
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
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【物理化学専攻の就職】はじめに
物理化学を専攻している学生の中には「化学系の就職といえば有機化学がメインで、自分たちの専門性はニッチなのではないか」と不安に感じる方が少なくありません。
しかし、現代の産業界において物理化学の知見は、次世代デバイスの開発やエネルギー問題の解決に欠かせない極めて重要な武器です。
本記事では、物理化学専攻が就活市場でどのように評価され、どのような業界でその真価を発揮できるのかをプロの視点で徹底解説します。
【物理化学専攻の就職】物理化学は就職に有利?
物理化学専攻の学生は、実は化学系の中でもトップクラスの汎用性と市場価値を持っています。
多くの企業が「現象の根本的なメカニズム」を解明できる人材を求めているからです。
有機合成のように「新しいものを作る」技術も重要ですが、それを「なぜその反応が起きるのか」「どうすれば制御できるのか」という理論的側面からアプローチできる物理化学の素養は、製品の品質向上やコスト削減において決定的な役割を果たします。
そのため、大手メーカーの研究開発職を中心に、非常に高く評価される傾向にあります。
なぜ物理化学が就活に強いのか
物理化学が就活において強力な武器になる最大の理由は、その「再現性」と「予測性」に対する深い理解にあります。
ものづくりの現場において、単に「実験が成功した」だけでは不十分であり、なぜその結果が得られたのかを数理モデルや熱力学、反応速度論に基づいて説明できなければなりません。
物理化学専攻の学生は、原子・分子レベルのミクロな視点と、熱やエネルギーといったマクロな視点を往復しながら現象を捉える訓練を積んでいます。
この視点は、未知の不具合が発生した際の原因究明や、最適なプロセス条件の導出において、他の専攻にはない圧倒的な強みを発揮します。
また、量子化学や統計力学といった難解な理論を背景に持つため、新しい技術への適応力や学習能力が高いと判断されることも、企業が採用を積極的に行う一因となっています。
有機化学専攻と比較した際のアドバンテージ
化学系の就活で最大勢力となる有機化学専攻と比較した際、物理化学専攻の大きなアドバンテージは「デバイス系・エレクトロニクス系企業への適応力」です。
有機化学が主に「物質そのものの構造」にフォーカスするのに対し、物理化学は「物質の性質(物性)やエネルギーの移動」を扱います。
このため、半導体、二次電池、ディスプレイといった、化学と物理の境界領域にある最先端産業において、物理化学の知識は必須となります。
また、実験データの解析において物理的なモデルを構築する能力があるため、実験回数を減らして効率的に開発を進める「理論的アプローチ」が可能です。
手当たり次第に試薬を混ぜるのではなく、事前のシミュレーションや計算に基づいて仮説を立てるスタイルは、開発期間の短縮が求められる現代の企業活動において、非常に洗練されたスキルとして映ります。
論理的思考力と数理処理能力の評価
物理化学の研究室では、実験データのノイズを排除し、厳密な数式を用いて現象を記述することが求められます。
この過程で自然と身につく「論理的思考力」と「高い数理能力」は、研究職以外の職種でも高く評価されます。
企業の人事担当者は、物理化学専攻者が持つ「複雑な事象を抽象化し、モデル化する能力」に注目しています。
これは単なる計算力ではなく、課題に対してどの変数が重要であるかを見極め、筋道を立てて解決策を導き出す能力です。
また、多くの物理化学の研究では、高度な測定装置の自作やメンテナンス、さらには解析ソフトの自作(プログラミング)を伴うことも多く、こうした「ハードウェアとソフトウェアの両面に精通した専門性」は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する製造業において、非常に希少価値の高い人材として重宝される要因となっています。
【物理化学専攻の就職】物理化学を活かせるおすすめの業界
物理化学専攻の学生が活躍できるフィールドは、伝統的な化学メーカーにとどまりません。
物質の「状態」や「変化」を扱う専門性は、材料科学からITまで幅広い領域にリーチしています。
ここでは、特に物理化学のバックグラウンドが直接的な強みとなる、就職先としておすすめの5つの業界について、それぞれの関連性とニーズを具体的に掘り下げていきます。
電池・半導体・電子部品業界
この業界は、現在最も物理化学の知見を必要としている領域の一つです。
例えば次世代の二次電池(全固体電池など)の開発では、電極界面におけるイオンの移動や界面抵抗の制御が最大の課題となっており、電気化学や界面化学の深い理解が不可欠です。
また、半導体分野においても、微細化が進む中で薄膜の成膜プロセス(CVDやALD)における気相反応の制御や、プラズマの状態診断、さらには結晶成長のメカニズム解明といった場面で物理化学の理論が直結しています。
物理化学専攻者は、電子の挙動や分子の配向を物理的な視点で捉えることができるため、材料単体の開発だけでなく、それらを組み込んだデバイス全体のパフォーマンスを最適化する役割を期待されています。
スマートフォンの進化や電気自動車(EV)の普及といった社会の大きな流れを支える技術の根幹に、物理化学の専門性が深く根ざしているのです。
化学メーカー
総合化学メーカーや電子材料メーカーにおいて、物理化学専攻者は「製品開発のコンパス」のような役割を果たします。
新規素材を開発する際、有機合成チームが作った物質の熱的安定性、光学特性、表面状態などを詳細に分析し、その物質が市場の要求を満たすかどうかを判定するのが物理化学の領域です。
また、触媒開発においては、反応速度論を用いた触媒サイクルの解析や、吸着等温線を用いた表面積・細孔分布の評価などが日常的に行われます。
近年では「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」が普及していますが、物理化学専攻者は計算化学やシミュレーションの素養があるため、実験データと理論計算を組み合わせて効率的に新材料を探索するリーダー候補として期待されています。
素材そのものの価値を、物理的な裏付けをもって証明するプロセスこそが、化学メーカーにおける物理化学専攻者の醍醐味と言えます。
エネルギー・インフラ業界
エネルギー業界では、カーボンニュートラルの実現に向けて物理化学の重要性が飛躍的に高まっています。
水素エネルギーの活用、CO2の回収・貯留技術(CCS)、高効率な太陽光発電セルの開発など、いずれも「エネルギーの変換効率」をいかに高めるかが鍵となります。
物理化学で学ぶ熱力学は、エネルギー変換の限界を知り、損失を最小限に抑えるための基礎教養です。
また、燃料電池の研究では触媒表面での三相界面反応の制御が重要であり、ここでも界面物理化学の知見がフル活用されます。
インフラ系企業においても、材料の腐食劣化のメカニズム解明(電位-pH図を用いた解析など)や、長期間の耐久性予測など、物理的な予測モデルが必要とされる場面は多く、物理化学専攻者が持つ「長期的な視点での物性変化の予測」というスキルは、社会基盤を支える技術として非常に重宝されています。
医薬品・化粧品業界
一見すると有機化学や生物学の独壇場に見える医薬品・化粧品業界ですが、実は物理化学の知見が製品の成否を分けることが多々あります。
医薬品分野では、薬物を体内のターゲットに届ける「ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」において、ナノ粒子の安定性や膜透過性の制御にコロイド・界面化学が活用されます。
また、原薬の結晶多形(同じ成分でも結晶構造が異なる現象)の制御は、薬の溶解性や有効性に直結するため、結晶成長の熱力学的検討が不可欠です。
化粧品業界においては、クリームや乳液の「乳化・分散技術」が製品の質感や保存安定性を決定づけます。
界面活性剤の吸着挙動やレオロジー(流動学)の知識を駆使して、心地よい使用感と機能性を両立させる技術開発は、まさに物理化学の専門領域です。
生命科学的な視点に「物理的な安定性と機能性」の視点を加えられる人材は、開発現場で極めて高く評価されます。
IT・データサイエンス業界
近年、物理化学専攻者の進出が著しいのがITおよびデータサイエンス業界です。
物理化学の研究では、大量の数値データを処理したり、複雑なシミュレーションコードを書いたりする機会が多く、自然と高いITリテラシーが身につきます。
第一原理計算や分子動力学シミュレーションの経験は、そのまま計算リソースの最適化やアルゴリズム構築のスキルとして転用可能です。
特に製造業向けのDXコンサルティングや、科学技術計算ソフトの開発、さらにはAIを用いた物性予測モデルの構築といった分野では、物理現象を数式化できる能力が直接的な武器になります。
「データから物理的な意味を抽出できる」という強みは、純粋な情報系出身者にはない物理化学専攻者ならではのユニークな価値です。
シミュレーションと実空間の橋渡しができる人材として、IT業界からのヘッドハンティングも珍しくありません。
【物理化学専攻の就職】専門性が活かせる主な職種と仕事内容
物理化学の知識は、企業の「ものづくり」のあらゆるフェーズで必要とされます。
研究室での基礎研究に近い仕事から、実際の工場を動かすダイナミックな仕事まで、活躍の場は多岐にわたります。
ここでは、物理化学専攻者がその専門性を存分に発揮できる4つの代表的な職種と、具体的な仕事内容について詳しく解説します。
研究職
研究職は、物理化学専攻の学生が最も志望する職種であり、大学での研究内容を直接的に活かしやすいポジションです。
企業の研究所では、5年後、10年後の製品化を見据えた次世代材料の探索や、現象のメカニズム解明が主な任務となります。
例えば、新しい機能性ポリマーを開発する際、その分子構造とマクロな物性(硬さ、透明度、導電性など)の相関を各種分光法や回折法を用いて明らかにする役割を担います。
大学の研究と異なる点は、常に「顧客のニーズ」や「コスト」といった出口を見据える必要があることですが、未知の現象に対して仮説を立て、緻密な実験計画によって真理に迫るプロセスは共通しています。
最新の測定機器を使いこなし、世界にまだない発見を論文や特許として形にする、物理化学のスペシャリストとしての矜持が持てる職種です。
開発職
開発職は、研究職が生み出した「技術の種」を、実際の製品へと昇華させる職種です。
物理化学専攻者がここで発揮するのは、主に「最適化」の能力です。
例えば、実験室で成功した反応を、どのような溶媒条件や温度設定で行えば最も効率的に生産できるか、といった課題を熱力学や反応速度論に基づいて検討します。
また、製品が市場に出た際の「信頼性評価」も重要な仕事です。時間が経つにつれて材料がどのように劣化するかを、物理的な劣化モデルを用いて予測し、保証期間の設定や改良案の策定を行います。
開発職は他部門とのコミュニケーションも多く、物理化学という客観的な共通言語を使って、生産現場や営業部門に対して技術的な裏付けを説明する力が求められます。
製品が形になり、世の中に出ていく喜びを最もダイレクトに感じられる職種と言えるでしょう。
生産技術・製造技術
生産技術職は、ラボレベルの成果を工場での大量生産へと「スケールアップ」させる、ダイナミックな職種です。
ここでは、物理化学の「輸送現象論(熱移動、物質移動、流動)」の知識が非常に重要になります。
小さなフラスコ内では均一だった反応も、数千リットルの大型タンクでは熱の逃げ方や撹拌効率が全く異なり、それが品質のバラツキに繋がります。
物理化学専攻者は、これらの現象を数理的に捉え、最適な設備設計や製造条件の確立に貢献します。
また、連続生産プロセスにおけるリアルタイムのモニタリングや、センサーデータの解析による歩留まり向上など、物理化学の知見とIT技術を組み合わせて工場をスマート化する役割も期待されています。
「理論を現実に実装する」というハードルは高いですが、自分の設計したラインから製品が次々と生み出される光景は、この職種ならではの大きなやりがいです。
解析・シミュレーション
解析・シミュレーション職は、物理化学の理論的側面を最も純粋に活用する職種です。
実験を実際に行う前に、コンピューター上で分子の挙動や応力分布を予測し、開発の指針を示します。
近年は「実験と計算の融合」が強く叫ばれており、第一原理計算によって新材料の電子状態を予測したり、流体解析によって装置内の流れを可視化したりするニーズが急増しています。
物理化学専攻者は、単にソフトウェアを使えるだけでなく、その計算手法の限界や前提条件を物理的に理解しているため、精度の高い解析を行うことができます。
また、実験担当者に対して「なぜそのような結果になったのか」という裏付けを理論で説明する、技術的なコンサルタントのような立ち位置で活躍することも多いです。
高度な数理能力と物理的洞察力を兼ね備えた、まさに現代の「賢者」とも言えるポジションです。
【物理化学専攻の就職】直面しやすい悩みと解決策
就職活動を始めると、多くの物理化学専攻者が「求人票のキーワードとのギャップ」に戸惑いを感じることがあります。
しかし、その悩みの多くは視点を少し変えるだけで解決できるものです。
ここでは、物理化学専攻特有のよくある悩みに対して、どのように向き合い、突破口を見出せばよいのか提案します。
有機化学重視の求人が多いと感じるのはなぜ
化学系の求人サイトを見ると「有機合成」「医薬品合成」といったキーワードが目立ち、物理化学専攻は門前払いではないかと不安になるかもしれません。
これには構造的な理由があります。有機合成は「特定の物質をゼロから作る」ために必須のスキルであり、具体的な「作業」としてイメージしやすいため、求人要件に明記されやすいのです。
一方で、物理化学のスキルは「評価」「解析」「最適化」といった、ものづくりの「基盤」となる抽象的なものが多いため、求人票の表面には出てきにくいという特徴があります。
しかし、実態としては、合成した物質を製品にするためには物理化学の知見が絶対に必要であり、企業は「合成もできるが、物性も理解できる人」あるいは「高度な物性評価ができる人」を裏側で強く求めています。
求人票のキーワードに翻弄されず、その企業の事業内容において「物性評価」や「プロセス制御」がどこで必要とされているかを見極めることが重要です。
自分の研究内容を専門外の人事担当者に伝えるコツ
物理化学の研究は、数式や複雑な測定装置、微細な物性の議論が多くなりがちで、専門外の人(特に文系の人事担当者)には理解されにくいという壁があります。
これを克服するコツは、研究内容を「目的・手段・価値」の3層構造に分解して伝えることです。
「何を調べたか(手段)」に終始せず、「なぜその研究が社会に必要なのか(目的)」と、「その研究を通じて得た自分の強み(価値)」を強調してください。
例えば「フェムト秒レーザーを用いた分子振動の解析」という研究であれば、「極めて短い時間で起こる化学反応の瞬間を捉える技術(手段)」であり、それが「光エネルギーを無駄なく電気に変える次世代太陽電池の開発(目的)」に繋がり、自分は「複雑な装置を使いこなし、膨大なデータから本質的な物理量を取り出す忍耐力と分析力(価値)」を持っている、という風に翻訳します。
相手の土俵に合わせた言葉選びが、評価を大きく左右します。
数式や理論に偏りすぎない自己PRの作り方
物理化学専攻者の自己PRは、真面目さゆえに理論の解説に偏り、肝心の「あなた自身」が見えなくなることがよくあります。
企業が知りたいのは「あなたがどのように困難を乗り越えたか」という人間性の部分です。
数式や理論は、あくまで「課題解決のツール」として扱いましょう。
例えば「シミュレーションの精度が上がらず苦労した」というエピソードなら、理論的な改善点だけでなく、指導教官や他分野の学生にアドバイスを求めたといった「周囲を巻き込む姿勢」や、100通りのパラメータを検証した「愚直な努力」を具体的に盛り込むべきです。
物理化学という知的な武器を持ちながら、泥臭い努力も厭わないというギャップを見せることで、現場で活躍できるイメージを人事担当者に植え付けることができます。
理論の正しさを証明するのではなく、理論を使ってどのように「成果」に貢献できるかをアピールしましょう。
【物理化学専攻の就職】物理化学を活かした企業選びのポイント
自分に合った企業を見つけるためには、求人票の「専攻不問」という言葉を鵜呑みにせず、物理化学の専門性がどこで息づいているかを見抜く「目利き」の力が必要です。
ここでは、企業選びの際に注目すべき3つの具体的な視点を提案します。
これらを意識するだけで、あなたが本当に活躍できる「隠れた優良企業」に出会える確率が格段に高まります。
企業の主要商品に「界面」「結晶」「熱」などのキーワードがあるか
企業の製品情報や技術紹介ページをチェックする際、物理化学の基礎用語がどれだけ登場するかを確認しましょう。
「界面」「結晶」「熱」「薄膜」といった言葉は、物理化学の専門性が直接必要とされるサインです。
例えば、接着剤メーカーなら「界面での密着メカニズム」、半導体材料メーカーなら「結晶の欠陥制御」、断熱材や冷却材メーカーなら「熱伝導の理論」が開発の核心となります。
これらのキーワードを重視している企業は、物理化学的なアプローチを大切にする文化を持っており、入社後もあなたのバックグラウンドが尊重される可能性が高いです。
また、IR資料などで「次世代材料の開発」や「シミュレーション技術の強化」を掲げている企業も、物理化学専攻者にとって狙い目と言えます。
保有している分析機器や測定装置からニーズを読み取る
その企業がどのような分析機器を自社で保有しているかは、そこで働く研究者の「思考の深さ」を反映しています。
企業サイトの「設備紹介」や技術論文(技報)を見てみましょう。
例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)やX線光電子分光(XPS)、二次イオン質量分析(SIMS)などの高度な表面分析装置を自社で使いこなしている企業は、物質を原子レベルで理解しようとする姿勢があり、物理化学専攻者の専門性が求められています。
また、レオメーター(粘弾性測定装置)やDSC(示差走査熱量計)などが頻繁に使われている現場であれば、物理的な物性評価が開発の主役である証拠です。
自分が使い慣れた装置がある企業は、即戦力として期待されるだけでなく、技術的な議論がスムーズに通じるストレスの少ない環境である可能性が高いと判断できます。
OB・OGの出身専攻から物理化学の活躍フィールドを確認する
最も確実なのは、実際にその企業で働いている先輩たちの専門性を確認することです。
大学の就職課にある名簿や、LinkedInなどのビジネスSNSを活用して、その企業に物理化学(または物理、応用物理、材料工学など)の出身者がどれくらいいるかを調べてみましょう。
有機化学専攻ばかりの職場に物理化学専攻として入るのは「新しい風を吹かせる」という点では魅力的ですが、物理化学的な視点が社内でまだ確立されていないため、自分の強みを理解してもらうのに苦労する場面もあります。
一方で、物理化学出身者がマネジメント層や主任クラスに一定数いる企業は、物理化学的アプローチがビジネス上の成果に結びつくプロセスが既に確立されています。
そうした環境であれば、キャリアパスもイメージしやすく、専門性を軸にした成長が期待できるでしょう。
【物理化学専攻の就職】就活を有利に進めるための具体的なステップ
内定を勝ち取るための実践的な行動指針を整理します。
物理化学という強力な武器を持っているからこそ、それを「どう見せるか」という戦略が重要になります。
具体的な2つのステップを通じて、あなたの市場価値を最大化させましょう。
専門性を言語化する
物理化学の強みを「企業が欲しがる言葉」に変換する作業が不可欠です。
多くの学生は「私の専門は分光分析です」と答えますが、これでは不十分です。
これを「私は物理現象を定量的に捉えることが得意であり、未知の材料でもその劣化メカニズムを分光分析によって理論的に解明し、製品の長寿命化に貢献できます」と言い換えてみてください。
このように「自分の専門」+「何ができるか(アクション)」+「企業への貢献(メリット)」というセットで言語化することで、面接官の頭の中にあなたの活躍イメージが鮮明に浮かびます。
自分の研究テーマを、化学を全く知らない家族や友人に説明し、彼らが「へぇ、それは役に立ちそうだね」と納得してくれるまで噛み砕く練習を繰り返しましょう。
この「翻訳能力」こそが、社会に出てからも必要とされる最も重要なスキルの一つです。
プラスアルファの強みを見つける方法
物理化学の専門性に加えて、もう一つの柱(サブスキル)を持つことで、あなたの市場価値は希少なものになります。
特におすすめなのは「プログラミング・データ解析」「英語」「特定の分析機器への深い習熟」のいずれかです。
例えば、物理化学の理論に加えて、Pythonで自作の解析ツールを作れる能力があれば、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)推進室のような最先端部署への道が拓けます。
また、最新の測定機器は海外製であることが多いため、英語の仕様書を読み込み、海外メーカーの技術者と直接議論できる語学力があれば、それだけで社内でのプレゼンスは圧倒的になります。
自分の研究を振り返り、研究を進める上で「ついでに身についたこと」や「必要に迫られて学んだこと」をリストアップしてみてください。
それが、物理化学というメインの武器を支える強力な盾や副装備になるはずです。
【物理化学専攻の就職】よくある質問
物理化学専攻の学生が抱きやすい就職活動の疑問を解消します。
専門性の活かし方や学位による違い、企業が求めるスキルなど、キャリア形成のヒントとなる重要なポイントをQ&A形式で詳しく解説していきます。
学部卒と院卒(修士・博士)で就職先に差はあるか
結論から言えば、研究開発職を志望する場合は修士以上の学位が強く求められます。
物理化学は専門性が高く、高度な測定技術や理論的背景を習得するには大学院での研鑽が不可欠と企業側に認識されているためです。
修士卒はメーカーのR&D職の主流となりますが、博士卒になるとより高度な専門家として、国立研究所や企業の基盤技術研究所など、より上流の工程で重宝されます。
一方で、学部卒の場合は専門性そのものよりも、物理化学で培った「論理的思考力」や「数理能力」が評価の対象となります。
そのため、化学メーカーだけでなく、IT、金融、コンサルティング業界など、幅広いフィールドで「地頭の良い人材」として採用されるケースが多いのが特徴です。
有機化学ができないと化学メーカーへの就職は不利なのか
全く不利ではありません。
むしろ、近年の化学メーカーは「合成」の先の「物性制御」に課題を抱えており、物理化学者のニーズは高まっています。
有機合成は「モノを作る」技術ですが、物理化学は「なぜその反応が起きるのか」「どうすれば機能を最大化できるか」を解明する技術です。
例えば、電池の充放電効率、界面活性剤の分散安定性、材料の劣化メカニズムの解析など、物理化学の知見がなければ解決できない課題は山積みです。
企業は「合成屋」と「物性屋」の両方をセットで必要としています。
合成が苦手でも、分光、熱力学、界面、量子計算などの強みがあれば、化学メーカーの主要な研究開発ポジションで十分に活躍することが可能です。
実験主体の学生と理論・計算主体の学生で評価に違いがあるか
評価の「ポイント」が異なりますが、どちらも現代の製造業には不可欠です。
実験主体の学生は、複雑な測定装置を使いこなす技術や、現場で起きる予期せぬ現象を多角的に分析し、泥臭く課題を解決する「現場対応力」が評価されます。
一方、理論・計算主体の学生は、シミュレーションによる開発期間の短縮や、データ駆動型の材料開発(マテリアルズ・インフォマティクス)への適性が高く評価されます。
近年は実験と計算を融合させた開発スタイルが主流となっているため、どちらか一方が優れているというよりは、自分の得意領域を明確にしつつ「相手の領域も理解して連携できる姿勢」を見せることが、企業から最も高く評価されるポイントになります。
英語力はどの程度必要とされるか
物理化学の分野では、最新の測定手法や理論の多くが海外で先行して開発されるため、最低限「英語の論文を読み書きできる力」は必須です。
就職時点ではTOEICでいえば600〜700点程度が目安となりますが、入社後は海外の拠点や顧客、共同研究先とのコミュニケーションが必要になる場面が多く、スピーキング力も重視されるようになります。
特に外資系企業やグローバルに展開する材料メーカーでは、英語力は単なる加点要素ではなく、専門性を発揮するための「必須ツール」と見なされます。
高い専門性に加えて英語での発信力があれば、市場価値は飛躍的に高まり、若いうちから海外プロジェクトに抜擢されるなど、キャリアの選択肢が大きく広がります。
【物理化学専攻の就職】まとめ
物理化学は、化学のあらゆる分野の土台であり、同時に最先端テクノロジーの最前線を支える学問です。
「何を作るか」が重視された時代から、「いかに高性能に、いかに精密に制御するか」が問われる現代へとシフトする中で、物理化学専攻者のニーズはかつてないほど高まっています。
物理化学を専攻している皆さんは、決して「つぶしが効かない」存在ではありません。
むしろ、物理と化学の架け橋となり、理論と実務を繋ぐことができる「ハイブリッドな専門家」です。
就活中に「自分の専門とピッタリ合う求人がない」と感じたとしても、それはあなたの価値が低いのではなく、あなたの価値が「汎用的すぎて、特定のラベルに収まりきっていない」だけだと捉えてください。