HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
就活は事前準備が大事と言われているものの、就活を始めたばかりで、どんなことからやればいいかわからない人も多いでしょう。
特に理系の学生は、研究や実習などに追われ、業界選び・企業選びなどに不安を覚えるかもしれません。
そこで今回は、理系が活躍していて人気のある業界や職種、企業をご紹介します。
また、理系学生が就職先を選ぶときに重視すべきポイントについて詳しく解説していきますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。
【理系の就職先ランキング】理系学生に人気のある業界
まずは、理系学生に人気のある業界を3つ紹介します。
メーカーやソフトウェア・通信といった業界だけでなく、文系学生が候補に挙げる商社も人気です。
これらをもとに、理系の武器である専門知識や、論理的思考力が活かせる業界を選びましょう。
メーカー
理系学生に人気のある業界として、メーカーが挙げられます。
電機・製薬・食品・化学系メーカーは、研究開発職として数多くの理系学生を採用しています。
研究開発は専門知識が必要な仕事であり、その分野の勉強・研究をしてきた学生にとっては有利と言えるでしょう。
また同じ研究職でも、企業によっては基礎研究と応用研究の2つに分かれている場合もあります。
基礎研究はまだ見ぬ新しい素材や薬品、技術を作ります。
一方、応用研究はそれらを製品として世に出すために研究するのが主な仕事です。
また研究開発だけでなく、開発した技術を特許化する知財部にも高度な知識が求められるので、多くの理系学生が採用されます。
このように、メーカーの中でも理系の仕事は細分化されているので、自分がその企業でどんな仕事がしたいのかも考えるようにしましょう。
ソフトウェア・通信
特に情報通信系の学部・学科出身の理系学生に人気なのは、ソフトウェア・通信系の企業です。
近年はインターネットやIT技術の発展が目覚ましいので、IT業界の企業に人気が集まっています。
プログラミングを習得している理系学生の場合、プログラマやシステムエンジニアとして採用されることが多いでしょう。
システムエンジニアは、顧客とコミュニケーションを取り、必要なシステムの仕様を決定・構築するのが主な仕事です。
一方のプログラマは、決まった仕様をもとにC言語やJavaなどのプログラミング言語を用いてシステムを開発します。
これら以外にも、インフラエンジニアやサーバーエンジニアなど職種は細分化されています。
それぞれの業務内容を調べ、自分に合った仕事を選ぶようにしましょう。
商社
理系学生に人気のある業界として、3つ目に紹介するのは商社です。
商社が理系学生を採用していると聞くと、ミスマッチなように思えるかもしれませんが、十分に活躍できます。
理系ならではの専門知識や、高い論理的思考力が必要とされる場面が多くあるからです。
商社は企業ごとに得意としている商材があり、場合によってはメーカー向けの製品やソフトを扱っていることも珍しくありません。
この場合、市場調査を行うにも、営業で顧客にプレゼンをするのにも高い専門知識が求められるでしょう。
また企業によっては、仕入れた製品を顧客の要望に応じてカスタマイズする必要が生じます。
このような商社にはメーカーと同じような人材が求められるので、理系学生が活躍する余地は十分にあると言えるでしょう。
商社で理系が活躍している職種:営業職
営業職は文系向きと思われるかも知れませんが、商社では理系学生も活躍する余地があります。
商材によっては専門知識が必要で、さらに理系学生が得意とする論理的思考力が求められるシーンが多いからです。
商社はメーカー向けに新素材や新製品、IT企業向けの新しいソフトウェアなどを商材として扱うことも少なくありません。
これらの商品をプレゼンする相手は、一線で活躍するエンジニアや経験豊富なマネージャーです。
そういった人々に商材の魅力を理解して採用してもらうには、彼らと同様の専門知識が必要とされます。
また、営業では単なるコミュニケーションではなく、会話から顧客の状況を分析し、ニーズを発見することが欠かせません。
そのため、論理的思考力が高い理系学生は十分に活躍できると言えるでしょう。
商社で理系が活躍している職種:プロダクトマネージャー
商社では営業職だけでなく、プロダクトマネージャーとしても理系学生は活躍できるでしょう。
プロダクトマネージャーとは、顧客ニーズの調査や分析、商品の企画・開発やブランド管理まで行う人のことです。
状況に応じて営業の人と顧客のもとを訪問し、市場調査を行うほか、その結果をもとにマーケティング戦略を考えることもあります。
実際のデータを分析して、顧客がどんな商品を求めているかというニーズを調査するには、高い論理的思考力が求められます。
また、調査結果をもとにどうやってビジネスとして成功させるかの戦略を考える場面でも、理系としての強みが活かせることでしょう。
商社で理系が活躍している職種:生産管理
商社の中には生産管理部門を持っている企業もあり、この職種も理系学生が活躍できるでしょう。
生産管理は、自社製品を製造するための原材料調達から、生産した製品の品質管理まで担当します。
安定した品質を維持するには、メーカーと調整して安定的に原料が供給されるよう戦略を立てなくてはいけません。
また、市場への供給数を一定に保つためには、精密な生産計画を立てる必要があるでしょう。
さらに、製品の原価計算を行いつつ、適切な人員配置となるような労務管理も業務の一環です。
そのため、生産管理は業務のあらゆる場面で論理的思考力が求められる職種とも言えます。
【理系の就職先ランキング】理系学生に人気のある職種
業界に続き、理系学生に人気のある職種を9つご紹介します。
先述した業界以外にも、理系学生が活躍できる職種はいくつか存在します。
ただし専門知識が必要で、特定の学部出身の学生が有利な場合もあるので注意しましょう。
薬剤師
理系学生に人気のある職種として、まず挙げられるのは薬剤師です。
医師が出した処方箋に従って薬を処方し、患者に対して用法や注意点を正確に説明します。
そのため、患者に提供する医薬品について、幅広い知識を持っていなくてはいけません。
また、ただ知識を持っているだけでなく、わかりやすく説明する能力も求められるでしょう。
大学で薬学の勉強をしている学生が有利なため、薬学部出身の理系学生に人気があります。
逆に、薬学部以外の学生が薬剤師を目指すのはハードルが高いです。
また、状況によっては地元の住民の医療に関するアドバイスに乗る必要があるかもしれません。
相手の立場に立って考える共感力や、コミュニケーション力がある方は向いていると言えます。
システムエンジニア
システムエンジニアは、理系学生に人気のある職種の典型例です。
ソフトウェア開発やシステム開発に関わる職業で、一口にシステムエンジニアといっても行う業務はさまざまです。
まずは全体の仕様を決定するため、顧客と会話する中でニーズを引き出し、どのようなシステムが必要なのかを検討します。
その後、所望のシステムを実現できるよう、プログラマがコーディングできるように設計書を作ります。
実際に開発する部分はプログラマが担当することが多いですが、システムエンジニアもコードは読めなくてはいけません。
これは完成したシステムをレビューし、異常がないかのテスト検証を行う必要があるからです。
プログラミングの知識も必須となるので、システムエンジニアは情報通信系の理系学生にも人気があります。
医師・看護師
医師・看護師も、やりがいの大きい仕事として、理系学生に人気のある職種です。
医師の仕事は、患者を診察して病状を確定する診察と、投薬や手術によって症状を改善させる治療の2つに分かれます。
総合病院などでは、その医師が専門にする分野に分かれて診察・治療することがほとんどです。
しかし、個人病院を経営する開業医の場合、複数の分野にまたがって診察しなくてはいけないこともあります。
一方、看護師は医者の診察の補助や患者のケア、医師の指示によって点滴や採血など治療のサポートが主な仕事です。
また、他病院・病棟などへの引き継ぎ、看護記録の記入などといった業務も行います。
どちらも医療に関する専門知識が求められるので、自主的に勉強していくことが欠かせません。
データサイエンティスト
比較的新しい職業として、データサイエンティストも理系学生が活躍できる職種です。
近年では、情報通信技術の発達により、ビッグデータと呼ばれる大量のデータが取得できるようになってきました。
データサイエンティストは、このビッグデータを活用・分析することで、今まではわからなかった事象を明らかにします。
分析結果をもとに会社の経営方針などをアドバイスし、企業の利益につなげていくことが主な仕事です。
勘や経験からではなく、データを活用した判断ができるようになります。
データサイエンティストになるためには、統計学の分析手法などを把握しており、それを使いこなす力が必要です。
また、大規模なデータを扱うための統計ソフトを使いこなす能力も求められるでしょう。
AR技術者
近年登場した職業として、AR技術者も理系学生に人気の高い職種です。
ARとは「Augmented Reality」の略で、「拡張現実」を意味します。
現実の風景にバーチャルな視覚情報を加えて、現実世界を仮想的に拡張する技術です。
AR技術者は、こういったAR技術を用いたアプリを開発するエンジニアです。
このため、AR開発を行うためのソフトウェアを扱える能力が必要となります。
ARの応用先としては、ポケモンGOやIngressなどのスマホゲームが代表例です。
また、スマートグラスを用いて倉庫作業を効率化するなど、さまざまなビジネスで活用されはじめています。
日本だけでなく世界的にAR技術の開発に力を入れているので、需要は高いと言えるでしょう。
ケアマネージャー
ケアマネージャーは介護業界の職業で、理系学生にも人気のある職種です。
介護を必要とする人が、最適な介護サービスを享受できるように立ち回るのが主な仕事です。
たとえば、介護サービスを利用するために必要となるケアプラン(サービス計画書)の作成が挙げられます。
この場合、サービスを受ける人が今どのような支援を必要としているのかを分析する能力が求められます。
また、サービスを提供する数多くの事業者を選び、サービスを受ける人とつなぎ合わせる調整役を担うことも珍しくありません。
ケアマネージャーになるには、指定の業務を一定期間経験したうえで試験に合格しないといけません。
現在の介護業界は常に人材不足のため、高齢化が進む日本では今後さらに需要が高まるでしょう。
メディカルライター
メディカルライターも高度な医療知識が求められるので、理系学生が活躍できる職種と言えます。
メディカルライターの具体的な仕事内容については、就職先やクライアント、サラリーマンかフリーランスかによって大きく変わるでしょう。
製薬会社やCRO(医薬品開発業務受託機関)の場合は、知見の報告書や医薬論文を作成します。
医療や健康に関する知識は、医学的根拠をもとに作成する必要があるので正確性が求められるでしょう。
逆に高度な専門知識はそのまま理解されないこともあるので、わかりやすく説明する必要があります。
一般的に、薬学部や医学部で専門の勉強をしてきた学生の方が有利となりますが、自ら勉強してメディカルライターになる方も少なくありません。
研究職
研究職は、理系学生が目指す代表的な職種で、もちろん多くの学生に人気があります。
ただし、研究職は基礎研究と応用研究の2つに分かれています。
基礎研究は新しい素材や原料を開発し、応用研究はその素材を使った製品を開発するのが仕事です。
そのため、大学や大学院の研究などから、自分の適性に合うのはどちらなのか見極めなければなりません。
特に人気があるのは、食品・製薬・化学系・化粧品メーカーなどです。
これらの企業における研究は、多くの研究者によってプロジェクトが組まれることも多くあります。
このため、周囲の人間と協力して研究を進めるコミュニケーション力も必要です。
大学によっては学部推薦などを利用できることもあるので、気になる方は研究室の教授などに確認しましょう。
MR
理系学生に人気のある職種として、最後にMRを紹介します。
Medical Representativeの略であり、医薬情報担当者という意味で、製薬会社の営業職です。
営業先となる病院や薬局を訪問し、医師や薬剤師に自社の医薬品情報を説明・提供します。
医療・医薬品に関する専門知識を持ち、それを説明する能力が必須となります。
そのため、薬学部や医学部出身の学生が必然的に有利になるでしょう。
また、顧客の課題や潜在的ニーズを聞き出すコミュニケーション力も求められます。
医学は日々進歩しているので、定期的に情報をキャッチアップすることが必要です。
なお、営業は基本的に外回りとなるので、自動車免許はほぼ必須となるでしょう。
【理系の就職先ランキング】理系学生に人気のある企業
次に、理系学生に人気のある企業を4つピックアップします。
人気の企業にはそれぞれ理由があるので、それについても確認しましょう。
また、求人の倍率についてもまとめてあるので、気になる企業があればぜひチェックしてみてください。
ソニー
まず紹介するのは、日本を代表する電機メーカーであるソニーグループ(ソニー)です。
ソニーは知名度の高いグローバル企業のため、理系学生から高い人気があります。
事業内容として思い浮かぶのは、PlayStationをはじめとしたゲーム事業でしょう。
また、ソニーミュージックによる音楽事業、映画製作などで馴染みのある人も多いかも知れません。
それ以外にも、家電・ネットワーク・半導体・金融などのほか、自動運転など新しい技術開発にも積極的です。
さらに、ネームバリューはもちろんですが、業績も良好で安定していることが人気の要因と言えます。
ただし、ソニーの倍率は理系の場合30倍、文系の場合70~100倍と言われており、非常に狭き門とされています。
旭化成グループ
化学・素材系のメーカーとして人気があるのは旭化成グループです。
旭化成グループは、マテリアル・住宅・ヘルスケアの3つの領域で幅広い事業を展開しているのが特徴です。
マテリアル領域としては、ラップやジップロックなどといった消費財から、自動車や家電・ITなどに用いる素材を開発しています。
また、住宅領域ではヘーベルハウスなどの建築請負、そしてヘルスケアでは医薬品やAEDなどの医療機器を開発しています。
旭化成グループが人気なのは、そのネームバリューや「働きやすい企業ランキング」としての評判が理由でしょう。
さらに、事業も幅広く展開しているため、同業種の企業の中でも安定していることも挙げられます。
ただし旭化成の倍率は理系で30倍ほどなので、万全の準備をして選考に臨む必要があるでしょう。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は、理系学生が就職したい企業のランキングで常に上位に位置する企業です。
世界的に有名な企業であり、ネームバリューと安定性などが人気の理由でしょう。
トヨタは徹底的に無駄を排除し、自動化とジャスト・イン・タイムに特化したトヨタ生産方式が有名です。
開発期間の短縮や原価低減だけでなく、顧客から気に入ってもらえる「いいクルマづくり」にもつながっています。
また、トヨタが目指すのは単なるクルマづくりだけでなく、多様なニーズを満たすモビリティカンパニーです。
そのため、CASEと呼ばれる新しい領域で技術革新を進めるための投資も進めています。
またカーボンニュートラルにも力を入れており、ハイブリッド車や燃料電池車などの開発にも積極的です。
日立製作所
理系学生に人気の高い企業として最後に紹介するのは、日立製作所です。
ネームバリューや平均年収が高いこと、「ホワイト500」に指定されている企業であることが人気の要因となっています。
日立製作所は、総合電機メーカーとして国内最大手であり、安定志向を持つ学生に人気です。
事業領域はIT・モビリティ・ライフ・インダストリー・エネルギーなど多岐にわたります。
「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」を理念に掲げ、社会課題を解決するイノベーションを提供しているのが特徴です。
また製品開発だけではなく、スーパーコンピューターなどの研究開発にも積極的に取り組んでいます。
なお、倍率は職種にもよって異なるものの、おおよそ20~50倍程度です。
【理系の就職先ランキング】就職先を選ぶうえでのポイント
最後に、就職先の業界・職種・企業を選ぶときのポイントを3つ紹介します。
就職先を選ぶときには、興味・能力・価値観の3要素を考えることが重要です。
これら3つの要素ができるだけ重なるような就職先を選ぶようにしましょう。
興味(やって楽しいこと)
就職先を選ぶうえでまず重視したいのは、自分は何をやるのが楽しいのかという興味の部分です。
人にもよりますが、結果を出すには一定期間その仕事に従事する必要があります。
また、社会人として働きはじめると、人生の大半の時間をその仕事に費やすことになります。
そのため、興味があって取り組んでいて楽しいと思える仕事を選ばないと長く続きません。
就職先を選択する際には、自分の興味・関心はどこにあるのかを明確にしておきましょう。
もし行き詰まってしまった場合、自分のこれまでを振り返って自己分析を行うのが良いでしょう。
どんな仕事をすると楽しいのか、どこにやりがいを感じるのかなど、自分の気持ちを言語化できるようにしてください。
能力(得意なこと、強み)
就職先、特に職種を選ぶうえでは自分の得意なことや強みといった能力にも注目しましょう。
得意なことを仕事にすれば、向上心を持って積極的に仕事に取り組めるようになるからです。
自分が苦手なことを仕事にしてしまうと、就職してからすぐにつまずいてしまうかもしれません。
新しい環境に慣れながら、不慣れな仕事をこなすことは大きなストレスとなります。
一方、自分がすでに経験がある、得意なことが仕事なら落ち着いて業務がこなせます。
結果が出れば周りからも評価され、自分の自信にもつながるでしょう。
苦手なことと向き合うのは、キャリアを積んで程度余裕が出てきてからでも遅くはありません。
自分の過去の経験などから、自分はどんなことが得意なのか分析しておきましょう。
価値観(大切にしたいこと)
就職先を選ぶうえでは、自分の興味や能力のほかに、価値観も重要でしょう。
同じ業種・職種でも、重視される価値観によって職場の雰囲気は大きく変わるからです。
お金・プライベート・自己成長など、大切にしたい価値観は人によってさまざまでしょう。
その会社がどのような価値観に重きを置いているのかは、企業理念などからある程度把握できます。
たとえばワークライフを重視している人が、成績重視の企業に入ってしまってはつらいだけでしょう。
自分がもっとも大切にしたい価値観を決めておくと、就職先が選びやすくなります。
企業のホームページや会社説明会だけでは会社の雰囲気がわからないかもしれないので、そのような場合、長期インターンシップやOB訪問などを活用しましょう。
まとめ
今回は、理系学生に人気の就職先を、業界・職種・企業ごとに紹介してきました。
就職先を選ぶうえでは、自分の興味や能力、重視する価値観を考慮することが重要です。
時間をかけて自己分析や企業研究を行い、自分に合った就職先を見つけてみてください。