
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
文学部は「就職に不利」と言われることがありますが、それは過去のイメージにすぎません。
現代の企業は学部よりも個人の能力や将来性を重視する傾向にあり、文学部の学びが不利に働く場面は少なくなっています。
幅広い教養、文章力、プレゼン力といったスキルは多くの職種で高く評価されます。
この記事では、文学部の学生が持つ強みや就職先の選び方、職種ごとの特徴、そして就活を有利に進めるための具体策について詳しく解説していきます。
文学部は就職が不利?
「文学部は就職に不利」と言われることがあります。
たしかに理系学部と比べると専門性がビジネスに直結しづらく、求人の数も少ないというイメージが根強いのは事実です。
しかし近年では、企業が重視するのは学部そのものよりも、個々の能力や人柄、将来性です。
ここでは、文学部が就職で不利と言われる背景と、実際の就活事情について詳しく解説します。
専攻内容から不利と言われることも
文学部では、哲学・歴史・文学・語学など、実務と直接結びつかない分野を学ぶケースが多くあります。
そのため「ビジネスの現場で役立つスキルが身につかないのでは」という先入観を持たれやすい傾向があります。
また、かつては求人票に「○○学部限定」といった記載が多く見られ、理系や経済系学部が優遇される状況も存在していました。
その名残で、「文学部=就職が不利」というイメージが一部で定着してしまったのです。
さらに、文学部の学生は公務員志望や教員志望が多いという印象から、一般企業に対する意欲が低いと誤解されることもありました。
ただし、これは過去の話であり、現在の採用基準とは大きく異なってきていますので注意しましょう。
実際は不利ではない
現代の就職活動において、文学部だからという理由で不利になるケースは少なくなっています。
企業は文理問わず、主体性・論理的思考力・コミュニケーション力などのポータブルスキルを重視しています。
文学部での学びは、文章の読解力や分析力、情報を言語化する力を養うことができ、これらは企画・営業・マーケティングなど幅広い職種で求められる資質です。
また、現代の採用では「学部不問」で募集されることが多く、自分の学びをどう活かすかを言語化できれば十分に戦うことができます。
就職が不利という印象は、昔の情報や思い込みによって広まった部分が大きく、現在ではむしろ多様な視点を持つ人材として評価されることもあります。
大切なのは、学部の名称ではなく、学びの中で得た力をどう伝えられるかです。
文学部におすすめの就職先
文学部の学びは、直接的な専門職に結びつきづらいことから、就職に不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし、言語運用能力や思考力、表現力といった文学部ならではのスキルは、多くの業界で必要とされています。
ここでは、文学部の学生におすすめできる就職先を5つ紹介します。
自分の適性や興味に合わせて、進路の参考にしてください。
教育業界
文学部で学ぶ内容は、人文科学や教養に関わるものが多く、教育業界との親和性が高いと言えます。
特に国語や英語などを専攻していた場合、その知識や指導経験を活かして教職を目指す人も多く見られます。
学校教育だけでなく、塾や予備校、通信教育、教材開発など、教育に携わる仕事の幅は広がっています。
また、文章を正確に読み解く力や、分かりやすく説明する力は、教育現場で非常に重宝されるスキルです。
人に教えることが好き、学ぶことが好きという人にとっては、自分の学びを活かしながら働ける充実した職場になるでしょう。
教育を通じて社会貢献したいという思いがある方に特におすすめの業界です。
航空業界
文学部の中でも英語・フランス語・ドイツ語などの外国語を専攻していた人は、航空業界で活躍するチャンスがあります。
とくに客室乗務員(CA)やグランドスタッフなどは、語学力を活かして海外のお客様と接する機会が多く、実践的な英語力が求められます。
また、異文化理解力や丁寧なコミュニケーション能力も重視されるため、文学部で培った表現力や柔軟な対応力が活かされる場面が多いです。
航空業界は接客・サービス業としての側面も強いため、人と関わることが好きな人や、ホスピタリティ精神のある人に向いています。
語学力を武器に、グローバルな舞台で活躍したいという方には非常に魅力的な業界となるでしょう。
広告業界
広告業界は、情報を人に伝える手段を創造する仕事であり、文学部出身者の強みが活かされやすい業界です。
特に文章力や発想力、物事を多角的に捉える視点が重視されるため、表現に強みを持つ学生にとってはやりがいを感じやすいフィールドです。
コピーライターやプランナー、編集者などの職種では、言葉選びのセンスやストーリーテリングの力が求められます。
また、広告制作にはチームでの作業も多く、相手の意図を正確にくみ取りながら柔軟に発想を広げる力が必要です。
文学部で養った読解力や表現力、企画を組み立てる論理的思考力は、広告業界のクリエイティブな場面で大きな武器となります。
自己表現と社会とのつながりを仕事にしたい人にぴったりの業界です。
出版業界
本や雑誌に親しみ、文章を読むこと・書くことに強い関心がある文学部の学生にとって、出版業界は魅力的な就職先の一つです。
出版社では編集職をはじめとして、校閲、営業、マーケティングなど多岐にわたる職種が存在します。
特に編集者は、原稿の構成や言葉選びに携わることから、文学部で培った文章力や語彙力、読解力がそのまま活かされます。
また、企画力や著者とのやり取りなど、情報を正確に伝え、読者に届けるための調整力や責任感も重要です。
本を通じて社会に情報や感動を発信したいと考える人には、非常にやりがいのある仕事です。
出版の世界は競争も激しいですが、それ以上に情熱を注げる業界だと感じる文学部生も多いです。
金融業界
金融業界というと理系や経済系出身者が多いイメージがありますが、実は文学部出身の人材も多数活躍しています。
特に営業や窓口対応など、顧客と直接関わる仕事では、丁寧な言葉遣いや信頼を築く力が求められ、文学部出身者の強みが活かされやすいです。
また、業務内容は入社後の研修で身につけるケースが多く、大学時代の専攻にかかわらず挑戦することが可能です。
文章を正確に読む力や、複雑な内容をわかりやすく説明する能力は、金融商品を扱ううえで欠かせないスキルです。
安定した職場環境を求めながらも、人との信頼関係を大切にしたい人には、金融業界は十分な活躍の場を提供してくれるでしょう。
文学部のおすすめの職種
文学部は文系学部の中でも教養色が強く、専門職に直結しづらい印象を持たれがちです。
しかし、学びの深さや思考力、表現力を活かせる職種は数多く存在します。
特に歴史や言語、哲学、文化などの分野で積み重ねた知識やスキルは、一定の条件を満たせば専門職にもつながります。
ここでは、文学部生にとって特に相性の良い職種を3つ紹介します。
教員
文学部の中でも、国語や社会といった人文系科目を学んでいた学生にとって、教員という職業は非常に親和性が高い進路です。
教育学部でなくとも、中学校や高校の教員免許を取得していれば、公立・私立問わず教育の現場で働くことが可能です。
教員は生徒に知識を伝えるだけでなく、思考力や表現力、社会性などを育む役割も担っており、文学部で培った読解力や論理的思考が活かされます。
また、生徒との対話を通じて、自らの学びを振り返る機会も多く、教育の面白さと責任感の両方を感じられる職業です。
人に教えることが好きな人や、若い世代の育成に関心がある人にとっては、やりがいを実感しやすい道だと言えるでしょう。
学芸員
学芸員は、博物館や美術館などで資料の収集・保存・展示を行い、一般の来館者に歴史や文化を伝える仕事です。
とくに歴史や美術、考古学などを専攻していた文学部の学生にとっては、その専門性を活かせる数少ない専門職のひとつです。
学芸員になるためには大学で指定科目の履修と実習を経る必要がありますが、文化財や資料に囲まれて働ける環境は、学問を深めたい人にとって魅力的です。
また、展示企画や解説文の作成など、わかりやすく情報を伝える力も求められるため、文章力や構成力が強みとなります。
来館者に新しい視点や感動を提供するという点で、教育的要素や創造性も大いに発揮できる職種です。
文化を後世に伝えたいという思いがある方には非常に適した進路です。
公務員
文学部出身者にとって安定した人気を誇るのが、公務員という職種です。
地方公務員や国家公務員など幅広い職種があり、試験は学部不問であるため、文学部だから不利になることはありません。
むしろ、長文読解や文章記述が求められる場面では、文学部で培った日本語運用能力が強みとして活かされます。
また、公務員の仕事は市民との窓口対応や政策の立案、文化・教育の推進など多岐にわたるため、人文系の知識や社会への関心が求められる場面も多くあります。
福利厚生や職場環境の安定性から、長期的なキャリアを見据えて選ばれることも多い進路です。
責任ある仕事を担いながら、地域や社会の役に立ちたいと考える人には、非常に魅力的な職種です。
文学部の強み
文学部は「就職に不利」と言われがちですが、実は他学部にはない独自の強みを持っています。
特に文章力や論理的思考力、幅広い教養などは、職種や業界を問わず求められる能力です。
ここでは、文学部生が就職活動でアピールできる主な強みを3つ紹介します。
それぞれの特性を理解し、自己PRの材料として活用してみましょう。
教養の広さ
文学部の最大の特徴の一つに、多様な分野にわたる教養の広さがあります。
歴史、文学、哲学、言語学などを通じて幅広い知識を学ぶことができるため、物事を多角的にとらえる視野が身につきます。
このような総合的な理解力は、企画職や広報、教育関係など、社会のさまざまな場面で重宝されます。
また、一般常識や語彙力、読解力に優れる学生が多く、SPIやWebテストの言語問題に強い傾向があるのも文学部ならではの利点です。
単なる暗記ではなく、背景知識や歴史的文脈から考える力が養われているため、企業からは「基礎力のある人材」として評価されやすい面もあります。
幅広いテーマへの関心や深い洞察力を持つ点も、社会人としての土台づくりに役立ちます。
文章力
文学部ではレポートや論文の提出が多く、日常的に文章を書く機会に恵まれています。
そのため、論理的でわかりやすい文章を構成する力が自然と身につきます。
この力は、エントリーシートの作成やメールでのやり取り、報告書の作成といったビジネスの基本的な場面でも活かすことができます。
また、相手に伝わるように言葉を選び、構成を整えるスキルは、情報を正確に共有する力として重視されるポイントです。
文章に説得力を持たせるための構成力や、感情ではなく論理に基づいて物事を展開する訓練を受けている点は、他学部にない強みといえるでしょう。
読み手の立場を意識した文章づくりができることは、企画書や提案書などの実務にもつながりやすいスキルです。
プレゼンテーション能力
文学部では、ゼミや授業内でプレゼンテーションを行う機会が多く、対話型の学習が重視されます。
そのため、人前で話すことへの抵抗感が少なく、内容を論理的に組み立てて伝える力に長けた学生が多く見られます。
この能力は、就職活動の面接において、自分の考えを簡潔かつ明確に伝えるうえで非常に役立ちます。
また、質問に対する即時の対応力や、相手の反応を見ながら話を展開する柔軟性も評価されるポイントです。
プレゼンでは、単なる情報の伝達だけでなく、聞き手の興味を引きつける工夫が求められるため、話し方の表現力や構成力も養われています。
これらのスキルは、営業、企画、広報などの業務でも即戦力として活かすことが可能です。
文学部が就職を有利に進める方法
文学部の学びは抽象的で、専門職に直結しにくい印象を持たれがちです。
しかし、それを補う工夫やスキルを身につけておけば、就職活動を有利に進めることは十分可能です。
特に資格や実務に関連したスキルは、自己PRの説得力を高めるうえで効果的です。
ここでは、文学部生が実践できる3つの具体的な対策について解説します。
英語系の資格で高得点を取る
文学部の中でも英語や外国語を専攻している場合、TOEICや英検などの英語系資格で高得点を取ることが有効なアピール材料になります。
特にTOEICは、多くの企業が選考段階でスコアを参考にしており、スコアが700点以上あれば基本的なビジネス英語が使えると判断されやすくなります。
海外展開を進めている企業やグローバル人材を求める業界では、英語が話せるだけでなく「証明できる」ことが重要視されます。
また、英文資料の読解やメール対応など、日常業務における実用性も高いため、内定後の配属にも影響することがあります。
文学部で語学を学んでいたことを具体的な数値で示すことで、採用担当者に強い印象を与えることができます。
スキルをみがく
文学部の学生が他の就活生と差別化を図るうえで、実践的なスキルの習得は大きな武器になります。
特に近年では、文系出身でもITやデータに強い人材が求められており、プログラミングやデータ分析の基礎を身につけておくと、志望できる職種の幅が広がります。
PythonやExcel、PowerPointなどのツールが扱えることも、ビジネスの現場では高く評価されます。
文学部で培った文章力や論理構成力に、ITスキルや数値処理能力が加わることで、より説得力のある自己PRが可能になります。
講座や独学で学べる内容も多いため、興味のある分野から少しずつ始めてみるのがおすすめです。
就活前にスキル習得に取り組んでおくことで、自信を持って選考に臨むことができます。
簿記2級以上
文系職種を目指す文学部生にとって、日商簿記検定2級以上の資格を取得することは非常に有効です。
簿記を学ぶことで、企業の経営やお金の流れに関する基本的な理解を身につけることができ、特に経理・財務・総務などの職種では高く評価されます。
簿記の知識があることで、企業の財務諸表が読めるようになり、業界分析や企業研究に役立つという利点もあります。
また、簿記は自己管理能力や学習意欲の高さをアピールできる資格でもあるため、業務未経験でもポテンシャルを見せる材料になります。
数字に強いという印象を与えられるため、営業職や事務職の選考においても有利に働くことがあります。
就職活動を控える文学部生には、早期に学習を始めて取得を目指すことをおすすめします。
具体的な文学部の就職活動のやり方
文学部は専攻内容が実務に直結しにくく、就職活動に不安を感じる学生も多い学部です。
さらに、周囲に進学希望者が多かったり、就活の情報交換が活発でない環境も少なくありません。
だからこそ、自分から積極的に行動し、情報を集めていくことが重要です。
ここでは、文学部生が就職活動を有利に進めるための具体的な方法を4つ紹介します。
インターンシップに参加する
文学部は進学希望者が多く、理系学部や専門職志望の学生と比べると、就職活動への意識が遅れがちになることがあります。
そのため、インターンシップへの参加は、自分の進路を明確にするための貴重な機会となります。
企業の仕事を体験することで、自分に合った職種や業界の特徴を知ることができるだけでなく、企業側にも自分の姿を印象付けることができます。
また、実際に働いている社員の姿を見ることで、大学の学びがどのように社会とつながるのかを体感できます。
特にマスコミや広告業界など競争が激しい分野では、インターン参加者を中心に採用を進める企業もあるため、早期の行動が重要です。
OB・OG訪問をする
文学部出身で現在社会で活躍している先輩の話を直接聞くことは、業界や職種への理解を深めるうえで非常に効果的です。
大学のキャリアセンターやSNS、大学のOB・OGネットワークを活用することで、自分の興味のある分野で働く卒業生にアクセスできます。
実際に働いている人から聞くリアルな仕事内容やキャリアの築き方は、企業の説明会では得られない貴重な情報となります。
また、同じ学部出身者であれば、自分の学びがどう評価されたのかや、就活時の戦略なども具体的に聞くことができます。
人間関係の構築にもつながるため、企業とのつながりができるきっかけになることもあります。
自分の視野を広げるためにも、積極的に訪問を行いましょう。
就活エージェントを利用する
就職活動を一人で進めるのが不安な文学部生にとって、就活エージェントの利用は大きな助けになります。
エージェントは履歴書やエントリーシート(ES)の添削、模擬面接の実施、適性に合った企業の紹介などを無料で行ってくれます。
文学部の学生は、自分の強みや専門性が不明瞭になりやすい傾向があるため、第三者の視点からアドバイスをもらえることは非常に有益です。
また、求人情報の中にはエージェントしか扱っていない非公開求人もあるため、選択肢を広げることにもつながります。
自分だけでは気づけなかった可能性を見つけるきっかけとして、就活エージェントを有効に活用することをおすすめします。
積極的に情報収集を行う
文学部の学生は、進路の幅が広い一方で、就活の情報が周囲から得にくいという声も多く聞かれます。
そのため、就職活動を本格化させる前から、自分自身で企業情報や業界動向を集める姿勢が重要になります。
特にマスコミや広告業界など、文学部生に人気のある業界は選考スケジュールが他業界よりも早い傾向があるため、情報収集を怠ると出遅れてしまうリスクがあります。
企業の採用ページや就活情報サイト、業界研究セミナー、合同説明会などを積極的に活用し、情報の取りこぼしがないように意識しましょう。
早めの情報収集は志望動機の精度を高め、面接対策にもつながります。
学部の枠にとらわれず、自分に合った企業を見つけるために、情報を得る努力を惜しまないことが成功の鍵です。
まとめ
文学部生は、専門性が職業に直結しないぶん、自らの強みや経験をどう伝えるかが就職活動のカギになります。
教養の広さや文章力、対話力などを活かせる場面は多く、適切な準備と情報収集を行えば、希望のキャリアは十分実現可能です。
資格取得やインターンシップ、OB・OG訪問などの行動を積極的に取り入れ、自分の魅力を企業に伝えていきましょう。
大切なのは「文学部だから不利」と決めつけるのではなく、今ある力をどう社会に活かすかを前向きに考える姿勢です。