HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
「グローバルに働きたい」と考える就活生は非常に多いですが、グローバルという言葉は非常に抽象的で、真意が相手に伝わりにくいのは事実です。
就活の軸に据えることは十分可能ですが、その際は自分なりにグローバルな働き方の定義を考え、具体的に企業で何を成し遂げたいのかを定める必要があります。
またそれを実現するためにどのような努力をしたかを伝えることで、相手にしっかり響く軸を作ることができます。
はじめに
社会に出る際、グローバルに働きたいと考える人は多いでしょう。
積極的に海外と関わりをもつことで視野を広げ、さまざまな経験を積み人生を豊かにするのはとても素晴らしいことです。
就活にあたり、働き方やありたい自分を考えるときに大切になってくるのが「就活の軸」ですが、これはあらゆる企業から問われる内容でもあります。
そこで今回は、この「グローバルに働きたい」という意志が果たして就活の軸になり得るかを解説します。
就活の軸とは?
まず就活の軸とは何かからまとめてみましょう。
就活の軸は、就活をする上で自分に合う企業を探すための「基準」のことを言います。
この基準は一人ひとり千差万別で、決まった答えがあるわけではありません。
誰もが自分なりの基準=自分だけの就活の軸をもち、それに従って社会人としての将来の自分の姿や仕事、働き方を考察することになります。
就活の軸を定める際には大きく分けて二つのアプローチがあり、一つは自分自身から、もう一つは自分以外の要素から考えることが可能です。
自分自身から考える際には、ありたい自分、なりたい姿からアプローチし、自分以外の要素から考える際には、業界や企業、職場環境からアプローチするとよいでしょう。
就活の軸については、こちらの記事でご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
グローバルに働きたいは軸になる?
就活の軸がどのようなもので、どのように定めればよいかを理解できたところで、果たして「グローバルに働きたい」という希望は軸になり得るかを考えてみましょう。
結論からすれば、もちろん軸になり得ます。
ただし、「グローバル」という言葉は非常に抽象度の高い言葉です。
同じような希望を口にする就活生も非常に多いので、差別化が難しくなります。
当然ながら、ふわふわした夢や曖昧なイメージだけでは、とても軸にはなり得ません。
それでもしっかり軸が定まっている人は就活を成功させますし、曖昧な人は後悔する確率が高くなります。
両者の違いは果たしてどこにあるのか、それさえ理解できれば、同じ言葉でも十分相手に伝わる内容になるでしょう。
グローバルに働くとは?
就活を成功させるために必要なのは、常に自分が目指すところを明確にすることです。
グローバルに活躍することを目指すなら、まずは「グローバルに働きたい」という言葉の真意はどこにあるのか、どういう状態を指しているのかを明確にしましょう。
一言でグローバルと言っても捉え方はさまざまです。
その中で、自分が求めている状況はどのようなものなのかを、しっかり自分で理解することが大切です。
それではどのような状況が考えられるか、一例を紹介しましょう。
会社の公用語が外国語
近年、日本の企業にも会社の公用語を英語とする企業が登場しています。
ご存じの人も多いでしょうが、具体的には楽天やファーストリテイリング(ユニクロ)、アサヒビール、武田薬品工業などの大手が公用語を英語に定めて久しい企業です。
企業がこうした方針を打ち出す最大の理由は、マーケットの拡大です。
国内の少子高齢化によるマーケットの縮小に対応するため、海外マーケットへの進出を目的として採用されています。
アジア圏の企業も公用語を英語にしているところが非常に多く、英語はもはやビジネスに欠かせなくなっていると言えるでしょう。
つまりこうした対応をしている企業はまさにグローバルなビジネス展開を主軸としている企業であり、希望に添う仕事が待っている可能性があります。
海外の会社と取引がある
現代は多くの企業が海外企業と取引をしており、すでに顧客は国内の枠を越えています。
海外企業と取引があることはグローバルに働くことにつながりますので、取引先に海外企業が多いところは希望の仕事が見つかる可能性が高いでしょう。
こうした国内企業は、決して大手ばかりとは限りません。
インターネットの普及によりビジネスにおける距離の限界がほとんどなくなり、中小企業やさらに規模の小さい企業であっても、十分に海外顧客と取引ができる時代になっています。
つまりグローバルな働き方を目指す就活において、応募先企業の規模しか注目しないのは誤りだと言えるでしょう。
いまだに就活生の多くが、グローバルという言葉から大手企業をイメージします。
ただそれはすでに誤った古い認識とも言えます。
海外出張・海外赴任がある
なぜグローバルに働きたいと思うのか、その根底に海外出張や海外赴任への憧れがある場合が少なくありません。
毎日のように世界を飛び回り、あらゆる場所で精力的にビジネスを展開するのは、確かに痛快な仕事でしょう。
しっかり現地に根付き、ネイティブと良好な関係を築きながら経済活動をおこなうのもやりがいの大きな仕事です。
そうした働き方を目指すなら、具体的には航空業界や貿易会社、海外赴任が多い総合商社などが就活のターゲットになります。
ただこうした働き方はイメージしやすいようにも見えますが、同じ企業でも配属される職種によってはまったく違った結果になる場合もあります。
商社に入社しても事務方であれば海外へ行くこともありませんし、航空業界でも地上勤務はあります。
つまり自分がどのように働いている姿が理想なのか、そのビジョンを明確に定めておかなければ、結局後悔する場合もあるのです。
グローバルに働きたいを軸にするには?
ここまで読み進めてくれば、自分にとっての「グローバルな働き方」がどれに当てはまるのか、なんとなく理解できたのではないでしょうか。
おおむね自分が進みたい道が見えてきたら、なぜそう思うのか、なぜ自分はグローバルに働きたいのかを第三者にも分かるように説明できるようにしましょう。
また、そのために今まで何をしてきたかを明確化することも重要です。
それがきちんと相手に伝わってはじめて、グローバルに働きたいという自分の希望が、就活の軸という一つの基準に定まるのです。
「グローバルに働きたい」の例文
それでは早速これまでのことを踏まえ、「グローバルに働きたい」という希望を就活の軸としてまとめていきましょう。
ここでは例文を挙げますが、もちろんこれがこのまま自分の基準に当てはまる人はいません。
同じような内容でいい例と悪い例とを挙げますので、どこがよかったのか、どこが悪かったのかポイントを考えながら組み立ててみましょう。
事実、ESや面接でグローバルに働きたいと述べる学生は非常に多く存在します。
ただほとんどの人はしっかり定義まで考えておらず、なんとなくかっこいいから使っているだけのように捉えられてしまうケースが多いのです。
また、こうした答えは面接時に確実に深堀りされます。
面接官は学生がどこまで情報を調べ、勉強し、理解しているかを確認しますので、そこで薄っぺらな受け答えしかできなければ、内定獲得は程遠いでしょう。
いかに第三者に理解してもらえるかは、まず自分がどれだけ理解できているかにかかっていることを、改めて認識する必要があります。
良い例
私の就活の軸は、グローバルに働くことです。
子どもの頃に見たテレビ番組がきっかけで、いつか地球上のすべての国に行き、現地の人々と交流したいという夢をもつようになりました。
私は大学2年の時に1年半アメリカへ留学した経験があり、インターンシップでも海外インターンシップを経験しました。
入学当時からゆくゆくは海外マーケットでビジネスに携わりたいと考えておりましたので、TOEICテストは毎回受験し、現在850点をマークしております。
ビジネスをおこなう上での英語力には自信があり、異文化交流ゼミではコミュニケーションやリレーションシップについて研究をおこないました。
プライベートでも休暇には世界各地を訪れ、近年は特に経済成長の目覚ましいアジア諸国に強い興味をもっております。
貴社は先進国だけでなく、発展途上の国に対してもサービスを展開する積極的な事業方針を継続しており、そこに大きな魅力を感じました。
私は培った語学力を生かし、まずは海外企業と積極的に取引を進めることで、貴社の業績アップに貢献したいと考えております。
解説
グローバルに働くことの意味を自分できちんと整理し、明確に伝えている内容です。
応募先企業がどのような事業をおこなっているか調べていますし、企業のグローバルな取り組みを明確化し、その上で自分がどのように活躍できるかもアピールできています。
また、なぜ自分がグローバルに働くことに興味をもったのか、そのためにこれまで何をしてきたか、何に努力したかをしっかり書いていることで説得力を得られています。
きっかけは子どもの頃の夢だったかもしれませんが、それを実現するために具体的な行動に移していますし、語学やコミュニケーションスキルを磨くためにも努力や研究を惜しんでいません。
主張が一貫しており行動力もありますので、さまざまな国へ足を運んでビジネスを展開する営業マンとして大いに活躍が期待できそうな人物です。
悪い例
私の就活の軸は、グローバルに働くことです。
私は以前から海外に興味があり、子どもの頃からグローバルに働きたいと考えていました。
外国の方々と一緒に働くことは、さまざまな刺激になり人間としても大きく成長できると思います。
自分が知らなかったことを知ったり、新しいことに触れたりするのが大好きなので、積極的に仕事に取り組むことができます。
大学時代は4年間ラグビーをやっていたので、体力とチームワークには自信がありますし、海外出張でも海外赴任でも、与えられた仕事は全力で実行するバイタリティがあります。
英語は目下のところ猛勉強中ですが、1年以内にはTOEIC600点突破を目指しています。
就職にあたっては、世界のさまざまな国へ行き、さまざまな業務をこなせる企業を希望しました。
貴社は海外に多くの支社をもっておられるため、私の思いを実現できると考え志望しました。
解説
この例では、グローバルに働きたいという部分があまりにも抽象的で、入社して何を実現したいのかが分かりづらくなってしまっています。
強いて言えば、外国の人々と仕事をすること、外国へ行くことがこの人にとってのグローバルなのだろうと推測できますが、具体的な中身がありません。
また海外出張や海外赴任など、なんでもするといった内容は一見やる気を見せているように思えますが、主体性がなく、自分の思いが伝わってきません。
第一に、海外を飛び回って活躍するような人材や、海外駐在を任されるような人材は企業の上位の成績を発揮している社員であり、入社してすぐそんな重役を任されることはないでしょう。
グローバルに働くという意味を理解していないと捉えられても致し方ないですし、見合うスキルを磨く努力も今までして来なかったように見受けられます。
「なぜ海外でなければならないのか、なぜ日本ではできないのか」と問われたら、答えに窮する様が目に浮かびます。
まとめ
グローバルに働きたいという希望は、十分就活の軸になり得ます。
ただし、その言葉の奥にはどのようなビジョンがあり、自分が企業で何を成し遂げたいのかを明確にしなければなりません。
言葉の定義は自分なりにしっかり考え、第三者にも理解できる内容を具体的に固めましょう。
この記事を参考に、どれだけ自分の思いを具体化できるかを重視しながら、「グローバルに働きたい」という軸を作ってください。