
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就職活動を進める中で、マスコミ業界に興味を持っている方は多いのではないでしょうか。
テレビ、新聞、出版、広告など、私たちにとって身近な情報を発信し、社会に大きな影響を与えるマスコミ業界は、華やかなイメージがある一方で、「きつい」「激務」といったマイナスな側面も耳にします。
実際にどのような仕事をするのか、どのような環境で働くのか、不安に感じている就活生もいるでしょう。
この記事では、マスコミ業界のリアルな仕事内容や職種、そして「きつい」と言われる理由から、業界の現状と課題までを深掘りして解説します。
あなたがマスコミ業界への一歩を踏み出すために、具体的なアドバイスも提供します。
【マスコミ業界はきついのか】マスコミ業界はきつい?
マスコミ業界は、「きつい」という評判が根強く存在します。
しかし、これは一概に「はい」とも「いいえ」とも断定できるものではありません。
確かに、締め切りに追われる仕事の特性上、労働時間が不規則になったり、突発的な事態に対応したりする必要があり、体力的な負担や精神的なプレッシャーが大きい側面があるのは事実です。
一方で、社会に影響を与える仕事のやりがいや、クリエイティブな仕事に携われる魅力も大きく、その大変さを上回る達成感を感じている人も多くいます。
この「きつさ」の感じ方は、配属される部署や職種、個人の価値観や働き方への意識によって大きく左右されるため、まずは業界の全体像を理解することが重要です。
【マスコミ業界はきついのか】マスコミ業界の仕事内容
情報を「取材・収集」する仕事
マスコミ業界の根幹をなすのが、世の中の出来事や情報を現場で取材し、正確に収集する仕事です。
新聞記者やテレビの報道ディレクターなどがこれにあたります。
彼らは、事件・事故の現場、政治の動向、経済の動き、人々の暮らしなど、様々な分野に飛び込み、関係者へのインタビューや資料の精査を通じて情報を集めます。
この仕事は、常に新しい出来事に関心を持ち、フットワーク軽く行動することが求められます。
また、迅速かつ正確な情報把握能力だけでなく、時には厳しい状況下での判断力も必要とされます。
一次情報を得ることが使命であるため、休日や深夜であっても、ニュースが発生すれば現場に向かう体制が求められることが多いです。
情報を「企画・制作」する仕事
集められた情報を、どのように読者や視聴者に届けるかを考え、コンテンツとして形にするのが企画・制作の仕事です。
テレビ番組のプロデューサーやディレクター、雑誌や書籍の編集者などが該当します。
彼らは、ターゲット層のニーズを分析し、どのような切り口で情報を伝えるか、どのような表現方法を用いるかを検討します。
具体的な番組構成や記事のレイアウト、キャスティング、撮影・収録の手配など、クリエイティブな発想とスケジュール管理能力が重要です。
多くの関係者と連携を取りながら一つの作品を完成させるため、コミュニケーション能力や調整力も不可欠な要素となります。
情報を「広告・発信」する仕事
制作されたコンテンツを広く世の中に届け、またはコンテンツを通じてクライアントの商品やサービスを周知させるのが、広告や発信に関わる仕事です。
広告代理店の営業職やメディアの広告部門などが含まれます。
彼らの役割は、単にコンテンツを流すだけでなく、そのコンテンツが持つ影響力を最大限に活用し、企業やブランドの価値を高めることです。
クライアントの課題を聞き出し、最適なプロモーション戦略を立案・実行します。
市場のトレンドを読み解く力と、クライアントの要望に応える提案力と交渉力が求められ、成果が数字として明確に出るため、常に結果を意識しながら活動します。
【マスコミ業界はきついのか】マスコミ業界の主な職種
記者・編集者
新聞社や出版社、ウェブメディアなどで、記事やコンテンツの取材・執筆・編集を行うのが記者・編集者です。
記者は、主にニュースの現場で情報を集め、記事として速報性を重視して執筆します。
一方、編集者は、企画立案から原稿の発注、ライターやデザイナーとの調整、校正作業まで、コンテンツ制作の全工程を管理します。
いずれも、文章力や取材力はもちろんのこと、社会に対する強い関心と、正確な情報を伝えるという使命感が求められる職種です。
特に締め切り前は多忙を極めることが多く、時間との戦いになることも少なくありません。
ディレクター・プロデューサー
テレビやラジオ、映像制作会社などで、番組やコンテンツの制作全体を統括するのがディレクターとプロデューサーです。
プロデューサーは、企画の立ち上げから予算管理、スタッフや出演者の選定など、プロジェクトの経営面を担います。
一方、ディレクターは、現場での演出や指示、撮影・編集の実務を指揮し、コンテンツの品質を直接左右します。
一つの番組や作品を世に送り出すため、強力なリーダーシップと、予期せぬトラブルにも対応できる柔軟性が不可欠です。
営業・広報
広告代理店や各マスメディアの営業部門では、企業や団体の広告出稿を促すための活動を行います。
媒体の特性を理解し、クライアントのマーケティング戦略に合わせた提案を行うことが主な仕事です。
高いコミュニケーション能力と、目標達成に向けた粘り強い交渉力が求められます。
また、広報職は、自社の活動やコンテンツを社会に正確に伝える役割を担い、プレスリリース作成やメディア対応などを通じて、良好な関係構築に努めます。
会社の「顔」として、迅速かつ誠実な対応が求められる重要なポジションです。
アナウンサー・出演者
テレビやラジオで、ニュースを伝えたり、番組を進行したりするアナウンサーやタレントもマスコミ業界の重要な職種です。
彼らは、正確な情報伝達スキルや分かりやすい表現力はもちろんのこと、視聴者を引きつける魅力や高い好感度が求められます。
特にアナウンサーは、生放送など突発的な状況下でも、冷静に対応し、正確な言葉遣いで情報を伝えるプロフェッショナルです。
表舞台に立つため華やかに見えますが、その裏では発声練習や原稿読み込みといった地道な努力を重ねています。
【マスコミ業界はきついのか】マスコミ業界がきついとされる理由
不規則で長時間になりがちな労働時間
マスコミ業界がきついと言われる最大の理由の一つは、その労働時間の特性です。
特に報道や制作の現場では、ニュースは時間を選ばず発生するため、深夜や早朝の勤務、あるいは休日出勤が常態化しやすい傾向にあります。
番組制作や記事の締め切りが迫ると、徹夜や長時間労働も珍しくありません。
また、生放送やイベント対応など、定められた時間に業務を遂行する必要があるため、プライベートな予定を立てにくいという側面があり、体力的な消耗が激しくなります。
常に世間の注目に晒されるプレッシャー
マスコミが発信する情報は、社会に大きな影響力を持つため、その内容には極めて高い正確性と倫理観が求められます。
少しでも誤った情報や不適切な表現があれば、瞬時に批判の対象となり、個人の責任問題に発展することもあります。
このような世間の厳しい目線に常に晒されているというプレッシャーは、精神的に大きな負担となり得ます。
視聴率や発行部数といった数字もシビアに問われるため、常に成果を出し続けなければならないという緊張感もつきまといます。
人間関係の複雑さと競争の激しさ
コンテンツ制作は、多くの関係者との連携によって成り立っています。
ディレクター、カメラマン、技術スタッフ、出演者、スポンサーなど、様々な立場の人たちと密にコミュニケーションを取り、時には厳しい意見交換をしながら進める必要があります。
このため、人間関係の調整や板挟みになることも少なくありません。
また、人気職種であるため、社内での企画競争や昇進争いも激しく、常に自身の能力を証明し続ける必要があります。
実力主義の側面が強いため、結果が出なければ厳しい評価を受けることもあります。
テクノロジーの進化と変化への対応
近年、インターネットやSNSの普及により、情報伝達のスピードが格段に上がり、多様なメディアが登場しています。
マスコミ業界は、この急激な技術革新と市場の変化に常に対応していかなければなりません。
従来のビジネスモデルや制作手法が通用しなくなりつつある中で、新しいプラットフォームへの対応やデジタルコンテンツの企画・開発といった未経験の領域にも積極的に挑戦し続ける必要があります。
変化への適応力が求められる一方で、その過程で大きなストレスや業務量の増加が生じることがあります。
【マスコミ業界はきついのか】マスコミ業界の現状・課題
デジタル化の波と収益モデルの変革
インターネットやスマートフォンの普及により、ニュースやエンターテイメントの消費方法が大きく変化しました。
特に若年層のテレビや紙媒体からの離脱が進み、既存のマスコミ企業の収益モデルである広告収入や発行部数が軒並み減少傾向にあります。
このため、各社は、ウェブニュースや動画配信サービスなどのデジタル領域への投資を強化し、サブスクリプションモデルの導入や新しい広告手法の開発といった、収益構造の変革が大きな課題となっています。
従来の強みを活かしつつ、いかにデジタル時代に対応したコンテンツを生み出せるかが問われています。
信頼性の維持とフェイクニュースへの対応
情報の拡散スピードが速まるにつれ、誤情報やフェイクニュースが社会に混乱をもたらすケースが増えています。
社会に大きな影響力を持つマスコミ業界にとって、情報の正確性に対する信頼をいかに維持するかが、以前にも増して重要な課題となっています。
特にSNSなど個人の発信力が強まった現代において、プロのメディアとしての高い倫理性と事実確認の徹底が求められます。
迅速な報道と正確性の両立は、常にマスコミ業界が抱えるジレンマであり、人材育成やチェック体制の強化が急務です。
働き方改革と次世代人材の確保
マスコミ業界の長時間労働は以前から問題視されてきましたが、近年は働き方改革の推進により、労働環境の改善が求められています。
しかし、報道の即時性や制作の特性上、業務の効率化には限界があるのも事実です。
企業側は、業務フローの見直しやデジタル技術の活用による生産性向上に取り組んでいますが、その道のりは容易ではありません。
また、厳しい労働環境のイメージから、優秀な若手人材の確保が難しくなっている側面もあり、業界全体の魅力を高める努力が求められています。
【マスコミ業界はきついのか】マスコミ業界に向いている人
強い好奇心と探求心を持ち続けられる人
マスコミの仕事は、世の中の「今」を切り取り、伝えることです。
そのため、政治、経済、文化、エンタメなど、あらゆる分野に対して尽きることのない好奇心を持ち、物事の裏側や本質を探求する意欲がある人は、この業界に向いています。
単なる出来事を追うだけでなく、「なぜそうなるのか」「これは社会にどのような影響を与えるのか」と深く考え、徹底的に調べ上げる姿勢が、質の高いコンテンツを生み出す源泉となります。
ストレス耐性がありタフな精神力を持つ人
前述したように、マスコミ業界は労働時間が不規則になりがちで、締め切りや視聴率のプレッシャーも大きい環境です。
そのため、肉体的・精神的なタフさは必須条件と言えます。
想定外のトラブルやアクシデントが発生しても、冷静に対処し、逆境を乗り越えられるようなストレス耐性が求められます。
また、自分の企画や制作物が世間に厳しく評価されることに対しても、落ち込みすぎずに次への糧にできるポジティブな精神力が必要です。
コミュニケーション能力と人間力を兼ね備える人
マスコミの仕事は、取材対象者やクライアント、そして社内の多様なスタッフとの連携なしには成り立ちません。
相手の懐に入り込み、本音を聞き出す高いコミュニケーション能力はもちろんのこと、信頼関係を築ける人間力が重要になります。
様々な背景を持つ人々と円滑に協力し、チームとして一つの目標に向かって進める調整能力も、プロデューサーやディレクター職を目指す上では特に不可欠な要素です。
【マスコミ業界はきついのか】マスコミ業界に向いていない人
安定志向が強く変化を好まない人
マスコミ業界は、ニュース速報や緊急事態への対応、そしてデジタル化の波による常に変化し続ける環境です。
そのため、「毎日決まった時間に決まった仕事がしたい」「安定した働き方を最優先したい」といった安定志向が強すぎる人には、適応が難しいかもしれません。
予期せぬ事態への対応や、新しい技術、ビジネスモデルへの挑戦が求められるため、ルーティンワークを好む人にとってはストレスが大きいでしょう。
完璧主義で融通が利かない人
コンテンツ制作は、予算や時間、現場の状況など、様々な制約の中で進められます。
当初の理想通りに進まないことや、妥協点を見つけなければならない状況が頻繁に発生します。
細部にこだわりすぎる完璧主義な姿勢は、制作のスピードを遅らせ、チーム全体の進行を妨げることがあります。
状況に応じて柔軟に対応し、臨機応変に動ける融通の利く姿勢が求められるため、すべてを計画通りに進めたい人には向いていません。
公私の区別を明確にしたい人
マスコミ業界の仕事は、しばしば仕事とプライベートの境界線があいまいになりがちです。
特に報道関係の職種では、事件やニュースが発生すれば、休日や深夜でも対応が求められることがあります。
仕事に強い情熱を持ち、それが生活の一部となっている人も多い一方で、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と明確に区別したい人にとっては、精神的な負担となる可能性があります。
突発的な業務に対応できる覚悟が必要です。
【マスコミ業界はきついのか】マスコミ業界に行くためにすべきこと
業界・職種研究を徹底し、具体的な目標を持つ
マスコミ業界と一口に言っても、新聞、テレビ、出版、広告など、業種によって仕事内容や文化は大きく異なります。
また、同じ企業内でも、記者、編集、制作、営業といった職種で求められるスキルや働き方は全く違います。
まずは自己分析を通じて自分が本当にやりたいことは何かを明確にし、その上で各業種・職種の研究を徹底的に行いましょう。
具体的な企業名や部署名、携わりたいコンテンツなどを目標として持つことで、選考対策が明確になります。
自身の「発信力」を磨く具体的な行動を起こす
マスコミは「情報を発信するプロ」の集団です。
単に情報を「知っている」だけでなく、「分かりやすく伝える」能力が求められます。
大学でのレポートやプレゼンテーションはもちろんのこと、SNSやブログ、動画制作など、何らかの形で情報発信を実践してみましょう。
そこで得たフィードバックや経験は、面接での強力なアピールポイントになります。
自分の言葉で論理的に説明する訓練を日頃から積むことが重要です。
経験から得た「独自の視点」と「人間力」をアピールする
マスコミ業界の採用では、学歴や資格以上に、個人の持つ独自の視点や人間力が重視されます。
アルバイト、サークル活動、ボランティア、留学など、学生時代に力を入れた経験を通じて、あなたが何を考え、どのように行動したのかを具体的に語れるようにしましょう。
特に、困難に立ち向かった経験や、多様な人々と協働した経験は、現場での問題解決能力やコミュニケーション能力を裏付ける強力な材料となります。
まとめ
マスコミ業界は、「きつい」というイメージが先行することもありますが、それは社会に影響を与えるという仕事の重さと、常に最前線で情報を追うという特性からくるものです。
しかし、それ以上に、自分の企画や制作物が世の中に感動や影響を与え、社会を動かす瞬間に立ち会える大きなやりがいがあることも事実です。
この記事を通じて、あなたがマスコミ業界のリアルな姿を理解し、その厳しさと魅力を知る一助となれば幸いです。
もし、あなたの心の中で「それでも挑戦したい」という情熱が消えないのなら、徹底的な自己分析と業界研究を通じて、ぜひその夢に向かって一歩を踏み出してください。
あなたの情熱と独自の視点は、必ずこの業界で求められる力になるでしょう。