HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
今や全国にユーザーが広がる、コミュニケーションアプリ「LINE」。
LINEは他のITベンチャーのように、優秀な創業者が開発してヒットに繋がったパターンではなく、かなり特殊な経緯を経てヒットに至ったアプリでもあります。
そこで今回は、LINEのアプリのヒットの秘密や同社のIR分析を解説します。
LINEの歴史をチェック 〜始まりは韓国のゲーム会社〜
LINEが生まれた経緯
まずはLINEが生まれた経緯を解説します。
「LINE」アプリが登場したのは2011年6月です。
これは、他のコミュニケーションアプリと比べると非常に遅いスタートでもありました。
LINEが生まれるきっかけはなったのは、2011年3月に発生した「東日本大震災」。
震災で家族や知人と連絡が取れなくなった被災者の姿を見て「コミュニケーションを手軽に取れる手段を開発したい」と、開発を重ねてできたのがLINEなのです。
先述の通り、LINEは他のコミュニケーションアプリに比べてリリースが遅いのが特徴です。
例として、他の代表的なコミュニケーションツールのリリース時期を比較してみましょう。
mixi、オンラインビデオツールのskypeは2004年スタート、facebook日本版は2008年リリースとなっています。
それに対するLINEは5年程度遅いタイミングでのリリースです。
しかし、LINEのリリース後はすぐにヒットを遂げました。
ヒットした最大の要因として、スマホの拡大期とマッチしたことや、東日本大震災の影響が挙げられます。
(参照:http://www.garbagenews.net/archives/2170355.html)
LINEが生まれた2011年当時のスマートフォン普及率は16.5%。
こに2011年を境に、携帯市場がガラケー(ガラパゴス携帯)からスマートフォンに移行していくことになります。
このタイミングでLINEがリリースされたため、LINEのユーザー数が飛躍的に伸びたのです。
ガラケー時代のコミュニケーションツールといえば、docomoやau、ソフトバンクなどのキャリアメールが一般的。
自身が契約している通信会社から*****@docomo.ne.jpというようにアドレスを作り、そのアドレスにメールを送受信する形が主流でした。
一方のスマホは、登録した電話番号やメールアドレスをLINEのサーバーに連携させて、インターネットを介してチャットのように手軽にメッセージを送受信することができるようになっています。
mixiやFacebookなど従来の大手コミュニケーションツールは、ガラケー時代のメインツールでしたが、LINEは新時代の主流であるスマホに合ったサービス性から、爆発的な普及を遂げたのです。
その後LINEは短期間で急速にユーザー数を集め、今ではゲームや漫画、音楽などあらゆるサービスを提供する、超巨大コミュニケーションツールへと成長しています。
無料アプリLINEの主な収入源とは?
無料でチャットや電話が使えるLINEは、アプリ使用中に表示される「広告」が主な収入源です。
実際にLINEを使っているユーザーの中にも「LINEって広告表示されていたっけ?」と思う人は少なくないかもしれませんが、意外なところで広告が表示されています。
(出典:https://adcenter.linebiz.com/mediaguide/)
例えば、トークルームの上部やタイムライン、LINEマンガなど幅広い箇所で広告を展開しています。
戦略事業 LINE Pay
ここまではLINE株式会社の過去から現在の状況について解説してきました。
スマートフォンの普及に乗って爆発的にユーザー数を獲得し、幅広いサービスを展開してマネタイズしているのが、現在のLINEです。
それでは、今後更なる成長を遂げるためには、どのようなステップが必要なのでしょうか。
その最大のポイントとなるのが<戦略事業 LINE Pay>です。
事実、決済ビジネス「LINE Pay」は既に133万ヶ所の店舗で使用可能せ、流通金額は早くも1兆円に達する大規模なネットワークになっています。
決済ビジネスは日本だけでなく、世界的にも非常に注目を受けているビジネスで、高い利益率を見込むことができるとされています。
従来、決済事業はクレジットカード会社が行なっていました。
しかし、決済金額に上乗せして3~5%程度の手数料が必要です。
この領域の利益に目を付けたのが、今回取り上げたLINE Payに代表される決済ビジネスです。
例えば、LINE Payは既に1兆円を超える決済額を持っており、決済手数料を既存のクレジットカード会社よりも安い1%にしたとしても、100億円の収入が見込めます。
これは豊富なユーザー数を誇るLINEだからこそ展開できるビジネスモデルといっても過言ではありません。
LINEの決算分析や収益とは?
それではここでLINEの決算分析を見ていきましょう。
まず、以下の表が直近5期分のLINEの決算指標になります。
(参照:https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/all/securities_report_2018.pdf)
この表から分かる通り既に1671億円の売上を挙げており、利益も181億円とかなりの数値を出しています。
この利益の半分以上に該当する収入源は、先述した広告事業です。
この広告事業は、まだまだ伸びているのが特徴の一つ。
(出典:https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/ir/all/Q4_earning_releases_JP.pdf)
一方でLINEの代名詞ともいえる「LINEスタンプ」をはじめとするコンテンツ事業については、売上が微減傾向となっています。
これはユーザー数の停滞やLINEスタンプの購買意欲の減少などによるものとされていますが、下がり幅としては緩やかなのでLINEの経営に大きなダメージを与えるほどではありません。
そのほかにもLINE マンガやLINE MUSICなど、新しいサービスも徐々に収益が大きくなり、マネタイズの観点でも注目できます。
LINEの年収や社員数とは?
続いてLINEの年収や社員数について解説します。
同社の有価証券報告書のデータを基に分析していきましょう。
2017年の有価証券報告書によると、連結社員数は1460名と非常に多く、メルカリやDeNAと比べても遜色ない規模の社員数となっています。
また、年収の水準は平均年齢34.3才で715万円なので、ベンチャーとしても水準はかなり高い部類に入るでしょう。
こういった背景もしっかりと把握した上で、数値を分析するようにしましょう。
LINEに向いている人とは?
LINEの親会社は「NAVER Corporation」という韓国の大手ネット系企業です。
LINEという会社名も元々は「NHN Japan株式会社」であり、韓国企業の日本子会社という位置付けでした。
そういった背景から LINEは国際色豊かで、日本人以外にも様々な国籍の人が所属しているのが特徴です。
そのため、仕事において国際的な視点に立って物事を考える力が必要になってくると推測できます。
韓国の会社であることや他のスペインなどにも事業所があるため、海外事業展開・海外勤務の可能性も考えられるでしょう。
LINEは日本国内だけで使われているものではなく、香港などでも多くのユーザーがサービスを利用しています。
よってLINEのサービスを拡大させるためは、どのように世界へ発信していけば良いかを考えることも必要です。
2019年4月現在、LINE株式会社の取締役8人のうち3名が外国籍の役員です。
外資系でもなく、一般的な日系企業でもない独自の文化が魅力のLINE株式会社。
そんなLINE株式会社には、国際的な視点を持てる人が向いているといえるでしょう。
まとめ
この記事ではLINE株式会社の歴史からIRの分析、同社の戦略を解説しました。
近年も新しいチャレンジを続けているLINE株式会社は就活生に人気の企業です。
同社が飛躍した時代背景、創業の歴史をしっかりと理解して、対策に臨みましょう。