
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就職活動を進める中で、企業の採用サイトや説明会で抱いたキラキラしたイメージと、実際の面接で感じた現場の雰囲気にギャップを覚えることは少なくありません。
面接を終えた帰り道、「思ってたのと違う」とモヤモヤした気持ちになる経験は、多くの就活生が一度は通る道です。
この違和感を放置したまま選考を進めて良いのか、それともきっぱりと辞退すべきなのか、判断に迷うことも多いでしょう。
この記事では、そんな時にどう対処すれば失敗しない選択ができるのか、具体的な理由や行動指針について解説していきます。
面接を受けて「思ってたのと違う」と悩むことはある
会社を実際に訪れてみて、事前に抱いていたイメージと現実が異なると感じるのは、決してあなただけの特別なことではありません。
企業は採用ページや広告で、自社の最も魅力的な部分を切り取って見せているため、多少の演出が含まれているのは自然なことです。
しかし、実際に働く社員の表情やオフィスの空気感といった「生の情報」は、直接足を運んでみないと決して分かりません。
もし面接で強い違和感を抱いたとしても、それはあなたの観察眼が正常に働いている証拠であり、自分を守るための重要なシグナルです。
大切なのは、その感覚を「気のせいだ」と無視して無理に自分を納得させるのではなく、なぜ違うと感じたのかを冷静に分析することです。
その違和感の正体を突き止めることで、入社後のミスマッチを未然に防ぐことができます。
自分の直感を信じつつ、客観的な視点も持って判断していきましょう。
面接で「思ってたのと違う」となるケース
違和感の正体を知ることは、冷静な判断を下すための第一歩です。
単に「なんとなく嫌だ」で終わらせるのではなく、具体的に何が想定と異なっていたのかを分類してみましょう。
多くの場合、それは面接官の態度、オフィスの雰囲気、あるいは提示された業務内容のいずれかに起因します。
ここでは、就活生がよく直面する代表的な3つのケースについて詳しく解説します。
これらに当てはまるかどうかを確認し、自分の状況と照らし合わせてみてください。
圧迫面接気味だった
面接官の態度が高圧的だったり、こちらの回答を否定するような質問を繰り返されたりして、嫌な気分になることがあります。
企業側がストレス耐性を見るために意図的に行っている場合もありますが、単に社風が威圧的である可能性も否定できません。
このような時、自分が緊張して萎縮してしまっただけなのか、それとも相手の言い方に理不尽な問題があったのかを区別することが大切です。
もし面接官が終始不機嫌で、あなたの話を聞く姿勢が見られなかった場合、入社後もパワハラ気質な環境で働くことになるリスクがあります。
一方で、論理的な思考力を試すために厳しい深掘りをしているだけのケースもあります。
その場の空気が単に厳格でプロフェッショナルなものだったのか、それとも人格を否定するような悪意を感じたのか、冷静に振り返ってみましょう。
面接官が疲れ切っている
面接に出てきた社員の顔色が優れず、どこか疲れ切っているように見えた場合も注意が必要です。
採用活動は企業の未来を作る重要な業務であり、本来であれば意欲的な社員が担当することが多いものです。
そこに元気のない社員が出てくるということは、現場の業務量が過多で余裕がなく、採用活動にまで手が回っていない可能性があります。
仕事に対する熱意や楽しさが伝わってこない場合、その会社全体が疲弊しているかもしれません。
また、面接官の身だしなみが乱れていたり、あくびを噛み殺していたりする様子が見られたら、労働環境に問題があるサインかもしれません。
これから一緒に働くことになる人が、生き生きと仕事をしているかどうかは、あなた自身の将来の姿を映す鏡でもあります。
一人の様子だけで全てを判断するのは早計ですが、複数の社員が同様の様子であれば警戒が必要です。
業務内容にギャップがある
求人票や事前の説明会で聞いていた業務内容と、面接で具体的に説明された仕事内容に大きなズレがあるケースです。
例えば、企画職として応募したのに、実際は数年間の営業研修が必須であると言われたり、希望していたプロジェクトが既に縮小していたりすることがあります。
この「聞いていた話と違う」というギャップは、入社後のモチベーション低下や早期離職に直結する非常に大きな問題です。
企業側が意図的に情報を隠していたわけではなくても、現場と人事の間で認識の相違がある場合もあります。
面接の場で詳細を聞いてみて、自分がやりたいこととあまりにかけ離れていると感じたら、その直感は正しいことが多いです。
入社してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、具体的な業務フローや一日のスケジュールなどを逆質問し、詳細を確認しておくことが重要です。
面接で「思ってたの違う」の後にすべきこと
面接で感じたモヤモヤをそのまま放置して選考を進めるのは非常に危険です。
かといって、すぐに辞退を決めるのも早計かもしれません。
まずは、その違和感がどこから来ているのかを冷静に分析し、客観的な事実に基づいて判断するプロセスが必要です。
感情だけで動くのではなく、いくつかのステップを踏むことで、その企業が本当に自分に合わないのか、それとも一時的な印象に過ぎないのかが見えてきます。
ここでは、違和感を覚えた後に具体的に取るべき行動を紹介します。
違和感を言語化する
なんとなく違うと感じたその正体を、具体的な言葉にしてノートなどに書き出してみましょう。
オフィスの整理整頓がされていなかったのか、社員同士の挨拶がなかったのか、あるいは面接官の言葉遣いが気になったのか、要因は様々です。
漠然とした不安のままにしておくのではなく、何が引っかかったのかを明確にすることで、それが自分にとって絶対に譲れないポイントなのかどうかを判断できます。
例えば、活気がないことが気になったのであれば、あなたは静かな環境よりも賑やかな職場を求めているのかもしれません。
このように違和感を掘り下げることは、自分の仕事選びの軸を再確認する良い機会になります。
書き出してみることで、一時の感情によるものなのか、それともあなたの価値観と企業の文化が根本的に合わないのかが見えてくるはずです。
口コミも確認する
自分が感じた違和感が正しいかどうかを確かめるために、就職情報サイトや転職会議などの口コミサイトを利用して情報を集めましょう。
そこで、「社風が体育会系で合わない」「常に激務で社員が疲れている」といった、あなたが面接で感じた印象と合致する書き込みが多く見られるなら、その違和感は的確だった可能性が高いです。
外部の評価と自分の感覚を照らし合わせる作業は非常に有効です。
ただし、ネット上の情報は退職者によるネガティブな意見に偏りやすいため、全てを鵜呑みにするのは危険です。
複数の情報源を比較し、客観的な事実と主観的な意見を分けて考える必要があります。
もしOB訪問などが可能であれば、実際に働いている先輩に、面接で感じた懸念点について率直に聞いてみるのも良い手段です。
リアルな声を聞くことで、より精度の高い判断ができます。
辞退するのもあり
検討を重ねた結果、どうしても不安が拭えないのであれば、選考を辞退することも立派な選択肢であり、勇気ある決断です。
内定を得ることだけが就活のゴールではありません。
自分に合わない環境に入社してしまうと、早期離職につながり、結果的にキャリアに傷がつく可能性もあります。
違和感を無視して入社するよりも、別の企業に目を向ける方が、長い目で見てあなたの幸せにつながります。
辞退する際は、社会人としてのマナーを守って丁重に連絡を入れれば問題ありません。
理由を詳しく伝える必要はなく、「一身上の都合」として伝えても大丈夫です。
違和感を抱えたまま無理に進むよりも、一度立ち止まって他の可能性を探る方が、良い結果につながることが多いです。
就活は企業があなたを選ぶだけでなく、あなたが企業を選ぶ場でもあります。
自分の感覚を大切にしてください。
面接で「思ってたのと違う」で気をつけること
違和感に従って辞退する場合も、逆に思い直して選考を続ける場合も、判断を誤らないための注意点がいくつかあります。
人間の感覚は鋭いものですが、時には目先の条件やたった一つの出来事によって、全体像を見誤ってしまうこともあるからです。
特に、就活の疲れや焦りがある時期は、冷静な判断ができなくなりがちです。
ここでは、面接後の判断において陥りやすい思考の罠や、避けるべき極端な判断基準について解説します。
条件面だけで企業を判断するのは危険
給与や福利厚生などの条件が良いからといって、面接で感じた違和感に蓋をしてしまうのはお勧めできません。
確かに待遇は重要ですが、毎日の多くの時間を過ごす職場の雰囲気や人間関係が合わなければ、仕事を長く続けることは精神的に難しくなります。
条件面はあくまで要素の一つであり、自分の肌感覚も同じくらい重要な判断材料です。
お金や休みは大切ですが、それだけで心の健康は買えません。
高い給与が提示されていても、それが極度の激務の対価である場合や、離職率が高いために条件を良く見せている場合もあります。
「給料が良いから我慢しよう」と考えて入社しても、結局環境に馴染めずに辞めてしまっては元も子もありません。
数字で表れる条件だけでなく、面接で感じた空気感や社員の人柄といった定性的な情報も加味して、総合的に判断することが大切です。
たった一人の面接官で判断もNG
たまたま担当になった面接官との相性が悪かっただけで、会社全体を否定してしまうのはもったいないことです。
大きな組織であればあるほど、多様な人が働いており、部署によって雰囲気も全く異なることがあります。
たった一人の面接官の態度が悪かったからといって、その企業の全ての社員が同じような人だとは限りません。
サンプル数「1」で全てを決めつけるのは機会損失になるかもしれません。
もしその企業の事業内容などに興味が残っているなら、別の社員と話す機会を作ってもらえないか人事担当者に相談してみるのも一つの方法です。
次の面接ステップに進んで、他の面接官や現場の社員と接してみることで、印象がガラリと変わることも珍しくありません。
判断材料を増やすためにも、一度の違和感だけで即決せず、もう少し深掘りしてみる姿勢も時には必要です。
面接での違和感を仕分けするチェックリストを活用しよう
最後に、あなたの感じた違和感を客観的に評価するためのチェックリストを用意しました。
記憶が鮮明なうちに、面接時の状況を振り返りながら確認してみてください。
これらの項目に多く当てはまる場合、その企業は慢性的な問題を抱えている可能性があります。
逆に、一つや二つであれば、改善の余地があるか、許容範囲内かもしれません。
自分の感覚を可視化することで、迷いを断ち切り、自信を持って次のアクションへ進むための助けとして活用してください。
面接「違和感」仕分けチェックリスト
気になった項目にチェックを入れてください。「危険信号」か「要確認」かを判断します。
1. 面接官の態度・マナー
2. 労働条件・仕事内容の説明
3. オフィス・社員の雰囲気
■ 赤色の【危険信号】に1つでもチェックが入った場合
→ 辞退を強く検討してください。企業の「体質」や「倫理観」に関わる問題です。
■ 青色の【要確認信号】のみの場合
→ まだ「保留」です。次回の面接やオファー面談で、懸念点を具体的に質問して確かめましょう。
おわりに
面接で「思ってたのと違う」と感じることは、決して悪いことではありません。
それはあなたが企業を真剣に見極めようとしている証拠であり、自分に合った職場を見つけるための重要なステップです。
違和感を無視せず、その原因を深く掘り下げることで、より納得感のある就職活動ができるようになります。
もし迷った時は、この記事で紹介したチェックポイントを振り返り、第三者の意見も参考にしながら慎重に考えてみてください。
自分を偽ってまで入社する必要はありません。
あなたの価値観に合い、前向きに働ける場所は必ずあります。
自分の感覚を信じて、後悔のない選択ができるよう応援しています。