HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
この記事を読まれている方は、学部卒業後の進路について悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
就職か進学かの選択は、今後の道を左右する重大な決断です。
とくに理系の学生は、自分の研究テーマを追究するか企業に就職して社会人経験を積むのかは、大きな悩みどころだと思います。
今回は選択肢のひとつとして、国立理系大学院をピックアップして解説します。
大学院の選び方やメリット・デメリットについて詳しく記述していくので、ぜひ参考にしてみてください。
【理系の国立大学院】大学院では何をしている?
国立理系の大学院ではどのようなことをしているのでしょうか。
大学と大学院の明確な違いがわからなくても、今の大学生活の延長だと想像できるかもしれません。
よりイメージを明確にすることで、進路選びがスムーズになります。
理系大学院での生活をイメージできるように、以下の3つをポイントに解説していきます。
「研究」「授業を受ける」「研究室の雑務」の3つです。
以上を理解すると、より大学院での生活を想像しやすいでしょう。
研究
まず初めに「研究」です。
こちらについては、今の大学生活からイメージしやすいのではないでしょうか。
大学で学んだことを追及し、自分の研究テーマをさらに深く突き詰めます。
大学院では修士課程・博士課程を修了するとそれぞれ「修士」と「博士」の学位が与えられます。
そのためには論文を発表し、審査に合格することが卒業条件です。
大学院での研究はさらに難易度が増し、研究にかける時間も増えます。
忙しい生活をイメージする方も多いと思いますが、当然時間に追われる生活を送ることになるようです。
研究活動が大学生活の中心になるので、大学院では自分の自主性がより大切になります。
しかし、学びたいことを学べる環境や成果がでたときの喜びは、かけがえのない経験になります。
授業を受ける
大学院では研究活動が中心になると述べましたが、授業がまったくないわけではありません。
卒業要件として必要な単位数が定められており、取得できないと卒業できなくなってしまいます。
必要単位数は学部生より少ないですが、授業の内容はより専門的な内容になり難しくなります。
卒業に関わる単位なので、落としてしまわないように、スケジュール管理は自分でしっかりと管理しましょう。
また、必要単位は、なるべく早めに取得しておくことをおすすめします。
大学院では研究活動が大半になってくるため、研究の時間を確保できるような履修計画を立てましょう。
授業と研究活動のバランスを考えて、2年間で無理のないスケジュールを組むことが望ましいです。
研究室の雑務
大学院では研究室に所属すると、所属している学生として雑務を行います。
教授の研究の助手、備品の注文、授業の手伝いなど、内容はさまざまです。
研究室によって異なりますが、基本的にはこのような内容の雑務を行うことが多いようです。
授業の手伝いは「ティーチングアシスタント」と呼ばれ、主に学部生の授業の手伝いを行います。
大学院生の間では、認知度が高い学内でのアルバイトです。
座学の講義ではなく、実験や演習など学生が主体となって行う授業が円滑に進められるようにサポートをする仕事です。
実験に慣れていない学部生には、説明やお手本を行う必要があります。
自分の理解を深めることにもつながるので、やりがいを感じられる仕事だといえるでしょう。
【理系の国立大学院】理系の大学院進学率
文部科学省が発表している『令和2年度学校基本調査』で、大学院への進学率を知ることができます。
大学院進学率は、全体で11.3%です。
学科別に見ると、平成30年度は理学が42.3%、工学が36.3%、農学が24.1%です。
大学院への進学率は全体を見ると低いですが、その中でも理系学部の進学率は高いという結果がでています。
その中でも、国立の理系大学では約70%の学生が大学院へ進学しているという結果です。
進学率の高さからもわかるように、国立理系の大学院への進学率はとても高いです。
大学院では自分の研究をさらに突き詰めることができるため、ほとんどの学生が進学します。
得られる知識や身につく技術力が、学部より多いと感じている学生が多数いることを数値が示しています。
【理系の国立大学院】理系大学院に進むメリット
理系大学院に進むことで、どのようなメリットがあるのでしょうか。
学部卒でも就職は可能なのに、理系では大学院に進む人が多いことに疑問を感じている人もいるでしょう。
進学率が高いということは、それなりの理由があるからだと考えられます。
ここではメリットとして「専門性が身に付く」「初任給が高い」の2つをポイントに説明していきます。
進路選びに迷っている人にとっては気になる内容だと思うので、参考にしてみてください。
専門性が身に付く
理系大学院に進む最大のメリットとして挙げられるのが「専門性が身に付く」ことでしょう。
授業の内容も専門性が高くなり、大学で学んだ学問をさらに追究することができます。
自分の研究テーマを追究することは、理系の学生にとって憧れです。
2年間という時間を使って、自分の研究を追究できるのはとても貴重な経験です。
また、専門性を身に付けることで、就職先の幅も広がります。
研究職は募集要項で修士・博士卒を条件としていることがほとんどなので、研究職という狭き門を突破できる可能性が大いにあります。
自分の研究内容を面接時に話すこともできるので、就職活動を有利に進めることもできます。
知識も技術力も身に付いているので、就職後も社会人として即戦力となり活躍できるでしょう。
初任給が高い
厚生労働省が公表した『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、男女計で学部卒の初任給は約22.6万円、大学院修了者は約25.5万円でした。
初任給では数万円の差でも、生涯賃金では約4000万円の違いになるというデータもあります。
企業によって修了課程ごとに初任給を定めており、ほとんどの場合修士や博士課程を卒業した方が初任給が高い傾向にあります。
学部卒に対する企業の評価基準は、即戦力としてではなく将来性です。
それに対して大学院卒は、すでに充分な技術力や知識を持っていると判断し、即戦力として採用します。
初任給に差がでるのは、入社後の企業への貢献度の違いということになります。
ただし、業種や職種によってはそれほど大差ないこともあるので注意が必要です。
【理系の国立大学院】理系大学院に進むデメリット
次に、デメリットについて詳しく説明していきます。
上記でのメリットを考えれば、大学院への進学が人生に良い影響を与えることは明確です。
自分の研究に没頭できて、初任給も多いとなれば、大学院への進学は魅力的に感じると思います。
しかし、メリットがあれば当然デメリットもあります。
ここでは「学費がかかる」「就職が遅くなる」の2つをポイントに説明していきます。
どちらもよく理解し、後悔のない選択ができるようにしましょう。
学費がかかる
在学期間が2年間延びるので、当然その分学費がかかります。
国立大学院の授業料は年間54万で、入学料が28万です。
2年間の合計は、136万円になります。
理系は学費が高いイメージですが、国立の大学院は学部との差もほぼないようです。
私立大学の場合は学部によって異なりますが、修士課程を修了するまでに最低150~200万かかります。
私立大学に比べると低額ですが、学費としてまとまった金額が必要になります。
また、大学生生活を継続させるために生活費や教材費も必要になるので注意しましょう。
大学院に進むことで必要になる金額の全体像を把握しておくと、進学後の生活が想像しやすいです。
自分の将来のイメージを明確化し、早い段階から保護者と情報を共有しておくとよいでしょう。
就職が遅くなる
当たり前ですが、大学院に進学すると、学部卒より就職が遅れてしまいます。
修士課程は2年、博士課程は3年遅れます。
社会人としての2〜3年間はとても重要な期間で、経験に大きな差が出てしまうのも事実です。
コミュニケーション方法や仕事のスキルなど経験でしか得られないものがあり、どうしても隔たりが生じます。
大学院に進むことでしか得られない能力があるように、社会人にならないと得られない能力もあります。
2年間の差をカバーできるよう、有意義な大学院生活を送ることを意識しましょう。
大学院では、研究活動に向き合うことで、問題解決能力や自己管理能力を得られます。
それらの能力がどう企業での業務につながるのかを認識しているだけで、社会人になってから経験の差を縮めやすくなるはずです。
【理系の国立大学院】理系大学院を選ぶ基準
ここまで理系大学院での活動や、メリット・デメリットについて説明してきました。
明確ではなくても、自分が進みたい道がわかってきた方もいると思います。
しかし、まだ判断する基準がわからないという方もいるでしょう。
ここからは、具体的に理系大学院を選ぶ基準について解説していきます。
ここまでの説明内容を踏まえた上で、自分の考えを再確認してみてください。
「研究内容」「指導教員」の2つをポイントに説明するので、大学院選びの参考にしてみてください。
研究内容
研究内容は、とても重要な判断基準です。
大学院での研究活動の重要性は、上記でも説明してきました。
大学ごとによりますが、それぞれカリキュラムや学科ごとの特色や強みがあります。
研究内容は大きく異なり、履修できる科目も大学院ごとに違いもあります。
大学院を選ぶ際には「自分が興味のある研究ができるか」「どんな科目が設置されているのか」を確認するとよいでしょう。
自分の研究に没頭できるような大学院、研究室を選ぶことが重要となります。
2年間の生活の軸となる研究活動なので、後悔しないよう納得できるまで検討することをおすすめします。
内容はもちろんですが、博士課程への進学や就職先など、その後の進路についても考えておくことが必要です。
ホームページやパンフレットを活用し、自分の進みたい道と照らし合わせながら判断しましょう。
指導教員
指導教員とは、学生に対して直接的な指導を行う教員のことです。
直接的な指導とは、研究活動や卒業論文など、研究全般に関わる指導を指します。
学生と密に関わることで、個人の能力を伸ばす助言をしてくれる重要な存在です。
研究活動を充実させ、自分が納得できる卒業論文を作成するためには、必要不可欠な存在といっても過言ではありません。
その指導教員を見極める基準として、すでに指導している学生の研究テーマや著書や論文、研究分野における教員の立ち位置などがあります。
コンスタントに学術論文を発表し、研究成果を出している教員は学生の研究活動にも情熱的に応えてくれるでしょう。
もちろん相性もあるので、真摯に向き合ってくれる教員に出会えることが、大学院生活を充実させる鍵となります。
【理系の国立大学院】国立大学院一覧
国立理系大学院の特徴について、理解できたのではないでしょうか。
ここでは、国立大学院一覧を確認できるページを用意したのでご紹介します。
そのまま大学のホームページがリンクされていますので、自分の興味のある分野を探してみてください。
国立大学といっても、その特徴はさまざまです。
理系の国立大学は、東京工業大学、東京大学、東北大学などがあります。
国立大学とは国によって全国に設置された教育機関なので、必ず自身の住む都道府県に存在しています。
立地条件も通学のための大切な条件になるので、それらも加味してみてください。
国立大学院それぞれの特色や強みがわかり、より進路が明確になることでしょう。
進路選びのために、ぜひ参考にしてみてください。
→https://www.gakkou.net/daigaku/gradslist/src/?srcmode=s&s=1
おわりに
国立理系大学院について詳しく説明してきましたが、いかがだったでしょうか。
大学院選びは今後の人生にも深く関わってくる重大な決断です。
後々後悔してしまわないように、よりたくさんの情報を得て、自分に合った大学院を選びましょう。
また、自分の研究分野がどのように社会貢献できるのかというところまで考えておくことも重要です。
こうして選んだ大学院で得た経験は、何ものにも変えがたい人生の貴重な経験として残り続けることでしょう。