就活生に伝えたい会社選びの極意とは?リクルート元執行役員の冨塚さんに直撃

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前回は人材輩出会社と言われるリクルートがいかにして優秀な人を集め、社内で社員が成長を遂げているのかについてお聞きしました。

今回は第二弾として元リクナビ・就活ジャーナル編集長、元リクルートホールディングス執行役員の冨塚優さんに、いまも昔も変わっていない大切な就活のポイントを「いま就活生に伝えたいこと」と題してインタビューを行いました。

<聞き手:西岡(digmee編集部)>

【前回の記事はこちら】

学生時代から複数の会社で働く経験

 

前回に引き続きよろしくお願いします!
今回はどんな風に自分に合った会社を選ぶのか、富塚さんがいま学生だったらどんなことをするかなど、いまの就活生の不安や疑問に寄り添った質問をさせていただければと思っています。

 
 

はい、よろしくお願いします。

 

<プロフィール>

冨塚優。

立教大学法学部卒。

株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)入社。

就職情報誌事業部、営業部門配属後、営業課長・部長を経て、 就職情報誌事業部リクナビ・就職ジャーナル編集長を担当。

2012年株式会社リクルートホールディングス執行役員、株式会社リクルートライフスタイル代表取締役を兼任。

2013年株式会社リクルートマーケティングパートナーズ代表取締役兼任。

2018年よりリクルートを退社し、株式会社Tommyを設立。

現在は株式会社イオレや株式会社Gunosyの社外取締役。

他に11社の顧問・アドバイザーを兼任。

学生時代から名刺を7枚持って仕事をしていた経験

 

では、そんな冨塚さんがもしいま22歳だったとすれば、どんな観点で就活をするかを伺えればと思うのですがいかがでしょうか。

 

 

そうだなぁ、もしいま22歳だったら余計なことしないで起業すると思うね。


いま就職する意味って何?って思っちゃう。

 

 

なるほど、就職せずに起業するという選択を取られるんですね。

 

 

私の学生時代の話になるけど、当時からすでに7枚くらい名刺もって働いていたんだよ。


例えば、NTTの本体からイベントを請け負う会社でずっと働いていて、半年ほどNTTの役員と一緒に仕事をしていてね。


私が働いていた会社の社長と、そのイベントをどう展開していくのかについて議論してたんだよ。

 

 

そのときのイベントの打ち上げでNTTの役員の方にとても褒めていただいてさ、「じゃあまた来年のプロモーションのときによろしくね!」って話が進もうとしていたんだけど、
「いや、次もう就活なんで...」
「えっ、社員じゃないの!?」
「まだ三年生です。

笑」
ってとても驚かれちゃったりもして。


そのときは「もうNTTおいでよ!」って言ってもらえたりしていたかな。

 

 

学生時代からすでに現場で働く体験して成果を出されていたのですね!

たまにいるんだけどさ、内定何社もらったかを自慢する学生がいるじゃん。


もうあれは愚の骨頂だね。

それは器用な奴がその企業に合っているようなカタチと色を演じているだけだから。

 

 

そういう経験もあって、リクナビの編集長になって大企業の人事部長と話し合いができる立場になったときに、私はとにかくインターンを推し進めようとすごく思ってた。

 

 

学生時代から現場で働くことがご自身の経験から大切だと感じていたのですね。

 

会社で活躍するためにはまず自分がどんな人と働きたいのかを明確にすること

演じた就活をしてしまうと入社後の不幸をもたらす

 

そもそも、私がお客さんの採用を手伝ってるときにも思ってたんだけど、就活は結局合うか合わないか。

これに尽きるんだよね。

 

 

たまにいるんだけどさ、内定何社もらったかを自慢する学生がいるじゃん。

もうあれは愚の骨頂だね。

それは器用なやつがその企業に合っているようなカタチと色を演じているだけだから。

 

 

カタチと色を演じる、ですか。

そのカタチと色というものについて詳しく伺わせてください。

 

 

カタチと色とは、企業が求める人物像のこと。


求める人物像は会社ごとに異なるはずだよね。

例えば、「赤い色の三角形とオレンジ色の六角形」というように全然違うはず。


それで、器用な学生は自分を化かして自分があたかもそのカタチと色であるように見せているだけ。

 

 

カタチと色を繕ってしまうということですか。

 

 

それでもし内定もらっても、自分を演じた状態で内定をもらっているから、会社に入った後に演じ疲れて次は自分が苦しくなってしまうわけ。

それでどんどんそういう人が辞めていってしまう。

 

 

これが企業と学生のミスマッチに繋がるのですね。

 

 

今の社会ではこれだけ売り手市場で、「人が足りない、人が欲しい」って言われているんだから、あなたのカタチとあなたの色を求めている会社はあるんじゃないかな。


つまり、大事なのはそれにどうやって出会えるかということ。

 

 

そうですね。

 

 

だから私はそれを知るためにインターンをしたり、アルバイトなどの「働く経験」をするように学生におすすめしているわけ。

 

自分がどんな人と働きたいのかを知る大切さ

 

もっと言えば「社会人と会話しよう」っていうことが言いたくてさ。

 

 

働く経験以外にもそれを知る方法があるということですか?

 

 

私はいろんな会社の部長や役員のリーダーシップ研修の講師を頼まれたりするんだけどさ、
研修の最後に伝えると、参加者みんなが「まぁそりゃそうだよね」って言うのは、
「何をするかじゃなくて、誰とするか。

」が大事ってことだね。

 

 

何をするかではなく、誰とするか、ですか。

 

 

人って、どんなに正しいことでも、この人が言うことはしたくないって思うことがあるし、逆にどんなに間違っていることでも、この人が言うならやろうかなって思うことがあるんだよね。


それだったら「この人となら一生懸命働いてがむしゃらにやってやる!」と思える人たちと働いた方が良いに決まってる。


それを知るためには、いろんな会社の人と話さないとわからないからね。

 

 

そのために社会人とたくさん話してみることが必要になってくるんですね。

 

秘訣は褒め言葉!?その会社が大切にしている価値観を知るには?

 

それでね、僕がリクナビの編集長だったときに編み出した、これなかなかいいなって自画自賛している手法があって。

 

 

それはぜひお聞きしたいです!

 

 

学生向けの講演でさ、「各会社の褒め言葉を聞きなさい」ってアドバイスしたんだよね。


その後、学生たちからお礼のメールが沢山届いて感謝されたんだよ。

 

 

褒め言葉、ですか。

 

 

なんでかって言うと、一般的には褒め言葉だけどリクルートではそうではない褒め言葉があったりして、例えば「優秀だね」とかだったね。


私が最初入ったときに先輩に「冨塚くん、優秀だね」って言われて喜んでたんだよ。

 

 

それで、違う日にその先輩がお弁当を買ってきてくれて、「おっ!今日の弁当は優秀な弁当だな」って言ったわけ。


「なんだそれ...!私の優秀と弁当の優秀って一緒くらいってことかい!」って思ったのね。

 

 

なるほど、ビジネスマンとして褒められてる感じがしなかったんですね。

 

 

じゃあリクルートではどういう言葉で褒めてたのかって言うと「それは新しいね!」みたいな感じだった。


誰もやってないことにチャレンジしてやって、ちゃんと成果を出したことに対してよく言ってるかな。

 

 

確かにチャレンジしたことに新しいねと言われるのは嬉しいですね。

 

 

だから私はもう「新しいね!」が褒め言葉だと当たり前に思うようになってたね。


自分が褒めるときに「いいね」って意味で「新しいね!」と言うようにしていた。

 

 

それが企業を見るときに参考になるということですか?

 

 

面白いのが、以前いろんな会社の人事部長を集めた研修みたいなときに、その会社でよく使われる褒め言葉が何なのかを聞いてみたんだよ。


例えば、日経新聞社は「速いね」だった。


「ペンが速いね」「情報が速い」の2つの意味なんだよね。


スクープを取ってきて、それをスピーディに形にすることが新聞記者には求められるから。

 

 

なるほど、他にはどんなものがあるのでしょうか?

 

 

清水建設は「でかいね」。


建設業界だとスケールの大きいプロジェクトを任せられることにみんな憧れるからね。


それからJR東日本なら「正確だね」だった。


日本の鉄道って時刻を守るってことをとても重視するよね。

それこそ少しでも遅れたらペナルティがあったりもするから。


あとパナソニックは「ありがとう」。

これもパナソニックらしいよなぁとか思ったりしてね。

 

 

なるほど、その業界の色が出ていますね。

 

 

神戸のワールドという会社が「新しいねに近いです」って言ってて、リクルートと似ていたね。


あと金融機関は結構似たり寄ったりなんだけど、「手堅いね」「ミスがないね」「そつがないね」あたりが多かったかな。

 

 

何が良い悪いではなく、それによって企業の特徴や色が見えてきて自分とフィットしているかがわかってくると言うことですか。

 

 

それで、最終的にJRに内定した学生がいたんだけど、最初はJRのことは全然考えてなかったんだけど、「僕は正確だねって言われるのがすごく嬉しいんです」って言ってて、そのあとJRを受けたら受かって、彼は「良い先輩がたくさんいて、居心地も良さそうです」って言ってくれたのが私も嬉しかったな。

 

 

褒め言葉を切り口に、自分が働きやすい環境を見つけられた良い事例ですね!

 

人間関係を見るためには何を知りたいかを明確にして誰に聞くかが重要

 

だからこそ私が言いたいのは、とにかくOB訪問をいっぱいしろってことだね。


過去会った中で一番OB訪問をしていた学生は、リクルートの社員200人以上に話を聞いてるって言っててさ。

いやそれもう私より知ってんじゃんって思うくらい。

 

 

やはり人間関係を見てみるには実際に働いている人に聞くのが一番と言うことですね。

 

 

あと、大きい会社の場合は、会社のそばの居酒屋でサラリーマンが何をしゃべっているか聞くと良い。


会社の先輩や上司の悪口ばっかり言ってないかをチェックするんだよ。


愚痴ばっかり言ってるような企業にはみんなあんまり行きたくないよね。

 

 

あと、OB訪問するのも、年が近い先輩に聞いても何にもわからないよ。


だって、まだ2年目の社員だと自分の業務のところしかわからないし、社内でも部門が変われば雰囲気も全然違うことがよくあるし。


だからある程度の年次の人に聞いた方が良いと思うよ。


会社のマイナスな話を聞くなら、30代や40代のおばさんをつかまえて聞くのもよいしね。

 

 

なるほど、どんな話が聞きたいのかによって、入社何年目かや役職を変えてみることが大切なんですね。

 

 

だから、結局会社は合うか合わないかをいろんな角度から知ることが大事。

 

 

学生時代は、それを調べるために徹底的に行動できるかどうかということですね。

 

 

合う合わないの話に念を押すようだけど、社員の退職理由ってなんだか知ってる?
みんないろいろ書くんだけど、人事の中での定説は「退職理由は、人間関係の不満」。


あっ、これはネガティブな辞め方のときね。


チャレンジしたいことができたから、みたいにポジティブな場合じゃないからね。

 

 

はい。

人間関係の問題ですか。

 

 

退職の打診も、別にそのタイミングじゃなくても良いのにと思ったら「ちょっとあの人とうまく言ってないんで」って話がよく出るんだよね。


そもそも、人間のストレスは8割が人間関係なんだよ。

 

 

働くことに限らずってことですね。

 

 

職場で毎日十数時間一緒にいるんだから、それがうまくいってないんだったら精神的に不安定になっちゃうこともあるよねと。


だから会社に入る前にいろんな人に会うべきでしょと思うわけ。


インターンもした方がいいってこと。

 

 

学生だけではわからないことがたくさんあることがわかってきました。

そうした行動によって後悔のない選択につながる可能性を高めてくれるということですね。


納得して選んだものなら、あとは自分次第で、それを正解にしていくってことでしょうか。

 

 

正解って言葉はあんまり好きじゃないんだけど、まぁ納得解を出すことだね。

 

苦しいときにも踏ん張れる仕事を見つけるためには働く目的を持つこと

好きなことを仕事すべき理由

 

あと、そうなってくると、もう一つは好きなことを仕事にした方がいい。


昔はそんなこと考えもしなかったんだけどね。

 

 

好きなものですか。

その背景を伺いたいです。

 

 

だって、好きなものだったら我慢できるよね。

厳しいときにも歯をくいしばれるよね。


働く上で「何のために働くんですか?」という目的をもってないとダメで。


働く目的がない人は意欲的に働けないんだよね。


食べていくためですって言う人もいるけど、いま食べていくことにそこまで困っている人いないじゃん。

 

 

その仕事じゃないといけない理由がない状態ということですね。

 

 

例えば「いい生活をしたい」というのが目的なら、まずはちゃんとその「いい生活」を分解しなきゃダメ。

 

 

それこそ豪邸に住みたいのか、家族と一緒に不自由なく暮らせることなのかっていうことですね。

 

 

そうそう。


「あなたは何のためにだったら頑張れるんですか?」という問いに答えられるかどうかってこと。


このためにだったら頑張れるってのがないと、踏ん張りがきかないんだよね。

 

 

それが働く目的が必要な理由で、それが好きなことだとより踏ん張れる可能性が高いということですか。

 

 

また別の例えなんだけど、野球部ってなんであんまり辛い練習に耐えられるかっていうと、大会に勝つっていう目標があるからだよね。


もしくはレギュラーになりたいっていうのがあるからだよね。

 

 

体育会系の部活だとおおかたそうですね。

 

 

そういう目標や目的がないのに辛いことを進んでやりたくはないよねって話じゃん。


逆に言えば、目的への達成意欲が強い人が頑張れる人だね。

 

 

なにがなんでもこれをやり遂げるんだっていう気持ちが大事なんですね。

 

 

じゃあその目的がまだ明確にない人はどうするか。

それは居心地がいい部分を探すと良い。


目的がない人が無理やり目的を作っても仕方ないからさ。


少なくともストレスを抱えて働くのをやめようよっていう。

 

 

なるほど、なんでもかんでも目的を作れば良いというわけでもないんですね。

 

 

ストレスを抱えないようにするためには、まずは人間関係が重要だから、入る前にできるだけ確認しようよっていう話。


入るまでそれがわからないようなところで働くのって絶対怖いよね。

 

 

「誰と働くのか」と、「目的にあっているか」の2点が大事なんですね。

 

 

この前、後輩が中途の面接で「あなたはパワハラ耐性がありますか」って質問されたって言っててさ、その会社に入ったらパワハラするってことじゃん。

そんな質問してる方がどうかしてると思うわ。

 

納得のいく就活をするには、「会社との相性」を見極めること

会社と合うか合わないかを知るには「誰と働きたいか」「働く目的は何か」を明確にすること

 

最後になりますが、もし22歳だったら起業という選択を取ることを冒頭でおっしゃっていましたように、近年は昔よりキャリアのいろんな選択肢が出てきていると思います。

そんな世を生きる、いまの就活生やキャリアに悩める人にメッセージをいただければと思います。

 

 

僕が言った、いま22歳だったら起業したいって話なんだけどさ、「なんで起業したいのか?」という理由が、20代と今で違うんだよね。

 

 

世の中の流れが違うのでしょうか?

 

 

20代の頃は「会社のいうことを聞きたくなくて、自分が自分の思うようにありたい」という理由だった。


当時、企業は儲ける事業しかできなかったしね。

 

 

でも会社を辞めた今はそうじゃなくて、自分で利益率をコントロールできるから、リクルートほど儲からなくても社会的な価値があることができる。

なのでそれに取り組みたいと思っているんだ。


そのために歯を食いしばってやることと、ストレスなく生きることを両立すべき。

 

 

特にその環境を自分の力で作りやすい社会になってきたというわけですね。


今でも起業するとしたら前回話されていた、地域貢献できる事業をされるんですか?

 

 

今はお金があるからM&Aなどの発想もできるんだけどさ。


もしお金がないなら起業したいとはいえ、まずは稼がないといけないね。


それで、どうせ稼ぐんだったら学習しながら稼げるところがいい。


私は当時も今も、いっぱいいろんな人にあったからこそ、リクルートは一番合っているって思ってるよ。

 

 

なるほど、前回の記事でもおっしゃっていたことにも繋がってきますね。

 

 

やっぱりリクルートは自分から主導権を取りにいける人がたくさんいる会社で、私と似たような人がたくさんいるなと感じていたから、働く環境に違和感がなかったんだよね。

 

 

なるほど、「誰と働くか」ということの重要性とその情報収集をご自身でも感じられていたのですね。

 

 

だから、もし就活をしている人に言うなら「会社は合う合わない」だってこと。


それを知るために「どんな人と働きたいか」と「働く目的を持つこと」を意識すればいいんじゃないかな。

 

 

まさに今回のインタビューをお聞きしてそうだと思いました。


これから就活を迎える学生にも会社を見る上で意識すべきことと、その背景がとても伝わると思います。

 

 

前回のリクルートでの経験のインタビューに引き続き、今回も大変貴重なお話を聞かせていただきました。


就活は会社と合うか合わないか、そして見極める術は「どんな人と働くか?」と「働く目的は何か?」ということであること。


その観点をどのように深掘りしていくと良いのかを体験談も交えていただき、就活生にとっても大変参考になり、すぐにでも行動に移すことができるお話でした!
今回もご協力いただきありがとうございました。

 

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