
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
化学メーカーは、自動車からスマートフォン、医療、食品まで、あらゆる産業を素材の力で支える重要な存在です。
そのインターンは、社会の根幹を担う仕事の魅力を知る絶好の機会です。
本記事では、競争率の高い化学メーカーのインターン選考を突破するための、説得力のある志望動機の作り方を解説します。
【化学メーカーインターンの志望動機】化学メーカーのインターンへの参加は必要なのか
化学メーカーのインターンシップへの参加は、就職活動において非常に有益な経験となります。
化学業界は事業内容や職種が多岐にわたり、BtoB企業が中心であるため、事業内容の実態が掴みにくい側面があります。
インターンに参加することで、企業のウェブサイトや資料だけでは分からない、社内の雰囲気や仕事の進め方、社員の方々の価値観などを肌で感じることができます。
このリアルな経験は、入社後のミスマッチを防ぐだけでなく、志望動機に深みと具体性を持たせる上で不可欠です。
自身のキャリアを真剣に考える上で、インターンへの参加は大きな価値を持つと言えるでしょう。
【化学メーカーインターンの志望動機】化学メーカーの近年の動向
化学業界は今、大きな変革期を迎えています。
志望動機を作成する上で、業界の最新トレンドを理解しておくことは、志望度の高さを示すために不可欠です。
ここでは主要な3つの動向を紹介します。
「サステナビリティ」への対応
現代の化学メーカーにとって、地球環境問題への取り組みは最も重要な経営課題の一つです。
カーボンニュートラルの実現に向けたCO2分離・回収・利用技術や、海洋プラスチック問題に対応するバイオマスプラスチック、ケミカルリサイクル技術の開発が世界的に加速しています。
環境負荷の少ない製品や生産プロセスを開発することが、企業の持続的な成長に直結する時代です。
志望動機に、こうした社会課題の解決に貢献したいという視点を盛り込むことができれば、高く評価されるでしょう。
スペシャリティケミカルにシフト
かつての化学業界は、大量生産される基礎化学品(コモディティケミカル)が中心でした。
しかし現在では、特定の機能や性能に特化した高付加価値な製品、すなわち「スペシャリティケミカル」へと事業の軸足を移す企業が増えています。
具体的には、半導体の製造に不可欠な電子材料、次世代電池の部材、効果の高い医薬品の原料などが挙げられます。
こうした最先端分野で、独自の技術力を武器に世界市場で高いシェアを誇る企業も少なくありません。
企業のどの技術分野に将来性を感じるかを語れると良いでしょう。
デジタル技術(DX)による革新
化学業界でも、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せています。
AIを活用して新素材の開発スピードを飛躍的に向上させる「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」や、IoTセンサーでプラントの稼働状況をリアルタイムに監視し、予知保全を行うスマートファクトリー化が進んでいます。
研究開発から製造、販売に至るまで、あらゆるプロセスでデジタル技術を活用し、生産性や競争力を高める取り組みが活発化しています。
【化学メーカーインターンの志望動機】化学メーカーの製造分類について
化学メーカーは、その製造プロセスにおける立ち位置によって、大きく3つに分類されます。
自分がどの領域に興味があるのかを明確にするために、それぞれの特徴を理解しておきましょう。
素材メーカー
「川上」に位置し、原油や天然ガスといった原料から、エチレンやプロピレンなどの基礎的な化学品を製造するメーカーです。
石油化学コンビナートに代表されるような、巨大なプラント設備が必要となります。
製品は汎用性が高い一方で、原油価格や世界経済の動向といった市況の影響を受けやすいのが特徴です。
日本の産業全体の基盤を支える、スケールの大きな仕事に関わることができます。
加工・組立メーカー
「川中」に位置し、素材メーカーが製造した基礎化学品を原料として、特定の機能を持つプラスチック樹脂や機能性フィルム、特殊なインクなどの中間材料を作るメーカーです。
顧客である自動車メーカーや電機メーカーなどのニーズに合わせて、製品の性能をカスタマイズしていく開発力が求められます。
顧客の課題解決に直接的に貢献できるやりがいがあります。
総合メーカー
「川上」から「川下」まで、基礎原料から最終製品に近い高機能材料までを一貫して手掛けるメーカーです。
事業領域が非常に広く、多角的な経営を行っているため、経営基盤が安定しているのが特徴です。
一方で、事業部ごとに全く異なる製品や技術を扱っているため、それぞれの分野で高い専門性が求められます。
幅広いフィールドで活躍できる可能性があります。
【化学メーカーインターンの志望動機】化学メーカーの販売分類について
化学メーカーは、誰に製品を販売するかというビジネスモデルによっても分類できます。
BtoBとBtoC、どちらのビジネスに興味があるかを考えてみましょう。
BtoBのメーカーについて
BtoB(Business to Business)とは、企業を顧客として製品やサービスを提供するビジネスモデルです。
多くの化学メーカーがこの形態をとっており、自動車メーカーや電機メーカー、食品メーカーなど、様々な業界の企業に素材や部品を供給しています。
一般の消費者には社名が知られていなくても、実は世界トップシェアの製品を持つ優良企業が数多く存在します。
顧客企業の課題に深く入り込み、専門知識を活かしてソリューションを提案する仕事です。
BtoCメーカーについて
BtoC(Business to Consumer)とは、一般消費者を顧客として製品を販売するビジネスモデルです。
化学業界では、化粧品や洗剤、文房具、医薬品などを製造・販売する企業がこれにあたります。
テレビCMやドラッグストアなどで日常的に製品を目にする機会が多いため、学生にとっても馴染み深いでしょう。
消費者のニーズを捉えるマーケティング力や、ブランドイメージを構築する戦略が重要になります。
自分の仕事の成果が、人々の生活を直接豊かにしている実感を得やすいのが魅力です。
【化学メーカーインターンの志望動機】職種を紹介
化学メーカーには多様な職種があり、それぞれの専門性を活かして活躍しています。
ここでは代表的な職種を紹介します。
自分の興味や強みがどの職種で活かせそうか考えてみましょう。
営業
化学メーカーの営業は、単に製品を売るだけではありません。
特にBtoBでは、顧客であるメーカーの開発担当者や購買担当者と対話し、彼らが抱える課題をヒアリングします。
そして、自社の製品や技術知識を基に、課題解決に繋がるソリューションを提案します。
技術部門と顧客との橋渡し役を担う、高度なコミュニケーション能力と専門知識が求められる職種です。
生産管理
製品の安定供給を支える司令塔の役割を担います。
原材料の調達から生産計画の立案、在庫管理、出荷まで、生産プロセス全体を管理し、QCD(品質・コスト・納期)の最適化を目指します。
市場の需要予測や生産ラインの状況を的確に把握し、関係各所と調整を行う能力が不可欠です。
工場の安定稼働と効率的な生産を実現する、非常に重要な仕事です。
製造
化学プラントや工場において、実際に製品を製造する現場の最前線を担う職種です。
マニュアルに沿って製造設備を正確に操作し、化学反応を管理することで、高品質な製品を安全に作り出します。
巨大な設備を動かす責任感や、日々の細かな変化に気づく注意力、そして何よりも安全に対する高い意識が求められます。
ものづくりの根幹を支える、やりがいの大きな仕事です。
商品企画・開発
市場のニーズや社会の動向、そして自社の技術シーズを基に、新しい製品のアイデアを出し、それを具現化していく職種です。
「こんな素材があれば、世の中はもっと便利になる」という発想から研究をスタートさせ、試行錯誤を繰り返しながら、これまでにない機能を持つ新素材や新製品を生み出します。
化学の知識はもちろん、豊かな発想力や探求心が求められます。
マーケティング
市場調査や競合分析を通じて、顧客が本当に求めているものは何か、自社製品の強みは何かを明らかにします。
そして、その分析結果に基づいて、製品の価格設定や販売戦略、広告宣伝といったプロモーション活動を企画・実行します。
特にBtoCメーカーにおいて重要な役割を担いますが、近年ではBtoBメーカーでもマーケティングの重要性が高まっています。
経理・事務
会社の経営活動を数字の面から支える経理や、社員が円滑に業務を進められるようにサポートする人事、総務、法務といった事務系の職種も、メーカーの運営に不可欠です。
文系の学生も多く活躍しており、会社の基盤を支える重要な役割を担っています。
健全な企業活動を維持し、会社の成長に貢献するやりがいのある仕事です。
【化学メーカーインターンの志望動機】インターンについて
化学メーカーのインターンに参加するためには、募集時期や参加方法といった基本情報を押さえておくことが大切です。
早めに準備を始め、チャンスを逃さないようにしましょう。
インターンの募集時期
化学メーカーのインターンの募集は、主に大学3年生(修士1年生)の夏(6月〜8月)と、秋冬(10月〜2月)に行われることが一般的です。
特に夏休み期間中に実施されるサマーインターンは、期間が長く、内容も充実しているものが多いため人気が高いです。
近年は就職活動の早期化に伴い、大学3年生の春頃から情報公開を始める企業も増えています。
常にアンテナを張り、興味のある企業の採用サイトをこまめにチェックすることが重要です。
インターン参加方法
インターンへの参加方法は、主に3つのルートがあります。
1つ目は、企業の採用ホームページから直接応募する方法です。
2つ目は、リクナビやマイナビといった就職情報サイトに掲載される募集に応募する方法です。
3つ目は、大学のキャリアセンターや研究室の教授からの推薦です。
特に理系の研究職などでは、学校推薦が有利に働く場合もあります。
いずれの方法でも、エントリーシートの提出やWebテスト、面接といった選考が行われるのが一般的です。
【化学メーカーインターンの志動機】参加するメリット
化学メーカーのインターンに参加することは、多大な時間と労力を要しますが、それに見合うだけの大きなメリットがあります。
ここでは、代表的な3つのメリットを紹介します。
他の候補者と差別化を図れる
インターンでの経験は、本選考の志望動機に圧倒的な具体性と説得力をもたらします。
「インターンで〇〇という業務を体験し、貴社の△△という技術の社会貢献性の高さを実感した」と語る学生と、ウェブサイトの情報だけで語る学生とでは、熱意の伝わり方が全く異なります。
また、インターンでの活躍が評価されれば、早期選考の案内を受けられるケースも少なくなく、他の候補者より有利に選考を進めることができます。
業界や企業の解像度を高めることができる
化学業界は事業内容が専門的で、企業ごとの違いも分かりにくいため、「思っていた仕事と違った」という入社後のミスマッチが起こり得ます。
インターンに参加し、実際の職場環境や仕事の進め方、社員の方々の人柄に触れることで、その企業で働くことの解像度を飛躍的に高めることができます。
自分とその企業との相性を見極め、納得感を持って就職活動を進める上で、インターンは極めて有効な手段です。
将来のキャリアの選択肢を広げる経験値になる
インターンシップは、業界や企業について知るだけでなく、自分自身を成長させる貴重な機会でもあります。
グループワークでの議論や社員の方へのプレゼンテーションを通じて、社会人に求められる論理的思考力やコミュニケーション能力を実践的に学ぶことができます。
たとえその企業に入社しなかったとしても、インターンで得た経験や学び、そして広がった人脈は、あなたの視野を広げ、将来のキャリアを考える上での大きな財産となるはずです。
【化学メーカーインターンの志望動機】評価ポイント
企業はインターン選考において、学生のどのような点を見ているのでしょうか。
志望動機を作成する上で意識すべき、3つの評価ポイントを解説します。
価値観や社風が合っているか
企業は、学生の能力やスキルだけでなく、自社の価値観や大切にしている文化、すなわち社風と学生の人間性が合っているかを見ています。
どんなに優秀な学生でも、組織のカルチャーに馴染めなければ、入社後に本来の力を発揮することは難しいからです。
企業の理念や行動指針を深く理解し、自身の価値観や経験とどのように合致するのかを具体的に示すことが、相性の良さをアピールする上で重要になります。
志望度と熱意
数ある化学メーカーの中から、「なぜうちの会社なのか」という問いに、説得力をもって答えられるかが評価の大きな分かれ目です。
そのためには、徹底した企業研究が欠かせません。
その企業のどの製品や技術に魅力を感じるのか、企業のどのような理念に共感するのか、そしてインターンで何を成し遂げたいのか。
具体的な言葉で語られる強い想いは、必ず採用担当者に響きます。
本気で参加したいという熱意を、志望動機全体から伝えましょう。
入社後の活躍イメージ
インターン選考の段階では、現時点での完璧なスキルは求められていません。
企業が見ているのは、インターンでの経験を通じて学び、成長し、将来的(入社後)に自社で活躍してくれそうか、というポテンシャルです。
自身の強みや研究で培った能力が、インターンや入社後の業務でどのように活かせるのか。
そして、どのように成長し、企業に貢献していきたいのか。
具体的な活躍イメージを提示することで、採用担当者にあなたと働く未来を想像させることが重要です。
【化学メーカーインターンの志望動機】志望動機を書く際のポイント
評価ポイントを押さえた上で、実際に志望動機を書いていきましょう。
ここでは、採用担当者の心に響く志望動機を作成するための、3つの重要なポイントを解説します。
内容が伝わりやすい書き方をする
どんなに素晴らしい内容でも、それが相手に伝わらなければ意味がありません。
志望動機は、PREP法(Point:結論 → Reason:理由 → Example:具体例 → Point:結論の再提示)に沿って構成すると、論理的で分かりやすい文章になります。
最初に「私が貴社のインターンを志望する理由は〇〇です」と結論を述べ、次にその理由と具体的なエピソードを続け、最後に改めて参加意欲を表明する。
この型を意識するだけで、格段に伝わりやすくなります。
その企業が生産している商品や理念に関連付ける
「化学業界に興味があります」という漠然とした志望動機では、他の学生との差別化は図れません。
「貴社の〇〇という製品が持つ△△という技術は、私が大学で研究している□□と親和性が高く、非常に魅力を感じています」というように、具体的な製品名や技術、企業の理念に言及しましょう。
そのためには、企業のIR情報や中期経営計画、技術レポートなどを読み込む深い企業研究が不可欠です。
その努力が、志望度の高さの証明となります。
入社後にやりたいことを書く
インターンはゴールではなく、あくまでキャリアのスタートラインです。
インターンへの参加を通じて何を学び、その学びを活かして入社後にどのような仕事に挑戦したいのか、将来のビジョンを明確に示しましょう。
「本インターンで生産管理の難しさとやりがいを体感し、将来的にはAIを活用して貴社の工場の生産性を劇的に向上させる人材になりたい」といった具体的な目標を語ることで、あなたの成長意欲と長期的な貢献意欲をアピールすることができます。
【化学メーカーインターンの志望動機】例文を紹介!
ここでは、職種別に3つの志望動機の例文を紹介します。
これらを参考に、あなた自身の経験や想いを反映させた、オリジナルの志望動機を作成してください。
例文①
例文
私が貴社のインターンシップを志望する理由は、マテリアルズ・インフォマティクスを駆使した最先端の素材開発の現場を体感したいからです。
私は大学で、計算化学を用いた触媒設計の研究に取り組んでおり、膨大なデータから新たな知見を導き出すプロセスに大きなやりがいを感じています。
貴社が業界に先駆けてDXを推進し、AIを活用してサステナビリティに貢献する新素材を次々と生み出している点に、技術者として強い魅力を感じています。
本インターンシップで、研究室レベルとは異なる企業での開発スピードやチームでの議論の進め方を学び、将来的に貴社で環境問題の解決に貢献する研究者になりたいです。
例文②
例文
貴社のインターンシップを志望するのは、高い技術力でお客様の課題を解決するBtoB営業の醍醐味を学びたいからです。
学生時代、飲食店でのアルバイトリーダーとして、お客様の潜在的なニーズを汲み取り、サービスの改善提案を続けた結果、店舗の売上向上に貢献できた経験があります。
この経験から、相手に深く寄り添い、課題解決に貢献する仕事に魅力を感じています。
世界トップシェアを誇る貴社の機能性フィルム事業が、どのようにして顧客の信頼を勝ち得ているのか、その営業戦略や技術提案のプロセスを間近で学びたいです。
そして、将来は私も貴社の一員として、日本のものづくりを素材の力で支えたいです。
例文③
例文
私が貴社のインターンシップに参加したい理由は、化学プラントの安定稼働を支える生産技術の仕事に、自身の強みを活かせると考えたからです。
私は大学で化学工学を専攻し、プロセスの最適化や安全管理について学んできました。
特に、デジタル技術を活用して生産効率と安全性を両立させるスマートファクトリーの取り組みに強い関心があります。
貴社の主力工場で実施される本インターンシップで、理論だけでなく、現場で発生する予期せぬ課題にどのように対応していくのか、その実践的な知見を吸収したいです。
そして、将来は生産現場の安全性を誰よりも深く理解し、DX推進を担える技術者として貴社に貢献したいと考えております。
まとめ
化学メーカーのインターンは、社会を支えるダイナミックな仕事の魅力を知り、自身のキャリアを深く考える上で、かけがえのない経験となります。
本記事で解説したポイントを参考に、十分な準備を行い、あなた自身の言葉で熱意を伝えてください。
あなたの挑戦が実を結ぶことを心から応援しています。