HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
大学選びは人生の中でも大きな問題の一つです。
理系に進もうと考えているけれど志望校が絞れない、もしくは本当に自分に合う大学が国公立大学なのか私立大学なのかがわからないなどという悩みは少なくありません。
また、理系ならどの国公立大学がすごいのか、気になっている受験生も多いでしょう。
ここではそもそも国公立大学がどのような学校なのかという基礎知識から、大学選びの考え方を紹介します。
国公立大学とは?
まず、国公立大学とはどのような大学を指すのかまとめておきましょう。
国公立大学は、国立大学と公立大学の両方を合わせて指す言葉です。
運営しているのは国立大学法人や地方公共団体、公立大学法人などで、運営資金に公共予算が設けられているのが特徴となっています。
これに対するのが私立大学で、こちらは設立が私人や民間団体などによるものです。
ただし 日本では私立学校法という法律にもとづき、学校法人を設置して文部科学大臣の所轄になるルールになっています。
実は国公立大学は数が多くありません。
文部科学省の公式データによると、令和2年5月現在、国立大学は86校、公立大学は94校です。
私立大学は615校もありますから、その差は歴然でしょう。
数的には増加傾向にありますが、あらかじめ頭に入れておくべき数字です。
国公立大学のメリット
国公立大学に進学する場合、さまざまなメリットがあります。
国や地方自治体が運営するブランドとしての社会的信用もありますが、自身が通学するうえでどのような利点があるのか押さえておきましょう。
学費
国公立大学は私立大学に比べて学費が圧倒的に安いという話は、耳にしたことがある人も多いでしょう。
志望校を決める際には自分の学力や専攻ばかりを重視しがちですが、実際にかかるお金をリアルに計算したときに、学費が大きなネックになることは少なくありません。
入学金に関しては、大まかにまとめると国立理系30万円、公立理系40万円に対し、私立理系は25万円程度と低くなっています。
ところが授業料は国立公立ともに50万円程度のところ、私立は100万円と倍額です。
4年間で考えても300万程度かかる費用が代わって来ると、非常に重要な問題となります。
少しでも安く抑えたいなら、国公立大学しかありません。
地方国公立が多い
国公立大学は、もちろんすべてではないものの地方にある場合が多いです。
そうした大学は地方国公立大学とも呼ばれますが、旧帝国大学や有名大学のように偏差値が高くなく、比較的狙いやすい大学と言えます。
ほとんど場合、都道府県名を冠にした大学名となっており、過ごしやすく生活もしやすい環境が整っているのが魅力です。
学生時代、地方で静かに勉強や研究に打ち込みたいなら、国公立大学はピッタリの選択と言えます。
一人暮らしをしても生活費に苦しむことが少なく、場合によっては実家から通学することも可能なため家族の都合に合う人もいるでしょう。
もちろん当該の都道府県においてはトップクラスの名が通った有名大学ですし、社会的信用も高いため安心感もあります。
生徒の数が少ない
有名な私立大学はマンモス校とも言えるほど学生の数が多く、きめ細やかな教育を受けにくい環境になっていることは否めません。
国公立大学の場合は教授の数に対する生徒の数が圧倒的に少ないため、より詳しく深く勉強をすることができます。
ゼミなどで研究をする場合にも、生徒の数が少なければ少ないほど学べることが多くなるのが当然です。
理系の学問において指示を仰ぎたい教授とマンツーマンで研究を進めていけるような環境を望むなら、やはり国公立大学は魅力的な大学と言えます。
国公立大学のデメリット
メリットがたくさんある国公立大学ですが、長年指摘され続けるデメリットがあることも否めません。
果たしてどのような点がマイナスに働く懸念があるのでしょうか。
地方が多い
先ほどメリットとして地方国公立大学が多いことを挙げましたが、このことが同時にデメリットとして働くケースがあります。
それは大学生時代という限られた貴重な期間において、周りから刺激を受けられる環境が少ないことです。
刺激と聞くと遊びの要素をイメージする人も多いですが、学問においても刺激は必要です。
都市部にいれば周りに刺激要素がたくさんあり、社会がどのように動いているかを肌で感じることができます。
ところが、まるでリタイアした人が暮らすような静かな環境に身を置いていると、若い頭がフル回転するようなシチュエーションが極端に少なくなります。
良い意味でもストレスが加わることがないため、まるで高校の延長のような、のんきな大学生活になってしまうおそれがあるでしょう。
就職活動
都心部にある有名国公立大学や、地方でそのまま就職することが決まっている場合には、これはデメリットになりません。
もし地方国公立大学を卒業後、都心に出て就職活動をする予定があるなら大きなデメリットが発生するリスクがあります。
就職活動一つとっても地方から都心に通う場合は交通費も宿泊費も多額になりますし、勝手がわからないため自由に動けず、思うような就活ができない懸念もあるでしょう。
東京の大学に通っている人が東京で就活するのと、地方の大学に通っている人が東京で就活するのとでは、残念ながらさまざまな有利不利が生まれることは想像の通りです。
自分が卒業した後、どのような道に進むかまでよく考えたうえで、大学を選ぶことは重要です。
就職先の違い
就職活動そのものを考えれば有利不利がありますが、実際に就職する先については差があるとは言えません。
国公立大学や私立大学と一括りにしたところで、どちらもピンキリのため一概に比較することはできないからです。
もちろん東京大学のような名実ともにトップの国公立大学と比較したら変わりますが、同じくらいの偏差値帯にある大学同士で、国公立か私立かで採用がそこまで大きく変わることはありません。
それよりも採用担当者が見るべき点は山のようにありますので、たとえ大学名で不利に見えても、そんな肩書きをカバーして有り余る魅力やポテンシャルを備えた就活生はいくらでもいます。
理系であれば専攻にも関係してきますし、重要なのは企業とどれだけマッチするかですので、大学名は二の次と考えて前向きに取り組みましょう。
研究力・設備の違い
その大学がどれほどの研究力を持っているかは、設備投資額などから一定の評価ができます。
優秀な教授を抱えているとか、画期的なカリキュラムを持っているとか、ソフトウェアの部分から判断すべきこともありますし、物理的なハードウェアの面から判断すべきときもあります。
こればかりは学問の質の問題なので、偏差値とは比例しません。
確かめるためには実際にオープンキャンパスに足を運び、自分で見て決めるのが1番確実だと言えます。
特に設備投資にはかなり多額の予算が必要なため、整っている大学はその分野の研究にかなり力を注いでいることが理解できます。
ここなら自分のやりたいことができそうだと感じられる大学を選んでください。
大学院って何?
大学院については、大学入試時にはあまり深く理解していない人も少なくありません。
大学院は大学卒業後の進路の一つであり、大学で学んだ知識や理論を応用してさらに深く研究を行うところです。
理系は特に大学院に進学し、専門を磨いてスキルを身につけたほうが就活に有利だという考え方もあります。
また、ある大学に行って学んだものの、違う分野の研究をしたくなった場合に大学院の研究室で改めて学び直すという選択肢もあるでしょう。
実は大学院と一括りにしても種類がいくつかあり、一般的な学部を持つ大学院のほか、学部を持たない独立研究科、大学院だけの機関である大学院大学、専門的な高度能力を磨いて実務に活かす専門職大学院などがあります。
まとめ
理系の国公立大学も私立大学もありますが、それぞれメリットデメリットがあり、どこが自分に合う勉強ができる場なのかはじっくり考えて決める必要があります。
入学する時には学力や学科が基準になるのはもちろんですが、リアルに考えた時に4年間でお金がどれくらい必要なのか、卒業後にどのような進路があるのかはあらかじめ考えることも重要です。
候補があるなら、オープンキャンパスを利用して実際に見に行ってみましょう。
特に理系なら設備も重要な判断基準となりますので、机の上だけで国公立大学か私立大学か悩むだけでなく、足を使って情報を得ることもおすすめします。