【用語解説】学士って何?ほかの学位との違いや進むメリットを徹底解説!

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伊東美奈
Digmedia編集長
伊東美奈

HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。

【用語解説】はじめに

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「学士」という言葉そのものは知っていたとしても、詳しい意味や定義を知らない方もいるでしょう。

日常的に何気なく見聞きしたことがあったとしても、自分の言葉で説明できる方は少ないかもしれません。

はたしてどうすれば学士を名乗ることができるのか、さらに修士や博士といった類語との違いなどについても同様でしょう。

以下ではそれぞれの違いを知ると共に、さらには将来の就職のためにどれが有利になるかなどを見ていきます。

【用語解説】学士・修士・博士って何?

そもそも学位とは大学を卒業したものに与えられる称号のことです。

入学して在籍するだけで得られるものではありません。

大学には修業する期間が3年以下の短期大学もありますが、短大を卒業した場合には学士とはいいません。

かつては準学士という称号でしたが、現在では「短期大学士」という称号を与えられます。

一方で修士と博士はそれぞれ大学院に進んだうえで、それぞれの課程を卒業すると得られる学位です。

学部などによる違いがあるものの、修士から博士へと進むのが一般的です。

学士とは?

学士の称号が与えられる大学は修業年限が4年以上と定められています。

また、医学部や獣医学部、歯学部や一部の薬学部は卒業するまでに6年を要します。

4年であっても6年であってもそれぞれ卒業までに必要な単位数が定められており、その数を取得していなければ講義に出席しているだけでは卒業できません。

単位というのはカリキュラムに則って受講した講義において、一定の成績を収めると取得できるポイントのようなものです。

たとえば週に一度の科目では1単位、週に二度受講しなければならない科目では2単位のように設定されています。

さらに単位を取得した場合には、成績によって優、良、可など科目ごとにランクづけされるためより上位を目指さなければなりません。

必要数を取得したうえで最終学年までには卒業論文を作成し、成果が認められると卒業し学位の称号を得られるのです。

修士とは?

修士とは大学院に進み、修士課程や博士前期課程などといわれる2年間のカリキュラムを終えると得られる称号です。

高度な教育を受ける修士課程においてもまた、学士と同様に一定の成績を残したうえで必要な単位を取らなければなりません。

ここで1つ注意しておきたいのは、修士課程に進めるのは大学を卒業して学士の称号をもっているものに限らないということでしょう。

高校から大学へと進学するように、大学院へは大学を経なければならないと思われている方もいるかもしれません。

しかし大学院へ進めるのは、学士と同等の学力があることと定められています。

そのため、高卒であっても中卒であっても学ぶことができるのです。

したがって、社会人として得た経験や知識を磨く場として選ばれるケースもあります。

博士とは

大学院において、修士課程を卒業してから進む博士課程または博士後期課程を終えると、ようやく得られるのが博士という称号です。

博士というと「お天気博士」や「文学博士」など一般的によく使われている単語です。

しかし、「物知り博士」が「はかせ」と読むのに対して学位については「はくし」と読みます。

一方で、医学部など大学において6年学ぶ学部については、修士課程を経ずに博士課程へ進むケースがあります。

いずれにしてもその課程に進むのはごくわずかです。

一般的には、ほんのひと握りのものしか手に入れられない称号といえるでしょう。

また仮に難関を突破して入学したからといって、すべての人が卒業できるわけではないという現実も知っておいたほうがよいでしょう。

【用語解説】学士に進むメリットは?

学士を取得することによる大きなメリットとして、就職において有利に働くことがあげられるでしょう。

接客業など学歴不問の求人を見かけることもあります。

しかし、大手の上場企業などに就職したければ応募の条件すら満たさないこともあるのです。

生涯年収が増える

就職先の間口が広がるということは、それだけ条件のよいところが選べる権利を得ているといえるかもしれません。

影響するのは新卒採用のときだけではなく中途採用についても同様です。

学歴不問と書かれている求人も、詳しく読むと専門的な経験が必須とされているものもあります。

したがって学歴によって採用時の優劣がつきやすく、おのずと収入にも差がついてしまうのも現実です。

よって、在学中の4年間という後れがあったとしても、高卒に比べると、生涯年収にも違いがあらわれるのです。

就職先の選択肢が増える

たしかに学歴不問という求人はあるものの、よくみると業種などに偏りがあるのも事実です。

たとえば、やる気次第で実務経験を積みながらステップアップできる営業職などでは、求人サイトなどを確かめてみても「大卒以上に限る」という条件を見かけることはありません。

その一方でいわゆる総合職などは4年生大学を卒業見込みのものに応募者を限定している場合もあります。

大卒のほうがどうしても、高卒より選択肢が増えるという状況は否めません。

【用語解説】学士に進むデメリットは?

中卒や高卒、あるいは専門学校が最終学歴であることに比べると、学士をもっていることは新卒でも中途採用でも有利です。

就職においてはメリットばかりのようにも見えます。

しかし、必ずしもデメリットは存在するのです。

お金がかかる

生涯年収で見れば多くの場合は高卒を上回るものの、学士号を取得するためには学費がかかるわけですから先行投資をしなければなりません。

地域や学部などによって差はあるものの、国立大学の場合は在籍する4年間で300万円から400万円、私立であれば400万円から500万円ほどかかるのです。

学費以外にも教材費も必要ですし、電車で通学する場合には交通費もかかりますし、ビジネスパーソンのように交通費が支給されるという待遇もありません。

高い意識が必要とされる

大学に入学することをきっかけに上京したり、一人暮らしをしたりするケースもあるでしょう。

サークルに入って活動するなど、楽しいことばかりに見える反面、遊びと学びをうまく両立させなければ4年で卒業することも難しくなるかもしれません。

大学では高校までのように全員が同じ時間割で勉強するのではなく、受講したい科目を自分で選ぶことになります。

新たな友人と出会ったり遊んだりすることも大切ですが、4年間を充実させるには高い目的意識をもたなければなりません。

【用語解説】学士・修士のメリットとデメリットを紹介!

高校時代に受験勉強をしながら将来の目標をしっかり立てておけば、その夢に向かって学ぶ4年間はかけがえのないものになるはずです。

たとえば理系の学部に進んだ場合、必要な単位を取得したうえで励む研究は、技術職として就職してからも役立つものばかりです。

また、より実践的な研究をしていくうえでの礎として、大学における学習は有意義で欠かすことはできないでしょう。

一方でなんの目的もなく入学をすれば、ただただ学費を浪費するばかりです。

さらに4年間という時間も無駄になってしまいます。

そのことは修士課程においても同じことがいえます。

わざわざ学んだことが役立たない道に進んでしまうと、どんなに後悔しても4年や6年といった時間を取り返すことはできません。

【用語解説】それぞれの学位の学費

国立大学の学費は、文部科学省によって定められた標準額に設定されています。

たとえ学位が変わっても必要な授業料はあまり変わらないので、資金計画を立てやすいといえるでしょう。

しかし、私立大学の場合は学位によって必要な金額が変わります。

1年間の授業料が一番高いのが学士であり、修士・博士と進むにつれて安くなっていきます。

また国立大学と異なり、大学が独自に学費を設定しているため、志望しているところの学費の調査が必須です。

なお、同じ大学の学部からそのままそこの大学院に進む場合は、入学金が免除される制度が用意されている私立大学もあります。

進学には多くの費用がかかるので、なるべく費用を抑えられるよう、必要な情報を集めて自分に合った方法を探すのがポイントといえるでしょう。

【用語解説】それぞれの学位を卒業後の選択肢

卒業までに要する年数が違うほかにも、学士と修士、あるいは博士にはそれぞれどんな違いがあるのでしょうか。

ここからは学位によってどのような異なる状況が生まれるのかを、就職活動という場面に絞って見ていきましょう。

理系と文系で選択すべき学位は変わる!

よく理系に進むと「実験やレポートの提出が大変で、勉強の時間がかかる」などと言われます。

実際のところ、そうであったとしても取得すべき単位の数が理系と文系で異なることはありません。

また、就職しようとするときに、一般企業への応募で理系と文系によって優劣がつくこともないのです。

それは入試難易度の目安とされる偏差値と同じです。

偏差値が低い大学だからといって、ただちに就職で不利にはならないでしょう。

一方でより専門性が高い研究職などに就職したい場合は、理系で学んだ学生のほうが若干有利かもしれません。

しかし学んだとはいえ、あくまで基礎的なものです。

すぐに社会に出て役立つものとはならないため、学位をもって目指すより修士課程に進んで、さらに知識を得るという選択をするほうがよいかもしれません。

学士卒業後は?

文系の学部で学んだ学生のなかにも、修士課程へと進む学生もいます。

文学の道を究めたいという学生や、将来は経済学者の道を歩みたいと思う学生もいるでしょう。

しかし一般的にはさらに進学を志す数は多くありません。

就職して、社会人としての経験を積んでいくことがほとんどです。

一方で理系の場合は、上記のように研究職に従事したいという希望をもっていれば、就職でより有利になるよう、修士課程に進む場合が多いといえるでしょう。

もっとも全員が全員、同じような動機をもっているわけではありません。

しかし、それでも文系と比較すれば進学する割合は多めです。

特に、近年では理系における大学院進学率は高まるばかりで、工学部などは半数に届こうかという勢いです。

修士卒業後は?

さらに進学して博士を目指すケースもあるものの、修士課程を卒業した多くは就職する道を選びます。

学士と比べれば2年間という短い期間とはいえ、より専門的なことを学んだ院生は志望する職を選びやすくなるといえるでしょう。

特に理系院生の場合は、研究室の紹介などにより研究所に即戦力として迎えられ、大きなプロジェクトにいきなり参画することもあるかもしれません。

より専門的な領域であれば、そもそも修士課程を卒業したものにしか応募資格がないこともあるくらいです。

他方で文系院生は就職に不利との見方もあります。

ただそれは理系と比較すると間口が狭いからであり、実際には専門的な知識を発揮やすい、シンクタンクやコンサルティング会社などへ就職しています。

博士卒業後は?

修士からさらに先へ進んだ博士の場合、そのまま大学に残って研究を続けるケースが目立ちます。

一方、就職を志望する場合には、高度な専門性を認められて研究職として従事することがほとんどです。

民間の大手企業における研究所などのほか、国が運営する研究センターや施設等機関など、学士では就職が難しい先に進むこともあります。

引く手あまたなようにも思われますが、そこにはデメリットも存在しています。

その1つとしてあげられるのは、就職する際の年齢です。

新卒の多くが20代の前半なのに対して博士の場合はもう30代が目の前です。

大学入学時に浪人をしていたり、大学院で留年したりしていれば30歳を過ぎていることもあるでしょう。

 

【用語解説】それぞれの学位の就活での活かし方

学士・修士・博士のどの学位まで取得すればよいのかは、卒業後の就職先によって変わってきます。

就職先や職種によっては学士だけでは足りない場合がある一方、「博士まで取る必要はない」というケースも多いからです。

また学士以上を目指す場合、就職するときの年齢についても考慮しなければなりません。

それぞれの学位は、就活でどのように活きてくるのかを考えたうえで、さらに上の学位を取得するか、それとも就職するかを検討しましょう。

学士

学士だけで専攻分野の専門性が身につくとは考えづらく、企業側も学士の学生に対しては専門知識などはあまり期待していません。

特に研究職などは、修士以上の学生が求められていることも珍しくないのです。

企業が学士の学生に重視しているのは、基本的に「これまでに何に努力してきたのか」「就職してから成長するポテンシャルがあるのか」の2点であり、人柄がより重視されています。

そのため就活では、自分がどのように企業に貢献できるのかを具体的にアピールしなければなりません。

何事も自分からアクションを起こせる「積極性」や、結果を出すまで努力し続けられる「継続性」などが例として挙げられます。

専門知識よりも、それを学ぶ過程で得られたもののほうが重要なのです。

修士

修士は学士に比べて高い専門性が求められます。

もちろん、その人自身の人柄や熱意なども重要ですが、企業は専門的な知識をもった人を優遇します。

そのため修士を取得している場合、企業に対して自分がどのような研究を行ってきて、どういった資格やスキルをもっているのかをアピールしましょう。

就職後、すぐに役立つようなスキルや資格があればいっそう有利になります。

企業が自分に対して期待しているものは何なのかをよく考えたうえで、志望動機や将来の夢などを考えるようにしてください。

また面接官からも、生半可な知識では答えられないような専門的な質問が来ることも珍しくないので、想定される質問の回答もあらかじめ準備しておきましょう。

博士

博士課程まで学んだ方の就職先は、基本的に大学で教鞭を取る教授のほか、民間企業の研究職になる場合がほとんどです。

ほかの学生より卒業は遅れますが、それだけ深い専門知識をもち、即戦力として役立つスキルをもっていると面接官は考えています。

そのため、大学教員を目指したり一般企業の研究部門を志望したりすれば、就活を有利に進められるはずです。

ただし、大学教授は採用されてすぐに教授になれるわけではなく、助手・助教授などを経て教授となるのが一般的です。

また民間企業の研究職でも、就職後すぐに興味のある研究に携われるわけではないということを頭に入れておきましょう。

なお、大学教員や民間企業の研究職以外を目指すことも可能ですが、同期との年齢差が気になってしまうかもしれません。

【用語解説】どの学位が就活で有利?

実際に就活を進めるにあたって、どの学位が有利なのか気になるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

せっかく大学院で専門的なことを学んでも、それが就活で活かせないのであれば、学士で就職してしまったほうがよいのかもしれません。

ただし、どの学位が有利かは、理系学部か文系学部かによってそれぞれ異なります。

どの学位で就活を行うのが有利なのか、大学院進学か就職かで迷ったときは再度自己分析を行って整理してみましょう。

【理系】

理系の学生が就く職種は、技術職など専門性を求められることが多く、大学院で研究を行うことで培った専門性は企業から高く評価される可能性が高いです。

そのため、修士であれば学士よりも少し有利であると考えられます。

特に、入社後すぐに高い専門性が必要とされる職種を目指すのであれば、大学院に進学しておいて損はないでしょう。

学士だと、修士の就活生と比べて専門知識やスキルが低いと評価されるため、就活で不利になるおそれもあります。

学部レベルの知識やスキルでは通用しないことが珍しくないからです。

理系の方は、自分の研究分野をどの程度まで活かせるのかを考えたうえで、修士課程・博士課程に進学するかどうかを決めるとよいでしょう。

【文系】

文系の場合は、理系に比べて大学院への進学率が低いという特徴があります。

そのため、なぜ大学院に進学したのかということを明確に伝えられない限り、修士が有利になることは少ないといえるでしょう。

また、文系出身の方が選ぶ就職先の多くは学生に高い専門性を求めていないことがほとんどです。

以上のことから、文系の場合は学士で就職するのが無難といえます。

大学院で学ぶこと自体は決して無駄ではありませんが、学んだことを就活やその後の仕事で活かせるかどうかはまた別問題です。

その点をよく踏まえて、大学院へ進学するかどうかを決めたほうがよいでしょう。

大学院に進学しても、研究分野を活かした就職先がなければ、学士の学生と混じって就活を行わなければなりません。

その場合、就職時の年齢がネックになることも考えられます。

【用語解説】まとめ

それぞれの学士による違い、あるいは文系と理系の違いについて一概にはいえないものの、就職する際には特徴的な差異があるようです。

いずれにしても将来の目標に向かうための手段として、自分はどの学位に向いているのかを知っておいて損はありません。

社会に出て自分らしさを発揮して企業の戦力として役立ちたいなら文系の学士、研究職についてその分野で社会の役に立ちたいなら理系の修士といった具合です。

大学在学中に、あるいは進学前にしっかり見極めておきましょう。

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