
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
メーカーと聞くと、どのような仕事をイメージされるでしょうか。
研究開発や生産ラインでの作業といった、ものづくりに直接関わる仕事が思い浮かぶかもしれません。
しかし、メーカーの仕事はそれだけではありません。
製品が生まれてからお客様の手に渡るまでには、実に多様な職種の人々が関わっています。
本記事では、メーカーでの活躍を目指す就活生の方々に向けて、メーカーで働く様々な職種を文系・理系といったバックグラウンドや仕事内容ごとに徹底解説いたします。
この記事を通じて、ご自身の適性や興味に合った仕事を見つけるヒントを得ていただければ幸いです。
【メーカー職種】メーカーで活躍する職種一覧
メーカーの仕事は、自動車、食品、化学、電機など、扱う製品や規模によって大きく異なりますが、職種の観点から見ると、ものづくりを支える共通した役割が存在します。
製品の企画から開発、製造、そして販売に至るまで、各プロセスにおいて専門的な知識やスキルを持った人材が連携を取りながら、高品質な製品を生み出しています。
この章では、メーカーの主要な職種を網羅的にご紹介し、それぞれの役割やメーカー内での位置づけを概観します。
ご自身のスキルやキャリアプランに合う職種を見つけられるよう、具体的に解説していきます。
技術職
メーカーの根幹をなすのが技術職です。
新しい製品を生み出す研究開発から、製品を大量かつ効率的に作り出す製造プロセスの構築まで、ものづくりを技術的な側面からリードする非常に重要な役割を担います。
一般的に理系の専門知識が求められることが多く、自身の学んだ知識や技術を活かして、製品の品質向上やコストダウン、生産性向上に貢献します。
この章では、技術職の中でも特にメーカーで重要な役割を持つ「生産技術職」と「製造職」に焦点を当て、それぞれの仕事内容や求められるスキルを詳しく解説していきます。
生産技術職
生産技術職は、研究開発部門が生み出した製品を、実際に工場で効率的かつ安定的に生産するための仕組みを作る職種です。
具体的には、製品の品質基準を満たしつつ、いかにコストを抑えて、安全に、大量に作り出すかという課題を解決します。
生産ラインの設計、必要な設備・機械の選定や導入、そしてその設備が最高のパフォーマンスを発揮できるよう改善していくことが主な業務です。
例えば、新しいロボットアームを導入して作業時間を短縮したり、不良品が出る原因を特定し、製造プロセスのパラメータを微調整したりします。
この仕事には、機械工学や電気工学といった工学的な知識に加え、生産効率を最大化するための論理的な思考力や、現場の作業員と円滑にコミュニケーションを取り、改善活動を進めるためのヒューマンスキルが不可欠です。
生産技術職は、メーカーの競争力を高める上で欠かせない、ものづくりの心臓部とも言える重要な役割を果たしています。
製造職
製造職は、生産技術職が設計したプロセスやラインに基づき、工場や製造現場で実際に製品を組み立てたり、加工したりする役割を担います。
単に手を動かすだけでなく、決められた手順に従って高品質な製品を安定的に作り続けることが求められます。
具体的には、機械の操作、原材料の投入、製品の組み立て、検査・検品作業などがあります。
また、日々の作業の中で、わずかな機械の異常や製品の品質変化に気づき、それを改善へとつなげる報告・提案を行うことも重要な仕事です。
製造現場は、製品の最終的な品質を決定づける場所であり、一つ一つの作業の正確さが企業の信頼に直結します。
そのため、安全規則の遵守は絶対条件であり、細部にまで注意を払う集中力と、チームメンバーと協力して作業を進める協調性が求められます。
製造職は、メーカーのものづくり精神を体現する、現場のスペシャリストと言えるでしょう。
【メーカー職種】文系も活躍できる職種とは
メーカーの仕事は理系だけのものだと思われがちですが、実際には文系の知識やスキルを活かせる職種が非常に多く存在します。
製品を市場に送り出し、お客様に届けるためには、ビジネス、経済、法律、人といった側面から組織を支える役割が不可欠です。
市場のニーズを読み解き、製品の価値を伝え、企業としての基盤を強固にするこれらの職種は、メーカーの成長を裏側から支える重要なエンジンとなります。
この章では、特に文系出身者が強みを発揮しやすい「営業職」「企画職」「調達・購買職」に焦点を当て、それぞれの仕事内容と求められる能力を深掘りしていきます。
営業職
メーカーにおける営業職は、自社の製品や技術を顧客に提案し、販売することで企業の収益を支える役割を担います。
単にモノを売るだけでなく、顧客の抱える課題を深く理解し、自社製品を通じてその解決策を提供することがミッションとなります。
例えば、産業機械メーカーの営業であれば、顧客工場の生産性を高めるための最適な設備導入を提案し、食品メーカーの営業であれば、小売店の販売戦略に合わせた製品の陳列やプロモーションを企画します。
求められるスキルは多岐にわたり、製品に関する専門知識はもちろん、顧客との信頼関係を築くための高いコミュニケーション能力、市場の動向を分析する能力、そして目標達成に向けた強い意志と粘り強さが必要です。
企業の顔として、顧客の要望を社内の開発や製造部門にフィードバックし、製品改善の起点となる重要なポジションでもあります。
文系の学びである経済学や心理学、そして何よりも人との関わりを大切にする姿勢が活きる職種と言えます。
企画職
企画職は、メーカーの未来を形作る戦略家とも言える存在です。
市場の動向、競合他社の動き、そして潜在的な顧客ニーズを深く分析し、「次にどんな製品を作るべきか」「どうやってその製品を市場に投入するか」という事業の根幹に関わる計画を立てます。
具体的には、新製品のコンセプト立案、ターゲット顧客の設定、販売価格の決定、プロモーション戦略の策定などを行います。
特に製品企画においては、営業、研究開発、製造、マーケティングといった様々な部門と連携を取りながら、プロジェクト全体をリードしていく調整能力が不可欠です。
アイデアを生み出す創造性はもちろん、そのアイデアが事業として成立するかを冷静に判断する論理的思考力と、データに基づいた分析力も求められます。
文系出身者は、市場や消費者の行動をマクロな視点から捉える能力や、多角的な情報を整理し、分かりやすくプレゼンテーションする能力で強みを発揮しやすい職種です。
調達・購買職
調達・購買職は、製品の原材料、部品、設備などを、必要な品質、量、納期で、可能な限り低コストで仕入れる役割を担います。
メーカーの原価の大半を占める「材料費」をコントロールする、企業の利益に直結する非常に重要な仕事です。
主な業務は、国内外のサプライヤー(供給業者)の選定と交渉、契約締結、そして安定供給のための関係構築です。
単に安く買うだけでなく、サプライヤーの技術力や安定性を評価し、災害時などのリスクに備えた多角的な調達戦略を立てる能力も求められます。
また、開発部門や製造部門と連携し、より良い部品や材料を提案するなど、製品開発の初期段階から関わることもあります。
文系の知識としては、契約に関する法務の知識や、グローバルなサプライチェーンを管理するための国際経済の知識などが活かされます。
高い交渉力、市場分析力、そして倫理観を持って公平に取引を進める誠実さが求められる、プロフェッショナルな職種です。
【メーカー職種】技術系職種について徹底解説
技術系職種は、メーカーの生命線であり、革新的な製品を生み出す源泉です。
これらの職種は、物理学、化学、情報科学、工学など、特定の専門分野の深い知識と、それを応用する能力が求められます。
単に既存の技術を使うだけでなく、世界にまだない新しい技術を創造し、それを製品として実現するための試行錯誤を繰り返します。
この章では、メーカーの技術的な中核を担う「研究開発」「設計」「品質保証」の三つの職種に焦点を当て、それぞれの具体的な業務内容、メーカー内での役割、そして求められる専門性を徹底的に解説いたします。
理系学生の方々にとっては、自身の専門性をどのように活かせるかの具体的なイメージを持つ手助けとなるでしょう。
研究開発
研究開発職(R&D)は、メーカーの技術的な未来を創る役割を担います。
研究は、基礎的な理論や新素材、新しい技術原理など、将来の製品の種となる可能性を探求する活動です。
一方、開発は、研究で見つかった技術の種を、実際に製品として市場に出せる形にするために、具体的な応用技術や試作品を作る活動を指します。
例えば、電池メーカーであれば、よりエネルギー密度の高い新材料を探索するのが研究、その材料を用いて実用可能な電池セルを試作するのが開発といった具合です。
常に最新の学術論文や技術動向にアンテナを張り、長期的な視点を持って未知の領域に挑む探求心が必要です。
求められるのは、専門分野における深い知識と、失敗を恐れずに仮説と検証を繰り返す論理的なアプローチ、そして新しいアイデアを生み出す発想力です。
メーカーの競争力を左右する、非常に創造的で重要な職種です。
設計
設計職は、研究開発部門が生み出した技術やアイデアを、実際に量産可能な製品のカタチにする役割を担います。
顧客のニーズ、コスト、安全性、そして製造のしやすさといった多様な制約条件の中で、製品の構造、機能、そして美しさを具現化します。
具体的な業務には、CAD(コンピュータ支援設計)を用いた図面作成、シミュレーションによる強度や性能の検証、試作品の作成と評価、そして不具合点の改善などが含まれます。
例えば、自動車メーカーであれば、エンジンの部品配置から車体の空力性能まで、あらゆる要素を詳細に設計します。
設計においては、単に機能を満たすだけでなく、製造現場がスムーズに作業できるような工夫(生産性の考慮)や、コストを抑えるための材料選定(調達部門との連携)など、関連部門との密接な協力が不可欠です。
専門的な工学知識に加え、制約の中で最良の解を見つけ出す問題解決能力と、細部までこだわり抜く緻密さが求められます。
品質保証
品質保証職は、製品が世に出る前、そして出た後も、決められた品質基準と安全性を満たしているかを保証する役割を担います。
製品の信頼性を守る最後の砦とも言える非常に重要な職種です。
主な業務は、製品の検査体制の構築、品質基準の設定、製造プロセスや原材料の品質チェック、そして万が一製品に不具合が発生した場合の原因究明と再発防止策の策定です。
例えば、食品メーカーであれば、原材料の衛生管理から最終製品の賞味期限テストまで、厳格な基準で管理します。
品質保証は、単なる検査だけでなく、製品設計や製造プロセスに対して品質向上のための改善提案を行うなど、全社的な品質意識を高める活動にも関わります。
専門知識に加え、客観的かつ厳格な視点、そして顧客や社会に対する強い責任感が求められます。
企業のブランドイメージと信頼を直接的に支える、非常にプレッシャーとやりがいのある職種です。
【メーカー職種】ものづくりの現場を支える職種について徹底解説
メーカーにおいて、「ものづくり」を滞りなく、かつ効率的に進めるためには、現場の活動をマネジメントし、支える様々な役割が不可欠です。
これらの職種は、製品の企画や開発のように目立つことは少ないかもしれませんが、原材料の入荷から最終製品の出荷まで、サプライチェーン全体を円滑に機能させる上で極めて重要な役割を果たします。
製造部門と密接に連携し、時には物流や購買といった部門とも協力しながら、製品が時間通りに、最高の状態で顧客に届けられるよう全体を調整します。
この章では、ものづくりの現場を支えるキーパーソンである「生産管理」「設備保全」「物流・供給チェーン管理」の職種について、その重要な役割を解説します。
生産管理
生産管理職は、いつ、何を、いくつ、どこで作るかという、生産活動の全体像をマネジメントする「工場の司令塔」のような役割を担います。
営業部門からの受注情報や市場予測に基づき、生産計画を立案し、その計画通りに製品が作られるよう、原材料の調達、人員の配置、機械の稼働状況などを調整します。
主なミッションは、納期遅延を防ぎつつ、過剰在庫を抱えないよう最適な生産量を維持することです。
具体的には、生産スケジュールの作成、進捗のチェックと遅延発生時のリカバリー対応、そして生産性の向上のための改善提案などを行います。
様々な部門との調整役となるため、高いコミュニケーション能力と、突発的な問題にも冷静に対応できるロジカルな問題解決能力が求められます。
企業の利益を最大化するために、常に全体最適な視点を持つことが重要な職種です。
設備保全
設備保全職は、製品を製造する工場内の機械や設備が、常に最高のパフォーマンスで稼働し続けられるように維持・管理する役割を担います。
故障を未然に防ぐための計画的な点検(予防保全)や、万が一故障が発生した場合の迅速な修理・復旧対応が主な業務です。
高度な自動化が進む現代の工場において、設備の停止はそのまま生産ラインの停止と直結し、企業の損失に繋がります。
そのため、設備保全職はメーカーの生産活動を支える上で、極めて重要な役割を担っています。
電気、機械、油圧、空圧といった幅広い専門知識に加え、故障の原因を特定するための鋭い観察力と診断能力が求められます。
また、生産技術部門と連携し、設備の改善提案を行うことで、生産性の向上にも貢献します。
現場の技術を支える、縁の下の力持ち的な存在です。
物流・供給チェーン管理
物流・供給チェーン管理(SCM:Supply Chain Management)職は、製品の原材料調達から、製造、在庫管理、そして最終製品が顧客に届くまでの全ての一連の流れを最適化する役割を担います。
単にモノを運ぶだけでなく、情報を管理し、コストを最小限に抑えつつ、顧客満足度を最大化するための戦略を立案・実行します。
具体的な業務としては、最適な輸送ルートの選定、在庫レベルの管理、倉庫の効率的な運営、そして国内外の協力会社との連携などがあります。
近年のグローバル化により、海外のサプライヤーや顧客とのやり取りも増え、国際物流や貿易に関する知識も重要になってきています。
全体を見渡すマクロな視点と、複雑な情報を整理し、データに基づいて意思決定を行う分析力が求められます。
企業の競争優位性を高めるための重要な役割を担う、ダイナミックな職種です。
【メーカー職種】オフィス系の専門職も多い!
メーカーと聞くと、工場や研究室での仕事が主役と思われがちですが、組織全体の健全な運営と成長を支えるために、オフィス系の専門職も多数存在しています。
これらの職種は、直接ものづくりには関わりませんが、企業活動に必要な「ヒト・モノ・カネ・情報」といった経営資源を管理し、組織を円滑に機能させる役割を担います。
高い専門性が求められる職種であり、文系・理系を問わず、特定の分野に深い関心と知識を持つ人材が活躍しています。
この章では、メーカーの経営基盤を支える「人事・総務」「経理・財務」「法務・知財」の三つの専門職について、その具体的な仕事内容と重要性を解説します。
人事・総務
人事・総務職は、企業の最も重要な資産である**「人」と、組織の「環境」を支える役割を担います。
人事職は、採用活動、社員の評価制度の設計と運用、教育研修の企画・実施、そして給与計算や社会保険の手続きなど、社員の働きがいと能力開発に関わる全てを担います。
一方、総務職は、オフィス環境の整備、備品管理、社内イベントの企画・運営、そして株主総会の運営など、会社全体の庶務的な業務を一手に引き受けます。
社員が安心して、最大限の力を発揮できる環境を提供することがミッションです。
労働法や安全衛生に関する知識はもちろん、多様な社員の意見を聞き、公平かつ柔軟に対応する高いコミュニケーション能力と調整能力が求められます。
社員一人ひとりの成長と、企業の組織力強化に貢献する、やりがいのある仕事です。
経理・財務
経理・財務職は、企業の**「カネ」を管理し、経営判断を支える役割を担います。
経理職は、日々の取引の記録(仕訳)、月次・年次の決算書の作成、税金の計算と申告など、企業の過去から現在までの収支状況を正確に把握し、外部に報告する責任を持ちます。
一方、財務職は、将来の事業展開に必要な資金の調達(銀行融資や社債発行)、資金の運用、投資計画の立案など、企業の資金の流れをコントロールし、企業価値を高めるための戦略を担います。
正確性が命であり、簿記や会計基準、税法に関する深い知識が不可欠です。
また、経営層に対して財務状況を分かりやすく説明し、事業戦略に関する提言を行うための分析力とプレゼンテーション能力も求められます。
企業の経済的な健全性を保ち、成長を牽引する重要なポジションです。
法務・知財
法務・知財職は、企業活動を**「法律」と「知的財産」の側面から守る**役割を担います。
法務職は、契約書の作成・審査、コンプライアンス(法令遵守)体制の構築、訴訟やトラブルへの対応など、企業が法律を遵守し、リスクを回避するための活動を行います。
特にグローバルに事業展開するメーカーにおいては、各国・地域の法律に対応する能力が求められます。
知的財産職は、自社の技術やブランドを守るための特許、意匠、商標の出願・権利化、他社の権利侵害を防ぐための調査などを行います。
技術が競争力の源泉であるメーカーにとって、知的財産の適切な管理は企業の存続に関わるほど重要です。
法律に関する専門知識に加え、論理的思考力と、細部にわたる正確性、そして企業活動におけるリスクを予見する洞察力が求められます。
企業の成長を法的な側面から支える、守りのプロフェッショナルです。
【メーカー職種】自分に合う職種を見つけるポイント
メーカーには多様な職種があり、それぞれに求められるスキルや適性が異なります。
就職活動を成功させ、入社後のミスマッチを防ぐためには、ご自身の強み、興味、そして価値観を深く理解し、それと職種の特性を照らし合わせることが非常に重要です。
闇雲に企業を選ぶのではなく、まずは「自分は何が得意で、どんな仕事にやりがいを感じるのか」という自己理解を深めるよう努めましょう。
この章では、ご自身のバックグラウンドや内面的な要素から、メーカーの職種を選ぶための具体的な考え方と、職種理解を深めるための具体的な方法について解説いたします。
理系・文系の強みから職種を選ぶ考え方
メーカーの職種選びにおいて、自身の専攻が理系か文系かは、初期段階の大きな判断材料となります。
理系の方は、大学や大学院で培った専門知識や、実験・研究で身につけた論理的思考力、仮説検証能力を活かせる研究開発、設計、生産技術、品質保証などの技術系職種が主な選択肢になります。
一方で、理系の知識を活かしつつ、顧客との折衝や市場分析を行う技術営業といった職種も適性があります。
文系の方は、経済、経営、法律、語学といった知識や、ディスカッションやレポート作成で培ったコミュニケーション能力や論理構成力を活かせる営業、企画、人事・総務、経理・財務、法務などのオフィス・ビジネス系職種に強みがあります。
大切なのは、専攻に固執せず、ご自身の最も得意とするスキルが、その職種で求められる能力と一致しているかを見極めることです。
性格や価値観で向いている仕事を判断する視点
職種を選ぶ上で、ご自身の性格や仕事に対する価値観は、スキルの次に重要な判断基準となります。
例えば、「新しいものを作り出すことに喜びを感じる」方であれば、研究開発や企画職が向いているかもしれません。
「人と関わり、課題解決をサポートすることにやりがいを感じる」方であれば、営業職や人事職が適しているでしょう。
また、「一つのことを深く掘り下げ、正確にやり遂げるのが好き」であれば、品質保証や経理・財務、設計職などが考えられます。
仕事の進め方についても、「チームで協力して進めたいか」「個人で黙々と取り組みたいか」といった視点で判断することも有効です。
ご自身の「働く上での譲れない条件」や「どのような時に充実感を得るか」**を明確にし、職種の仕事内容や働き方と照らし合わせることで、入社後の満足度が高い職種を見つけることができます。
インターンやOB訪問での職種理解の深め方
職種の理解を深める最も効果的な方法は、実際にその仕事をしている人から直接話を聞くことです。
特にインターンシップは、その職種の具体的な業務内容や、職場の雰囲気、社員の方々の働き方を体験できる貴重な機会です。
単なる業務体験だけでなく、「なぜその仕事をしているのか」「仕事のやりがいは何か」といった本質的な部分に焦点を当てて質問することが重要です。
また、OB・OG訪問では、選考に関する情報だけでなく、その職種の「理想と現実のギャップ」や「どのようなスキルが実際に現場で役立っているか」など、記事や企業説明会では語られないリアルな情報を引き出すことができます。
これらの体験を通じて、「自分はこの仕事のどこに魅力を感じるのか」「この仕事を通じてどのような価値を提供したいのか」という、具体的な志望動機につながる気づきを得ることができます。
【メーカー職種】就活成功に繋げるには
メーカーの就職活動において、単に企業研究を行うだけでなく、職種に関する深い理解を持つことは、内定獲得の可能性を大きく高める重要な要素となります。
企業は、入社後に活躍し、長く貢献してくれる人材を求めています。
そのため、学生が「なぜその企業で、その職種を選んだのか」を明確に、かつ論理的に説明できることは、企業への適性と入社意欲を示す強力な証拠となります。
職種理解は、単に選考を突破するためだけでなく、ご自身のキャリアプランを明確にするためにも不可欠です。
この章では、職種理解を深めることが、就職活動の成功にどのようにつながるのか、具体的なメリットを解説いたします。
志望動機の説得力が大きく高まるため
職種を深く理解していることは、あなたの志望動機の説得力を格段に向上させます。
例えば、「ものづくりが好きだから御社を志望しました」という漠然とした志望動機では、面接官に響きません。
しかし、「私は大学での研究を通じて、生産技術の分野に大きな関心を持ち、特に御社の生産ラインの高い自動化技術に感銘を受けました。
入社後は、生産効率を〇〇%向上させるという具体的な目標を持って、その技術の最適化に貢献したいです」といった、企業と職種に特化した具体的な目標を交えた志望動機は、あなたの本気度と適性を強く印象づけます。
職種の専門用語や具体的な課題を織り交ぜることで、企業に対する真摯な研究姿勢と、入社後に何を成し遂げたいかという明確なビジョンを示すことができるのです。
職種別の選考ポイントが分かりやすくなるため
職種ごとの選考ポイントを把握することは、効果的な選考対策を可能にします。
例えば、研究開発職では、専門知識の深さや論理的な思考力、粘り強く研究に取り組む姿勢が重視されるため、研究内容を深く掘り下げて説明する準備が必要です。
一方、営業職では、コミュニケーション能力、課題解決能力、そして目標達成への意欲が重要視されるため、チームでの活動経験やアルバイトでの接客経験などを具体的なエピソードとして準備することが有効です。
職種ごとの特性を理解することで、面接やエントリーシートでアピールすべき自身の強みや、準備すべきエピソードを絞り込むことができます。
これにより、的外れなアピールを避け、選考官が求める人物像に合致した自己PRを展開することができるようになります。
入社後のミスマッチを防げるため
職種に関する深い理解は、入社後のミスマッチを未然に防ぐという、最も重要なメリットをもたらします。
就職活動で内定を獲得することがゴールではなく、入社後にその仕事を通じて充実したキャリアを築くことが真のゴールです。
「メーカーで働きたい」という思いだけで入社しても、実際に配属された職種の業務内容が想像と異なっていた場合、早期離職につながる可能性があります。
事前にインターンシップやOB訪問などを通じて、その職種の仕事の楽しさだけでなく、厳しさや大変さといったリアルな側面も含めて理解しておくことで、「この仕事なら大変なことがあっても乗り越えられる」という確信を持って入社を決意できます。
これは、企業にとっても、あなたにとっても、最良の結果をもたらす重要なプロセスです。
よくある質問(FAQ)
メーカーの職種について調べる人がよく思いつく質問をまとめました。
多くの人が抱く質問なので、確認していきましょう。
メーカーは文系でも研究開発に応募できますか?
一般的に、メーカーの研究開発職は、高度な専門知識が必要とされるため、理系の大学院修了者や、特定の分野を専攻した学部卒業者を対象としているケースがほとんどです。
化学、機械、電気・電子、情報科学などの専門分野の履修が応募条件となっていることが多いため、文系出身者が直接、研究開発職の採用選考に応募できる機会は非常に限られています。
しかし、例外的なケースとして、例えば製品の使いやすさやユーザー体験(UX)を研究する部門など、人文科学や社会科学の知見が求められる領域で文系出身者が採用される可能性はゼロではありません。
また、研究開発部門を支える企画管理系のポジションであれば、文系の専門知識を活かせる可能性があります。
まずは、応募を検討している企業の採用情報や募集要項を個別に確認し、応募資格を慎重に判断することが大切です。
技術職と生産技術職の違いがよく分かりません
技術職という言葉は、研究開発、設計、生産技術、品質保証など、メーカーの技術的な活動に関わる全ての職種を総称する広範なカテゴリーです。
その中に、生産技術職という特定の職種が含まれます。
具体的に違いを説明すると、設計職が「どのような製品を作るか」の図面を作成するのに対し、生産技術職は「その図面通りの製品を、工場でいかに効率的、低コスト、かつ安定的に作るか」という、製造プロセスや生産ラインの仕組みを構築・改善する役割を担います。
設計の段階で生産技術の知見を盛り込むことも多いため、両職種は密接に連携します。
つまり、技術職は技術部門の総称であり、生産技術職は「製造」という特定フェーズの技術的な最適化を専門とする、より具体的な職種であると理解してください。
メーカーで専門知識がなくても働ける職種はありますか?
はい、専門知識がなくても働くことができる、または入社後の研修で十分に知識を習得できる職種は多数あります。
特に文系出身者が活躍する営業職や企画職は、入社時点での理工系の深い専門知識が必須とされることは少ないです。
営業職であれば、製品知識は入社後に研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて習得し、それよりも顧客とのコミュニケーション能力や課題解決能力が重視されます。
また、人事・総務、経理・財務といったオフィス系の専門職も、大学での専攻以上に、入社後の資格取得や実務経験を通じて専門性を高めていくことが可能です。
メーカーでは、ものづくりの根幹を理解しようとする意欲と、新しい知識を貪欲に吸収していく姿勢が評価されますので、専門知識の有無以上に、ポテンシャルやヒューマンスキルをアピールすることが重要です。
まとめ
本記事では、メーカーで活躍する多岐にわたる職種について、その仕事内容や求められるスキルを詳しく解説いたしました。
メーカーの仕事は、最先端の技術を生み出す技術職から、製品を市場に届けるビジネス職、そして組織の基盤を支えるオフィス系専門職に至るまで、非常に多様であることがご理解いただけたかと思います。
就職活動を成功に導き、入社後のキャリアを実りあるものにするためには、ご自身の理系・文系というバックグラウンド、性格、そして価値観を深く掘り下げ、それぞれの職種が持つ特性と照らし合わせることが不可欠です。
本記事で得た知識を活かし、インターンシップやOB訪問などを通じて、ぜひ「自分にとって最適なメーカーの職種」を見つけてください。
あなたの就職活動の成功を心から応援しております。