はじめに
IT業界への就職を検討中の方の多くは、システム開発業務を志望しているのではないでしょうか。
システム開発が主な業務であるエンジニアはIT業界の代表とも言える職種であるため、多くの企業がエンジニアの人材を募集しています。
今回は、システム開発の仕事に興味を持っている方や、エンジニアを目指している方に向けて、就活で大事な志望動機の作り方について解説します。
【システム開発の志望動機】志望動機の書き方
システム開発のエンジニア職に応募する場合、志望動機は肝心です。
事前のエントリーシートはもちろん、面接時でも伝える必要があるため、あらかじめ志望動機は明確にしていつでもアピールできるようにしておきましょう。
なぜ志望しているのか
まずは、なぜこの企業を志望したのか理由を説明します。
これは志望動機として企業側が特に聞きたい内容でもあるため、結論ファーストで回答しましょう。
志望の理由については、「他社と比べての強みや特色が魅力的である」「自分自身がこの企業に対して強い思い入れがある」など、自分なりに考えたものを挙げてみると良いでしょう。
IT企業は競合が多いため、「なぜこの企業を選んだのか」を明確に伝えることが重要で、ぼんやりとした主張では採用担当者に良い印象を与えられません。
その考えに至った理由を詳しく説明
その志望理由を抱くに至った経緯について、できるだけ詳しく説明します。
自分がシステム開発のエンジニアになりたいと感じた背景や業界研究の様子、そこから何を感じて今の決断に至ったのかを事細かに述べると良いでしょう。
企業側は、就活生側の情報をほとんど持っていないため、面接やエントリーシートの内容から本人のやる気や将来性を判断します。
自分の考えや思いを正確に伝えられる人物であるかどうかもここで見られるため、きちんと筋道を立てて説明しましょう。
入社後どう貢献するのか
入社後に自分が企業に対してどんな貢献ができるのかを伝えます。
企業が欲しがる人材は、企業の成長と発展に貢献してくれる方です。
「クライアントやプロジェクトメンバーからの信頼も厚いエンジニアになって御社に貢献します」など、自身がどういうエンジニアになって貢献したいかを端的に述べましょう。
このとき、「社長になりたい」などあまり現実味のないビジョンを述べるのは好ましくありません。
自分が入社後にどう活躍できるのかを、採用担当者にイメージさせるように工夫して伝えてみてください。
【システム開発の志望動機】IT業界の構造
面接において、「そもそもなぜIT業界を選んだのか」と問われる場合があります。
一口にIT業界といっても、仕事内容によってさらに細かく業界が分類されるため、構造を把握したうえで自身が進みたい業界を調べておきましょう。
ソフトウェア業界
システム開発やプログラムの設計・開発、テストや運用保守などを一貫して行う企業が属するのがソフトウェア業界です。
自社のサービスを持っている企業も多く、それを運用・パッケージ化して販売するなどのビジネスを行っている企業もあります。
生産管理系のシステムやセキュリティソフト、ゲームなどのアプリケーションを開発・提供している企業がこれに該当します。
パソコンやスマートフォンを快適に利用できているのは、画期的なソフトウェアが日々開発されているからであり、IT業界においてもソフトウェア業界は非常に重要な分野と言えるでしょう。
また、クラウド上のソフトウェアをユーザーに配信する企業のことをSaaS企業と言います。
近年目覚ましい活躍をしているため、この企業を志望する方も少なくありません。
ハードウェア業界
パソコンやスマートフォン上のシステムとして動作するソフトウェアに対して、物理的な製品そのものはハードウェアと呼ばれています。
このハードウェアを開発・販売する企業はハードウェア業界に区分されます。
最近では、車や家電製品にAIの導入やIoT化が進んでいますが、これらの仕組みを製品に組み込むことが主な仕事です。
私たちが日常的に利用している製品の利便性を高めるためのシステム開発をはじめ、これまでITとは関連性の薄かった農業などの分野にもITを導入して効率化を図るなど、ハードウェア業界は多方面へと進出しています。
ソフトウェア業界と同様、IT業界の基盤とも言える重要な業界であるため、人材の需要も高く今後の成長に期待がされています。
通信業界
通信技術を活用して情報やデータの転送、通信サービスの提供などを行う企業は通信業界に入ります。
今や私たちの生活に当たり前となったスマートフォンが快適にインターネットにつなげられるのも、電話回線やWiFi設備を通信業界のエンジニアが日々設計・メンテナンスしているおかげです。
通信業界の技術は市場に合わせて向上しています。
しかし、インターネット利用におけるネットワークの高速化や、安全性の向上という点が課題となってきています。
なお、最近は低価格競争が進んでおり、国内市場は成熟していると言わざるを得ません。
そのため、国内から海外に進出する企業も多く、場合によっては英語や中国語のスキルが求められることも少なくありません。
SI業界
SIは「システムインテグレーション」の略で、システムの設計・開発・保守運用に至るまでのすべての業務を一貫して請け負うサービスのことを指します。
SI業界に属する企業は、クライアントの業務内容や悩みを把握したうえで、業務効率化や課題解決に向けてシステム設計から運用までを実施します。
IT業界においては、SI業界はSIerと呼ばれることもあり、比較的古くから存在していました。
クライアントが持つさまざまな要望に応えるために、SI業界の企業に属するエンジニアは、豊富な知識と高いスキルを持ち合わせているほど優遇されるようになっています。
また、近年はIoTなど新しい技術に対応できるエンジニアの需要がさらに高まってきています。
Web業界
インターネット上で使用する技術またはツールの開発、新たなサービスの提供などを行っている企業が属しているのがWeb業界です。
具体的には、Webサイト制作やWebアプリケーションの開発・運用保守、またSNSの開発や運用など、Web上のあらゆる業務に携わります。
エンジニアのほかにも、Webデザイナーやマーケターといったさまざまな職種の人たちと協力してサービスを作ることになります。
Web業界の需要は、スマートフォンが普及して人々がインターネットに触れる機会が増えたことによって一気に高まりました。
インターネットに直結する業務である以上、新しい技術やトレンドには特に敏感でなくてはならないため、最先端の技術や知識を柔軟に取り入れて活躍できるエンジニアが求められています。
【システム開発の志望動機】エンジニアのキャリア
エンジニアとして就職する場合は、入社後のキャリアについてもあらかじめ考えておかなければなりません。
自分が会社でどうキャリアアップしていきたいか、キャリアプランニングのためにも、まずはエンジニアのキャリアについてひと通り知っておきましょう。
テスター
システムの品質や安全性を保証するために、システム機能が正しく動作するかどうかをテストするのがテスターです。
決められたスケジュールをもとにテスト計画書を作成して、システムの各機能や、処理の順序に則った動作テストなどを実施します。
システムの信頼性を高める品質管理という観点で見ると、このテスト作業は非常に大切であり、このテストの段階でいかにバグを潰せるかどうかがシステムリリース後の評判にも大きく関係してきます。
プログラマー
システムが動作する基盤となるプログラムを作るのがプログラマーの役割です。
プログラマーは、システム開発において欠かせない存在です。
Java・Pythonなど、作るシステムに応じてプログラミング言語も使い分ける必要があるため、プログラミングに関するあらゆる知識を有する必要があります。
また、プログラマーを募集している企業は多く、転職はもちろん、フリーランスとしても活躍しやすい職種です。
興味がある方は、まずは自分が好きな言語から学んでみると良いでしょう。
システムエンジニア
システムを作るためのプログラムを書くのはプログラマーですが、システム自体の設計を行うのはSE(システムエンジニア)の役目です。
企業やプロジェクトによってはプログラマーを兼任する場合もありますが、クライアントと話し合って要望を聞き出し、期待通りの動きをするシステムを設計するのが主な業務になります。
システム開発に関するあらゆる知識はもちろん、クライアントやプロジェクトメンバーと良好なコミュニケーションが取れるスキルも持ち合わせておく必要がある職種です。
PM/PL
プロジェクト全体の取りまとめやスケジュール計画の策定を行うのがPM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)の仕事です。
与えられた予算に基づいて納期や開発スケジュールを組み、必要な人材を集めて、滞りなくプロジェクトが進むように監視する、いわばプロジェクトの監督的役割を担います。
メンバーのモチベーションを維持するためにリーダーシップ能力も求められるため、プロジェクトの成功はPMやPLの手腕にかかっているとも言えます。
ITコンサルタント
企業が抱える課題について、ITの側面から解決策を提示するアドバイザー的役割を担うのが、ITコンサルタントです。
IT戦略の策定や、業務上の問題解決のために新たなシステムを導入するように提案を行うなど、企業利益となるアドバイスをITの専門家として実施します。
クライアントの業務プロセスに潜む課題や改善の余地がある点を分析しなければならないため、ITだけではなく、ビジネスやマーケティングなどの深い知識も必要になる職種です。
管理職
PMやPLはプロジェクトを管理・指揮する職種ですが、これに加えて組織全体の管理やマネジメントに携わる職種は管理職と呼ばれます。
技術的な観点から組織を管理するテクニカルマネージャーや、商品やサービスのマーケティング戦略を策定するマーケティングマネージャーなどはすべて管理職です。
管理職の人々の活躍があってこそ、開発されたシステムやサービスの品質がより担保され、より多くの人々に利用してもらえるようになります。
【システム開発の志望動機】SEに求められる能力
システム設計・開発業務を専門的に行うのがSEですが、どのような人がSEに向いているのでしょうか。
SEに求められる能力は、ITやシステムに関する知識だけではありません。
以下の能力を持ち合わせているか、一度自分を見つめ直してみましょう。
論理的思考力
SEは、クライアントが望むシステムを設計するために論理的思考力が求められます。
どうすれば業務上の課題を解消できるのか、現状の問題として何があるのかなどを整理・分析、要因を特定したうえで順序立てて解決策を考えるといった作業が欠かせません。
そのため、クライアントへのヒアリング時や要件定義のフェーズでは、特に論理的思考力が求められるようになっており、こうした考え方を身につけることはSEとして非常に重要と言えます。
コミュニケーション能力
SEに限った話でもないですが、ただパソコンと睨めっこして仕事をするだけがエンジニアではありません。
一緒に働くプロジェクトメンバーと連携を取って仕事をするのはもちろん、なかにはクライアントと打ち合わせをするケースもあります。
このような場面で重要となるのが、コミュニケーション能力です。
相手の意見を聞き入れて、こちらの考えもわかりやすく明確に伝える、このやり取りがきちんとできれば仕事の効率は大きく上がります。
また、エンジニア職が技術職ということもあり、自分だけでは解決できない問題もたびたび発生します。
そうした場合に上司や同僚に気兼ねなく相談して解決につなげられるかも大切なので、コミュニケーション能力は高いに越したことはありません。
問題解決能力
システム設計時は、いかにクライアントが抱える問題を解決できるかを分析して考えなければなりません。
またコーディングを兼任するときは、どう実装すれば期待通りの機能を完成させられるか、問題解決に向けて思考を巡らせます。
システムを開発するうえでバグや不具合はつきものであるため、いかに問題を素早く、そして的確に解決できるのかは日々SEに求められる能力です。
問題解決能力を持つ人とそうでない人では、作業スピードや品質に大きく差が出てきます。
知的好奇心
IT業界は進化のスピードが目まぐるしく、日々新しい技術や革新的なビジネスが誕生しています。
世の中の人々に必要なエンジニアになるためには、こうした新しい知識やスキルを積極的に取り入れる姿勢が重要です。
「やらなきゃいけないことだから…」と仕方なく学習する人に比べて、興味を持って取り組める人の方が成長速度も速いとされています。
ITに関する新しい知識を取り入れる知的好奇心が備わっている人は、SEに向いていると言えるでしょう。
【システム開発の志望動機】志望動機を書くうえでの注意点
志望動機を書く際には、いったいどのような点に注意すべきなのでしょうか。
自身が思う理由をそのまま伝えれば良いとは言うものの、内容次第では企業側に疑問や不信感を抱かせてしまう場合があります。
以下の点に気をつけたうえで志望動機を作成しましょう。
待遇・給与
福利厚生が良い、給与が高いというのはたしかに魅力的な面ではありますが、たとえこれが本当であっても志望動機として書くのはあまり好ましくありません。
福利厚生や給与面については、少し探せば好条件のところはいくらでも出てくることが多いからです。
そのため、志望動機としては少し薄い印象を企業側に持たれてしまいます。
企業の特徴や強みを研究したうえで、そこに自分の志望理由を上手に絡めて志望動機を作ると良いでしょう。
抽象的
具体性がなく抽象的な志望動機も、信頼性や説得力に欠けるものとなるため注意しましょう。
企業側としては、自社を研究したうえで入社を検討してくれている人の方が成長性・将来性の高さを感じます。
抽象的な志望理由しか書けない場合は、「企業研究ができていない人」だと思われてしまっても仕方ありません。
志望理由がうまく書けている人と比べ、選考の通過率も下がってしまいます。
何が魅力に感じたのか、自分の気持ちを具体的に示しましょう。
【システム開発の志望動機】例文
システム開発職に応募する場合の志望動機について、いくつか例文を紹介します。
ただし、ここで紹介するのはあくまで一部にすぎないので、以下の例文を参考に自身の志望動機と照らし合わせてみて、採用担当者の心に残る内容になっているかどうか確認してみましょう。
例文①
私は独立系のSIer企業である貴社を志望しています。
理由は、私のスキルを活かして多様なプロジェクトの成功に貢献できると考えたからです。
その中でも、貴社の社員の方々が抱く仕事にかける熱意、そしてクライアントの課題解決に向けた取り組み方に強く関心を抱きました。
顧客第一に考え真摯に向き合う姿勢、そして多様なニーズに応えるための確かな信頼と技術力を確立している貴社は、私の持つ価値観にマッチする職場だと強く感じています。
独立系の企業だからこそお客様に深く寄り添ったソリューションを提供できることも魅力のひとつであり、私も入社後は貴社、そしてクライアントに大きく貢献できる人材となれるよう尽力したいと考えています。
例文②
私はソフトウェア業界でも有名な貴社にシステムエンジニアとして入社したいと考えています。
その理由は、貴社がIT技術による社会貢献を強く望んで活動しているその姿勢にあります。
貴社が開発した商品やサービスを私も利用した経験がありますが、いずれも生活に役立つ魅力的なツールばかりです。
社会のあらゆる問題に対して技術的アプローチで解決を目指すその姿勢は、「日々の仕事を人助けに役立てたい」と考える私の心情とマッチしていると考えています。
私自身が望む社会貢献の想いをITという形で体現できる企業として、強い興味を抱いています。
貴社に入社後は、さまざまな日本企業の業務効率化を叶える貴社のツール開発に携わり、さらなる日本の発展に貢献するのが目標です。
例文③
私は、機器や製品が人々の生活に大きく貢献できる点に魅力を感じ、ハードウェア業界でも屈指の技術を持つ貴社に入りたいと考えています。
なかでも貴社が得意とする医療機器システムの開発が、人々の命と健康を守る大きな役割を担っていることに強く関心を抱きました。
高度な技術力があってこそ作り上げられる品質の高い製品は、誰もが安心して使えるものとして今や国内で広く認知されており、医療業界の発展に大きく貢献していると考えています。
人々の命に関わるため品質管理や安全性の面において強い責任感を持ち、社員一丸となってシステム開発に取り組む貴社に入社した暁には、高い技術力と信頼性を兼ね備えたエンジニアになって貴社の発展に大きく貢献したいと考えています。
まとめ
今回は、システム開発職における志望動機の書き方についてご紹介しました。
志望動機は、いかに企業側に就職したい想いを強く伝えられるか、そして入社後の活躍について期待してもらえるかが重要です。
自分のエピソードや就職を考えるに至った経緯を交えながら、具体的で説得力のある志望動機を伝えられるかが内定獲得のコツになります。
IT業界の構造も理解したうえで自分が進むべき道が明確になったら、企業研究を進めて納得のいく志望理由を作成してみましょう。