
HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
【理系の卒論】はじめに
大学を卒業するために、避けては通れないのが卒業論文です。
近年では卒論を必要としない学科やゼミもありますが、理系大学生の場合、卒業論文は必須であることが多いです。
さらに、卒業するために必要であるほか、就職活動の際にどのような卒論を書いているのかを聞いてくる企業もあります。
学内に限らず、学外の活動においても注目されるものだといえるでしょう。
場合によっては、卒論を英語で書く必要があります。
今回は、どのようなときに卒論を英語で書く必要があるのか、そして卒論を英語で書く際のコツを紹介していきます。
【理系の卒論】卒論は英語で書く?
卒論は大学4年間の研究の集大成をまとめたもので、専門的な知識や考察を求められます。
文字数はさまざまですが、数万字におよぶ場合がほとんどです。
授業でのレポートのように数日で書き終えるものではありません。
さらに、卒業がかかった大切な論文であるため、取り掛かる時間や労力はとても多くなります。
そのため、英語で書くかどうかはとても重要なポイントです。
理系学生のなかには、英語が苦手な学生もいるでしょうし、苦手でなくとも高校時代に学習したものとは違った英語力が必要となります。
それでは、どのようなときに卒論を英語で書く必要があるのかを説明します。
学部生の卒論は日本語が一般的
学部生が取り組む卒業論文は、多くの大学で日本語で提出するのが一般的です。
学部段階の研究では、研究の深さや成果の新規性よりも、研究を通して学んだことを整理し、自分の言葉で論理的に説明できるかどうかが重視されます。
そのため、無理に英語で書く必要はなく、日本語で丁寧にまとめることが求められるのです。
もちろん英語で卒論を書くこと自体は禁止されているわけではありません。
将来のキャリアで英語論文を書く機会を意識して挑戦する学生もいます。
しかし、十分な指導や添削を受けられないと正確な表現が難しく、内容よりも言語面に苦労してしまうリスクもあります。
卒論は学部生活の集大成であると同時に、自分の研究を理解してもらうための文書なので、まずは日本語でわかりやすくまとめることを第一に考えるのが一般的です。
教授や指導教員の方針による
卒論を英語で書くかどうかは、研究室の方針や研究分野の性質によって左右されます。
情報科学や生命科学など国際的な研究が盛んな分野では、英語の文献を扱うことが多く、論文も英語で執筆するよう求められることがあります。
一方で、国内を中心とした研究や地域性が強い分野では、日本語での執筆が基本となる場合が多いです。
教授や指導教員がどのような方針を持っているかを確認することが重要です。
研究室によっては、論文自体は日本語でまとめても、要旨を英語で書くことを必須としているところもあります。
また、国際学会に参加する研究室では、学生に英語の発表やポスターを経験させる目的で、英語論文を推奨するケースもあります。
つまり、卒論の執筆言語は一律ではなく、研究室の文化や教授の考え方に強く影響されます。
配属された段階で確認し、必要に応じて準備を始めることが大切です。
修士論文や博士論文では必須
学部段階では日本語で卒論を書ける場合が多いですが、大学院に進学すると状況は変わります。
修士論文や博士論文では、英語での執筆が必須となることがほとんどです。
国際的な研究活動に参加し、成果を世界に発信することが求められるためです。
英語での論文執筆経験がないと、研究成果を海外の学会や論文誌に発表する際に大きなハードルになります。
そのため、学部のうちから英語での執筆に挑戦しておくことは、大学院での学びに備える良い準備となります。
特に将来研究者や専門職を目指す場合、英語論文を読み書きする力は必須スキルです。
ただし、無理に学部段階で全てを英語にする必要はありません。
重要なのは、卒論を通して研究内容を正しく理解し、論理的に整理できることです。
その上で、英語の要約やプレゼン資料を作るなど、段階的に英語に慣れていくと負担を減らせます。
【理系の卒論】卒論を英語で書くときは
「卒論を英語で書く」と聞くと、面倒だ、苦手だ、などとネガティブなイメージをもってしまう学生が多いです。
学生生活のなかで英語の論文を書く機会はあまりないため、書き方などで戸惑ってしまい時間がかかってしまうことは否めません。
しかし、日本語だとあいまいな表現になる文章を、英語の特性を活かすと明確でわかりやすい文章にすることができます。
そのような卒論を書くために、自分のテーマについて研究すること以外にも、論文で使われる英語について知る必要があります。
単語は辞書を引けば調べられるため、時間を割いて暗記する必要はありませんが、論文で使用するべき文法や構成は頭に入れておくべきでしょう。
ここでは卒論を英語で書く際のコツを紹介します。
主語や目的語を明確に
理系の論文は、論理が明快でわかりやすい文章を求められます。
そのため、主語や目的語を明確にすることが大切です。
動作の主体は何か、その主体が何に対して働きかけたのか、はっきり書くようにしましょう。
回りくどい表現や独特な言い回しをするとわかりづらい文章になってしまうので、控えたほうがよいです。
英語は「S(主語)+V(動詞)+O(目的語)」のようなはっきりした文法をとるため、日本語よりも「誰が」「何を」「どうしたのか」を明確に書きやすいです。
また英語では、基本的に主語のすぐあとに動詞を書きます。
そのため、主語がどうなったのかを早く述べることができるので、実験や研究の結果がどうなったのかを読み手に伝えやすいです。
このような利点を活かして、簡潔で理解しやすい論文を書いていきましょう。
基本的には受動態で
理系の論文を書く際には、受動態がよく使われます。
たとえば「速度を測定した」と書きたいとき「I measured the speeds」ではなく、「The speeds was measured」と書くことが多いです。
論文においては、誰が測定したかよりも、何を測定したのかが大切であるためです。
卒論を書く際は、実験や研究における重要なものを主語へもってくるよう心がけましょう。
また受動態にすると、「実験を行った研究者」のように、人物が主語になることはあまりありません。
温度や速度などの無生物主語で論文を構成することで事実が強調され、客観性のある文章になります。
このように受動態を用いることで、自分の研究における重要な事象に焦点を当てた文章が書けます。
プロットのテンプレを学ぶ
英語で論文を書く際に、内容よりも形式で悩んでしまうケースが多いです。
さまざまな英語の論文を読み、プロットのテンプレを学んでおくことで、スムーズに執筆へ取り掛かれます。
英語の論文を探すときは、大学の図書館を利用したり、「Google Scholar」などの論文検索システムを利用したりするといいでしょう。
また教授や研究室に所属している大学院生から、参考する論文を紹介してもらうことも効果的です。
論文では、独創的なプロットは求められません。
明解なプロットを求められるため、英語の論文でよく使われる形式を参考に執筆するといいでしょう。
理系論文は以下6つの要素を軸に構成されることが多いです。
・導入(Introduction)
・先行研究(Literature Review)
・方法(Methods)
・結果(Results)
・考察(Discussion)
・まとめ(Conclusion)
英語の論文を読み、形式をインプットし、自分の論文へアウトプットさせることで形式で悩まずに済むでしょう。
論文に特有の表現を確認しよう
論文を書く際には、日常的な文章とは異なる特有の表現を理解しておくことが大切です。
論文は研究内容を客観的に伝えるための文書であるため、主観的な言葉ではなく、定型化された言い回しが多く用いられます。
例えば、「〜であると考えられる」は研究結果を根拠に推論を示すときに用いられ、「〜という結果になった」は実験や調査の事実を簡潔に述べる表現です。
こうしたフレーズを知っておくと、論理展開が明確になり、読み手に伝わりやすい論文になります。
事前に専門分野の論文を読み、よく使われている表現を確認しておくことで、自分の執筆時にスムーズに取り入れられるようになります。
また、必要以上に難しい言葉を使わず、簡潔で一貫性のある表現を心がけることも重要です。
論文で避けたいNG表現・マナー
論文は自分の研究成果を社会に伝えるための大切な文書であり、適切な表現やルールを守ることが求められます。
内容が正しくても、表現に曖昧さや不適切な言葉が含まれていると、読み手に誤解を与えたり、信頼性を損ねたりする可能性があります。
ここでは、論文を書く際に避けるべきNG表現やマナーについて整理し、正しい書き方のポイントを解説します。
曖昧な守護や目的語は使わない
論文を書く際には、誰がどのように考えたのかを明確に示すことが求められます。
特に英語論文では主語を省略せずに表現するのが基本ですが、その際に注意すべきなのは主観的な書き方を避けることです。
例えば「I think」や「We believe」といった表現は、著者の個人的な意見のように見えてしまい、研究の客観性が損なわれます。
そのため「It is considered that」や「The results suggest that」といった客観的な言い回しを用いる方が適切です。
また、目的語が曖昧な表現も避けるべきです。
例えば「something」「things」といった漠然とした単語ではなく、研究対象や実験の内容を具体的に示す必要があります。
論文にふさわしい時制と態にする
論文では、研究内容を明確かつ整理された形で伝えるために、時制や態の使い分けが重要になります。
一般的な事実や既に確立されている知識を述べるときは現在形を使い、研究の背景や序論部分でよく用いられます。
一方、実際に行った実験や調査の方法や結果については過去形を使うのが基本です。
「We measured」「The experiment was conducted」といった形で記述するのが適切です。
また、論文では受動態を多用する傾向があります。
これは、研究者自身ではなく行為や結果に焦点を当てるためです。
このように、論文では時制と態を適切に選び、読者が混乱せずに研究の流れを追えるようにすることが大切です。
口語表現や俗語は避ける
論文は公的でフォーマルな文書であるため、日常会話のような口語表現や俗語は不適切です。
例えば「get」「do」といった簡易的な動詞は使いやすいですが、学術的には「obtain」「conduct」といった正確な表現に置き換える必要があります。
また、「cool」「amazing」といった感情的な評価語も論文にはふさわしくありません。
研究の信頼性を保つためには、客観的で学術的な単語を用いることが求められます。
さらに、略語やスラングの使用も避けるべきです。
読者が研究分野外の専門家である場合も考慮し、誰が読んでも理解できる明確な表現を心がける必要があります。
論文は感覚的な言葉ではなく、論理と根拠に基づいて研究内容を伝える文章です。
形式を守り、誤解を生む余地のない言葉を選ぶことが、読み手の信頼を得るための最低限のマナーです。
論文執筆を効率化する便利ツール
論文執筆は、膨大な時間と労力を必要とする作業です。
特に理系学生にとっては、研究そのものに加えて文献整理や英語での表現など、多方面での負担が大きくなります。
しかし、近年は便利なデジタルツールを活用することで、この作業を大幅に効率化することが可能です。
ここでは、文法チェック、参考文献管理、翻訳支援といった執筆をサポートしてくれる代表的なツールを紹介します。
文法チェックツール
論文を英語で執筆する際、最も不安になるのが文法や表現の正確さです。
特に非ネイティブにとって、冠詞や前置詞、時制の使い分けは間違えやすいポイントです。
そのような課題を解決するために役立つのが、GrammarlyやDeepL Writeといった文法チェックツールです。
これらのツールは文章を入力するだけで文法的な誤りを指摘し、適切な修正案を提示してくれます。
単純なスペルミスの修正にとどまらず、文体の一貫性や表現の自然さについてもアドバイスをくれるため、仕上がりの質を高めることができます。
また、修正理由を説明してくれる機能もあり、使いながら英語の学習にもつながります。
ただし、ツールの提案をそのまま受け入れるのではなく、自分の研究内容や文脈に合っているか確認することが大切です。
参考文献管理ツール
研究論文を執筆する際に欠かせないのが、膨大な参考文献の整理です。
引用ルールを守らなければならない一方で、論文の数が増えると手作業での管理は非常に手間がかかります。
そこで活用したいのが、MendeleyやZoteroといった参考文献管理ツールです。
これらのツールを使えば、文献をデータベース化して整理でき、必要に応じて検索やタグ付けも簡単に行えます。
さらに便利なのは、引用形式を自動で整えてくれる機能です。
研究分野ごとに求められるスタイルは異なりますが、ツールが自動で変換してくれるため、大幅な時間短縮につながります。
また、WordやGoogle Docsとの連携機能を使えば、文章に直接引用を挿入することも可能です。
翻訳ツールを賢く使おう
研究を進める上で英語の文献を読む機会は多く、その内容を正しく理解することが欠かせません。
DeepLやGoogle翻訳といった翻訳ツールは、そのサポート役として非常に役立ちます。
特に長文の英文を読むときに、要点を素早く把握する手段として使うことで効率を上げることができます。
ただし、翻訳ツールは万能ではなく、専門用語や学術的な表現を正確に反映できないことがあります。
そのため、論文全体を丸ごと翻訳させるのではなく、文法や語彙の確認を目的とした補助的な使い方が望ましいです。
例えば、自分で書いた英文が自然かどうかを確認したり、知らない単語のニュアンスを調べたりするのに適しています。
ツールを過信せず、自分の表現力を補う形で活用すれば、効率的かつ正確に研究活動を進められます。
論文を英語で書くときに注意点と対策
英語で論文を書くことは、多くの理系学生にとって大きな挑戦となります。
研究内容を正確に伝えるためには、母国語での執筆以上に注意が必要です。
特に専門用語の訳し方や、先行研究を引用する際のマナー、仕上げのチェック体制などは、研究の信頼性を左右する重要なポイントです。
ここでは、英語論文を書く際に押さえておくべき注意点と、それに対する具体的な対策について詳しく解説します。
専門用語の正しい訳し方
研究分野で使われる専門用語は、日本語と英語で意味やニュアンスが微妙に異なることがあります。
そのため、安易に辞書だけを頼りにして直訳すると、意図が誤って伝わる危険性があります。
特に学術分野では、国際的に統一された表現や定義が使われることが多いため、正しい英訳を調べることが重要です。
Google Scholarや専門分野の論文データベースを活用すれば、どのように表現されているかを確認できます。
また、英語での論文を多く読んでおくことも有効です。
実際にどの単語やフレーズが頻繁に使われているかを知ることで、自分の研究に適した表現を選べます。
特定の用語が複数の言い方を持つ場合には、国際的により一般的に使われている言葉を選ぶようにしましょう。
先行研究の引用と剽窃の境界線
英語で論文を書く際に特に気をつけなければならないのが、先行研究の引用方法です。
他人の研究を参考にすることは必要不可欠ですが、出典を明記せずに文章をそのまま流用する行為は剽窃と見なされ、研究者としての信用を大きく失うことになります。
引用する場合は、必ず出典を明示し、自分の言葉で要約して書き直すことが大切です。
また、引用と要約の違いを理解することも重要です。
引用は原文をそのまま取り入れる行為であり、要約は内容を整理して自分の表現に言い換えるものです。
英語論文では、要約して自分の議論に結びつけることが特に重視されます。
参考文献管理ツールを活用すれば、引用スタイルの統一や誤りを防ぐことができます。
指導教員やネイティブチェックの活用
論文を英語で書き終えた後は、自分一人で完成したと思わず、必ず第三者に確認してもらうことが必要です。
研究の専門的な内容については、まず指導教員に見てもらい、論理展開や研究の意義が正しく伝わっているかをチェックしてもらいましょう。
その上で、英語表現の自然さについては、英語を母国語とする人に確認をお願いすると効果的です。
近年は、オンラインで英語添削サービスを利用する学生も増えています。
文法や表現のミスを指摘してもらえるだけでなく、より学術的に適した言い回しを学ぶこともできます。
また、共同研究を行っている仲間や留学生に相談するのも一つの方法です。
自分では気づきにくい表現の癖や誤りは、第三者の視点で初めて明らかになることが多いものです。
【理系の卒論】まとめ
教授によっては、卒論を英語で書くように指定する場合があります。
また大学院では、大学よりも論文を英語で書くことは珍しくありません。
英語で卒論を書く際には、主語や目的語を明確にして、読み手に伝わりやすい文章にするよう心がけましょう。
受動態を意識して書くと、重要な事象を主体にでき、事実をわかりやすく書くことができます。
さまざまな英語の論文を読み、テンプレを学んで論文の構成に活かすことで、明解なプロットの卒論を書くことが可能です。
ここで紹介したコツなどを参考にして計画的に卒論へ取り組み、質のよい文章を書いていきましょう。