学士・修士・博士って何?それぞれの違いと就職への影響をくわしく説明

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

はじめに

「学士・修士・博士の違いって何だろう?」

「卒業後の就職には違いはあるの?」

「修士・博士は就職がしづらくなるって本当?」

学位をとったあと、自身がどのような道に進めるのかイメージできないという方も多いでしょう。それぞれの学位によって、あらゆる可能性が用意されています。

この記事では、学位・修士・博士の違いや卒業後の就職について、また修士・博士が就職しづらくなる理由について紹介していきます。

この記事を読むことで、それぞれの学位の取得方法や取得後の進路についてしっかり理解できるでしょう。紹介する内容を参考にして、自身の学位取得によってどのような道が開かれているのか、1つの可能性としてぜひ参考にしてみてください。

学士・修士・博士って何?

学生が大学などの高等教育機関を終了する、もしくはそれと同等の研究成績があると見なされると「学位」を与えられます。学位とは一定の教育課程を履修、試験に合格するなどして学業を修めた者に与えられるのです。

また、価値のある研究を修め論文や著書を公刊した者や、学術または教育上功績があると認められた者にも与えられます。

一口に学位と言ってもさまざまな種類が存在します。まず、就職活動や進路指導においてよく耳にする「学士「修士」「博士」それぞれの意味について説明していきましょう。

学士とは?

学士とは文系、理系問わず、一般的な4年制大学に通い、卒業した人に与えられる学位のことです。在学中に授業に出席し、必要な試験に合格することで単位を得られます。卒業に必要な単位を取得し、卒業論文を提出すれば、学士号を取得できます。

また、大学を卒業していなくても高等専門学校の専攻科にて所定の単位を修得した場合も学士号を取得できるのです。それは、いわゆる「大卒検定」に合格し、大学卒業と同等以上の学力を有すると認められた場合です。

さらに、防衛大学校や海上保安大学などの省庁大学校を卒業し、学位授与機構の審査に合格した者にも学士は授与されます。

また、短期大学を卒業した者には学士ではなく、「短期大学士」という学位が授与されます。

学士については、こちらの記事でご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

修士とは?

修士とは、学士と認められた者が大学院の博士前期課程を修了した際、もしくは定められた単位を取得し、修士論文を提出して大学院を卒業した際に授与される学位です。大学院を卒業しなくても専門職大学院を修了した場合も、修士の学位が授与されます。

修士の学位は、医療製薬系や理工系の分野での需要が高いだけではありません。臨床心理士などの資格を取る際や、教員免許状を取得する際にも必要になります。

また「学士と博士の真ん中の称号」といわれるように、博士の称号を得るために必要な基礎的な要件としても認知されています。

今後は高度専門職業人の需要の高まりや、生涯学習への社会的な関心の高まりを受け、修士の学位取得者が増えていくと予想されているのです。

修士については、こちらの記事でご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

博士とは

博士とは大学院の修士課程卒業後に5~6年の時間をかけて取得する称号のことで、高等教育機関で与えられるうち、最高位の学位です。

大学院における博士後期課程において、所定の単位を取得し、博士論文を提出し合格した人が得られます。博士は博士後期課程に3年以上在籍し、博士論文を提出し合格した者が得られる「過程博士」と、在籍期間に関わらず論文の合格で得られる「論文博士」の2種類に分けられます。

論文博士を取得するのは、査読付き論文の実績や学会の委員就任経験などが必要なため、大学院生にとってハードルは極めて高いといえるでしょう。そのため授業料はかかりますが、一般的には必要な設備や、指導を受けられる過程博士の道を選択することが推奨されます。

博士課程については、こちらの記事でご紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

修士号と博士号の社会的評価とは?

大学院を出ていると、世間では間違いなく高学歴と見なされます。

しかし、院を出ていれば就職が安泰というわけではありません。

以下の見出しで修士号・博士号の社会的評価や、就職でのアドバンテージについて考えてみましょう。

特に博士号まで得るとなれば年数がかかり、社会人としてスタートを切るのがどうしても遅くなります。

社会的評価などのメリットと就職時に年齢が高くなるといったデメリットをよく比較し、大学卒業後の進路を決めてください。

修士号の社会的評価

修士号を持っていると、博士号ほどではありませんが専攻領域について、深い専門知識があると見なされます。

院に進むと自分の研究テーマを明確にする必要があり、研究テーマと一致する業界の企業から、高い評価を受ける可能性が高いです。

特に研究職・開発職の採用をしている国内企業からは、それまでの研究や知識をうまくアピールすることで採用してもらいやすくなるでしょう。

しかし専門領域と違う分野の企業では、修士号を得ていることがプラスの評価につながらないことも多いです。

就職志望先が研究テーマと一致しない場合、院に進まず、就職するほうが有利になる可能性もあります。

特に営業など、日々の業務をこなす中で仕事を覚えてもらう職種では、学士・修士の差が出にくいのです。

博士号の社会的評価

博士号を得るためには、1つの分野を専門的に研究し、その成果を論文などで示さなければなりません。

知識や研究能力がなければ授与されない学位であるため、非常に高い評価へつながります。

国内企業だけでなく、海外企業でも博士号を得ていることが大きな武器になるケースは多いです。

理系の企業(研究所・製薬会社など)やシンクタンクでは、特に特定分野のスペシャリストが求められています。

院を出たあと、就職せず大学に残り教職員・研究員になる選択をする方も多いです。

博士号を得た方は一生研究を続け、普通の就職はしないイメージがある方も多くいらっしゃいます。

そのため一般的な求人では、博士号を得ていると、かえって「研究肌」「頭でっかち」といった評価で敬遠されてしまうリスクもあります。

学士・修士・博士の就職における違い

学士・修士・博士の違いについて解説してきましたが、就職への影響についてそれぞれどのような違いがあるのでしょうか。これからキャリアプランを考える場合、ぜひ考慮しておきたい要素と言えるでしょう。

ここでは、学士・修士・博士の3つの学位の就職における違いについて紹介していきます。

社会人基礎力が評価される学士

学士卒業後は、一般企業に就職する学生が大多数を占めます。特に文系ではその傾向が顕著です。多くの学生が新卒の採用試験を受けて、大学卒業までに内定を取ります。

しかし、弁護士や行政書士国家公務員などの国家資格を取得、ロースクールや資格取得のために民間の学校に通う進路を選ぶ学生もいるでしょう。

理系では、専門性を高めるために大学院に進学する、いわゆる「院進」の進路を選択する学生も多くなっています。もちろん院進をせず、早くからのキャリアアップや実務経験を望み「学部卒」のまま就職活動する学生もいます。

大手メーカーでは特定の分野に偏っていない学部卒の学生を求める傾向もあるのです。

また、希望する職種はなく、なんでもチャレンジしたいという学生もいます。

専門職の募集で有利な修士

大学院卒業後の修士で就活すると、2年間勉強した自分の専門的な分野での就活が可能となります。大手企業の理系学生の採用は修士課程を卒業した人のみに限られることも多いです。そのため、就活では有利に働くでしょう。

特に研究職や開発職など、企業がその分野に精通している学生を探している場合、院生のほうが採用されやすい傾向にあります。

また、特定の分野の知識に精通しているだけでなく、仮説を立てて検証し、結果を得るための実験などを繰り返すうちに、修士号を持っている学生は論理的思考力を養われます。

さらに、学会で発表するプレゼン力もあるため、即戦力としての需要は学部卒より当然高くなるでしょう。

また多くの場合、学部卒の学生より初任給や生涯年収も高額になります。

研究職や教授職を目指すなら博士

博士課程を修了し後の主な就職先は的研究機関や民間企業、大学などです。公的機関や民間企業では工学、農学、保健などの需要が高く、研究職や技術職として就職する道があります。大学では最終的に教授のキャリアを目指します。

しかし、先述したように正規の研究職や教授の募集がない場合、ポスドクとして非常勤の博士研究員で働く人が非常に多いのも問題視されているのです。

保険の博士課程を修了した学生は、医療機関で医師や薬剤師といった医療関係の仕事に就くケースが多く見られます。

博士課程修了者の人材を求める声が高く、製品開発などの業務に携わることもあるようです。また、修士課程のものが就職後に会社の支援を受けいわゆる「社会人ドクター」として博士号を取得するという道もあります。

仕事と研究の両立は難しいです。しかし、金銭面で博士課程に進むことを諦めた学生にとってはうれしい選択肢です。

修士・博士が就職しづらくなる理由

「修士・博士の学位を取得しても、就職は難しい」と聞いたことはないでしょうか。主にこれから紹介する4つの理由によってそのように考えられています。

ここでは、修士・博士が就職しづらくなる理由について紹介していきます。 修士・博士の学位を取得しようと進学を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

募集の数が少なく競争率が高い傾向がある

大学院で修士や博士課程に進んだ場合、学士よりも知識が専門的になってきます。しかし、高い専門性がゆえに、そこで力を入れてきた研究や学んだ知識を活かせる求人募集が少ないのが現状だとされています。

また、求人募集の数自体が少ないため、競争率も必然的に高くなる傾向にあるでしょう。

専門外の就職へのハードルが高い

修士や博士課程において、専門が工学系であれば実学的でもあるため、学んだ知識を企業で活用しやすいでしょう。しかし、物理学・天文学・数学といった理学系については、自身の専門分野が企業と関連性が薄い場合もあり、就職先を見つけるのは難しいと一般的には言われています。

そのため、理学系が専門の人は専門外の分野に就職する可能性もあり、その場合には就職のハードルが高いと感じることもあるでしょう。

学部卒の新卒よりも年齢が高い

大学院に進学すると、その分、学部卒の新卒よりも年齢が高くなってしまいます。もし、就職希望の企業が、定年まで長く働いてもらいたいと思っている場合、学部卒を優先に採用していく傾向にあります。

この場合、年齢の差をカバーできるだけの高い専門性を強みにしていく必要があるでしょう。

文系は研究内容がビジネスに繋がりにくい

大学院卒から就職を考える際、研究内容がビジネスに繋がっているかが重要です。理系の場合は、民間企業が研究内容に近いビジネスを展開をしていることが多く、専門性を仕事に活かしやすいでしょう。

しかし、文系は研究内容がビジネスに繋がりにくいケースが多いとされています。例えば、事務職では実務的なスキルや臨機応変な対応などが求められる傾向にあり、専門性を十分に活かせない場合があります。

修士や博士でも理系と文系で大きく違う

文系よりも理系のほうが修士号・博士号を得る方が多いです。

それは理系のほうが長く研究を続けなければいけない分野の多いことだけが理由ではなく、就職や社会的評価とも関係しています。

次の見出しでは、文系・理系それぞれの修士号・博士号評価を見ていきましょう。

もちろん、文系だからといって院に進むのが良くないわけではありません。

明確な目的・研究意欲があって進学したことを示せば、文系の院卒も就職市場で高く評価してもらえることが多いです。

理系の就職先は専門分野の仕事が多い

理系で大学院を出ている方の代表的な就職先は、化学メーカーの研究職・エンジニアなどがあげられます。

長く研究してきた専門分野に関する仕事へ携わるケースが多いです。

企業と研究室・教授の間にコネがあり、紹介・推薦などのルートで就職先を見つける方もいらっしゃいます。

研究職の採用はその分野の知識がある修士・博士を優先する企業が多く、採用後もほかの職種へ異動を命じられることは少ないです。

一般的な企業の会社員は営業・マーケティング・事務などさまざまな経験を経て昇進する方は多いですが、理系の院卒で研究職になる方は、社会人になってからも研究一筋の場合が多いです。

理系で自分の好きな研究を長く続けたい方は、大学院への進学をおすすめします。

文系は専門性より基礎教養を重視される

文系の修士・博士は、理系ほど専門職への就職率が高くありません。

経済といった分野でシンクタンクへ勤める方もいらっしゃいますが、研究の専門性とビジネスが直結しにくい分野も多いです。

そのため、研究内容だけでなく個人のスキル・人間性が評価対象になります。

研究活動の中でどんな知見を得られたか・どれだけ基礎教養を高めてきたかをアピールすることが大切です。

特に四大卒の方と同じ新卒就職市場で勝負する場合、修士・博士を持っていることが大きなアドバンテージにならないこともあります。

業界によっては、院卒よりも年齢の若い四大卒の方を優先する企業も多いです。

就職活動が始まる前に企業研究・自己分析をしっかり行い、良い準備を進めておきましょう。

自分の目指す就職先に応じて進路を決めよう

いかがでしたでしょうか。この記事では、学士・修士・博士の違い、それぞれの学位の取得後の就職への影響、修士・博士が就職しづらくなる理由について紹介してきました。

修士・博士課程修了者が就職する際には、学位取得者に比べて、いくつかの懸念点もありますが、紹介した内容を踏まえて事前に対策しておけば、それらはカバーできるでしょう。

学士課程でも同じですが、特に目的もなく進学するのではなく、高い目的意識を持って自分の道を歩んでいく姿勢が大切です。しっかりとしたキャリアプランを立て、悔いの残らない選択をしていきましょう

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