HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
理系の資格はたくさんあり、卒業研究が終わった頃には就活のために資格を取ろうかと悩む学生も多くなります。
どういった資格を取るべきかは判断が難しく、化学系の資格は必ずしもむやみに取ることが良いとも言い切れません。
ただ、将来活用できるものであればとても強い武器になりますし、自分の進みたい道やこれからのビジョンが見えているなら、該当する資格の取得を検討する意義は十分にあります。
取って良かったと思える資格、取るべき資格について解説します。
【理系が取るべき化学系の資格とは?】理系生は資格は取るべきか?
そもそも理系生が資格を取るべき理由を考えてみましょう。
真っ先に挙げられるのはもちろん、就職に有利になることです。
理系生の就活で求められやすいのは専門性であり、大学時代の学問では実際の現場で通用しないレベルであることは否めないとしても、意欲的に専門知識を学んだ事実は評価ポイントになります。
もし時間が割けるなら資格は取ったほうが良いですし、就職してから英断だったと思えることは多いでしょう。
なぜなら、実際に社会で働くようになってからだと、あまりにも時間がなさすぎて資格取得の勉強が難しくなるからです。
本当は部署に配属されてからのほうが必要な資格を絞り込みやすいのですが、それでは結局間に合わない事態になることもあります。
特に化学系は就職に有利になりやすい
化学系は専門性が高いため、資格をあらかじめ取得しておくと就職に有利になりやすいです。
ただし、化学系の資格を単純に羅列すると、技術士をはじめ15種ほどの資格があり、とても絞り込むことは難しい状況です。
もちろん実務経験を必要とするものは受けられませんが、同じ資格でもランクの低い分類なら在学中にも取得できる場合は少なくありません。
薬剤師などは目指すビジョンがはっきりしているため、絞り込みやすいでしょう。
【理系が取るべき化学系の資格とは?】化学系の資格を取るメリットは?
化学系の資格を取るメリットは、ざっくりまとめると2つあります。
化学系の資格と一言で言っても非常に種類は多いですが、いずれの資格も同じように自分の将来にプラスになるものですので、ぜひ検討してみてください。
専門性が高まる
資格を取るというのは最終的な結果であり、本当に大切なことは必要な知識を学び身につけることです。
当然、その努力は専門性を高めますし、もし試験でミスしてしまったとしても、資格取得の過程で専門知識が身につくことはとても大きな意義を持ちます。
試験はあくまで試験ですので、出題の傾向やその時の受験者数、レベルなどによって合格できるかどうかはわかりません。
それでも試験のための勉強は就職後にも役立つスキルとなり、自分の知識の幅を広げてくれることは間違いありません。
もちろん、受ける以上は合格を目指して頑張らなければなりませんが、まずはチャレンジする一歩を踏み出してください。
勉強はいつでもできますが、やはり目的があったほうが身が入ります。
就活や転職に有利になる
就活で自信をつけるために資格取得を目指す学生は多いですが、もちろん就職にプラスになることはメリットです。
ただ、実際には就活の時に限ったことではなく、就職した後も自分のキャリアにプラスになるのが資格です。
中には、どういった部署に配属されてどういった仕事に携わるかわからないのに、学生時代に資格を取得しても意味がないのではと考える人もいるでしょう。
しかし現代は、新卒入社した企業に一生居続けることが当たり前の時代ではありません。
キャリアアップを目指して転職することも十分に考えられますし、そうでなくても企業内で異動するのに有利になる場合もあります。
自分の専門を活かせる分野で合致する資格があるなら、取得しておいてデメリットになることはまずありません。
仕事をする際に必要となる
キャリアアップのための条件が資格取得という企業は多く見られます。
例を挙げると、資格取得ができた場合、昇給や各種手当の付与がなされることや昇格や希望する部署・業務への異動希望が通りやすくなるなどです。
受験する資格の種類によっては、都心部で年に限られた回数だけ試験が実施されることもあります。
受験者の勤め先が地方などの場合には、企業が受験のために経費で出張をさせ、資格取得のための短期集中合宿を受験地で開いてくれることもあるでしょう。
その際には、受験者は自分の業務をお休みし、仕事の穴埋めを同僚にサポートしてもらうことが必要となります。
合格へのプレッシャーもさることながら、試験終了後には、溜まった自分の業務を処理する忙しさも伴うでしょう。
このように、現役での資格取得は業務とのスケジューリングが重要となるため、時間管理がしやすい学生時代のうちに資格を取得しておくメリットはとても多いです。
もし在学中に資格試験に受からなかったとしても、習得した知識は就職後の資格取得や業務の予習となりますので、先々に役立つと言えます。
【理系が取るべき化学系の資格とは?】どんな企業の就職に使えるの?
化学系の資格を取得した場合、どのような企業への就活に活かせるかは気になるところです。
まだ志望を決め切れていない場合は、逆に資格の面から有利になる企業分野を探してみるのも一つの方法です。
化学系のメーカー
化学系の資格が活かせるのは化学系のメーカーです。
一般的にメーカーの組織体制は、本社、研究部署、化学工場に分かれますが、化学系の資格はこのうちのいずれの業務に就く場合でも有利になります。
理系学生なら、化学業界はすでに業界研究や企業研究の対象にしていることも多いのではないでしょうか。
基本的にBtoBビジネスが主体であり、規模も社会に与える影響力も非常に大きな存在です。
現在あらゆる製品をたくさん世に送り出している化学系のメーカーは、世界中の社会を支えていると言えます。
最終製品より中間財を開発する事業のほうが多いですが、なくてはならない存在のためやりがいもありますし、人の生活を大きく変える仕事に携わることもできるでしょう。
化学系の研究職
研究職ではさまざまな役費を使うため、化学に関する知識をつけられる資格取得は大切です。
社会をさまざまな側面から支える業界では、現在、基礎化学品や機能化学品などが次々と研究開発され、各社とも原料のコスト削減や製造効率の向上に取り組んでいます。
切磋琢磨する中で新興国の化学メーカーは近年、基礎化学品をメイン事業に据えて市場に参戦している状況です。
とはいえ、用途が極めて多いため品種も多く、棲み分けがなされていることから価格競争は比較的緩やかと言えます。
ただ、ニーズに対してきめ細かな対応が必要とされる時代になり、これまで基礎化学品も機能性化学品も両方展開して来た日本企業も機能化学品へシフトする傾向になってきました。
これからはより独自性や技術的優位を活かし、得意分野の研究に力を入れる企業が増えて来るでしょう。
優秀な化学系の研究者は、非常に注目される存在と言えます。
薬局
こちらは薬剤師資格に限りますが、医薬品を提供している調剤薬局では薬剤師の人手不足が深刻化し、常に多くの募集されている状況です。
募集条件は非常に良く高給であるため、待遇の良い就職先は競争も激しくなっていることは否めません。
ただ、こうした好条件の就職先を探すにも、まず資格を持っていなければスタートラインにも立てないことになります。
薬剤師資格の取得を目指す人は、ゆくゆくは独立開業して自分の薬局を開きたいという希望を持っている人も多いですが、夢を実現するための第一歩が資格取得と言えるでしょう。
【理系が取るべき化学系の資格とは?】理系生が取るべき化学系の資格紹介
それでは理系生が取るべき化学系の資格についてまとめておきましょう。
もちろん、化学系以外にも取得していれば就職にも業務にも役に立つ資格はさまざまあります。
たとえば、TOEICなどは最たる例ですが、まずは自分の専門性を高める資格に絞って見ていきましょう。
乙種危険物取扱者
乙種危険物取扱者はガソリンスタンドで働く時にも必要とされる資格のため、比較的よく知られている存在でしょう。
石油会社はもちろん、総合メーカーや電子素材メーカーで働く際に必要になる資格でもあり、有資格者を必要としている企業はとても多いです。
消防法で定められた危険物を取り扱うことや他者が危険物を取り扱う際に立ち会ったりできる国家資格であり、「甲種」「乙種」「丙種」の3種類が存在します。
危険物を取り扱う各種工場や研究所で必要とされることが多く、持っていれば非常に有利な資格です。
難易度と勉強時間
危険物取扱者乙種第4類(通称乙4、第4類)は、甲種とは異なり、受験資格や年齢制限はありません。
そのため、どなたでも受験にチャレンジすることができます。
さらに、さまざまな業種から需要がある資格であるため非常に人気が高く、乙種第4類の受験者数は、ほかの乙種試験(第1類~第3類、第5類、第6類)の受験者数よりもはるかに上回っています。
合格率は30%から40%と低めですが、その理由は前述したように受験者数が圧倒的に多いからです。
受験の敷居が低いため、合格者も多い分、気軽に受けて落ちる人も多いと言えるのでしょう。
特に現役の方の場合は、必要な勉強時間が40~60時間とされていますので、業務の合間を縫った学習時間の確保やスケジュール調整が重要です。
出題形式はマークシート方式ですが、出題範囲は多岐にわたります。
そのため、参考書で頻出問題の傾向を把握し、繰り返し過去問を解くなど、効率の良い勉強法が求められます。
エネルギー管理士
エネルギー管理士は、大規模工場の管理者になる際に必要な資格です。
石油資源をもととする電気やガス、油などのエネルギーを大量消費する工場や事業所などで、管理監督、指揮を行うのが主な業務です。
一定規模のエネルギー消費のある工場や事業所には、業務に応じたエネルギー管理者を配置することが法律で義務付けられています。
この国家資格を持つ人材は近年叫ばれるSDGsにも関連し、地球環境の保全においても重要な役割を担う存在です。
難易度と勉強時間
エネルギー管理士の資格試験には、知識問題のほかにも計算問題があります。
ですが、難易度としてはそれほど高くはないのが特徴です。
頻出問題も多いため、参考書での情報収集と過去問での対策が必要となります。
計算問題に関しては苦手な方は時間を取られてしまうため、出題全体の確認やより短時間で解ける問題がほかにないかの確認、また、受験中に焦らないように普段からタイムを計るなどの勉強法も重要でしょう。
必要な勉強時間は100時間~150時間ほどとされています。
ですが、この試験には科目別合格制度が導入されていますので、たとえば一発で合格ができなかったとしても、合格科目があれば2年間はその科目の受験が免除されます。
就職後は忙しく、勉強時間の確保も難しくなりがちですので、先を見据えて在学中から資格取得をチャレンジしてみると良いでしょう。
高圧ガス製造保安責任者甲種
高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガスを取り扱える資格の一つです。
全部で9つの資格がありますが、種類によって扱える高圧ガスが異なり、必要な資格を取得しなければなりません。
資格者となることで就職しやすくなる先には、LPガス製造事業所やLPガススタンド、石油化学コンビナートなどがあり、かなり事業規模の大きな企業がほとんどです。
国家試験ですが、誰でも受けることが可能であり、「法令」「保安管理技術」「学識」の3科目で1科目でも合格基準60%程度に達しないと不合格になります。
難易度と勉強時間
高圧ガス製造保安責任者甲種の資格は合格率が20%~30%であり、難易度は高いと言えます。
出題範囲も記述式の計算問題や、『学識』、マークシートの『保安管理技術』、『法令』の多岐にわたり、そのため必要な勉強時間は100時間~150時間とされています。
一見、試験日までに出題範囲の学習を終わらせるのが難しいと感じてしまいそうですが、マークシートによる出題は頻出問題も多いため、出題傾向を把握することで効率の良い学習が可能です。
また、甲種に関しては、制限時間内に記述式の出題をどれだけ多く解けるかが重要となります。
こちらは参考書を読み込み、内容の理解に努め、過去問を繰り返し解くことが必要です。
合格基準が60%であるため、基礎をしっかりと理解し、過去問をスムーズに解けるようになれば十分に合格圏内に入ると言えるでしょう。
公害防止管理者
公害防止管理者は、工場や周辺地域の大気・水質・騒音・振動など公害にあたる事項を調査し、既定値を超える場合は改善のための具体的な措置について考える仕事の能力を測る資格です。
まさに公害を防止するために存在するエキスパートと言えますが、背景には1960年代に国内で多発した公害があります。
従業員や近隣住民の健康を守り、定められた法律を遵守するために制定された職種であり、特定工場においては選定が義務付けられている資格です。
製造業や電気・ガス・熱供給業など、非常に多くの企業で必須とされる職種であり、ニーズは高い資格と言えます。
難易度と勉強時間
防公害止管理者の合格率は約10%と難易度は高めです。
ですが、科目別合格制度があるため、仮に一発で合格できなくても、合格科目は3年間受験が免除となります。
試験の合格基準は6割です。
申し込みから3年以内に全科目を合格できると有資格者になれるため、いかに6割を取れるかを考え、効率的に勉強を行うことが重要です。
この試験を受けるのに必要な勉強時間は100時間~150時間ほどと言われています。
ですが、受験科目が複数あるのと同時に、『公害防止の技術と法規』という防公害止管理者資格試験の教科書的なテキストにはかなりのボリュームがあるため、すべて読み込みをしようとすると大変な時間がかかります。
そのため、インターネットや参考書で出題傾向の情報収集を行い、自分はどの受験科目から勉強をするか対策を立てたうえで、過去問を繰り返し解くのが近道と言えるでしょう。
機械保全技能士
機械保全技能士は、機械の故障や劣化を正しく測定し、必要な対策などを行う管理者としての能力を測る資格です。
国家検定制度である技能検定の一つであり、130職種の試験が設けられています。
企業によっては資格手当を支給するなどの待遇をしていますし、キャリアアップや転職のために就職してから取得を目指す人が少なくありません。
有資格者は製造業で特にニーズがあり、有していればさまざま面で有利になるでしょう。
難易度と勉強時間
機械保全技能士の3級は、実務経験を問わず受験をすることができます。
ですが、2級と1級では実務経験の有無が問われます。
3級の合格率はおよそ70%と難易度としては高くなく、また、学習範囲が工業高校で学ぶ内容と重なる部分も多いため、学生の受験者が多いのも特徴です。
試験では学科試験と実技試験が実施され、必要な勉強時間は40~60時間ほどとされています。
学科試験は級により出題形式が異なりますが、いずれもマークシート方式です。
3級の実技試験は、機械系保全作業と電気系保全作業の作業ごとに行われます。
機械系保全作業は、資料などを見て判断や判別などを行うマークシート方式の判断等試験です。
電気系保全作業は、実際に回路組立作業や修復作業を行う製作等作業試験と、ほかにマークシート方式の問題も出題されます。
3級に関しては、企業では特に新人教育の一環として受験をさせるケースも多いため、先取りをして資格取得をしておくのも良いアピールポイントとなるでしょう。
【理系が取るべき化学系の資格とは?】化学系への就職を考えている人に英語力は必要?
グローバル化が進んだ現在、どのような業界や職種においても英語力は評価の対象です。
国際市場で競争する企業では、社員に対し高い英語力を求めることも決して珍しくありません。
特に研究職の分野において、最低限の英語力は必要です。
共通言語が英語であるため、最新の科学技術の情報を得るのには英語で論文を読み、文献調査なども行う必要があるからです。
また、海外進出をしている企業や取引先、クライアントが国外にある企業になると、外国籍のスタッフとの英語における円滑なコミュニケーションやプレゼン力も求められるでしょう。
化学系に就職を考えているとどうしても理系資格に目がいきがちですが、英語力を示す資格があると就職や転職のうえでも有利になります。
TOEIC
英語力の証明として最も評価されているのはTOEICです。
特に昨今ではリモート会議も定着し、オンライン上での英語を使ったコミュニケーションも増しています。
そのため、企業からは今まで以上に英語力のある人材が求められており、中には採用時からTOEIC600点以上を採用条件としているところもあります。
しかしTOEICにおいて、600点代のスコアの人は数多くいるため、他者との差別化を図るのは難しいのが現状です。
そのため、スコアが700点代後半、800点であると、基本的にどの企業でも高い評価を得ることができます。
TOEIC695~795点ですと、英会話の長い文脈の中から細かなセンテンスを聞き取ることができ、TOEIC800~895点になると海外勤務が視野に入るほどの円滑なビジネス会話が可能です。
さらに、TOEIC900点以上になると、高度な英文の読み書きができるレベルとなるため、英文での公式文書の作成や翻訳もできるようになります。
このように、他者と差別化できる強い英語力があると、入社後評価を受けやすく、その後の昇進や昇給につながるケースやキャリア形成に関わる重要な業務を任せられる機会にも恵まれやすいと言えます。
必要な英語力は各企業や職種によっても異なるため、採用条件を確認し、業界研究と情報収集を行い、資格取得にチャレンジすると良いでしょう。
【理系が取るべき化学系の資格とは?】理系生は研究内容でも評価される
ここまで理系生が取得を目指す化学系の資格についてまとめてきましたが、これらの資格取得を目指すのは、あくまで学生の本分である大学の研究がひと段落ついてからにすべきです。
理系生の場合、もちろん資格も大切ではありますが、企業は大学での研究内容でもきちんと評価します。
いかに資格を持っていても、本分である研究が疎かになっていては、企業側としても評価できるものもできなくなってしまいます。
資格取得は自身の研究をより深めるために勉強した結果であり、プラスアルファであることは忘れないでください。
軸足は学問に置き、就活においては大学の研究でどのようなテーマに取り組んだのか、相手企業にしっかりアピールできるようにしておきましょう。
【理系が取るべき化学系の資格とは?】まとめ
理系生が取るべき化学系の資格は、ざっくり挙げても数種類あります。
どのような職種への就職を目指すかによっても取得したい資格は代わってきますが、過程において学ぶことは、いずれにしても自身のこれからにプラスになることは間違いありません。
ただし、学生の本分は大学の研究ですので、その点は忘れないでください。
時間が取れるのであれば積極的にチャレンジし、就活時だけでなく就職した後も、キャリアアップや転職に有利な武器を手に入れましょう。