
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
本記事では、教育業界のリアルな姿を、仕事内容、主な職種、きついと言われる理由、現状の課題、そして向いている人の特徴といった多角的な視点から徹底的に解説します。
あなたがこの業界で働くイメージを具体的に持つための、実践的な情報を提供しますので、ぜひ最後まで読み進めてください。
目次[目次を全て表示する]
【教育業界はきついのか】教育業界はきつい?
教育業界は「きつい」というイメージを持たれがちですが、その実態は一概に「きつい」と断言できるほど単純ではありません。
確かに、公教育の現場や学習塾などでは、長時間労働や生徒・保護者対応による精神的な負担が大きいという側面があるのは事実です。
特に、生徒一人ひとりの人生に深く関わる仕事であるため、責任の重さからくるプレッシャーは無視できません。
しかし、「きつさ」は働く環境や職種によって大きく異なり、すべての企業や職種に当てはまるわけではありません。
例えば、教材開発や教育系IT企業では、比較的ワークライフバランスが取りやすい企業も増えています。
あなたが何を「きつい」と感じるか、そして何を「やりがい」と感じるかによって、この業界に対する評価は大きく変わるでしょう。
まずは、教育業界の全体像を理解することが重要です。
【教育業界はきついのか】教育業界の仕事内容
教育業界と一口に言っても、その仕事内容は非常に多岐にわたります。
学校教育に関連する仕事はもちろん、資格取得の支援、生涯学習、企業内研修など、様々なフィールドで「教育」というテーマに向き合っています。
教室での指導・授業
学習塾や予備校、英会話教室などがこの仕事の主な舞台です。
生徒や受講生に対して、学力向上や技能習得を目的とした直接的な指導を行います。
単に知識を教えるだけでなく、生徒の学習意欲を引き出し、モチベーションを維持させるための工夫が求められます。
授業の準備や教材研究はもちろん、生徒の進捗管理や保護者面談、進路相談なども重要な業務に含まれます。
特に個別指導の場合は、一人ひとりの理解度に合わせた柔軟な対応力が求められ、生徒の成長を間近で見られることに大きなやりがいを感じられるでしょう。
学習成果に直結する重要な役割を担うため、指導力と熱意が不可欠です。
教材・コンテンツの開発
学習塾や出版社、教育系IT企業などで、教材や教育プログラムを企画・制作する仕事です。
紙のテキストだけでなく、オンライン学習プラットフォーム用の動画コンテンツやアプリケーションの開発も含まれます。
単に知識を羅列するだけでなく、学習者が効果的に学べるように、構成やデザイン、表現方法を工夫する必要があります。
教育トレンドや最新の学習理論を深く理解し、それを具体的なコンテンツに落とし込む企画力と専門性が求められます。
また、市場調査を行い、ターゲットとする学習者のニーズを正確に把握することも、ヒットする教材を生み出す上での重要な要素です。
教育の質を根幹から支える、非常にクリエイティブな仕事です。
営業・マーケティング
学習塾の生徒募集や、学校・企業に対して教材や教育システムを提案・販売する仕事です。
教育という無形商材やサービスを、その価値を理解してもらい購入・利用してもらうための活動を行います。
顧客の課題をヒアリングし、自社のサービスがどのようにその課題解決に貢献できるかを具体的に提示する提案力が求められます。
特に学校や法人への営業では、教育委員会や企業の研修担当者といった意思決定者との信頼関係構築が成功の鍵となります。
また、デジタルマーケティングを活用して、オンラインでの集客やブランド構築を行う役割も重要です。
教育サービスの普及を通じて、より多くの人々の学びをサポートするのが、この仕事の醍醐味です。
運営・マネジメント
学習塾やスクールの校舎運営、または企業の教育事業全体の管理を行う仕事です。
教室の予算管理、人事、講師の採用・育成、生徒の出欠管理、施設の維持管理など、事業が円滑に進むためのあらゆる業務を担います。
生徒や保護者からの問い合わせ対応やクレーム対応といった、現場の最前線でのコミュニケーションも多く発生します。
指導者としてのスキルだけでなく、経営的な視点やリーダーシップが求められるポジションです。
質の高い教育サービスを持続的に提供できる環境を整備するため、マネジメント能力が非常に重要になります。
【教育業界はきついのか】教育業界の主な職種
教育業界は、公教育の教員だけでなく、様々な職種が協力しあって成り立っています。
ここでは、民間企業における主な職種に焦点を当てて解説します。
学習塾・予備校の講師・教室長
生徒の学力向上を直接サポートする職種です。
講師は授業を通じて知識を教え、学習習慣を身につけさせます。
教室長は、その講師陣の管理、生徒募集、保護者対応、教室の売上管理など、教室運営全体を統括するマネジメント職です。
講師は指導力が、教室長は経営的視点とリーダーシップが特に求められます。
生徒の合格や成績向上という具体的な成果を身近に感じられる点が大きなやりがいにつながります。
生徒一人ひとりの未来を左右する責任感も伴いますが、それ以上の達成感が得られる仕事です。
教材・教育コンテンツの企画開発職
出版社や教育系IT企業などで、新しい教材やオンライン教育サービスを生み出す職種です。
市場調査からコンセプト立案、具体的なコンテンツの設計、外部クリエイターとの連携まで、ゼロからイチを生み出す企画力が求められます。
この職種の魅力は、自分のアイデアが形となり、多くの学習者の学びを支えることにあります。
最新のテクノロジーを活用した革新的な学習体験の創造に携わることも多く、常に新しい知識やトレンドを追いかける探究心が必要です。
教育サービスを扱う企業の営業職
学校や教育委員会、企業の人事部などに対し、自社の教材、教育システム、研修プログラムなどを提案・販売する職種です。
単なる物売りではなく、顧客が抱える教育上の課題(例えば、学力低下、社員のスキルアップ、教員の働き方改革など)を深く理解し、ソリューションとして自社の商品やサービスを提案するコンサルティング的な要素が強いのが特徴です。
顧客のニーズを正確に捉え、長期的な信頼関係を築くコミュニケーション能力が不可欠です。
社会全体の教育レベルの底上げに貢献できる、社会的意義の大きな仕事です。
【教育業界はきついのか】教育業界がきついとされる理由
教育業界が「きつい」と言われる背景には、いくつかの共通する理由が存在します。
これらの実情を知ることで、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。
労働時間が長時間になりやすい
特に学習塾や予備校、そして学校現場では、生徒が学校や他の活動を終えた後の夕方から夜にかけてが指導の中心時間となり、どうしても勤務時間が不規則になりがちです。
また、授業準備や教材作成、生徒の個別フォロー、保護者対応などを勤務時間外に行うことが常態化しているケースも少なくありません。
さらに、夏期講習や冬期講習といった繁忙期には、休日出勤や長時間労働が増える傾向があります。
仕事への熱意が高い人ほど、自己犠牲を払いすぎてしまう傾向があり、結果としてワークライフバランスが崩れやすいという実情があります。
生徒・保護者からの期待と責任の重さ
教育は、生徒の学力や進路、さらには人生そのものに大きな影響を与える仕事です。
そのため、働く人は常に「絶対に結果を出さなければならない」という重い責任感とプレッシャーにさらされます。
特に進路指導や受験対策に関わる職種では、生徒や保護者からの期待が非常に高く、それが精神的な負担となることがあります。
期待に応えられなかった場合の挫折感や、クレーム対応の難しさなども、「きつい」と感じる大きな要因です。
人の成長に関わる仕事ならではの、高い精神力が求められる側面です。
給与水準が他の業界と比較して低い傾向
仕事の責任や労働時間の長さに見合わず、他の業界、特にITや金融といった高給与の業界と比較して、給与水準が低いと感じる人が多いのも事実です。
特に新卒のうちは、情熱ややりがいだけでは生活の質を維持できないという現実に直面することもあります。
もちろん、実力や成果に応じて高給を得られる職種や企業も存在しますが、業界全体として見ると、特に公教育や一部の民間教育機関では、給与面での不満が「きつさ」として認識されやすい傾向があります。
この点は、企業選びの際にしっかりと確認すべきポイントと言えます。
【教育業界はきついのか】教育業界の現状・課題
教育業界は、社会の変化やテクノロジーの進化に伴い、大きな転換期を迎えています。
その現状と課題を理解することは、将来この業界で活躍するために不可欠です。
デジタル化(EdTech)の推進と人材育成
教育業界の最も大きなトレンドの一つが、テクノロジーを活用したEdTech(エドテック)の急速な進展です。
オンライン授業、AIを活用した個別最適化学習、学習管理システム(LMS)の導入などが進んでいます。
これにより、時間や場所にとらわれずに質の高い教育を提供できるようになる一方で、教育現場には、新しいテクノロジーを使いこなし、それを効果的に教育に組み込むためのスキルが求められています。
教材開発者や教員がデジタルツールを使いこなすための研修や、教育とテクノロジーの両方に精通した人材の育成が喫緊の課題となっています。
この流れは、教育業界のあり方を根本から変える可能性を秘めています。
少子化による市場の縮小と多様化
日本の少子化は、特に受験産業や公教育において、教育サービス市場のパイそのものを縮小させるという大きな課題をもたらしています。
しかし、その一方で、グローバル化の進展や社会人の学び直し(リカレント教育・リスキリング)の需要の高まりにより、市場は多様化しています。
従来の学校教育や受験対策だけでなく、プログラミング教育、キャリア教育、語学、ビジネススキルなど、ニッチで専門性の高い分野のニーズが拡大しています。
企業は、この多様化するニーズを的確に捉え、新しい市場を開拓していく戦略的な転換が求められています。
教員の働き方改革と民間企業の役割拡大
公教育の教員の過重労働が社会問題となる中で、「働き方改革」が重要な課題となっています。
これに伴い、学校運営の一部を民間企業が担うケースや、民間企業が開発した教育コンテンツやITシステムを学校現場が積極的に導入する動きが加速しています。
例えば、採点業務の外部委託や、学習支援ツールの導入などが進んでいます。
これにより、教育業界の民間企業には、単なるサービスの提供者としてではなく、教育課題の解決に深くコミットするパートナーとしての役割が期待されています。
【教育業界はきついのか】教育業界に向いている人
教育業界で高いパフォーマンスを発揮し、やりがいを感じられる人には共通の特徴があります。
あなたが教育業界に向いているかを確認してみましょう。
人の成長を心から喜べる人
教育業界の仕事は、生徒や受講生の成長を直接的、間接的にサポートすることに尽きます。
そのため、他者の成功や変化を自分のことのように感じ、心から喜びや達成感を覚えられる人は、この仕事に大きなやりがいを見いだせます。
知識が定着した瞬間、目標を達成した瞬間に立ち会えることが、何よりのモチベーションになるでしょう。
強い共感力と、他者への惜しみない貢献意欲が、この業界で長く活躍するための土台となります。
コミュニケーション能力が高く傾聴力がある人
生徒や保護者、同僚、学校関係者など、教育業界では非常に多くの人と関わります。
特に、生徒の悩みや保護者の不安、顧客の課題などを正確に把握するためには、一方的に話すのではなく、相手の話を丁寧に聞く傾聴力が不可欠です。
相手の立場や心情を理解しようとする姿勢が、信頼関係を築き、効果的な指導や提案につながります。
相手に寄り添い、適切な言葉で励ましたり、導いたりできる高いコミュニケーション能力は、教育業界で働く上で最も重要な資質の一つです。
変化を恐れず新しい知識を学ぶ意欲がある人
教育は、社会のあり方やテクノロジーの進化に伴い、常に変化し続けています。
特にEdTechの波が押し寄せている今、新しい学習方法やデジタルツールを積極的に学び、活用していく意欲が求められます。
過去の成功体験にしがみつくのではなく、「もっと良い教え方、学び方があるはずだ」と探求し続けられる人は、この業界で必要とされる人材です。
教育トレンドや最新の学習理論に対する好奇心と、それを実践に移す行動力が重要となります。
【教育業界はきついのか】教育業界に向いていない人
教育業界の特性上、特定の考え方や行動パターンを持つ人は、仕事にストレスを感じやすく、ミスマッチが生じる可能性があります。
短期間で目に見える成果を強く求める人
教育の成果、つまり生徒の学力向上やスキルの定着は、一朝一夕で現れるものではなく、長期的な視点と忍耐が必要です。
特に人としての成長や意識の変化は、さらに時間を要します。
「すぐに結果が出ないと意味がない」と考える人や、自分の努力に対してすぐに具体的なリターンを求める人は、成果が見えにくい時期に大きな焦りやフラストレーションを感じやすいでしょう。
粘り強く地道な努力を継続することが苦手な人は、教育業界で働くことに難しさを感じるかもしれません。
事務作業やルーティンワークを軽視する人
「教えること」に情熱があっても、教育の仕事には、成績処理、進捗管理、連絡業務、データ入力といった地道な事務作業が必ずついて回ります。
これらの作業は、質の高い教育サービスを提供する上で不可欠な土台です。
事務作業やルーティンワークを「雑用」として軽視し、指導や企画といった華やかな部分だけをやりたいと考える人は、仕事全体のバランスに不満を感じる可能性があります。
全体像を把握し、細かな作業にも丁寧に取り組める姿勢が求められます。
感情のコントロールが苦手な人
生徒や保護者との関わりの中で、時には感情的になる場面や、予期せぬクレームに対応する場面に直面します。
また、生徒の成績が伸び悩んだり、努力が報われなかったりする状況に、指導者自身が落ち込むこともあるでしょう。
このような状況下で、冷静さを保ち、プロフェッショナルとして適切な対応を取るための感情のコントロール能力は非常に重要です。
自分の感情に流されやすく、ストレス耐性が低いと感じる人は、この業界で働くことに精神的な負担を感じやすいかもしれません。
【教育業界はきついのか】教育業界に行くためにすべきこと
教育業界で活躍したいという明確な目標があるならば、学生のうちから具体的な行動を起こし、準備を進めることが重要です。
教育への想いを深掘りし自己分析を行う
なぜ教育業界で働きたいのか、「誰に、どのような変化を提供したいのか」という教育への熱意を、具体的な経験や価値観に基づいて深く掘り下げてください。
単に「人に教えるのが好き」というだけでなく、「なぜその変化が必要だと思うのか」「そのために自分は何ができるのか」を明確に言語化できるよう自己分析を行いましょう。
教育実習やボランティア、学習塾でのアルバイト経験などから、具体的なエピソードを抽出することが、面接での説得力を高めます。
あなたの教育に対する哲学を見つけることが、就職活動の大きな軸となります。
業界の多様性を理解し企業研究を徹底する
教育業界は非常に広範で、公教育、学習塾、出版社、教育系IT企業、研修会社など、ビジネスモデルやターゲット層が大きく異なります。
単に「教育」という枠で捉えるのではなく、それぞれの企業の事業内容、注力している領域、企業理念、働く環境を徹底的に調べましょう。
EdTech企業の説明会に参加したり、社会人向けの研修サービスを運営する企業を研究したりすることで、公教育以外の多様な働き方を知ることができます。
あなたが最も貢献し、成長できる企業を見つけるために、広い視野で企業研究を進めてください。
アルバイトやインターンで現場を体験する
教育業界での働き方を肌で感じるために、学習塾や予備校でのアルバイト、または教育系企業のインターンシップに積極的に参加しましょう。
教室での指導経験はもちろん、生徒や保護者とのコミュニケーションの難しさ、事業運営の裏側を知ることは、大きな自己成長につながります。
この経験を通じて、「きつい」と言われる側面も含めて、この業界で働くことのリアリティを掴むことができ、それが志望動機や自己PRに深みを与えます。
まとめ
教育業界は、人々の成長を支え、社会の未来を作る非常にやりがいのある仕事です。
確かに、長時間労働や責任の重さなど「きつい」と感じられる側面があるのも事実ですが、それは裏を返せば、それだけ人の人生に深く関わる価値のある仕事だということです。
EdTechの進化や社会人教育の需要の高まりなど、教育業界は今、大きな変革期にあり、あなたの情熱と新しい視点が求められています。
本記事で解説した仕事内容や向いている人の特徴を踏まえ、あなたが本当に教育業界で成し遂げたいことは何か、そしてそのためにどの職種、どの企業を選ぶべきかを改めて考えてみてください。
教育業界は、あなたの主体的な学びと行動を待っています。
あなたの就職活動が、未来の教育を支える一歩となることを願っています。