HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
メーカーの中でも花形であり、極めて人気の高い電機系の業界分析を行います。
知名度の高い企業が多いものの、実際に業界研究や企業研究をしようとすると、なかなか企業分析がしにくい業界。
そこで、業界に関する業界研究や最新のニュース、情報を基に業界の動向を紹介します。
電機業界の市場規模とは?
まずは、電機系の業界全体の市場規模を分析しましょう。
電機業界の市場規模を表す数値は、統計発表元によって異なるケースがあります。
記事内で示す数値も一つの目安としてご覧ください。
(参考:「日本電気工業会」https://www.jema-net.or.jp/Japanese/data/mitoshi/pdf/2018mi_release.pdf) 上のグラフは、重電・白物家電機器*を合算した電気機器の国内生産のグラフです。
時期によって多少の変動はありますが、 基本的には5兆5000億円程度〜6兆円の規模感となっています。
*国内メーカーが「海外」生産したものは含まれていません。
*重電は法人企業で用いられる発電機、変圧器、電池など。
白物家電は家庭で用いられるるテレビ、洗濯機、冷蔵庫など。
TVやネットなどでは「海外にシェアを奪われ、国内のモノづくりは廃れていく」という論調がよく見られますが、データ上ではそういった傾向は見受けられないといえます。
市場全体の規模については、おおよそ60兆円程度とされています。
国内生産と比べて、10倍以上の規模であり、生産の多くがすでに海外に移管されている状態であることが読み取れます。
すでにかなりの割合が海外に移管されているため、今後は「輸送費」や「為替の影響」などを考慮して、国内の生産が大きく下がっていくことはないともいえます。
電機業界の売上ランキング
それでは、次に電機業界の売上のランキングを見ていきましょう。
ここでは、上場している企業のみのランキングとなり、電気以外の部門を保有する企業の売上も混ざっている点に留意しましょう。
例えば、1位の日立製作所は家電製品やエレベーターなどの電気機器も製造していますが、ITソリューションなども行っています。
2位のソニーについてもTVやゲーム機などの電気機器を製造していますが、銀行や保険などの金融事業にも携わっています。
3位のパナソニックも家電製品を主に製造していますが、一部住宅なども行っており、幅広い業務を行なっています。
電機業界のトレンド・キーワードとは?
電機業界のトレンド・キーワードとして挙げられるキーワードは以下の3つです。
電機業界の最もホットなトレンドは、IoT です。
IoTとは、Internet of Thingsの略。
センサーと連携することで、全てのものがインターネットに繋がっていくことを指します。
例えば、冷蔵庫のドアが空いていることを遠隔で知らせたり、冷蔵庫の中身が買い物中にスマホで確認できたりするようになります。
IoTの活用により、今までには考えられなかった技術が生まれてくるといわれています。
IoTの活用により最も大きな影響を受けるのが、電機業界。
IoTといえど、電気機器は無線でつなげていくことはまだ技術的に難しいとされています。
電機業界が扱っている製品は従来の電力で動いていますので、新たな動力を気にする必要がありません。
そのため、チップを埋め込むだけで、IoTを実現することができるようになるのです。
ただ、意味のないIoTでは誰も使いません。
真に利用者の役に立つ機能にするために、電機メーカーでは研究開発や企画を日々行なっています。
2つ目のトレンドキーワードはAI(ビッグデータ)です。
AIやビッグデータはあらゆる業界でも注目されているため、当たり前の印象を受けるかもしれません。
しかし、電機業界に至ってはAI(ビッグデータ)の影響を最も大きく受けるといわれます。
それでは、具体的にどのような影響を受けるのでしょうか? 電機業界のトップメーカー、Panasonicの例を元に解説していきます。
Panasonicが提案するAI時代の電気機器とは? ・「ただいま」で、照明がついてエアコンがオン、温度゙が30度越えなので急冷モード ・「ちょっと暑いな」という声を音声認識し、AIが「エアコンをもっと効かせますか?」と音声応答。「頼むわ」で設定温度がさらに低下 ・ AIに「ビールの安売りしているみたい、冷えたビールを注文しますか?」と聞かれ、「あ、ええな」で冷えたスーパードライがネットスーパーから届く やりたいことをIoTでの状況とAIが自分と協働して実現 (機械はユーザエクスペリエンスを提供) (参考:https://www.kansai.meti.go.jp/5-1shiene/smart_energy_initiative/seminar/17_2_2.pdf)
このようにAI・ビッグデータは電機業界にますます浸透していくでしょう。
そして、AI・ビッグデータが浸透することによって、便利になるだけでなく、セキュリティ面でも重要になってきます。
3つ目のキーワードは「海外事業(M&A含む)」。
日本の人口は現在、約1億2000万人。
少子高齢化の影響によって、その人口はさらに減少傾向にあります。
一方で世界全体の人口はどうでしょうか? 2017年6月に国連が発表した「世界人口予測2017年改定版」によると、現在の世界全体の人口は76億人となっています。
そして、2030年までに86億人、2050年に98億人、そして2100年には112億人に達すると予測されています。
つまり、今後も人口は大きく増加していくと想定されているのです。
電機業界についても、人口が減っていく国内ではなく、海外を中心にしていくことが当然ともいえるでしょう。
電機業界はどんな人が向いているのか?
それでは、「電機業界はどんな人が向いているのか?」を分析していきます。
まず大切なのは「製品に対する愛着、身近さを感じることができるかどうか」。
特に電機業界の場合、非常に広い製品を扱います。
人の命に関わる機器を扱うこともあれば、エンタメ、美容関連など、非常に幅広いのが特徴です。
注意したいのは、特定の製品にこだわりが強すぎる人。
例えば「自分が関わった製品で人の役に立ちたい」という思いが強い人の場合、ゲームやエンタメ、美容など必需品ではない製品を扱う企業だと、「本当に自分は役に立っているのだろうか?」と思ってしまうかもしれません。
その場合、 総合電機メーカーではなく、何かに特化した電機メーカーを選択するといいでしょう。
チャレンジ精神のある好奇心旺盛な人、身近なモノづくりに幅広く関わってみたいという人には、電機メーカーは向いているといえます。
電機メーカーは特に身近である分、製品への理解・関心を求める傾向が強いといえます。
そのため、 メーカーが作っているものに興味があるかどうかが重要です。
一方、 「何をやるのか」を重視したい人は向いていないでしょう。
電機メーカーの場合、企業内でのジョブローテーションも豊富です。
「製品の企画をやりたい」とやりたいことベースで志望が決まっている人には向いていない可能性があります。
特定の職種を「やってみたい」という意欲は大事ですが、興味が限定的で、他の職種はやりたくないという人には適していないといえるでしょう。
まとめ
今回は、電機業界について解説してきました。
電機業界は日本のモノづくりを支える屋台骨。
ソニーやPanasonic、キヤノンなどは海外でも非常に有名な企業です。
他の業界と比べても、就活生に非常に人気の業界であり、選考倍率は高い企業が並びます。
電機業界を志望する学生は、業界研究に基づいた対策を入念に行い、選考に臨みましょう。