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【用語解説】はじめに
今やほとんどの高校生が大学受験を考える時代です。
しかし、皆が行っているからといって大学に進んだものの、この先どうするか悩んでいる人は多いでしょう。
ここでは、大学院や就職活動について調べ始めた人がまず疑問に思う、「学位」の違いについて解説していきます。
そもそも学位とはなんなのか、メリットやデメリットを正しく知ることで、自分の進みたい方向がわかってくるはずです。
すでに目標をもっているという人も、その思いを確信に変えることができるでしょう。
【用語解説】学士・修士・博士って何?
日本の高等教育課程を修了すると、学位を得られます。
学位とは、教育上の功績に基づいて授与される称号のことです。
その歴史は古く、平安時代に大学寮の文章生に授けた称号が始まりといわれています。
今のような制度になったのは明治時代で、当時は「学制」と呼ばれていました。
また、学位を授与した第一号の教育機関は、「少年よ大志を抱け」との言葉で有名なクラークが開校した札幌農学校、現在の北海道大学です。
大学を卒業することで得られる学位としては、「学士」「修士」「博士」などがあります。
学士とは?
学士とは、大学を卒業した人に与えられる学位のことです。
卒業のために必要な単位を履修し、卒業論文や試験に合格する必要があります。
そう聞くとなんだか難しいもののように感じますが、真面目に大学へ通っていれば、大学卒業と同時に得られるものです。
学位のなかでは、比較的取得が容易なものであるといえるでしょう。
大学進学率が相当に低かった戦前から明治時代においては、学士というのは大変権威性のあるものでした。
しかし、高学歴化が進んだ今日では、決して珍しいものでありません。
また、複数学士号という制度が徐々に浸透してきています。
これは単位を履修するなどの条件をクリアすることで、所属大学が提携しているほかの大学からも学士を取得できるものです。
修士とは?
修士は、大学院の修士課程を修了した者に授けると日本の学校教育法にて定められています。
この修士課程は2年間あります。
当然学士よりも長く勉学に励まないと取得できません。
さらなる上位である博士号を得るための基礎的な要件の1つでもあります。
また、製薬や理工系の分野での需要がとても高く、国際公務員の資格へ応募するには最低限修士号を求められる場合もあります。
多くの人が大学に進学している状況から察するに、今後はこの修士号を取得する人口も次第に増えていくでしょう。
これにより日本の知的レベルがますます上昇すると考えられ、経済の発展にも期待ができます。
教育水準に比例して幸福度は高まるといわれています。
それに対して犯罪率は下がるという傾向がありますので、大変喜ばしいことであると考えて間違いありません。
博士とは
博士は、学位のなかでも最高の称号です。
これを得るためには、修士課程卒業に加えて、6年にも及ぶ時間をかけなくてはなりません。
日本だけではなくほかの多くの国でも、この博士を最高学位としているところがほとんどです。
ちなみに「はかせ」ではなく、「はくし」と読みます。
英語圏では「ドクター」ですが、これは医師と違うものです。
90年ごろまでは医学博士・政治学博士というように、博士の前に専門分野を表記していましたが、それ以降は博士のあとに括弧書きで記載するようになりました。
何年も勉強や研究に勤しむ必要があるにもかかわらず、日本での就職という面において評価は難しいのが実情です。
その豊かな知識が活かせる職場をさらに増やすことが、これからの課題ともいえるでしょう。
【用語解説】修士に進むメリットは?
大学院に進学して修士取得を目指すメリットとしては、より専門的な職業に就けるということが第一です。
特に理系では、技術職や研究職で修士以上の学位を必要とされる場面が多いことから、進学は必要不可欠といってよいでしょう。
それ以外は、好きな研究に費やす時間を増やせるという利点があります。
就職際の選択肢が増える
大学に進むのが普通になってきた昨今、誰でも持っている学士では勝負が難しくなっています。
大学院で修士号を取得すれば、学士と差をつけられ、就職する際の選択肢が増えるでしょう。
その専門性を買われ、自分の好きな分野での就職を目指すことができるのはもちろん、論理的な思考能力が評価されやすく就職の難易度は下がります。
特に理系の大企業に応募したい場合、修士は最低でも必要な称号といえます。
また、文系であれば経営学修士を取得することで、コンサルティング会社など高度な知識を要する企業への就職がかなうでしょう。
研究に没頭できる
修士課程では学士より2年間多く勉学に励む必要があると紹介しました。
これは言い換えると、時間をかけて好きな分野の知識をさらなる深められるということになります。
自分がやりたい研究に没頭して多くの時間を費やしたとしても、誰かに怒られることはありませんし、むしろ讃えられるべきことです。
社会に出てから何かを学びたいと思っても、その環境がないという場面もあります。
そう考えると、知識を授けてくれる教授や必要な道具などがそろった大学院という環境は、最高の研究場所であるといえます。
ある分野の深い知識を得ることができる
大学の学部でもある程度の専門性はあります。
ただ修士課程に比べれば、やや広く浅くといった印象です。
大学院では2年間も研究に費やすことができます。
当然そこで得られる知識は質も量も、大学とは比べ物になりません。
ちまたにあふれている学士とは、圧倒的な知識の差があるといっても過言ではないでしょう。
また、好きなことに熱意をもって取り組むという点から考えても、ただなんとなく通っているだけの人とは知識の吸収量は大きく異なります。
【用語解説】修士に進むデメリットは?
修士に進むデメリットとしては、やはり2年間という決して短くない時間を費やす都合上、どうしてもお金がかかるということがあります。
また、学士に比べると社会に出る時期が遅れます。
就職した企業に同じ年齢の人がいても、社会経験に差がついてしまっているといえるでしょう。
お金がかかる
4年制大学でも、およそ500万から1200万円程度かかるといわれています。
それが修士課程のため、さらなる2年間大学院に通うとなると、安くはない費用が発生するのは当然です。
具体的には、国立で100万、私立であれば200万円ほど必要になります。
親はまだまだ働いている世代であるとは考えられますが、共働きでも余裕がないという家庭が多い現代で、この学費はとても大きな痛手です。
学生本人がアルバイトをすることもありますが、それでは肝心の勉学が十分でなくなる可能性もあり、本末転倒といえます。
社会に出る時期が遅れる
より長い期間を学生として過ごすということは、社会人になるのが遅れると言い換えることもできるでしょう。
実際の経験は、ときに知識よりも物を言う場合があります。
知識を詰め込んで頭でっかちになってしまい、「あいつは応用がきかない」と陰口を叩かれる人すらいるようです。
また、同じ年齢であっても、先にその企業に入社した人が先輩です。
上下関係を気にするような性格ならば、自分でも知らないあいだに気まずい雰囲気を作り出してしまうかもしれません。
【用語解説】学士・博士のメリットとデメリットを紹介!
では、修士から見て下位レベルの学士と、上位レベルである博士には、それぞれどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
学士のメリットは、大卒ということで高卒よりも賃金が高い企業に就職できる可能性が高まることです。
もはや大学に進むことはまったく珍しくない時代なのです。
逆にデメリットは、特筆できる武器とはならない点と考えるべきでしょう。
詳しくは「学士」の記事をご覧ください。
博士のメリットとしては、意外にも必修科目が少ないために、より一層研究に時間を割ける点があります。
逆にデメリットには、日本で就職を考えている場合には、なかなかその場所もないことがあげられます。
詳しくは「博士」の記事をご覧ください。
【用語解説】それぞれの学位を卒業後の就職に与える影響は?
学士・修士・博士という3つの学位は、何を取得するのかによって卒業後の就職への影響が変わってきます。
それぞれに向いている分野というものが存在します。
理系なのか文系なのかで取るべき学位が異なる点において注意が必要です。
理系と文系で選択すべき学位が変わる!
理系の学生であれば、修士や博士への進学をおすすめします。
なぜなら、理系の知識を必要としている企業では、より高い専門性を求めて修士・博士取得を条件としているところが多いからです。
学士とは一味も二味も違う深い知識を活かして、技術職や研究職に就くことができるでしょう。
そうすれば、社会人になってからも自分の好きな分野で活躍でき、仕事を楽しむことが容易になります。
もし、文系の学生でやりたい仕事というのが特にないのであれば、就職して社会人としての経験を積むほうがよいでしょう。
目標もないのに、ただ大学院に進むだけでは意味がありません。
そこにお金と時間をかけるよりも、実際に働いて経験を積めば、また新しい視点で物事を見ることもできます。
学士卒業後は?
大学を卒業して学士の称号を得たあとは、やはり理系か文系かによって選択する進路が異なっています。
理系はそのまま修士課程に進む人が多いです。
大学院で研究をしたい、将来は専門的な仕事をしたいという人にとっては、修士号の取得は必須といえます。
理系の学生の就職先は、民間の製薬業であったり情報通信業であったりとさまざまではありますが、比較的大きな企業が多いです。
文系は進学せずに就職する人が大半です。
大卒という称号を得ることで、高卒・専門学校卒に比べると少し高い初任給が手に入ります。
また、なかには経営学修士取得を目指して修士課程に進む人もいます。
そういった場合は、コンサルティングなどの専門知識を要する企業への就職を希望していることがほとんどです。
修士卒業後は?
2年間の課程を経て、修士の学位を取得したあとは、いよいよ就職をする人が多いです。
修士を応募の条件としているのは、ほとんどが大企業なので、学士よりも高い賃金を望めるでしょう。
それに博士まで進むと、日本での就職を考えた際に、なかなか見合ったものがないという現状があります。
よほど続けたい研究がある場合や、海外での就職を視野に入れている場合を除いて、修士取得者は大半がここで就職を選択するのです。
学士よりも専門的な知識をもっていることで、それを活かして就職活動を有利にできると考えられます。
職場に同じ年齢の先輩がいても、近い将来にはその人のポジションを抜かすことだってあるかもしれません。
自ら大学院に進んで勉強をしたという点で、よい印象をもたれる場面も多いです。
博士卒業後は?
割合としては低いかもしれませんが、なかには博士課程に進む人もいるでしょう。
博士でないとなれない職業は確実に存在しているからです。
大学教員や公的機関の研究員などが該当しますます。
ただ、今の日本企業からは積極的に採用されていないのが実情です。
研究職は賃金もそう高く設定されていないこともあります。
好きな研究でなければ続かないでしょう。
博士として誰にも負けない知識を活かし、活躍の場を広げたいというような大きな目標がある人は、海外に目を向けるの1つの手といえます。
学位のなかでも、博士号は世界に通じる高いレベルの称号です。
また、日本における教育の質は高いので、海を渡っても決して引けを取るものではありません。
【用語解説】まとめ
進学するか就職するか迷った際に判断基準とすることが多い「学位」のなかでも、特に「修士」について重点的な解説をしました。
自分が勉強したいものは何か、なりたいものは何かという点をしっかり見つめ直すことで、目指すべき道がわかるはずです。
決してやってはいけないことは、就職先がないから進学してみる、ということです。
どの道に進むとしても、明確な目標をもって、できるだけ時間とお金を無駄にしないよう、慎重に考えていきましょう。