとして企業で実際に働き、就職前に現場の知識や技術を高めておく方法もあります。
インターンの経験は就活においてガクチカとしてアピールできる場合や業界や職種、企業を選んだことの具体的な理由や志望動機をアピールするにも役立ちます。
インターンをうまく活用して職種選びの判断材料にすることや就活に有利に働くようにしましょう。
OB訪問をする
OB訪問を通じて、自分のやってみたいことや職種がある企業を実際に訪問することやOBやOGから実際に話を聞くことも、職種を選ぶうえで役立ちます。
自分が思い描いているイメージと、実際の現場は異なることも多く、自分がやりたいことと職種で行う業務に差があることも少なくありません。
この職種に就けば、自分の能力やスキルが活かせると思っていたのが、別の分野や別の業務であるなど、誤解や認識のズレが生じているケースもあります。
OB訪問により、実際の仕事現場を見せてもらったり、「こんな仕事をしたい」と相談してアドバイスをもらったり、実際の体験談を教えてもらうことで、誤解が解けたり、本格的な就活までにやるべきことを明確にすることができます。
【理系職種紹介】まとめ
理系生が進む主な職種として「研究・開発」、「設計」、「生産技術・品質管理」、「技術営業」、「システムエンジニア・プログラマー」、「MR」、「施工管理・設備工事」があります。
就職後のミスマッチを防止し、自分が就活でやるべきことを定めるためにも、早い段階で理系が進む主な職種を知っておくことが大切です。
そのうえで、自分に合う職種や、やりたい職種はなんなのか、自己分析を通じて掘り下げ、インターンに参加することやOB訪問をすることを通じて、見極めていきましょう。