
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
広告業界に興味を持つ就活生は多いですが、その実態は華やかさだけでは語れません。
本記事では、広告業界が「きつい」と言われる理由や、具体的な仕事内容、向き不向き、そして目指すために必要な準備について幅広く解説します。
【広告業界はきつい?】広告業界はきついのか?
広告業界はクリエイティブなやりがいや達成感がある一方で、営業職を中心に離職率が高い傾向があります。
その理由には、納期に追われるタイトなスケジュール、クライアント対応のプレッシャー、成果が数字に直結する評価制度などが挙げられます。
また、土日対応や夜遅くまでの作業が発生するケースもあり、ワークライフバランスが取りにくいという声もあります。
特に若手のうちは裁量が大きい分、責任も重く、精神的な負荷を感じる人も少なくありません。
一方で、自分のアイデアを形にしたい人や、変化を楽しめる人、コミュニケーション力に長けた人には向いている職場でもあります。
環境や相性によっては成長の機会も多いため、自分の性格や働き方に合っているかを見極めることが大切なので、記事の後述の内容もチェックしてみてください。
【広告業界はきつい?】広告業界の仕事内容とは?
広告業界は多くの人の目に触れる情報を届ける仕事でありながら、その裏側ではさまざまな企業や専門家が関わり合いながら一つの広告をつくり上げています。
その中でも主に四つの領域に分かれ、それぞれ異なる役割を担っています。
以下では、それぞれの仕事内容を詳しく解説します。
広告代理店
広告代理店は広告主と最も密接に関わる存在であり、企業が抱える課題や目標をヒアリングするところから仕事が始まります。
広告を通じてどのような効果を生み出したいかを明確にし、ターゲットとなる層や訴求すべき内容、広告手段や展開スケジュールなどを総合的に計画します。
実際の業務では、テレビやインターネットなどのメディアを選定したり、広告制作会社に対して企画内容を伝えて制作を依頼したりと、全体の流れを調整・統括する役割を担っています。
そのため、関係者との調整能力や、企画を組み立てる力、プレゼンテーション能力が求められます。
広告の結果が売上や認知度に直結するため、戦略と実行力のバランスが大切になります。
広告制作
広告制作の現場では、実際に人々の目に触れる広告をつくる作業が行われます。
テレビCM、新聞広告、Webバナー、ポスター、パンフレットなど、その媒体によって制作物の形はさまざまです。
制作会社には、グラフィックデザイナー、コピーライター、映像ディレクター、Webデザイナーなどの専門職が所属しており、それぞれのプロフェッショナルがチームとなって一つの広告を仕上げていきます。
広告代理店や広告主から共有された情報をもとに、コンセプトを形にし、視覚や言葉で伝える役割を担います。
この仕事では、表現力や発想力はもちろん、広告の目的やターゲットを深く理解する力も必要です。
広告のクオリティや印象は、制作側の技術や工夫に大きく左右されるため、重要なポジションとなります。
メディア媒体
メディア媒体とは、広告を実際に掲載する場を持っている事業者のことを指します。
テレビ局、新聞社、雑誌社、ラジオ局、Webニュースサイト、動画配信サービスなどがこれにあたります。
これらの企業は、自社が持つ広告枠を広告代理店や広告主に販売し、その掲載スペースを通じて広告を世の中に届ける役割を果たしています。
たとえば、テレビのCM枠や、新聞の紙面、Webページのバナー表示部分などが広告枠として販売されます。
広告主がいくら良い広告を作っても、適切な場所や時間に届けなければ効果は薄くなってしまいます。
そのため、メディア側は視聴者層や読者層のデータを把握し、効果的な広告掲載を実現するための提案力も求められています。
広告の最終的な受け手に届ける重要な接点となる職種です。
アドネットワーク・メディアレップ
インターネット広告の分野では、広告の仕組みそのものを支えるプレイヤーも存在します。
メディアレップは、多くのWebメディアに代わって広告枠を取りまとめて販売する企業であり、広告代理店との橋渡し役として機能します。
一方、アドネットワークは複数のWebサイトやアプリの広告枠を一括で管理し、最適な場所に自動で広告を配信する仕組みを提供しています。
これにより、広告主は膨大な数のサイトに個別に出稿依頼をする手間が省け、効率的に広告を展開できるようになります。
また、広告効果の分析やレポートの作成なども行い、成果の出る広告運用を支援しています。
この分野は近年特に成長しており、デジタル時代の広告に欠かせない存在となっています。
【広告業界はきつい?】広告業界の主な職種
広告業界にはさまざまな職種があり、それぞれが異なる役割を担っています。
どの仕事も広告という一つの成果に向けて協力し合うことが求められます。
以下では代表的な職種を紹介します。
アカウントプランナー
アカウントプランナーは広告代理店の営業職にあたり、クライアント企業の課題を聞き出し、広告による解決策を提案する仕事です。
扱う商品やサービスが多岐にわたるため、それぞれの業界知識や市場の動向を理解したうえでの提案が求められます。
広告枠を販売するだけでなく、企画から納品までの進行管理も担当するため、スケジュール調整や社内外との連携が重要になります。
クライアントと信頼関係を築きながら、効果的な広告展開を実現する役割を担っており、広告業界の最前線で動く仕事です。
クリエイティブ
クリエイティブ職は、実際に広告として形になる表現部分を担当します。
コピーライターやアートディレクター、CMプランナー、グラフィックデザイナーなどの専門職が該当します。
商品の魅力や企業のメッセージを伝えるために、言葉やデザイン、映像などを駆使して広告を制作します。
限られた時間やスペースの中で、見た人の印象に残るような表現を考えるため、アイデア力と表現力が求められます。
広告代理店やクライアントとの打ち合わせを通じて方向性を決め、チームで一つの作品をつくり上げる過程には高い集中力と連携力が必要です。
マーケティング
マーケティング職は、広告の企画立案に向けて市場や消費者の動向を分析し、戦略の軸をつくる仕事です。
アカウントプランナーが得た情報や過去の広告データ、アンケートなどをもとに、顧客のニーズを明確化し、どんなアプローチが効果的かを導き出します。
広告がターゲット層に届くためには、誰に何をどう伝えるかを理論的に考える必要があります。
そのため、数字やデータに基づいて仮説を立て、検証する姿勢が求められます。
マーケティングの結果はクリエイティブにも反映され、広告全体の方向性を左右する重要な仕事です。
エンジニア
広告業界のエンジニア職は、インターネット広告の配信管理や業務効率化のためのシステム構築を担当します。
広告が意図通りのタイミングや場所に表示されるようにするため、配信設定やデータの取得、自動化ツールの導入などを行います。
また、各種の効果測定ツールを活用し、広告の成果を数値で示す仕組みを整えることも重要な役割です。
技術的な知識に加えて、広告の仕組みに対する理解が求められるため、現場と連携を取りながら仕事を進める必要があります。
一般事務職
広告業界の一般事務職は、表には出にくいながらも、現場の企画や営業を支える重要な役割を担っています。
具体的には、資料作成、スケジュール調整、請求処理、メール対応、電話応対などを通して、社内外の業務がスムーズに進むようサポートを行います。
また、企画の立案に関わる調査やコピー案の作成補助などを任されることもあり、表現に関心のある人にも適性があります。
周囲との連携や情報共有が多く発生するため、気配りや正確な作業が求められます。
華やかな広告の世界を内側から支える、縁の下の力持ちのような存在です。
【広告業界はきつい?】広告業界がきついとされる理由
広告業界は華やかなイメージを持たれがちですが、実際には厳しい現場環境で働くことが多く、入社後にギャップを感じて離職を考える人も少なくありません。
その背景には、いくつかの共通した課題があります。
入社後のギャップ
広告業界はテレビCMや雑誌、Webメディアで目立つ仕事が多く、外からは華やかに見えることがあります。
しかし、実際には長時間の業務や細かい調整、クライアントからの厳しい要求などに日々向き合う必要があり、理想と現実の違いに戸惑う人も多いです。
思っていたよりも地味な作業や、裏方としての働きが多いことにショックを受けるケースもあります。
そのため、仕事の実態をよく理解しておかないと、ギャップに苦しむ原因になります。
過酷なスケジュール
広告業界ではクライアントのスケジュールが最優先されるため、自分のペースで仕事を進めるのが難しい場面もあります。
納期が迫っている場合は深夜や土日にも作業が入り、徹夜対応をすることもあります。
また、突発的な修正や方針転換が発生することもあり、予定がすぐに崩れてしまうことも珍しくありません。
オンとオフの切り替えが難しく、心身のバランスを崩しやすい働き方になってしまうことがあります。
多数の仕事を同時進行させる
広告業界では、ひとつの案件に集中できることは少なく、常に複数の案件を同時進行させるのが当たり前です。
進行中の案件ごとにクライアントも違えば目的も異なるため、タスクごとの優先順位を見極める判断力が求められます。
限られた時間の中で、さまざまな資料作成、社内外のやり取り、修正対応などを並行してこなす必要があり、整理力と体力の両方が必要です。
マルチタスクに強い人にはやりがいのある環境ですが、慣れないうちは混乱しやすい面もあります。
失敗が許されないプレッシャー
広告は世の中に出ると、多くの人の目に触れるため、ちょっとしたミスが大きな問題につながることがあります。
とくに新聞やテレビCM、駅や電車内の交通広告などのマス媒体では、一度印刷や放送が始まると修正が難しく、誤字脱字や情報の間違いは企業の信頼を大きく損なうリスクとなります。
そのため、確認作業には非常に神経を使い、責任の重さから精神的なプレッシャーを感じる場面が多いです。
小さな見落としが大きな損失につながるという緊張感が常につきまといます。
クライアントと下請けの板挟み
広告業界では、クライアントと制作チームの間に立って業務を進めることが多く、両者の意見の違いや要望の調整が必要になります。
クライアントからの無理な要求と、制作側の現実的なスケジュールや技術的な制約の間で、双方に対応し続けることで心身ともに疲弊することがあります。
特に若手のうちは交渉力や調整力が未熟なため、自分の責任でない部分でも矢面に立たされることがあり、プレッシャーに押しつぶされてしまう人もいます。
信頼関係やバランス感覚が必要とされる場面が多く、人間関係に悩むケースも少なくありません。
【広告業界はきつい?】広告業界に向いている人
広告業界で活躍するには、華やかなイメージだけでなく、厳しい環境にも対応できる適性が必要です。
業務はスピードと正確さが求められ、関係者とのやり取りも多いため、柔軟かつ前向きに対応できる人が向いています。
ここでは広告業界に向いている人の特徴を詳しく解説します。
マルチタスクができる人
広告業界では複数のプロジェクトを同時に進めることが当たり前です。
1件の案件だけに集中するということは少なく、クライアントとのやり取り、社内調整、制作物の確認、資料作成など、様々な業務を並行してこなす必要があります。
そのため、物事の優先順位を瞬時に判断し、頭を切り替えながら仕事を進められる人は非常に適しています。
急な変更にも冷静に対応できる人ほど、現場で重宝されやすい傾向があります。
ストレス耐性がある人
広告業界ではクライアントからの厳しい指摘や、納期に追われるプレッシャーなど、ストレスがかかる場面が日常的にあります。
自分の意図しないミスでトラブルが発生したり、制作物のやり直しが続くこともあります。
そんなときでも、落ち込みすぎず、気持ちを切り替えて前に進む力が求められます。
心の余裕を持ち、冷静に物事を捉えられる人ほど、困難な状況でも乗り越えていくことができます。
体力がある人
広告業界は繁忙期には深夜までの業務や休日出勤が発生することもあります。
特に撮影が絡むプロジェクトや大規模なキャンペーンの前後は、長時間労働になりがちです。
体力がある人でなければ、継続的に働くことが難しくなるため、体調管理ができることも重要です。
健康を維持しながら仕事に取り組むためには、体力と生活リズムの自己管理能力が求められます。
コミュニケーション能力が高い人
広告はひとりで作るものではなく、代理店、クライアント、制作会社など多くの人との連携によって成り立っています。
情報を的確に伝えたり、相手の要望を正しく理解するためには、言葉の選び方やタイミングも重要になります。
また、異なる立場の人の意見を調整しながら、全体をまとめていく場面も多くあります。
人と接するのが得意で、相手の気持ちに寄り添いながら会話ができる人は、広告の現場で力を発揮しやすいでしょう。
【広告業界はきつい?】広告業界に向いていない人
広告業界には華やかで刺激的なイメージがありますが、その裏にはタフな労働環境や高いプレッシャーが伴います。
そのため、すべての人に向いているとは限らず、相性が合わなければ心身に負担がかかることもあります。
ここでは、広告業界に向いていないとされる人の特徴について詳しく解説します。
プレッシャーに弱い人
広告業界では、短い納期や厳しいクライアントの要求、ミスが許されない状況など、日常的に高いプレッシャーに晒されます。
チームの代表として責任ある立場を任されることもあり、少しの判断ミスが大きなトラブルにつながることもあります。
他人の評価を強く気にしすぎたり、否定的なフィードバックに過敏に反応するような繊細なタイプの人は、精神的に大きなストレスを抱えてしまう可能性があります。
自分を責めすぎてしまう傾向がある人には、過酷な現場が重荷になるかもしれません。
1人作業が好きな人
広告の仕事は、クライアント、チームメンバー、外部の制作スタッフなど多くの人と関わる機会が多く、常にコミュニケーションが求められる環境です。
話し合いを重ねてアイデアを詰めたり、意見をすり合わせたりしながら進めるため、人とのやり取りを避けたい人や、一人で黙々と作業することが好きな人にとっては大きなストレスになります。
協調性や柔軟な対応が必要とされる場面が多いため、孤立しがちな人には働きにくい業界です。
ワークライフバランスを重視する人
広告業界は納期に追われることが多く、夜間や休日に仕事が入ることも珍しくありません。
突発的な対応も多く、定時で帰ることが難しい日が続く場合もあります。
仕事が生活の中心になりやすいため、プライベートの時間を最優先に考える人にとっては、生活リズムの乱れや精神的な疲労の原因になることがあります。
メリハリのある生活を望む人や、家庭や趣味の時間を大切にしたいと考える人には厳しい環境と言えるでしょう。
華やかなイメージに憧れている人
広告業界は、表向きにはおしゃれで創造的な世界に見えることが多く、憧れを抱いて目指す人も少なくありません。
しかし実際の業務は、地道なリサーチ、数多くの修正対応、スケジュール調整など地味な作業が多く、思い通りにいかないことも多いです。
「キラキラした仕事」というイメージだけで業界を選ぶと、現場での厳しさや泥臭さとのギャップに苦しむ可能性があります。
仕事の本質を理解せずに入ると、早期の離職やモチベーションの低下につながる恐れがあります。
【広告業界はきつい?】広告業界に行くためにすること
広告業界を目指すには、表面的なイメージだけで判断せず、現場の実態や自分との適性を見極めることが欠かせません。
広告の仕事は奥が深く、企業によって求められる人物像や社風も大きく異なります。
ここでは、広告業界に進むために今から取り組んでおくべきことを解説します。
業界・企業研究をする
広告業界は一見似たような企業が多く見えるかもしれませんが、それぞれの会社には独自の強みや得意分野があります。
たとえば、テレビCMに強い企業もあれば、デジタル広告やSNSキャンペーンに力を入れている企業もあります。
まずは業界全体の構造を理解し、広告代理店、制作会社、メディア、テクノロジー系など、どの分野に興味があるのかを明確にしましょう。
インターンシップに参加する
広告業界は実際に経験してみないとわからないことが多く、インターンシップは業界理解を深める絶好の機会です。
営業体験やグループワーク、プレゼンなどを通じて、実際の業務や社内の雰囲気を肌で感じることができます。
また、インターネット上には出てこない実情や、社員の働き方なども知ることができ、志望度を高めたり、自分との相性を判断する材料になります。
参加実績は選考でも評価されることがあるため、複数の企業で経験を積むことで視野が広がり、自分に合った企業選びにもつながります。
OB/OG訪問をする
広告業界は人との関わりが非常に多いため、実際に働いている人の話を聞くことは非常に有意義です。
OBやOGへの訪問を通じて、実際の業務内容や入社後のキャリアのイメージ、職場の雰囲気などをリアルに知ることができます。
また、選考対策や面接のポイント、社内で重視される価値観など、表では得られない情報が得られるのも大きなメリットです。
OB訪問を通じて得た気づきは、志望動機や自己PRに深みを持たせる材料にもなります。
まとめ
広告業界は厳しさも多い一方で、挑戦や成長のチャンスにあふれた魅力的なフィールドです。
本記事を通して、仕事内容や求められる資質、必要な準備などを知ることで、自分に合った道筋が見えてきたと思います。
業界研究やインターン、OB訪問など、できることから一歩ずつ行動を始めて、納得のいく就職活動を進めてください。