理系の海外大学院進学は実際どうなの?かかる費用やメリットなどを解説!

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はじめに

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理系の学生であれば、就職活動をするか大学院への進学をするかで悩む人もいるでしょう。

特に研究室でのより幅広い学びを求めた際に、海外の大学院への進学が視野に入る人もいるはずです。

この記事では、理系の海外大学院進学について準備のために知っておきたい予備知識についてまとめています。

学科の種類や費用相場、留学先におすすめの国、卒業後の進路についても解説しています。

必要となる準備を精査し、海外の大学院への進学を叶えましょう。

【海外への大学院進学の実態】どんな学科があるの?

海外の大学院は、学べる分野という観点から見ると日本の大学院とさほど違いはありません。

しかし、学べる分野は同じでも内容、講義のレベルという点から見ると、日本と海外とでは雲泥の差があります。

日本ではなくあえて海外の大学院を目指す大きなメリット・醍醐味はここにあるといえます。

海外の大学院で学べる学科のなかで日本人に人気が高いのは、工学系、医療・福祉系、自然科学・環境系、コンピュータ・IT系と大きく分けて4つです。

それぞれの詳細について見ていきましょう。

工学系

海外の大学院のなかでも、工学系が携わる業界は人気の集中しやすい分野です。

工学系と一口に言っても、学べるジャンルは幅広く、機械エンジニアや生産・品質管理、プログラマーやシステムエンジニアなどの開発職などが該当します。

また、建物の設計において法律や安全面を考慮する設計士も、工学系の学部から目指すことが可能です。

さらに機械工学の分野では、電気・電子工学や、コンピュータ工学、航空宇宙工学といった学部があります。

わかりやすいのはロボットに代表されるような機械を設計したり、電子機器の設計・開発の知識や技術を習得したりする学科でしょう。

今後の発展に期待が寄せられる航空宇宙工学の分野であれば、将来的に世界でも前例のない研究に携わりながら開発に貢献することも可能です。

医療・福祉系

理系大学院の医療・福祉系といえば、日本人にもっとも人気がある公衆衛生学というジャンルに通ずる分野です。

理由は医療・福祉系の大学院を卒業することで取得できる資格があるからです。

しかし、理系の医療・福祉系大学院は学べるジャンルがほかの理系分野とも密接につながっています。

たとえば同じ医療であっても、医療用ロボットの設計に携わりたいのであれば大学院は工学部への進学となります。

ウイルスや疾患、人体の構造について研究するのであれば、生物系の研究室への進学となる場合があるからです。

ここでの医療・福祉系の研究室は、主に現場で働く人材のマネジメントや育成にまつわる研究を意味します。

文系的な要素も強く、より自身がどのような分野の何に興味関心があるかときちんと考えなければならない分野といえるでしょう。

自然科学・環境系

自然科学や環境系分野の研究は、一定の科学的進化を遂げた人類が繁栄を持続可能なものにするために欠かせません。

この分野は名称にもあるとおり、自然環境や自然現象をじっくりと観察し、研究を重ねていく分野です。

自然の摂理が当てはまる法則や理論を数学的に解釈したり、生物そのものの研究をしたりする研究室もあります。

環境問題は世界規模の喫緊の課題であるため、先々の就職を見据えた場合にも有利になりますが、一生物の研究だけでは就職先と直結することはないようです。

本質をあきらかにする研究ができると、さまざまな業種・業界に通ずる学問となるでしょう。

自然現象の研究から環境に負荷のかからない製造ラインの構築、物質の創製などができると汎用性の高い研究が重ねられるでしょう。

コンピュータ・IT系

コンピュータ・IT系の学科は、日本から海外の大学院を進学する人のなかでも近年人気が高まりつつある分野です。

この分野は、海外の大学・大学院で学べる学問としてもまだ比較的新しい部類に入ります。

目指せる職種は一般的なプログラマーやコンテンツ管理者を統率する、上級システムエンジニアやプロジェクトマネージャーなどが該当します。

情報社会として発展が目覚ましい現代において、コンピュータ・ITのパイオニアともいわれる研究者はそれほど多くありません。

つまり、第一線の現場で活躍する教授が多く在籍する分野でもあり、スピード感や変化を感じ取りながら研究を重ねられる学科でもあるといえます。

研究次第では、発展の礎ともなることができるので大きな意義のある分野でしょう。

【海外への大学院進学の実態】どれくらいの費用がかかるの?

海外の大学院への進学に際し、まず知っておきたいのは学費です。

一般的に日本の大学院は国立大学院で年間82万円、理系の私立大学院であれば100万円~180万円程度が年間に必要とされています。

しかし、海外の大学院はこの日本の大学院の平均相場よりもお金がかかり、2倍~6倍の費用が必要となってしまうのです。

州立大学なら年間200万円ほどで済みますが、有名私立大学院の学費ともなると年間300万円~500万円が相場です。

さらに渡航費や保険代などが10万円~50万円、現地での生活費は物価にもよりますが、年単位で考えると100万円を超えるでしょう。

つまりざっと計算しただけでも、海外への大学進学は日本の大学院への進学と比べても非常にお金がかかることは一目瞭然です。

学費免除になることがある!?

PhDやMasterと呼ばれる博士号や修士号を取得すれば、一部学費が免除される場合もあります。

PhDとは、Pd.Dとも書かれ、Doctor of Philosophy、日本語に直訳すると哲学博士という意味があり、Masterは修士号を意味します。

海外大学院におけるPhDは、修士博士一貫のPh.D.課程教授に入学することで取得することができ、教授や研究室に直接雇用され働きながら研究が続けられるというものです。

かなり高い英語力が求められ、講義の内容もハイレベルなものとなりますが、働きながら学べる一石二鳥の方法といえるでしょう。

ただし、家庭の状況など免除される学費の割合にも一定の審査基準があるので、目指す大学院の制度については必ず目を通しておきましょう。

【海外への大学院進学の実態】海外の大学院へ進学するメリットとは?

日本の理系大学院でも学べるような内容があるなか、あえて海外の大学院に進学するメリットは大きく分けて3つです。

1つは資金が潤沢であること。

研究に費やせるお金が日本とアメリカとでは3倍近く開きがあります。

2つ目は潤沢な資金を背景にした研究環境です。

研究に対して投資ができるため、設備は世界最先端のものが使用できます。

そして3つ目は、海外の大学院に進学のあと、そのまま現地で就職を決めやすくなることがあげられます。

それぞれのメリットについて詳細を見ていきましょう。

資金が潤沢

進学先として海外大学院を選ぶ理由の1つに、潤沢な研究資金があげられます。

海外の大学院のなかでも、特にアメリカの大学院は研究資金が日本より各段に多いのが1つの特徴でしょう。

研究費用の概算で見ても日本は全体で1.7兆円規模であるのに対し、アメリカは5兆円です。

つまり、同じジャンル、同じ分野を研究するにしても、設備投資や投じられる予算に大きな違いがあるのです。

また、近年日本の研究環境は、成果主義をきわめており一定の成果のあがる分野にしか研究費が投じられていません。

新しい分野への研究が一向に進まず、後進の育成にもつながらないと危惧する声もあがるほどです。

このことから資金の潤沢な海外の大学院へ進学することは、非常に大きなメリットがあるといえるでしょう。

世界レベルの環境

海外の大学院で行われる研究は、ジャンルによって非常に高い水準の研究環境の整っている場合があります。

多くの海外の国では、研究のための予算・資金が潤沢であるがゆえに最新鋭の設備投資にも余念がありません。

つまり海外の大学院には、世界最先端レベルの研究設備が整っているのです。

さらにそうしたよい環境を求めて各国から人材が集まってくるため、研究を進める環境として、これ以上整った場所はないといえるでしょう。

研究室に集まった知見や研究結果、人材は、多くの場合、国籍ではなく研究室や大学・大学院に帰属します。

つまり、世界レベルの優秀な設備投資があることで、優秀な研究者が集まり、成果が出ればさらに投資されるという好循環が生まれているのです。

海外で働く道ができる

海外の大学院に進学することで、海外での就職はより優位に実現しやすくなります。

日本とは勝手が違う海外での生活、大学院での研究は、学生のうちから海外に生活基盤を作ることにつながります。

言葉の違い、文化や生活スタイルなど、さまざまな海外の当たり前に学生のうちから慣れておくことは海外での就職に大いに有利です。

気心の知れた友人や人間関係を作っておくことも、今後の海外での就職活動や生活そのものを豊かにする足掛かりとなります。

また、理系の大学院であれば在学中に研究に携わった分野、研究室をそのまま就職先とすることも可能でしょう。

つまり、早いうちから自身の興味関心のある分野に携われるため、海外で働きたいと考える人に海外の大学院進学はおすすめです。

【海外への大学院進学の実態】海外の大学院へ進学するデメリットとは?

メリットの多い海外の大学院への進学ですが、2つのデメリットがあるといわれています。

1つ目は入学が困難な日本の大学・大学院と違い、海外の大学院は卒業するのが大変だという点です。

2つ目は、RA(リサーチアシスタント)やTA(ティーチングアシスタント)になる必要があるという点です。

それだけ海外大学院に進学するということは「在学期間中の研究が非常に忙しい」ということを念頭に置いておく必要があります。

それぞれのデメリットと、心構えについて見ていきましょう。

卒業までが日本より困難

海外の大学・大学院は入学するよりも卒業するのが大変です。

理由は、海外の大学・大学院の単位取得や卒業へのプロセスが日本の大学とは大きく違うからです。

たとえばアメリカの大学は、2学期連続で平均70点を割ってしまうとその時点で退学になってしまいます。

日本のように試験がだめならレポート、というようなリカバリーは一切きかないのです。

さらに、成績を示すGPAは、0~4の5段階評価で4を取っていることが前提条件です。

学生同士や助手などが30名ほどでディスカッションし、成績をつけ合うといったシステムもあります。

つまり、授業に参加しているだけだと点数はおろか単位が取得できず、退学に追い込まれてしまうのです。

在学中は必死になって勉強する必要があり、なおかつそれを卒業までキープする必要があります。

RAやTAがほぼ必須

海外の大学院に進学する人の多くは、RAやTAを活用して生活費を工面しています。

研究や勉学に非常に大きな時間を割く海外大学院では、学生は多忙をきわめるためバイトなどに時間を費やすことはできません。

そうした背景から、大抵の海外留学生はRAやTAといった支援制度を活用しています。

RAはリサーチアシスタント、TAはティーチングアシスタントの略称で、講義や研究の補助を大学院生が行うことに対し給与がもらえます。

勉強の合間に教授の助手をこなすような感覚で、ちょっとした小遣い稼ぎにつながるアルバイトができる制度です。

二足の草鞋を履くことに変わりありませんが、学びながら生活費の足しになる稼ぎを得られる画期的な方法です。

【海外への大学院進学の実態】海外留学もした方がいい?

海外大学院への進学を考えるなら、進学する前に一度海外留学の経験をしておくとよいでしょう。

理由は、文化圏の違う国での生活基盤を築き、ルールや生活様式に慣れておくことができるからです。

そして理想をいえば、就活や授業(実習)などで忙しくなってしまう前に留学経験を積んでおくのがおすすめです。

つまり逆算すると、留学のベストなタイミングは大学1年生や2年生ということになります。

もし今現在、大学3年生や4年生なのであれば予算との相談にはなりますが、休学して留学する選択肢も視野に入れてよいでしょう。

海外大学院への進学に必須の英語力も、一度現地で生活を送ってしまえば日常会話くらいは身につきます。

大学院進学への下準備として海外留学は有効な手段の1つです。

英語の能力は最低条件!

海外の大学院へ進学するのであれば、日常会話程度の英語はもちろん、理系専門用語も最低条件として知っておきましょう。

研究室での会話は当然のように英語で交わされますし、基本的な理系専門用語でのやり取りができないようでは研究に差し支えが出るからです。

ちなみに海外留学のためにTOEICかTOEFLの受験を検討するなら、TOEFLをおすすめします。

主な理由は、TOEFLがアメリカやカナダといった英語圏の大学や大学院への進学の際に、必要となる英語力があるかどうかを測定する試験だからです。

それこそ、アメリカ圏の大学・大学院へ進学する場合、出願の段階で「TOEFLのスコアはいくつですか?」と聞かれます。

TOEICと比較してもTOEFLのほうが難易度は高くなるので、英語の学習も進めておきましょう。

【海外への大学院進学の実態】まとめ

大学4年生で海外の大学院に進路を決めようと決心すると、そこからのスケジュールは非常にタイトなものとなります。

具体的な流れとしては、6月に願書を提出し、7~8月には試験が行われるからです。

理系の大学生であれば、大学院の試験勉強と並行して留学の手配や現在携わっている研究もしなければなりません。

つまり海外への大学院進学を考えるなら、決断ならびに準備は早ければ早いほどいいといえるのです。

準備期間を逆算し、必要なものをそろえていきましょう。

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