HRteamに新卒入社。 キャリアアドバイザーの経験を経てマーケティング事業へ異動。 アドバイザー時代にサービス立ち上げや人材開発、人事の業務に携わり、現在では「Digmedia」のメディア運営責任者を担っている。
はじめに
中途採用の選考過程にWebテストを取り入れる企業が増えてきています。
もともと新卒採用では多くの企業が筆記試験やWebテストを実施していましたが、中途採用は社会人経験がある人を採用するため、書類選考と面接のみというケースも少なくありませんでした。
しかし近年、中途採用の選考においても、テストによる客観的な評価が有効だと見直され始めたのです。
転職活動でWebテストを課せられたときに戸惑わないよう、Webテストの内容や実施目的を知っておきましょう。
転職時のWebテストとは?
転職活動中、企業の募集要項や選考過程の中にWebテストの記載があったり、実際に応募した企業からWebテストの案内が来たりすると、どういうものかわからずに戸惑う人も少なくないと思います。
Webテストは、新卒採用でも比較的最近になって増えてきたテスト方法であるため、今転職を考えている人が新卒で就職活動をしていたときには、まだなかったかもしれません。
そこで、まずは転職活動におけるWebテストの概要から説明していきます。
SPIなどの適正テストをWeb上で行うことが多い
転職活動におけるWebテストには、SPIなどの適性テストが使われることも多いです。
SPIはWebテストがなかった時代にも、新卒採用の筆記試験で実施されていたため、受けたことがある人も少なくないでしょう。
つまり、Webテストとは受験方法の1つで、SPI・適性検査・一般常識など、以前は筆記試験で行われていたものがオンライン化したものなのです。
筆記試験からWebテストに変化したのは、コロナ禍でオンライン化が進んだ結果でもあり、遠方の応募者も自宅で受けられるなどのメリットがあるからです。
仕事をしながらの転職活動は多忙を極めるので、期限までの好きな時間に自宅で受けられるWebテストは、中途採用ではさらにメリットが大きいかもしれません。
どんな問題内容なのか
Webテストの内容は、筆記試験で出題されていた問題と内容は同じで、下記3つの分野で構成されています。
・「言語分野」の問題群:言語の知識や文章力が問われる、国語のような内容。
・「非言語分野」の問題群:数的な処理能力が問われる、計算や数学的な内容。
・「性格検査」の問題群:社会適合性やストレス耐性を分析するために、行動や性格を問う内容。
国語や数学というと構えてしまう人もいるかもしれませんが、大学受験のような難問が出題されるわけではなく、基礎的な計算や少しの応用力があれば解ける問題であることが多いです。
制限時間は約60分間とされていることも多いのですが、設問数は割とボリュームがあるため、効率良くスピーディーに回答していく能力も求められます。
転職であれば前職あるいは現職の業務でパソコンに慣れている人が多いので、あまり心配はないと思いますが、スムーズにパソコン操作ができることも1つの重要なポイントになると言えます。
転職時にWebテストを課される目的は?
新卒採用で筆記試験やWebテストを実施する目的の1つは、たくさんの応募者の中から次のステップに進む人を、効率的かつ合理的に選抜するためです。
しかし、中途採用では新卒採用のような規模で応募者が殺到することはありません。
転職活動においては、いわゆる足切りのような目的でWebテストが行われることは、あまり考えられないと言って良いでしょう。
そのことを加味すると、中途採用でWebテストが実施される目的は、おおむね1つに絞られます。
基礎学力や性格をはかるため
中途採用におけるWebテストは、応募者の基礎的な学力や能力、性格的な部分での適性を判断するために行われています。
業務に直結するような専門的な知識を求めているわけではなく、理系・文系両方の基礎的な学力をはかることが目的と言えるでしょう。
仕事を円滑にこなす能力と学力は比例しないため、よほど専門的知識が求められる職種でなければ、選考の判断材料として学力を重視する企業はほとんどありません。
しかし、自社の業務に携わるからには、基礎的な学力や最低限の地頭が必要であると考える企業が多いのも事実です。
性格検査は、職種に対しての適性を判断して極力ミスマッチを防ぐため、企業によっては入社後の配属を決める際の判断材料としても活用されています。
転職時のWebテストは対策したほうが良いのか?
中途採用でWebテストの導入が増えたことで、転職活動にあたって何か対策をすべきなのか悩んでいる人も多いと思います。
国語や数学のような設問がある以上、勉強すればその分だけ得点は伸びるでしょう。
新卒採用については、人数を絞るために足切りのような目的でWebテストが実施されるため、ある程度の対策をおすすめします。
しかし、転職活動においては、Webテスト対策に時間と労力を割くことの意義も加味して考える必要があるでしょう。
特に対策をしなくても良いと言える
結論から述べると、転職活動におけるWebテスト対策は必須でありません。
言語分野も非言語分野も、出題する内容や問題のパターンは企業によって異なります。
また、たとえば同じSPIでも受験日によって内容が違うため「勉強していた部分がまったく出題されていなかった」という結果になることもあり得ます。
転職活動は前職を辞めたあとに始めるのではなく、仕事をしながら進める人が多いでしょう。
仕事と転職活動の両立で多忙を極める中、広範囲を網羅するだけのWebテスト対策に時間と労力を注ぐのは、あまり現実的ではありません。
時間が限られているので、提出書類の推敲や面接での受け答えなど、採用結果に直接関わる部分をブラッシュアップするほうが有意義だと言えるでしょう。
採用結果に直接的に関わるとは言えない
大手企業で採用予定人数が多い場合などは、中途採用でも新卒採用のようにWebテストの結果で人数を絞ることがあります。
また、コンサルタントなどの特殊な職種では基礎学力の有無も重視するため、Webテストの結果が悪いと次のステップに進めないことがあります。
しかし、上記のようなケースを除けば、転職活動においてWebテストの結果が大きく採用結果に影響することはありません。
あるとすれば、性格検査で極端に適性がないという結果が出てしまった場合や、提出期限を守れなかった場合、無回答の問題があまりにも多かった場合などに限られるでしょう。
基本的にはWebテストで落ちることは考えにくく、Webテストの得点がのちのちの選考結果を左右することもないでしょう。
転職時のWebテストを受ける際の注意点
転職活動でWebテストが選考結果に直接関わることは極めて少ないです。
制限時間内にすべての回答を済ませるだけでも、次のステップに進めることのほうが多いと考えられます。
しかし、Webテストを受けるときに注意しておきたいポイントが3つあります。
この3つのポイントを押さえておかないと、Webテスト通過後の選考や入社後に響いたり、Webテストを通過できなかったりするような事態も起こり得るのです。
無理なく実践できることなので、ぜひ覚えておいてください。
性格診断は正直に答える
Webテストの性格診断では、社会適合性やストレス耐性といった個人の気質や、処理能力などがはかられます。
個人の気質の部分では理想的な回答を推察することもできますが、性格診断は嘘をつかず、正直に答えましょう。
性格診断はあくまで適性を判断する1つの材料であり、絶対的な正解があるわけではありません。
回答データと面接時の印象に大幅なずれがあると、確実に違和感が生じてしまい、各設問のデータを照らし合わせて嘘を見抜くシステムなども存在しています。
企業側に嘘がわかってしまうと、それだけで不採用になる可能性もあります。
性格診断は入社後の配属を決めるときにも活用されているようなので、ミスマッチを防ぐためにも、正直に答えましょう。
受験期限をしっかりと守る
Webテストは、受験期限を設定されていることがほとんどです。
転職活動中は非常に多忙であるため、60分程度とはいえ、Webテストを受験するための時間を確保することは難しいでしょう。
しかし、期限を過ぎて受験ができなかったら、その企業に転職する道は完全に途絶えてしまいます。
Webテストの点数は、ほとんどの場合が採用結果に直接関わることはありませんが「受験できなかった」「受験しなかった」となると話は違います。
期限内にWebテストを受けなければ、辞退したと見なされてしまうのです。
失念や多忙で期限内に受験できず、あとから再受験を求めたとしても、企業側から見たら「期限を守れない人」という印象しかないので、次のステップには進めないことが多いでしょう。
インターネット環境を見直す
Webテストはその名の通りWeb上で行うテストであるため、インターネット環境が必須です。
インターネットの状態が不安定でWebテストの回答途中に接続が悪くなり、制限時間内にすべての回答を終えられなかったというケースも耳にします。
Webテストの点数は採用結果に直接結びつかないとはいえ、あまりに無回答が多いと「そもそも意欲がない」と判断され、Webテストの段階で落とされてしまいます。
そのような事態に陥らないように、事前に自宅のインターネット環境を見直す、または良好なインターネット環境のもとで、Webテストが受験できる場所を見つけておくなどの対策をしてください。
また、スマートフォンやタブレットではなくパソコンで受験するようにしましょう。
まとめ
新卒採用と中途採用では、Webテストの位置づけが多少異なります。
新卒採用では足切りのような役割も担っていますが、中途採用では基礎学力や性格をはかり、著しく適性のない人を見分ける・入社後の配属の参考にするなどが、主な実施目的です。
時間や体力・精神力に余裕があればWebテスト対策をするのも良いですが、限られた時間の中ではかなり難しいため、重点的に取り組む必要はないと言えます。
ただし、押さえるべきポイントは確実に押さえて、不備なく臨みましょう。