HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
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はじめに
理系大学生は文系大学生に比べてきついと言われています。
理系を選択し充実した学生生活を思い描いていたが、理想とはるかにかけ離れていてギャップを感じたという学生は多くいます。
さらに、ギャップを感じるだけでなく、やむを得ずに辞めてしまう学生もいるのが現状です。
理想と現実の差を感じることはよくあることです。
しかし、理系選択の学生の多くが大きなギャップを感じてしまうのはなぜでしょうか。
これから理系大学を目指したい学生や文理選択を迷っている学生にとって、理系大学の実情は重要で理解しておきたいことでしょう。
そこで今回は、理系選択は本当にきついのか、その理由と理系選択して良かった点・理系に向いている人など、徹底的に調査して詳しく解説していきます。
【理系はきつい?】理系選択がきついと言われる理由
理系は「難しそう」「忙しそう」というイメージを抱く人が多いのではないでしょうか。
そのため、アルバイトやサークルなどになかなか時間が取れないのではと不安に感じる人もいます。
高校生の感覚のまま理系を選択してしまうと大きな差を感じてしまい、次第についていけなくなり、挫折へとつながってしまいます。
入学する前から、挫折したいと感じる人はいないでしょう。
後悔しない・挫折しない大学ライフを送るためには、理系がきついと言われている部分についても十分に理解しておかなければいけません。
理系選択がきついと言われる理由を簡単に言うと「授業が難しい」「自由な時間が少ない」「単位が取りにくい」などが挙げられます。
ここからは、理系選択がきついと言われる理由を詳しく解説していきます。
授業内容が難しい
はじめに、理系選択がきついと言われる理由の一つとして、授業内容の難しさがあります。
高校生における文系と理系の大きな違いは科目です。
文系の暗記科目は、徹夜で勉強すればある程度の点数を獲得できますが、理系はそうはいきません。
理系は理科や数学の専門性が高く、また暗記科目ではなく、思考力が一層問われます。
そのため、文系と比較して授業の難しさがきついと言われる理由の一つになります。
大学では、高校の理系知識を前提としてさらに専門性が増すため、授業についていくことが大変と言われるのです。
1度つまずいてしまうと立て直すのに時間がかかってしまうので、必死に授業についていかなければいけません。
理系は授業内容が難しい分、コツコツ勉強していくことが重要なのです。
レポート作成に時間がかかる
実験をしたあとには、実験結果をレポートにまとめて提出する必要があります。
理系のレポートは得られたデータをExcelやPython(プログラミング)などで解析し、図表などを作成し、自分の考えではなく参考文献と実験結果から論理的に導かれる結論を示す必要があります。
このとき参考文献は論文や書籍から引く必要があり、多くの論文や書籍は難解な文章であったり、英語で書かれているなど意味を理解するだけでもかなり骨の折れる作業になります。
加えてレポートの書き方も文系とはかなり異なります。
理系学生のレポートは目的→原理→実験→結果→考察→結論といった構成で書かれることが多く、文書はWordに加えてLaTeXといったツールで作成することもあります。
更に、文字のフォントや立体であるか斜体であるか、上付きであるか下付きであるか、数字と単位の間は半角スペースを開けるなどの理系独特の習慣もあります。
上記の構成はあくまで学生実験のレポートであり、卒業論文などはより厳しいルールの中で執筆する必要があり、S評価を取れるレポートを作成するには10時間以上かかります。
実験が週2回あるとするとレポートを2つ作成することになり、それだけで20時間はレポート作成時間になってしまいます。
自由な時間が少ない
理系大学生は、文系大学生と比べて履修に必要な科目が多くあります。
また、授業スタイルは聴講だけでなく、実験で丸一日潰れてしまうことや実験レポートなどの課題が多いことから、理系大学生は忙しく、自由な時間が少ない点できついと言われています。
理系は、実際に実験しなければ、技術や知識を身につけられません。
そのため、ほかの文理に比べて授業にかかる時間も多くなるというわけです。
将来のためとはいえ、今自由な時間が少ないと、勉強漬けの毎日で体調を崩してしまうこともありえます。
気分転換にほかのことをするのも良いですが、アルバイトを考えている人は慎重な決断を心がけましょう。
理系大学生は学年が上がるほど忙しさが増していくので、それにより自由時間が少なくなっていくのです。
1年生では両立できていても、2年生、3年生と同じシフトでアルバイトすることは難しくなるでしょう。
単位が取りにくい
文系大学生は、テスト前に徹夜して勉強するだけで単位の取れる科目がある一方で、理系大学生は常に復習を続けないと単位の取れない科目があります。
そのため、単位が取れずに留年する理系大学生が文系大学生よりも多い傾向にあるのです。
また、まじめに取り組んでいても単位を落としてしまう学生もいるため、いかに理系の難易度が高く、単位が取りにくいということが分かります。
また、実験は何度もできるものではないので、単位を落としてしまうと次の年に同じ実験を行わなければいけない場合もあります。
授業や実験にまじめに取り組んでいるからと言って、気を緩めてしまわないように注意しましょう。
誰でも単位を落とす可能性はあるということです。
きつい割に評価されない
上記にあるように理系学生は文系学生と比べてかなりハードであり、自由時間がない生活を送ることになります。
新学期になり実験科目が始まるとサークルに参加することが難しくなり、他の活動にも参加することが難しくなります。
理系学生の多くは大学院に進学し、専門スキルを獲得するため理系人材として就職に有利になりますが、学部卒では大した専門知識もない状態になるため、スキルアップする時間を確保できる文系と比べて不利になります。
「理系は就職に強い」と聞いたことがあると思いますが、実は「修士卒の理系は就職に強い」が現実です。
学部卒で就職する際には文系学生と同じように就職することになりますが、テック系ではない企業の選考において理系で培ったスキルなどは全く評価されないため、学部卒の場合はなるべく理系と関連のある企業を受けることをおすすめします。
【理系はきつい?】どうして理系を選択した?
理系大学生は、ほかの文理に比べて自由な時間が少ないうえに、授業内容が難しいことがきついと言われる理由です。
それにも関わらず、理系を選択する学生が多くいます。
理系を選択した決め手となる理由は人それぞれですが、なんとなく選択する人は少ないでしょう。
しかし「理系が得意分野だから」と選択する人は半数で「理系が苦手分野」でも選択している人は少なくないということです。
得意分野だから選択したという理由は納得できますが、苦手分野なのに選択する意味は何なのでしょうか。
さらに、きついと言われていながら選択する理由は何なのでしょうか。
ここからは、どうして理系を選択したのか、理系を選択した人の声を紹介していきます。
理系科目に興味があったから
とくに、生物や化学などの理系科目そのものに興味があったため、理系を選択しました。
「数学が苦手だから文系」「国語が苦手だから理系」というように「苦手だから」を理由に文理を選択する人も少なくないでしょう。
しかし、私は幼い頃から理系科目に興味があり、大学では専門的に学びたいと感じていたことが大きな理由です。
私はもともと実験や研究が好きで、お気に入りのおもちゃでただ遊ぶだけではなく「なぜ動いているのか」「どうやって作られているのか」に興味を持っていました。
自ら分解して研究し「さらに面白いおもちゃにするにはどうすれば良いのか」を考え、実験していたのです。
このような背景から、興味のある理系科目を専門的に学び、活かしていきたいと思い選択しました。
将来の職業に活かせることを学びたい
理系は、文系科目よりも専門性が高いことが特徴です。
わざわざ大学まで行くなら、将来につながる専門性の高い理系の学問を学びたいと思い、理系を選択しました。
また、これまでに興味の持った職業は、医療・福祉・介護関係の理系分野だったこともあり、理系を選択し医療に関する専門的な知識を学びたいと感じるようになりました。
さらに、理系の方が就職に強い知識やスキルを学べ、就職の幅を広げられることも理由の一つです。
もし、大学在学中に将来就きたい職業が変わったとしても、理系を選択していれば就職の幅が広いこともメリットだと感じています。
また、理系科目では仮説検証・分析・研究・実験を行うので、多くのビジネスで必要な論理的思考力を学べるのも魅力です。
【理系はきつい?】理系を選択してよかった点
理系を選択するためには、数学や理科がある程度できていること・拘束される時間の長さ・授業内容の難しさへの覚悟が必要です。
大学入学前に覚悟していたつもりでも、いざ入学して大学生活を始めてみると、想像以上にきつく感じて挫折してしまう学生もいます。
ここまで理系がきついと言われていると「理系選択したいけど自分には無理かも」や「自由時間が少なく大学生活を楽しめなさそう」とマイナスな印象を抱いてしまう人も多いのではないでしょうか。
しかし、理系を選択することで得られるメリットもあります。
それは「専門分野での就職に有利」「就職先の幅が広い」「文転もできる」です。
ここからは、理系を選択して良かった3つの点を詳しく解説していきます。
専門分野での就職に有利
理系を選択することで、授業や研究・実験から基礎的な知識や研究スキルを取得できます。
そのため、理系選択で身につけた知識やスキルを活かし、研究職やエンジニアなどの専門分野や専門に近い分野での就職が有利になります。
また、理系就職では知識やスキルが必要となるため、応募条件が決められている分、ライバルが少ないこともメリットと言えるでしょう。
その一方で、文系就職は自由に応募できるため、ライバルが多く倍率も高くなるということです。
しかし、理系就職は文系就職よりもライバルは少ないですが、専門分野での就職をする際に油断は禁物です。
周りのライバルも同じように学び、専門的な知識やスキルを持っていることを忘れてはいけません。
就職先の幅が広い
理系は文系よりも就職で活かせるスキルが多くあり、理系特有の就職先だけではなく、文系特有の就職先も選択できることから就職先の幅が広いと言えるでしょう。
また、理系だからと言って、必ずしも研究職や専門職に行かなくても良いのもメリットの一つです。
さらに専門分野でなくても、近くの分野であれば基礎的な知識は身についているはずなので、その分の就職先の幅が広くなります。
文系よりも、理系の方が就職しやすい・内定率が高いと言われているのを耳にしたこともあるでしょう。
しかし、その言葉を鵜呑みにしてはいけません。
あくまでも就職先の幅が広くなるだけで、失敗している理系学生も多くいます。
理系を選択しても、活かせるスキルが身についていなければ意味はないのです。
文転もできる
文理選択に迷ったとき「迷ったら理系」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
文系は、授業で扱う数学の幅が狭いことや積み重ねの要素が大きい理科科目があることで、理転は非常に難しいと言われています。
その分、文転は科目の負担が少ないため、理転よりは難易度が低いのが特徴です。
文系の人はもともと数学が苦手分野なことも多いので、周りと数学で差を付けられる点や負担が減る点はメリットと言えるでしょう。
また、理系を勉強しているうちに「理系が苦手なのかも」と気づく学生も少なくありません。
しかし、理系の授業や実験についていけなくなったからと言って、安易に文転を考えるのは危険なので、文理選択を慎重に行うことは重要です。
【理系はきつい?】理系に向いている人
何事にも「向いている人」「向いていない人」がいます。
もちろん理系にも同じことが言えますが、理系が向いている人と向いていない人ではどのような部分が異なってくるのでしょうか。
向いていないけれど「将来のため」などの強い意気込みがあるなら別ですが、そうでなければほかの文理を選択するのが無難です。
なぜなら、ここまで紹介したように、理系はほかの文理に比べて授業や実験などに必要な時間が長く、自由な時間が少ないことや授業内容が難しいことが理由で「きつい」と言われているからです。
そのため、理系に向いておらず、さらに志望する明確な理由がない人にはおすすめできません。
ここからは、理系に向いている人の特徴を詳しく解説していきます。
物事の原理に興味がある人
現象に対する原理に強く興味があり、「なぜだろう」と気になってしまうため、解き明かしたいと自然に考えられる人は向いていると言えます。
例えば、家電製品そのものの見た目や機能に興味があるというより「どのような仕組みで動いているのか」「さらに使いやすくするためにはどうすれば良いのか」などといった視点で物事の原理に興味を持つことが大切です。
また、興味を持つだけではなく、実際に研究・実験できる人にはおすすめです。
理系を選択するということは、根気強く研究・実験に取り組む必要があるため「好奇心」がなければ続けていけません。
したがって、興味を持つことはあるが、すぐに飽きてしまうという人には向いていないでしょう。
思考が整理できる人
課題を複雑に考えず、シンプルに思考を整理できる人には理系選択が向いていると言えます。
理系の学問は、複雑な組み合わせを順番に紐解く作業です。
複雑で大きな課題を解決する場合もあるため、できるだけ問題を細分化できることが重要になります。
また、その問題一つひとつに細かい疑問を持ち、疑問に対して自分で納得できるまで考えられる粘り強さも大切です。
理系に向いている人の多くは、問題を解決させようとする粘り強さを持っているのです。
細かい疑問を持つことで、多くの問題を解決できるだけでなく、新しい発見にもつながっていきます。
これらはやろうと思っても簡単にできることではないので、日頃から「細かい疑問を持つこと」「問題を細分化すること」「思考を整理すること」を意識しておくと良いでしょう。
研究や実験が好きな人
もともと研究や実験が好きな人には、理系選択が向いていると言えるでしょう。
研究とは、物事について深く考え、調べて結果を明らかにすることです。
この結果を出すまでには、短い時間で解決する場合もありますが、多くの場合には長い時間がかかります。
実験は机上では終わらず、実際に手を動かして理論や仮説が正しいのかを確かめることです。
自分が持つ疑問に対して執着があり、時間をかけてでも解決をしようとする研究や、実際に行動してみる実験が好きな人には向いていると言えます。
成果が出るまで何度も失敗を繰り返しながら、長い時間をかけて研究や実験を行うので、安易に理系を選択してしまうとすぐに挫折を経験することになるでしょう。
理系専門職の現実を受け入れられる人
多くの理系学生は理系科目の楽しさに魅せられて大学へ進学します。
そして多くの学生が最初はアカデミックの世界に希望を抱いて花形の研究職や知識を活かせる技術職を志望します。
しかし、現実として研究職はかなり不安定な仕事です。
博士後期課程修了後にポスドクとして任期付きで働く場合、数年の任期しか将来の見通しが立たずキャリアが築きにくいことが社会問題としてニュース番組などで取り上げられることもあり、「ポスドク」と検索するとかなりマイナスな記事が多く掲載されています。
民間企業で研究職に就くにもかなりの倍率の競争で勝ち抜いてほんの数人の内定者になる必要があります。
大学院に進学して修士あるいは博士の学位を修めても、給料は学部卒で働いている営業職よりも低くなることもあるようです。
技術職も同様ですが、勤務地は地方の僻地に飛ばされたり、技術職においては僻地の工場で勤務することになります。
東京などの都心部で糊の効いたシャツと仕立ての良い背広を着てバリバリ働きたい人にはおすすめできません。
【理系はきつい?】結局どうやって文理を決める?
「カッコいいから」など、漠然とした理由で文理を決めるのはよくありません。
理系は聴講授業のほかに実験もあり、ほかの文理と比べて忙しく自由な時間が少ないので、アルバイトをしている暇がない理系大学生も多くいるでしょう。
理系で学んだ知識や技術が就職で有利になることもありますが、文理選択は慎重に行う必要があります。
それぞれの文理が「どんなことを学んでいくのか」「授業スタイルはどうなのか」などを理解したうえで、志望大学や志望学部を決めると良いでしょう。
もちろん、実情を理解しただけでは理想通りというわけにはいきませんが、知るか知らないかで入学後の大学ライフが変わってくるのではないでしょうか。
ここからは、失敗しない文理選択のコツを詳しく解説していきます。
学びたい学問から決める
例えば、理系の場合は「工学部」「理学部」「医学部」など、文系の場合は「法学部」「経済学部」「教育学部」などがあります。
このように、大学のそれぞれの学部や研究のキーワードなどから少しでも興味がある学問を見つけ、その学問を学ぶことができるのは理系か文系かという観点から決めていくと良いでしょう。
先ほども触れましたが、文理の実情を理解することはかなり重要です。
それまで興味のなかった文理でも、理解しようと心がけることで、興味のある文理なのかどうかを判断できます。
また、学部によって科目が異なってくるので、まずは何を学びたいのかを明確にすることが重要です。
そうすることで、将来自分がどのように進んでいきたいのかも見えてくるでしょう。
やりたい仕事から決める
就職でも、何を学んできたのかが重要視されます。
そのため、自分が将来就きたい職業に関わる学問は何なのか、その学問を学べるのは文系か理系かという点から決定すると良いでしょう。
また、職業によっては資格取得が必要な場合もあるので、やりたい職業から文理を決める場合は注意しましょう。
理系を選ぶ理由として「得意分野だから」と「好きだから」があり、文理選択に迷う場合がありますが、この場合は「好きだから」を選択することをおすすめします。
「得意分野だから」という理由で選択することは、好きではないものを続けていかなければならないということです。
文理選択は、大学を卒業したその先の将来にも大きく関わってきます。
そのため、心の底からやりたいと思える仕事から文理を決めると良いでしょう。
おわりに
今回は、理系がきついと言われる理由と理系の良さ、文理の決め方などを詳しく解説してきました。
理系は、文系と比べて「授業内容が難しい」「自由な時間が少ない」「単位が取りにくい」ことが理由できついと言われています。
しかし、専門分野の就職に有利なことや就職の幅が広いこと、文転ができることは、理系を選択するメリットと言えるでしょう。
これから、理系に進みたいと考えている学生や文理選択に迷っている学生は、理系大学の実情を知ることは重要です。
理系に興味があるのか・研究や実験が好きなのかなど、理系に向いているか向いていないかをしっかり判断し、理系の実情を理解したうえで、後悔しないよう慎重に文理を選択しましょう。