
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
ルート営業への就職や転職を考えているものの、自分に向いているのかどうか不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
ルート営業は、新規顧客の開拓を中心とする「新規開拓営業」とは異なり、既存顧客との関係性を深め、継続的に取引を行うことを目的とする営業スタイルです。
そのため、新規営業とは求められるスキルや資質が大きく異なります。
本記事では、ルート営業の具体的な仕事内容、向いている人の特徴や必要なスキル、さらには具体的な対策方法まで詳しく解説します。
この記事を読めば、ルート営業として活躍できる人材像が明確になり、あなたの就職・転職活動の一助となることでしょう。
【ルート営業 向いてる人】ルート営業とは
ルート営業とは、すでに取引のある既存顧客に対して、定期的な訪問や連絡を通じて商品やサービスの提案を行う営業手法です。
新規顧客をゼロから開拓する「新規開拓営業」とは対照的に、既存顧客との信頼関係を深め、長期的な取引を継続・拡大していくことに主眼を置いています。
特定の「ルート」を回るように顧客を訪問することから、この名称がつけられました。
顧客の事業やニーズを深く理解し、それに応じた適切な提案を行うことで、継続的な売上を目指します。
安定した顧客基盤の上で活動するため、成果が比較的安定しやすいという特徴もあります。
既存顧客の満足度を高めることが、ルート営業の最も重要なミッションです。
【ルート営業 向いてる人】仕事内容
ルート営業の主な仕事内容は、既存顧客との関係維持と、それに基づく継続的な取引の拡大です。
新規顧客開拓とは異なり、飛び込み営業やテレアポといった活動は比較的少なく、顧客との信頼関係を基盤とした活動が中心となります。
顧客の抱える課題解決や、事業の成長をサポートするための提案を行うことが、ルート営業の要となります。
単なる商品の売り込みではなく、顧客にとっての価値提供を通じて、長期的なパートナーシップを築くことが求められます。
以下に、ルート営業の具体的な仕事内容を詳しく解説します。
顧客の現状ニーズのヒアリングと把握
ルート営業において、既存顧客の現状ニーズを深くヒアリングし、正確に把握することは最も重要な業務の一つです。
すでに取引があるからこそ、顧客の事業内容や業界特有の課題、現在使用しているサービスに対する満足度や不満点など、表面的な情報だけではない深い部分まで踏み込んで聞くことが可能になります。
訪問時には、単なる雑談で終わらせず、「最近の業務で困っていることはないか」「今後の事業展開で検討していることはあるか」といった具体的な質問を通じて、顧客が潜在的に抱えている課題や、将来的に必要となるであろうニーズを引き出すことが重要です。
この丁寧なヒアリングを通じて得られた情報を分析し、次の提案活動へとつなげる土台を築きます。
顧客の「今」と「未来」を見据えた情報収集力が、ルート営業の成功を左右します。
既存顧客への定期的な訪問と関係構築
既存顧客への定期的な訪問は、ルート営業の根幹をなす活動です。
単に商品やサービスを提案するためだけでなく、顧客との信頼関係を維持・強化するために不可欠な業務です。
定期的に顔を合わせることで、顧客は「自分たちのことを気にかけてくれている」と感じ、安心感を覚えます。
訪問の頻度やタイミングは顧客の業種や規模、取引状況によって異なりますが、単なる形式的な挨拶で終わらせるのではなく、常に有益な情報交換の場となるよう意識することが大切です。
商談がなくとも、業界の最新情報を提供したり、競合他社の動向を伝えたりすることで、顧客にとって価値のある時間を提供します。
このような地道な関係構築活動が、長期的な取引の継続や、新たな商談機会の創出へとつながります。
既存商品・サービスの提案とアップセル活動
既存顧客に対して、現在利用している商品やサービスに関連する新たな提案を行う「アップセル」活動も、ルート営業の重要な役割です。
顧客の現状ニーズのヒアリングを通じて得られた情報に基づき、既存の商品・サービスのグレードアップ版や、関連性の高い別商品・サービスを提案します。
顧客はすでに自社の商品・サービスを導入しているため、新規顧客への提案よりもハードルが低いのが特徴です。
提案の際は、単に商品の機能を紹介するだけでなく、「このサービスを導入することで、顧客の抱える〇〇という課題が、具体的にどのように解決できるのか」「どのようなメリットが生まれるのか」という点を明確に伝えることが重要です。
顧客のビジネス成長に貢献する視点を持った提案が、アップセル成功の鍵となります。
見積もり作成、契約締結、納期の調整
ルート営業は、提案活動だけでなく、具体的な事務手続きや調整業務も担います。
顧客から提案内容に対する了承が得られたら、速やかに見積もりを作成し、内容を細かく説明して合意を得ます。
その後、正式な契約締結へと進みます。
契約締結後は、社内の製造部門や物流部門などと連携し、顧客の希望納期に合わせて商品やサービスが確実に納品されるよう、納期やスケジュールの調整を行います。
特に納期の調整は、顧客満足度に直結する重要な業務です。
予期せぬトラブルや遅延が発生した場合には、迅速かつ正確に顧客へ状況を報告し、代替案を提示するなど、誠実な対応が求められます。
これらの調整業務を円滑に進めるには、高いコミュニケーション能力とスケジュール管理能力が不可欠です。
納品後のアフターフォロー、クレーム対応
商品やサービスの納品は、ルート営業にとって活動の終わりではありません。
むしろ、ここからが長期的な関係を築くための新たなスタート地点となります。
納品後のアフターフォローとして、顧客が商品やサービスを問題なく利用できているか、導入効果が出ているかなどを定期的に確認します。
このフォローを通じて、顧客の満足度を高めるとともに、潜在的な次のニーズを発掘する機会にもなります。
万が一、商品やサービスに不具合が生じたり、顧客からのクレームが発生したりした場合は、真摯に対応することが求められます。
クレームは顧客の不満や期待を裏切った結果ですが、迅速かつ誠実に対応することで、かえって信頼関係を深めるチャンスに変えることも可能です。
アフターフォローとクレーム対応は、顧客満足度とリピート率向上に直結する重要な業務です。
【ルート営業 向いてる人】主な職種
ルート営業という働き方は、様々な業界や企業で見られます。
企業が取り扱う商材や顧客の特性によって、その具体的な役割や求められるスキルは微妙に異なります。
主に、法人相手か個人相手か、あるいはメーカー系か商社系かといった切り口で分類されます。
共通して言えるのは、既存顧客との信頼関係構築が成功の鍵であることです。
以下では、ルート営業の主な職種について、その特徴を解説します。
法人ルート営業
法人ルート営業は、企業を顧客として、自社の製品やサービスを提供する職種です。
取引先は、中小企業から大企業まで多岐にわたり、取り扱う商材も、オフィス用品、ITシステム、原材料、専門機器など非常に幅広いのが特徴です。
顧客の事業成長や課題解決に貢献することが求められるため、単に商品を売るだけでなく、顧客の業界知識、経営状況、意思決定プロセスなどを深く理解する必要があります。
提案内容も、個人向けの営業と比べて高額で複雑になりがちであり、複数の関係者との調整も多く発生します。
そのため、論理的な思考力やプレゼンテーション能力、そして長期的な視点で信頼関係を構築する力が特に重要になります。
一つ一つの取引額が大きくなる傾向があるため、大きなやりがいを感じられるでしょう。
個人ルート営業
個人ルート営業は、一般消費者(個人)を顧客として、商品やサービスを提供する職種です。
具体的には、保険商品、不動産、自動車、住宅リフォームなどが挙げられます。
法人営業とは異なり、顧客の個人的なライフプランや家族構成、将来の夢など、よりプライベートな情報に基づいて提案を行うことが多くなります。
そのため、顧客の感情に寄り添い、親身になって話を聞く傾聴力や共感力が非常に重要になります。
また、個人相手の取引では、顧客の不安を払拭し、安心感を提供することも大きな役割です。
一度契約が成立した後も、定期的な連絡やアフターフォローを通じて、顧客との良好な関係を継続することが、次の契約や紹介へとつながります。
法人営業よりも、よりフットワークの軽さや親しみやすさが求められる職種です。
メーカー系ルート営業
メーカー系ルート営業は、自社で製造・開発した製品を、代理店や商社、あるいは直接エンドユーザーである企業に販売する職種です。
顧客は製品の専門的な知識を求めていることが多いため、自社製品に関する深い専門知識が必要不可欠となります。
新製品の情報提供や、技術的なサポート、製品導入後の活用支援なども重要な業務です。
また、自社の開発部門や製造部門と顧客との橋渡し役となることも多く、専門性の高い調整能力が求められます。
単に製品を販売するだけでなく、顧客の生産性向上やコスト削減といった具体的な成果に結びつく提案を行うことが、メーカー系ルート営業の醍醐味です。
自社製品への強い愛着と、それを活かす提案力が成功の鍵となります。
【ルート営業 向いてる人】向いてる人の特徴9つ
ルート営業は、新規開拓営業とは異なる特性を持つため、活躍できる人材にも特有の資質が求められます。
既存顧客との長期的な関係性を維持・発展させることがミッションであるため、人間性を重視したコミュニケーション能力や、計画的に行動できる能力が特に重要視されます。
ここでは、ルート営業として成功しやすい、向いている人の具体的な特徴を9つ紹介します。
これらの特徴に多く当てはまる方は、ルート営業として高いパフォーマンスを発揮できる可能性が高いでしょう。
関係構築が得意
ルート営業において、関係構築が得意な人は非常に向いています。
ルート営業の成果は、既存顧客との長期的な信頼関係の上に成り立っているからです。
単なるビジネスパートナーとしてだけでなく、人間的な魅力や親しみやすさで顧客と良好な関係を築ける人は、顧客から本音や潜在的なニーズを引き出しやすくなります。
定期的な訪問や何気ない会話の中で、顧客の趣味や関心事にも配慮し、心を開いてもらえるようなコミュニケーションを心がけることが大切です。
顧客から「あなただから話せる」と思ってもらえるような関係性を築ければ、自然と相談が増え、それが新たな提案機会へとつながります。
相手の懐に入り込むことが得意な人は、ルート営業で大きな力を発揮できるでしょう。
コミュ力が高い
一般的に営業職全般に求められる能力ですが、ルート営業においても高いコミュニケーション能力は成功に不可欠です。
ただし、新規営業のように初対面で相手を一気に引き込むような、派手なトークスキルだけが求められるわけではありません。
ルート営業で重要なのは、長期的に心地よい関係を維持できるような、安定感のあるコミュニケーション能力です。
具体的には、相手の話に丁寧に耳を傾ける姿勢、分かりやすく簡潔に物事を伝える説明力、そして会話を通じて顧客との共通点を見つけ、共感を生み出す能力などです。
顧客との関係が深まるにつれて、より深い話題や機密情報に触れる機会も増えるため、言葉遣いやマナーにも配慮できる、総合的なコミュニケーション力が求められます。
誠実に対応できる
誠実に対応できる人は、ルート営業に非常に向いています。
ルート営業は、一度の取引で終わりではなく、継続的な関係を前提としているため、顧客からの信頼が最も重要だからです。
約束を必ず守る、嘘をつかない、ミスがあれば隠さずに報告し迅速に対処するなど、一つ一つの行動において誠実さを示すことが、顧客の信頼を確固たるものにします。
特に、商品やサービスに問題が発生した際や、顧客の要望に応えられない状況に陥った時こそ、その真価が問われます。
逃げずに真摯に向き合い、解決に向けて最善を尽くす姿勢は、顧客の心に強く響きます。
短期的な成果よりも、長期的な信頼構築を優先できる誠実さが、ルート営業の成功を支えます。
計画的に動ける
ルート営業は、多くの既存顧客を抱え、それぞれに定期的な訪問やフォローアップを行う必要があるため、計画的に動ける能力が非常に重要です。
誰にいつ、どのような目的で接触するかを事前に計画し、効率的に日々のスケジュールを組み立てる必要があります。
場当たり的な対応では、訪問漏れが発生したり、重要な顧客へのフォローが手薄になったりするリスクが高まります。
顧客ごとに異なる訪問頻度や商談状況を考慮し、年間・月間・週間の単位で綿密な行動計画を立て、それを実行に移す規律が必要です。
また、突発的なトラブルやクレーム対応が発生した場合にも、計画を柔軟に見直し、優先順位をつけて対応できる冷静さも求められます。
傾聴力がある
ルート営業の提案は、顧客のニーズを正確に把握することから始まります。
そのため、話を一方的にするのではなく、顧客の話に真剣に耳を傾ける「傾聴力」が非常に重要です。
顧客が抱える真の課題は、すぐに言葉として出てこないことも多く、会話の節々や表情から、潜在的な不満やニーズを察知する必要があります。
顧客の話を遮らず、相槌や質問を適切に使いながら、話しやすい雰囲気を作り出すことが大切です。
高い傾聴力を持つ人は、「自分の話をしっかりと聞いてくれた」と顧客に感じさせ、安心感と信頼感を与えることができます。
顧客から得た情報を深く掘り下げ、本質的な課題解決につながる提案ができる人が、ルート営業として成功します。
営業が好き
ルート営業においても、「営業が好き」という熱意は非常に重要です。
一口に営業が好きと言っても、新規開拓の成功から得られる達成感が好きな人もいれば、顧客と深く関わり、長期的なパートナーとして課題解決に貢献することに喜びを感じる人もいます。
ルート営業に向いているのは、後者のように「誰かの役に立つこと」「人間関係を深めること」に喜びを感じられる人です。
ルート営業は、派手な大逆転劇のような成功よりも、日々の地道な努力と継続的な関係構築が成果につながります。
そのため、すぐに結果が出なくても、顧客との信頼関係が深まっていく過程を楽しめる、営業という仕事そのものを長期的に愛せる人が向いています。
継続的なフォローが得意
ルート営業の核となるのが、継続的なフォローアップです。
契約がゴールではなく、むしろスタート地点であると捉え、納品後も定期的に顧客を訪問したり、電話やメールでコンタクトを取ったりすることが得意な人は、ルート営業に向いています。
一度の取引で終わらせず、「このお客様とは一生涯のお付き合いをしたい」という気持ちで顧客に接することが大切です。
継続フォローは、単なる安否確認ではなく、顧客の事業状況の変化を捉え、新たなビジネスチャンスを見つけるための情報収集の場でもあります。
顧客の期待を上回るタイミングで、気の利いた連絡や情報提供ができる細やかさ、そしてそれを習慣化できる継続力が求められます。
提案力がある
既存顧客との信頼関係を深めるだけでなく、その関係を基盤として売上を拡大するためには、もちろん高い提案力が必要です。
提案力とは、単に商品説明が上手なことではありません。
顧客の現状と潜在的なニーズを正確に理解し、それらを解決し、顧客の目標達成に貢献できるようなソリューションを、具体的なデータや事例を用いて論理的に提示する能力です。
特にルート営業では、顧客はすでに自社製品やサービスを利用しているため、「今なぜ、さらなる投資が必要なのか」を納得させる説得力が求められます。
顧客の事業成長に資する具体的なメリットを明確に伝えられる、本質的な提案力がある人は成功します。
安定した働き方を望む
新規開拓営業が、常に新しい顧客を追い求め、高い目標達成のためにプレッシャーと戦うのに対し、ルート営業は比較的安定した環境で働くことができます。
すでに取引実績のある顧客が中心であるため、一から関係を築くストレスが少なく、成果も比較的安定しやすい傾向があります。
そのため、毎月のように大きな変動を伴う営業成績よりも、既存顧客との長期的な関係構築を通じて、着実にキャリアを積み重ねたいと考える人に向いています。
急激な売上アップよりも、顧客満足度を重視した堅実な仕事ぶりにやりがいを感じる人、ワークライフバランスを重視したい人にも適しています。
【ルート営業 向いてる人】必要なスキル
ルート営業として活躍するためには、特定の資質や性格的な特徴だけでなく、具体的なビジネススキルも必要となります。
これらのスキルは、入社後に研修や実務を通じて習得していくことも可能ですが、事前に意識して磨いておくことで、より早く成果を出すことができます。
特に既存顧客との関係性を維持・発展させるために、以下に挙げるスキルは非常に重要です。
コミュニケーション
ルート営業におけるコミュニケーションスキルは、単に会話が上手であること以上に、信頼関係構築に特化した能力を指します。
顧客の話を深く理解するための傾聴力、自社の提案内容や製品情報を分かりやすく正確に伝える説明力、そして顧客の感情や状況に配慮できる共感力などが含まれます。
また、社内の他部門(開発、製造、物流など)との連携や調整も多いため、社内における円滑なコミュニケーション能力も不可欠です。
顧客に対しては、定期的なコンタクトを通じて、良好な関係を「維持」し、「深める」ための質の高いコミュニケーションが常に求められます。
商品知識
既存顧客に対して、新たな提案や適切なアフターフォローを行うためには、自社の商品やサービスに関する深い専門知識が必要不可欠です。
顧客は、ルート営業担当者を単なる御用聞きではなく、その道のプロフェッショナルとして見ています。
製品の機能、技術的な詳細、導入事例、競合製品との優位点、そして業界全体の動向まで、幅広い知識を常にアップデートしておく必要があります。
商品知識が豊富であればあるほど、顧客の質問に即座に、かつ的確に答えることができ、それが顧客からの信頼へとつながります。
常に学習意欲を持ち、自社製品への理解を深める努力が求められます。
顧客管理
ルート営業は、複数の既存顧客を担当するため、効率的かつ体系的な「顧客管理」スキルが必須です。
顧客管理とは、単に名刺を整理することではなく、各顧客の基本情報、過去の商談履歴、購入履歴、抱えている課題、キーパーソン、訪問予定などを一元的に管理し、次のアクションに活かす能力です。
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)ツールを効果的に活用し、顧客情報を「見える化」することが重要になります。
これにより、顧客ごとに最適なタイミングで、最適な提案を行うことが可能になります。
抜け漏れのないフォロー体制を構築し、全ての顧客に対して質の高いサービスを提供するための、計画性と管理能力が求められます。
【ルート営業 向いてる人】どんな企業に向いてる?
ルート営業は、様々な業界で採用されている営業スタイルですが、特にその特性が活かされる企業には共通点があります。
それは、継続的な取引によって売上が成り立っている、リピート性の高いビジネスモデルを持つ企業です。
既存顧客との関係性が、企業の安定的な収益に直結するため、ルート営業の重要度が高いと言えます。
具体的にルート営業が活躍しやすい主な企業の種類について解説します。
メーカー
製品を自社で開発・製造しているメーカーにとって、ルート営業は非常に重要な役割を果たします。
特に、部品や原材料といった中間財を企業向けに販売するBtoBメーカーや、専門的な機器を扱う企業では、安定した供給と技術サポートが求められます。
既存顧客である取引先の製造ラインや製品開発におけるニーズを深く理解し、それに応じた適切な製品の提案や、新製品の情報提供を行います。
技術的な知見が活かされることが多く、自社製品の良さを理解し、顧客の生産性向上に貢献することにやりがいを感じられるでしょう。
商社
商社は、特定の製品を持たず、国内外の様々なメーカーから仕入れた商材を顧客に販売するビジネスモデルです。
商社におけるルート営業は、顧客の多岐にわたるニーズに対し、最適なメーカーや製品の組み合わせを提案する「コーディネーター」としての役割が大きくなります。
取り扱う商材が非常に幅広いため、幅広い知識と、多様な製品の中から顧客に最適なソリューションを見つけ出す提案力が求められます。
顧客との関係性を基盤に、常に新しい商材やビジネスチャンスを探り続けることが、商社ルート営業のミッションです。
卸売企業
卸売企業は、メーカーから商品を仕入れ、小売店や飲食店などの事業者に販売する役割を担います。
例えば、食品卸や日用品卸などが該当します。
卸売企業のルート営業は、顧客である店舗や事業者の仕入れ担当者と密接に連携し、売れ筋商品の情報提供、在庫管理のアドバイス、新商品の提案などを行います。
顧客のビジネス(店舗の売上向上など)に直結する提案が多く、顧客の成功をサポートすることが直接的なやりがいとなります。
商品の安定供給と、顧客のニーズに合わせた柔軟な対応力が求められます。
【ルート営業 向いてる人】向いていない人
ルート営業は、すべての人に向いているわけではありません。
その特性上、新規開拓営業が大好きな人や、継続的な関係構築にストレスを感じる人にとっては、その仕事内容が苦痛に感じられる可能性があります。
自分自身のキャリアの方向性を間違えないためにも、ルート営業が向いていない人の特徴を理解しておくことは重要です。
以下に、ルート営業に向いていない可能性のある人の特徴を解説します。
新規開拓が大好きな人
常に新しい出会いや、ゼロから契約を勝ち取るという大きな達成感を最優先に考える人には、ルート営業は物足りなく感じられるかもしれません。
新規開拓営業は、短期間で大きな成果を出し、それがダイレクトに評価につながることにやりがいを感じる人に向いています。
一方、ルート営業は、既存顧客との地道な関係性を深めることに重点が置かれます。
そのため、「とにかく毎日、新しい人と会いたい」「大きな達成感を得たい」という願望が強い人は、ルート営業の安定したペースや、既存顧客との付き合い方に、刺激や充足感を見いだせない可能性があります。
人と話すのが苦手
営業職である以上、人と接することが苦手な人には向いていません。
特にルート営業は、既存顧客との人間関係が成果に直結するため、単に話すだけでなく、相手の心を開き、深い信頼関係を築くことが求められます。
表面的な会話だけでなく、顧客の事業の深い部分や、個人的な悩みなども聞き出す必要が出てくる場合があります。
人と会うこと、話すこと自体にストレスを感じる人や、人見知りが激しい人は、ルート営業で成果を出すことは難しいでしょう。
顧客とのコミュニケーションを通じて、信頼を積み重ねることに喜びを感じられることが大切です。
継続フォローが苦手
ルート営業の成功は、一過性の取引ではなく、継続的なフォローアップにかかっています。
そのため、「契約を取ったら終わり」と考えがちな人や、地道な定期連絡や訪問を面倒に感じる人は、ルート営業には向いていません。
継続フォローは、成果がすぐに目に見えにくい地道な作業ですが、これが顧客満足度を高め、次なる商談を生み出す土台となります。
細かな気配りができず、一つのことに集中すると他の顧客へのフォローが疎かになってしまうような人も、複数の顧客をバランス良く管理する必要があるルート営業では苦戦する可能性があります。
【ルート営業 向いてる人】対策方法
ルート営業に向いている特徴を理解した上で、実際にその道を目指すためには、具体的な対策を講じる必要があります。
単に「向いている」という自己評価だけで終わらせず、採用選考を突破し、入社後に活躍するために、ここでは実践すべき対策方法を解説します。
OB訪問
ルート営業の実態を把握し、自身がその仕事に向いているかを具体的に確認するためには、OB・OG訪問が非常に有効です。
実際にルート営業として働いている先輩社員から、日々の業務内容、一日のスケジュール、顧客とのコミュニケーションで工夫している点、仕事のやりがいや大変なことなどを直接聞くことができます。
これにより、企業のパンフレットやウェブサイトだけでは得られない、リアルな情報を得られます。
また、OB・OG訪問を通じて、自分のコミュニケーション能力や人間性をアピールする機会にもなり、選考における志望度の高さを伝えることも可能です。
営業基礎の学習
ルート営業に必要なスキル、特にコミュニケーションスキルや提案力、顧客管理能力といった営業の基礎を事前に学習しておくことは、選考対策として非常に有効です。
関連書籍を読んだり、ビジネスセミナーに参加したりすることで、体系的な知識を身につけることができます。
特に、ヒアリング技術や論理的な提案構成の方法、CRMツールの使い方など、実務に直結する知識は即戦力として評価されやすいでしょう。
面接で具体的な営業シミュレーションを求められた際にも、基礎知識に基づいた論理的な回答ができるようになります。
企業研究
ルート営業の仕事内容は、業界や企業によって大きく異なります。
メーカー、商社、卸売企業など、どの分野で、どのような商材を扱うルート営業に就きたいのかを明確にするための企業研究が重要です。
各企業の事業内容、主力製品、主要な取引先、競合他社との関係性などを深く調査することで、「なぜこの企業でルート営業がしたいのか」という志望動機に説得力を持たせることができます。
また、企業文化や求める人材像を理解することで、面接対策もより具体的に行うことが可能になります。
【ルート営業 向いてる人】大手企業
ルート営業は、業界を問わず多くの大手企業で採用されている重要な職種です。
大手企業でのルート営業は、安定した顧客基盤と充実した研修制度の下で、スケールの大きな仕事に携われる機会が多いのが魅力です。
以下に、ルート営業職で有名な大手企業をいくつかご紹介します。
キーエンス
株式会社キーエンスは、センサーや測定器などのFA(ファクトリーオートメーション)機器を製造・販売する大手メーカーです。
そのルート営業は、顧客の課題解決に徹底的にコミットする提案型営業で知られています。
既存顧客である製造現場の課題を深くヒアリングし、自社製品を用いた最適なソリューションを提供する点が特徴です。
高い給与水準も有名ですが、それに見合うだけの高い専門性と提案力が求められる、非常にレベルの高いルート営業職です。
大塚商会
株式会社大塚商会は、IT関連の商材を中心に、オフィスに関するあらゆるソリューションを提供する大手企業です。
複合機、PC、ソフトウェア、クラウドサービスなど、幅広い商材を既存顧客に提案するルート営業が中心となります。
顧客のオフィスのIT環境全体をサポートする役割を担うため、幅広い知識と、顧客の経営課題に踏み込んだ提案力が求められます。
顧客との長期的な関係性を重視し、継続的なサポートを通じてビジネスを拡大していくスタイルです。
日本郵政
日本郵政グループの一員である日本郵便株式会社においても、ルート営業の役割があります。
企業や自治体などに対し、郵便・物流サービスだけでなく、保険や貯金といった金融商品なども含めた総合的な提案を行います。
地域に根差した安定した顧客基盤を持つことが強みです。
既存顧客との信頼関係を活かし、顧客の多様なニーズに応じたグループ全体のサービスを提案する、地域社会に貢献度の高いルート営業と言えます。
【ルート営業 向いてる人】やりがい
ルート営業には、新規開拓営業とはまた違った独自のやりがいがあります。
それは、数字の達成感だけでなく、人間関係や顧客との協力関係から生まれるものです。
ここでは、ルート営業が特に感じやすいやりがいを解説します。
人間関係で成果が決まる
ルート営業の最大のやりがいは、自身の築いた人間関係が、そのまま仕事の成果に直結することです。
顧客との間に深い信頼関係が生まれると、競合他社との比較検討すら行わずに、自社に発注してくれるようになることもあります。
これは、単に製品のスペックが良いからではなく、「あなただから」という人間的な信頼がもたらす成果です。
顧客の課題解決に貢献できた時、顧客から感謝の言葉をもらえた時、そしてその顧客とのお付き合いが長く続いていることに、大きな満足感とやりがいを感じるでしょう。
安定的な成果が出る
新規開拓営業が、毎月ゼロからスタートするのに対し、ルート営業は既存顧客からの継続的な注文があるため、比較的安定的な成果が見込めます。
この安定性は、精神的な安心感につながり、より質の高い顧客フォローや、新たな提案活動に集中できる環境を生み出します。
もちろん、売上拡大のための新規提案も重要ですが、既存顧客との強固な関係があるため、予期せぬ大きな落ち込みが少ないのが特徴です。
着実に、そして継続的に成果を積み重ねていくことに、やりがいと充実感を感じられます。
【ルート営業 向いてる人】よくある質問
ルート営業を目指す就活生や転職希望者が抱きやすい、代表的な疑問について回答します。
ノルマはある?
ルート営業にも、一般的に「ノルマ」や「目標」は存在します。
ただし、新規開拓営業のように「今月は何件の新規契約を取る」といった絶対的な数字ではなく、「既存顧客からの売上を〇〇%アップさせる」「特定の主力製品の導入を〇〇社に提案する」といった、既存顧客との関係性を前提とした目標設定がされることが多いです。
企業や業界によってその厳しさは異なりますが、目標達成に向けた計画的な行動と継続的な努力は当然求められます。
ノルマは、自身の成長やモチベーション維持のための重要な指標であると捉えることが大切です。
未経験でも大丈夫?
はい、ルート営業は未経験者でも十分に挑戦できる職種です。
特に新卒採用や第二新卒採用では、入社後の研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて、必要な商品知識や営業スキルを習得できる企業が多くあります。
ルート営業に求められるのは、高いコミュニケーション能力や誠実さ、計画性といった、経験ではなく個人の資質に依存する部分も大きいためです。
未経験であっても、これらの資質や、学ぶ意欲、そして何よりも人と接することが好きという気持ちをしっかりとアピールできれば、採用される可能性は十分にあります。
まとめ
本記事では、ルート営業の仕事内容から、向いている人の特徴、必要なスキル、そして具体的な対策方法までを詳しく解説しました。
ルート営業は、新規顧客開拓のような華やかさよりも、既存顧客との深い信頼関係を基盤とした、地道で堅実な活動が求められる職種です。
人間関係の構築が得意な方、誠実で計画的に動ける方、そして安定した環境で長期的な成果を追求したい方に、特におすすめできる働き方です。
今回ご紹介した「向いている人の特徴」にあなたが当てはまるようであれば、ぜひルート営業をキャリアの選択肢として検討してみてください。まずはOB訪問などを通じて、具体的な仕事のイメージを深めてみてはいかがでしょうか。