HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
この記事では、日本を代表する広告代理店のトップ企業であり、世界的にも存在感の高い「電通」についてを取り上げます。
電通といえば、日本の広告代理店のトップであり、広告を牛耳っているイメージがあると思います。
実際にその位置にたどり着くまでに、どのような歴史的な経緯があったのかをご紹介します。
そして、業績面や直近の同社の戦略もご紹介します。
さらに、就業環境面で問題が露呈し、働き方改革を進める同社が、どのような改革を行い、今の実態はどのようになっているのかも研究します。
電通の歴史をチェック
この記事では、電通の歴史についてをdigmee編集部視点で詳しく、解説します。
特に就活生が知っておくべきポイントをピックアップして、紹介します。
実際に電通を応募して、面接に進む人はさらに詳しい歴史も把握すると良いでしょう。
さらに詳しい電通の歴史や今日のポジションに到るまでのエピソードについては、株式会社電通コーポレートコミュニケーション局が運営する電通報『電通を創った男たち』
それでは、まずは電通がここまでの圧倒的な業績を出すことができた経緯を解説していきます。
設立は1901年(明治34年)。
光永星郎によって設立された「日本広告」が電通の前身となります。
当時から 「広告」に関わるビジネスを行うことを目的として設立されました。
しかし、今のような「広告代理店」としてのモデルというよりは、「通信社」としての業務も多かったようです。
当時はインターネットがないのはもちろん、TVもない時代。
マスコミと呼べるものは「新聞」しかありませんでした。
そのため、当初は新聞各社にニュースを提供し、 新聞運営に携わる事業「通信事業」を主力としていました。
(1936年には通信部門を同盟通信社に移譲。
広告専業となる。
) 実際に、今の電通の事業の礎を築いたのは、4代目の社長である吉田秀雄氏が就任し、「広告代理店業」を本格的に展開するようになってからになります。
ちなみに、 吉田秀雄氏は有名な社則である「電通鬼の十則」を作る、名実ともに電通の祖となる人物です。
(ちなみに、電通が出資して、吉田秀雄記念事業財団(現存)を設立するほど今の電通としても吉田秀雄氏の影響を受けていると言えます。
) 実際に吉田秀雄氏が行ったことは、 当時世界で最も進んでいたアメリカの広告代理店のモデルを日本に取り入れ、広告代理店業という業態そのものを日本に根付かせたこと。
当時は広告業は現在とは異なり、社会的な評価が低かったのです。
実際に吉田秀雄氏は「広告業の文化水準を新聞と同程度まで引き上げたい」と語っています。
そして、その引き上げを実行するために「電通鬼の十則」を取り決め、 社員へ周知させるだけでなく、数多くの広告賞などを設立させ、広告の価値向上を行ったとされます。
- 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
- 仕事とは、先手々と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
- 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
- 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
- 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
- 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
- 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
- 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚みすらない。
- 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
- 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
このように、電通は「吉田秀雄氏によって、今日の広告代理業としての地位を築いた」と言っても過言ではありません。
この結果、日本の広告のシェア率は非常に高くなっています。
特に TV広告においては37.5%と圧倒的なシェア率を誇っています。
そういった点も考慮すると、シェア率は非常に高いと評価できます。
そして、さらに直近では、電通は海外展開に力を入れるようになり、海外事業による売上も飛躍的な成長を遂げています。
以下はエリア別の売上比率です。
2013年の時点では電通全体の中で日本の売上比率52%でしたが、2017年には41%とかなり比率を減らしています。
2013年には、イギリス系広告代理店イージスの買収しており、この時期から 海外展開へ一気に推し進めている状況となっています。
電通の決算分析や収益とは?
それでは、さらに電通の詳しい決算分析を行っていきます。
まずは、直近5期分の連結決算書類をご覧ください。
直近5期分については、 着実に成長していっていることがわかります。
ちなみに、第167期に売上や利益が減少しているように見えるかもしれません。
ただ、この際には 「決算年月」が3月から12月に変更となっており、その影響となります。
実際に同社ではM&Aも積極的に展開はしていますが、そもそもの本業としても成長速度が非常に高くなっています。
上記のグラフはM&Aを除く、 過去3年の既存事業の成長率ですが、実績で競合メガエージェンシーを凌駕しています。
これは、そもそもの本業としての広告代理店の事業でも着実な成果を挙げていることの表れです。
それでは、具体的にどの領域が伸びているのか? それは、「デジタル領域」です。
実際に、市場も伸びているデジタル領域について、「電通は苦手」という印象を持つ人もいるかもしれません。
電通が「TV中心の旧来マス広告のエージェンシー」というイメージは既に古く、実情にそぐわなくなっています。
デジタル領域から生み出される売上総利益はグループ全体の43%に伸長。
デジタル領域にも強い電通というブランディングが出来上がってきています。
電通の労働環境は改善したのか?
電通に入社した新入社員だった高橋まつりさんが過労自殺された傷ましい事件が起き、電通の社内で労働環境の改革が行われました。
今までの社風は簡単には変わらないため、電通では実際に多額の費用を投じて、労働環境の改善を行いました。
その結果、2割の総労働時間の削減を行うことができております。
実際に社員の口コミなどをみても、労働時間削減の取り組みは効果が出ているようです。
電通の年収や社員数とは?
それでは、続いて電通の年収や社員数について解説していきます。
同社の有価証券報告書のデータを基に分析していきましょう。
(出典:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4324/yuho_pdf/S100CM3L/00.pdf) 電通といえば、高い年収のイメージがある人も多いのではないでしょうか。
平均年齢は40.1歳、平均年収は1272万円。
非常に高い水準であることがわかります。
意外と思われるかもしれないのが、 平均勤続年数13年7か月。
インターネットなどのイメージでは、高年収だけどすぐに辞めてしまう人が多いイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。
しかし、実情としては、13年7か月と非常に長くなっており、 しっかりと定着する社風であることがわかります。
こういった背景もしっかりと把握した上で、数値を分析するようにしましょう。
電通に向いている人とは?
まず、電通の社風としては、 体育会系のノリが多く営業気質が非常に強いという社風となっています。
業界2位の博報堂と比べると社風は多く異なります。
博報堂の方は、様々な広告賞を受賞した歴史もあることから、クリエイティブ集団という雰囲気がありますが、 電通は営業力で勝負する雰囲気があります。
そのため、電通に向いている人は、 コミュニケーション力が高く、体育会系のノリにも付いていけるような人と言えます。
また、もう一つのキーワードとして挙げられるのは「自信」です。
実際に電通は国内で圧倒的トップの広告代理店であり、 2位の博報堂グループとは4倍近くの差をつけています。
そういった点の自身だけでなく、2020年の新卒採用のホームページのメッセージでは、 「電通を、つかえ」 と大きく記載されています。
広告を扱う電通だからこそ、その広告の一種でもあるホームページの文面はしっかりと意識しましょう。
あえて、「電通を、つかえ。
」というメッセージにした意図とは、 まさにこの言葉に共鳴した、自信をたっぷりの学生に来て欲しいからに他ならないでしょう。
もし、そうでなければここまで、エッジの効いたメッセージにする訳がありません。
また、今まではその体育会系のノリから労働時間も非常に長くなっている傾向がありましたが、現在では過労死された事件が発生したため、 労働時間については大きく削減されています。
実際に、電通では 残業を65時間に引き下げるなど、働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。
まとめ
この記事では電通の歴史からIRの分析、同社の戦略を解説していきました。
近年、新しいチャレンジを続ける電通は就活生に人気の企業です。
同社が飛躍した時代背景、創業の歴史をしっかりと理解して、対策に臨みましょう。